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迫真空手部・哲学の裏技  作者: そのまんま東のような人物のイラストをイメージ画として自身が一種の淫夢系のキャラクターとして扱われている、近年ではイワナ系朗読やFXで有り金を溶かしたりしている朗読兄貴
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ヴィトゲンシュタインレイプ!語りえぬものと化した空手部

木村「今回は言語分析哲学についてやっていきます。先輩がた、いままで哲学は『神』や『真理』と言ったことを問題としてきましたよね?」


野獣「当たり前だよなぁ?」


三浦「だからデカルトとかが出て来たりしたんだゾ」


木村「ですが、これは『人間が勝手に決めた"言葉"』ではありませんか?」


野獣「確かに、神に対して神と名付けたわけじゃないな。祖先が実際に神様に会って「今度からは『神』と呼んでもいいですか?」なんて聞いて決まったとは思えない」


木村「そうです。こう言った言葉は日常生活を通じて生まれたものです。よって『神』や『真理』は、僕たちの日常生活の中で生まれたのです」


三浦「そうだよ(便乗)」


木村「なら『神とはなにか』と言うよりも『"神"という言葉がどのようにして使われているか』を分析したほうが、哲学の問題は解決できると思えませんか?」


野獣「この邪道感…チートを使っている気分」


木村「確かに邪道です。でも、それは気づかなかった我々の側面でもあるのです。それを公にしたのが言語分析哲学です」


三浦「まあ、それもそうだゾ…」


木村「こうした『哲学を言語問題に切り替えた』ことを『言語論的転回』です。こうして出てきたのがヴィトゲンシュタインです」


野獣「出た!熱血教師ことヴィトゲンシュタインくん!!」


三浦「知っているのか…」


野獣「知ってますよ。ヴィトゲンシュタインが書いた『論理哲学論考』は、カントの純粋理性批判と同じくらい難しいから」


木村「そうです。彼は『論理哲学論考』を著しました。内容は確かに難しいですが。今回はそれについてやっていきます」


野獣「オッスお願いしま~す」


三浦「よし、じゃあ(頭に)ぶち込んでやるぜ!!」


木村「まずヴィトゲンシュタインの哲学は前期と後期に分かれます。この前期哲学が哲学界ではチートと呼ばれていて、後期は前半の反省を含めているのです」


野獣「これマジ?前期哲学やばすぎだろ…」


木村「そんな前期ヴィトゲンシュタイン哲学はこう考えました。…現実の世界は一つ一つの事実の集合体です。そして言葉は一つ一つの『科学的な文』の集合体です」


三浦「『科学的な文』ってなんだよ(無知)」


木村「彼の言った『科学的な文』とは、「鈴木先輩がボールを投げた」と言うように、一つ一つの事実を写し取った文のことです。つまり『事実』と『科学的な文』の数は等しいのです」


野獣「事実を写し取った『科学的な文』と『事実』の数が噛みあわなかったら怖いですね…」


木村「ですから、科学的な文を全て分析すれば、世界の全てを分析したことになります」


三浦「なんだろうゾ、このモヤモヤした感覚…」


野獣「まあ裏道だししゃーない」


木村「しかし、世の中には分析できない文が存在します。例えば『神は死んだ』とか『野獣先輩女の子説』とか、事実との対応が確認されない文が存在するのです」


野獣「あくまで『事実との対応が取れた文』だけを『科学的な文』として扱うんだな…」


木村「ええ。こういった『科学的な文』以外の文は、言葉を間違って使っているのだ、と言います。つまり『神は死んだ』や『野獣先輩女の子説』は"言葉の誤用"です」


三浦「草」


野獣「なにわろてんねん」


木村「要するに、事実と対応しない文、『科学的な文』ではない文は言語化できないのです。彼は、今までの哲学はこの言語の誤用で出来ていると考えたのです」


三浦「『神は存在するのか?』と言う文は事実に対応していない。だから言語化できない。よって答えようがない…って言いたいのかゾ?」


野獣「外道中の外道すぎませんかね…?」


三浦「外道は言い過ぎだと思うゾ。でも、なんだかなぁ…こう、やっぱりチートって表現がもっとも適切ゾ」


木村「チートも哲学です」


野獣「クゥーン…」


木村「こうした中でヴィトゲンシュタインは、哲学の役割は『言語化できるもの』と『言語化できないもの』を分けるものだと考えました。そして『語りえぬものについては、沈黙しなければならない』と言ったように、言語化できないものに対しては沈黙しなければならないのです」


三浦「これはひどい」


野獣「最後投げやりになってませんかね…?(疑問)」


木村「二人とも前期ヴィトゲンシュタイン哲学がそこまで好感持てないんですか?…僕は好きですよ。RPGゲームの中で、序盤の敵キャラ相手に伝説の剣で攻撃するような感覚ですね」


野獣「無慈悲すぎる」


木村「しかし、後になってヴィトゲンシュタインは自論を自分で否定します。ここからが後期ヴィトゲンシュタイン哲学です」


三浦「自分でチートを撤回する有能」


木村「前期の彼は、科学的な文を解析すれば世界を解析できると考えていました。しかし彼は気づきます、「科学的な文」も『日常言語』から産まれたのです」


野獣「確かに"科学的な文"があって初めて日常言語が存在する訳ではないな。だったら日常言語を解析しないと意味ないじゃんアゼルバイジャン」


木村「ですから彼は『日常言語』を解析します。しかし、『日常言語』は一つの事実に対して、たくさんの意味を持ちます。例えば「今日は晴れだ」と言った場合、それを聞いた人は傘を持って行くのをやめるかもしれません。洗濯物を干すかもしれません。絶好の旅行日和だ、と言って旅行に出かける人もいるかもしれません」


三浦「当たり前だよなぁ?」


野獣「言語は多義的だって、はっきりわかんだね」


木村「ですから、日常言語を分析したところで意味を取り違えてしまうのがオチです。なので彼は日常言語のルールを知る必要があると考えました」


三浦「さっきで言う『傘を持って行くのをやめよう』とか『洗濯物を干そう』とか、一つの事実に対して意味をもつルールの事だな」


木村「このルールを『言語ゲーム』と呼びました。そして言語ゲームは、日常言語を用いて初めて知れるのです」


野獣「そうだよ」


木村「これでヴィトゲンシュタインは終わりです。しかし前期ヴィトゲンシュタイン哲学では『これで全ての哲学問題は解決された』とヴィトゲンシュタイン自身が言うほど、凄い力を持っていたんですね」


野獣「勝手に終わらせるな」


三浦「終わらせるとか、コイツすげぇ変態だぜ?」


木村「終わらせるんだよ!!(強制)」


野獣「しょうがねえなぁ(妥協)」

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