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迫真空手部・哲学の裏技  作者: そのまんま東のような人物のイラストをイメージ画として自身が一種の淫夢系のキャラクターとして扱われている、近年ではイワナ系朗読やFXで有り金を溶かしたりしている朗読兄貴
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文学者レイプ!意識の流れと化した空手部

木村「今回は文学者の哲学についてやっていきます。まず、以前にベルクソンの『持続』についてやりました。今回はベルクソンに『持続』と言う思想を与えたものについてやっていきます」


野獣「つまりベルクソンの元ネタか?」


木村「ええ。それは『人間の意識は、止まったものが連続して動くのではなく、流れるように動くのだ』というものです。これは先程やったジェームズが提唱した『意識の流れ』と言うものです」


三浦「この『意識の流れ』が多くの文学者の思想に影響を与えたのかゾ?」


木村「与えまくりですよ、それはもう。…しかし、ジェームズが意識の流れを提唱する前に、既にそれを実現している文学者がいたのです」


野獣「預言者かな?」


木村「その人の名前をロレンス・スターンと言います。彼の書いた小説『トリストラム・シャンディ』は「ナマコのような小説」と言われています」


野獣「えっ何それは…(ドン引き)」


三浦「『ナマコのような小説』とか言うパワーワード」


木村「実際そうなんですよ、読んでみれば分かります。そもそも内容もアレです。例を挙げると、主人公が生まれるのは物語の中盤です。そして物語の最初のシーンは主人公が生まれる経緯、つまり母親と父親が一緒に夜を過ごしたシーンからなのです」


野獣「ん~?????」


木村「余計に語彙力があるだけになんかムカつきます。そして、話は脱線を繰り返します。突然に関係の無い話が入るから、読んでいて退屈ですよ。しかしスターンは、この小説の中に『意識の流れ』を取り入れていたのです」


三浦「どういう事ゾ?」


木村「確かに話は脱線を繰り返します。ですが、その脱線した話は全て時系列的なのです。つまり読者が流れる意識を把握していたのです」


野獣「能ある鷹は爪を隠す(至言)」


木村「こうしたロレンス・スターンの手法は、意識の流れとして再評価されます。そして多くの文学者が生まれたのです。その内の一人、ジョイスについてやっていきましょう」


三浦「(頭に)ぶち込んでやるぜ!」


野獣「ほら行くど^~」


木村「ジョイスは『ユリシーズ』や『フィネガンズ・ウェイク』を書いた人として知られています。彼は意識の流れを通じて書いた本を経て、彼は町や衣装について細かく書きました」


野獣「はえ^~」


木村「この事についてなんですが、ユリシーズに出て来るアイルランドの首都ダブリンについての描写は、これでもかと言うほど細かいです。実際、ジョイス自身も「たとえダブリンが滅んでも『ユリシーズ』があれば再現できる」と言ってるぐらいですから」


三浦「意識の流れによって多くの文学者が活用したのかゾ…」


木村「次は皆が知っている小説家、トルストイです。彼の書いた『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』、『イワン・イリッチの死』は有名ですが、ここでは『人生論』に注目したいと思います」


野獣「オッスお願いしま~す」


木村「彼は『他人の幸福の中にこそ、自分の幸福もあるのだ』と言います。つまりトルストイは、自分の幸福を他人に見出したのです」


三浦「他人が幸せになることこそ、自分の幸せである……こう言う事かゾ?」


木村「その通りです。ですからトルストイは『人生論』の中で、他人の幸福を共に喜ぶことこそが真の幸福なのだ、と論理立てて導いたのです」


野獣「確かに自分だけが幸せになっても、なんか空しいなぁ。だから他人を幸せにする事で、自分も素直に喜べる」


三浦「他人にポッチャマのぬいぐるみをあげた時に喜んでくれたの、すっげぇ嬉しかったゾ^~」


木村「ですが、トルストイは悩みます。こうして他人の幸せに喜べるのは素晴らしい事ですが、それでは自分が迷ってしまいます。果たして自分が過ごす人生とは何なのでしょうか?…これが分からなかった彼は、次第に自殺を視野にいれていくのです」


野獣「(自殺は)まずいですよ!」


木村「しかし彼は考えます。…毎日を本気で生きることが、自分の人生なのです。つまり今、悩んでいることを明日に持ち越さずに今この瞬間を精一杯生き抜くのです」


三浦「毎日を全力で生きる…素晴らしい言葉ゾ」


木村「これは『この世における使命をまっとうせんがために、我々の仕事を明日に繰り延べることなく、あらゆる瞬間において、自己の全力を傾注して生きなければならない。』と言う言葉に詳しいです。此処で言う『仕事』とは、実際の仕事でもあり、学校でもあり、悩みでもあるのです」


野獣「毎日を全力で生きたら、確かに後悔しないもんな」


三浦「そうだよ(便乗)」


木村「次は不条理哲学についてやっていきます。不条理哲学とは『人生に意味は無い。意味がないからこそ生きなければならないのだ』と言う考え方です。ここでは二人を紹介していきます」


野獣「なんか暗そうだなぁ…」


木村「まずはカミュです。彼は『異邦人』や『シーシュポスの神話』を書いたことで有名です。彼はこれらを通じて、どんな酷いことがあっても超越的なもの…つまりキリスト教などに頼るのではなく、人間の立場であるべきだ、と思ったのです」


三浦「超越的なものは"逃げ"と考えたんだな。どんな事があっても、その人間らしさから逃げ出してはならない…」


野獣「MURなんか深いっすね」


木村「ですからカミュは「神」も「歴史」も否定しました。そして人間として立ち留まったのです」


野獣「分かります分かります」


木村「続いてはカフカです。彼も不条理哲学の一人であり、『変身』がもっとも有名ですね。聞いたことがある人もいるのではないのでしょうか?」


野獣「知っているんだよなぁ。確か主人公が唐突に虫に変身して、そこから死ぬまで描いた小説だろ?…終始真っ暗だったぜ」


三浦「何それ読みたくないゾ…」


木村「しかし彼はこれを通じて、フロイトの心理学の世界観を述べました。彼の言ったオイディプス・コンプレックスやエロス・タナトスと言った衝動を、その不条理哲学に沿って書いたのです」


野獣「カフカは精神分析の発想を利用していたんだなぁ」


木村「次はハーバート・ジョージ・ウェルズです。彼は多くのSF小説を書いた事で知られていますね。『タイム・マシン』や『透明人間』、『トーノ・バンゲイ』あたりが有名でしょうか」


野獣「トーノ・バンゲイ…遠野!?」


木村「ちげぇよステハゲ」


三浦「タイムマシンとか透明人間とかの元ネタってウェルズなのかゾ?」


木村「そうですね」


三浦「ウェルズすっごいゾ…」


木村「そんなウェルズは『タイム・マシン』の中で諷刺を描きました。『タイム・マシン』の「80万年後の世界は、資本家と労働者が別の生き物として成長を遂げていた」と言う内容から、当時のウェルズの考え方が顕著に分かると思います」


野獣「マルクスの影響を受けたのか…」


木村「こうしてウェルズは『タイム・マシン』を通じて当時の政治を諷刺したのです」


三浦「それだけ当時の資本主義社会が酷かったのか…」


木村「今度はマルキ・ド・サドです。この人の名前はどこかで聞いた事あるのではないのでしょうか?」


野獣「サディズムの語源だろ?(細目)」


木村「正解ですよ」


野獣「ほら、やっぱり。嫌な予感しかしないんだよなぁ…」


三浦「サディズムって、確か相手を殴ったりすることで興奮する人たちゾ?」


木村「そうです。そんな言葉の語源となったサドは何かと忌避されがちですが、文学的価値は大きなものなんですよ」


野獣「そ、そうなんだな…」


木村「彼の書いた作品としては、主に『悪徳の栄え』や『ソドム百二十日』が有名ですね。内容はアレなので、読む方は注意してください」


三浦「もう注意フラグがビンビンだゾ」


木村「そんな彼は『シュルレアリスム』の源流になったと言われています。シュルレアリスムとは言い換えて『超現実主義』であり、まるで夢のなかを覗いているかのような独特さがあるんです。因みに今でも使われる"シュール"とは、シュルレアリスムが語源なんですよ」


野獣「別にシュルレアリスムを否定するわけではないが、サドを評価できないな、俺は…」


木村「鈴木先輩、何かサドに関して嫌な事でもあるんですか?」


野獣「いや、サド自身にはないぜ。でも一回、著作を読んだことはあってだな…。とてもではないけど…俺には無理。毒殺や刺殺、火山口に突き落とす、近親相姦、スカトロジー、カニバリズム……なんだコレは、と。読んだ瞬間になりましたよ、ええ」


三浦「野獣がこんな顔を真っ青にさせるほど凄かったのか…」


野獣「やはりヤバイ(再確認)」


木村「気になった人は読んでみてはいかかでしょうか(超小声)」


野獣「二度と読むもんか」


木村「最後にルキアノスについてやっていきます。ルキアノスは2世紀の小説家です。つまり昔の人ですね。そんな彼は『世界最古のSF作家』とも呼ばれます」


三浦「世界で最初にSF小説を書いた人かゾ?」


木村「ええ。そんな彼の有名な作品としては『本当の話』や『イカロメニッポス』、『神々の対話』と『にわとり』ですね」


野獣「だけど、そんなルキアノスはどんな考え方を持ったんだ?」


木村「彼の考え方は、『歴史をありのままに記述しない歴史家』や『本だけ沢山持っていても全く読まない人』と言った、今でもいるような人々を客観的に批判したのです」


三浦「今でもいるゾ。…政治家に買収されて、ありのままに報道しないマスコミ。本を沢山持っているだけで内容を全く理解していないのに、知ったかぶりをするエセ学者…」


木村「こう言った批判精神をルキアノスは鮮明に書きます。彼の批評文としては『歴史は如何に記述すべきか』と『無学なる書籍蒐集家に与える』が有名です」


野獣「こんな人が1800年前にいたという事実に驚きを隠せないわ」


三浦「そうだよ(便乗)」


木村「さて、今回はここまでにします。皆さんも興味さえあれば、その人の作品を手に取って読んでみては如何でしょうか?」


野獣「二度と『悪徳の栄え』は読まない(断固たる意思)」

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