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晴れは雨

 常時眠たい状態とは、周りから見てどうなのだろう。

 主観的には白痴という感じがする。いや、白昼夢と形容するのが正しいのかもしれない。とりあえず、全身を満たしている、だるさや疲れが少しでも緩和されたらよいのだが。

 そう思い、空気の悪い部屋の扉を開ける。暗い室内とは対照的に、屋外は部屋の全ての電灯を点した時よりも明るい。目が悪くなるのではないかと思う程に。


 思わず、ため息がでる。

「ああ、今日は雨だな」

 明るく、暖かい雨が降る。空は水が満ちているのだろう。どこまでも青く、白い陸地はどこにも見えない。

 雨は葉に遮られ、葉の下では水たまりがさざめいている。

「空から降るものは雨なのだろう。なら、これもまた雨に違いない」 

 家の前ですれ違う親子連れ。

「今日は晴れてよかったね」

 雨傘代わりの麦わら帽子を被った少女が、両親へと笑いかけている。

 どこかへ出かけるのだろう。全く、幸せそうだ。


 ふと、自分が偏屈な人間に感じてしまった。いや、これで良いのだ。素直なのは子どもに任せておけばよい。私がすべき事は、事象に対し、様々な視点から価値付けを行うことなのだから。

 しかし、小説家なんてなるものじゃない。特にあれはダメだ。ホラー小説やサスペンス小説。あんなのを書いていたら、頭がどうかしてしまう。


 この世を創り出したもの達は、我ら宇宙のちっぽけな存在に何を求めているのだろうか。何を為せと言うのだろうか。


 ああ、違う。私が考えたいのはそれではない。それではないのだ。

 苦悶。三歩、歩く。雨が体を焼く。

「太陽は嫌いだ」

 苦悶。四歩、歩く。雨の降らない部屋の中へ。

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