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Monochrome  作者: 自由帳
2章 -モノクロの虹-
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-4- ハイシャ

「あのゾンビだよ。あれは軍の仕業……今も軍はあれを増やしてるんだよ」

 

 まるで統一の取れていない、欲望のまま動く死体を、未だに軍は作り続けている……?

 いや、死体じゃないとしたらどうだろうか。

 それでも理由が分からない。現に軍も襲われているのだから、防衛に使えるわけでもないのだ。

 

「……軍の仕業っていう確証はあるの?」

「あるよ、あたしらは元々軍人だ」

「軍人? アリー、あなたも私と同じくらいの年齢に見えるけど」

「あたしらが軍にいたのはそんなに前じゃないよ、つい半年前の話」

「半年?」

 

 少なくともこの半年……いや、一年でもだ、私はその期間に軍は疎か、まともに生きている人間を目撃してすらいない。

 

「そう、半年前にあたしとテレルは軍を辞めた……いや、逃げてきた」

「俺は逃げたくなかったんだけどねぇ」

「どうして辞めたの? 少なくとも、私レベルの人間じゃ到底届かないような生活を送れてただろうけど」

「人間らしくなかったからだよ」

 

 吐き捨てるようにテレルは続けた。

 

「確かに軍の生活は楽だったよ、訓練はあれど、飯はちゃんとあるし寝床も安全、仕事は軍の作った民間人保護施設の警備くらいだったしねー」

「……随分と人間らしいじゃない」

「はっはー、そりゃそうさ、飽くまでもこれは表面上の話。現実はそう優しくねぇんだよ」

 

 苦虫を潰したような顔で、まだ言葉を続ける。


「実際俺たちがやっていたのは、人体実験だった。民間人の平和を守るためにしてきた事で、俺は何人も人を殺しちまった。もしかすると、アリーの事だって殺してたかもしれない」

「だからどういう事?」

「お嬢ちゃんの言うところの、ゾンビとやらを作ってたんだよ。民間人や部下の兵士を使ってな」

 

 サラリと発せられた事実に、私は眩暈を起こしかけてしまった。

 何故ならそれは、つまりそれはあのゾンビの正体に迫る発言であったから。

 

「あのゾンビは、軍が人為的に作り出したもの……?」

 

 女性や子供も、「感染」なんかじゃなかったのだ。

 昔見たチープな映画よりも、もっと酷い。改変だ、生きた人間をあれに変えたというのだから。

 

「〝灰者〟――そうあたし達は呼んでた、あいつらはみんな、軍が作った首輪を着けた人間だ」

「灰者……」

 

 灰に変わった者。ピッタリな名前だ。

 ヤツらは例外なく灰色の肌をしているし、役に立たない廃者。

 そして、何よりも全てに対しての敗者だ。

 

 人間性を漏れなく失いゾンビのようになっているなんて、まるでぞっとしない。

 それに、私はその首輪の存在をよく知っていた。

 

「神経連結型強化リング……」

「そう……ってよく知ってるな」

「父親が、軍に務めてたから」

 

 ……父親が、その装置の開発者の一人だから。

 

「灰者に関する詳しい説明は、拠点についてからにしようか。そろそろ到着だぜ」

 

 ――父がいつか嬉しそうに話していた。この装置が完成すれば、この世界から争いやイザコザは無くなると。

 

 その意味は、全人類をゾンビ……灰者に変えるという意味だったの?

説明回でした。

身体をズタボロにしてでも更新期間です、明日もどうぞ。

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