本当の道化師は? プロローグ的な
初投稿。どうぞよしなに。
「ーーこんなところにいたのか、猫。」
そう声をかけたのは、ハット帽子を被った一見紳士のように見える男である。温かな日差しが降り注ぎ、青々とした緑の木々が生い茂りるこの場において、その男の格好はあまりにも不自然であった。
「ーーよくもまぁ〜こんなところまでよく来たねぇ〜」
大きな欠伸をしながら木の上から現れたのは、猫の耳と尻尾を生やした人のようであった。
「それで?何の用〜?なぜわざわざ"追放者"であるこの僕に会いに来たんだい?僕のことは顔を見るのも嫌なはずでだろう?」
気だるそうな雰囲気にハット帽子の男は少し顔をしかめたが気を取り直し、猫人に言った。
「ーー私は真実を知りたい。お前は本当に"アリス"を殺したのか?」
「それはもう君たちが結論を出したでしょ〜。今更僕に聞いてどうするんだい?なんていう答えが欲しいの〜?"アリスは本当は僕は殺してません"っていってほしい?」
猫人は全てを見透かしたようにニヤリと笑いながら問い返した。それとは対照的に、男は真剣な顔をしている。
「お前がワンダーランドから通報されてからできる限りあの事件について調べた結果、疑問点が多々出てきた。私はお前が犯人ということすら怪しいと思っている。」
それを聞いた猫人は少し目を見開き、わずかに微笑んだ。が、すぐにニヤリと笑った。
「ーーさすが、"帽子屋"。あんな明らかな状況を見ておいてそんな風に考えるなんてねぇ〜。いや、だからこそ"帽子屋"なのかなぁ〜」
まぁ、なんにしろ…といって猫人は続けた。
「僕は気まぐれで気分屋だ。真実を話さないかもしれないし、真実なんてないのかもしれない。それに、真実を知りたいならそれ相応の対価が必要だよ〜」
帽子屋は人を馬鹿にしたような猫人の態度には怒りもせず、真剣な顔をしたままだった。
「お前には裏で蠢いているものの正体もその目的もわかっているのだろう。お前は"チェシャ猫"だ。全てを分かった上で、全てを抱え込んで笑っている。昔から変わらないな。」
それを聞いたチェシャ猫は、少しムッとした後すぐにニヤリと笑った。
「今日は気分がいい。ヒントをあげるねぇ〜。"嘘つきはだ〜れだ"。あと、おまけ。"2つの月がちょうど半分に欠けるとき、次のアリスがやってくる"その時は僕もワンダーランドに戻るよ。またね〜」
そう言い残し、チェシャ猫は消えていった。
「"2つの月が欠けるとき"か…あと3年後か。それまでに"嘘つき"について調べないとな……」
帽子屋もまた、真剣な表情で消えていった。
後に残されたのは、森林の静寂のみである。
「ーーにしても、帽子屋が嗅ぎつけるとはね。消されなきゃいいけど。」
チェシャ猫は先ほどまでの人を馬鹿にしたような態度は一切なく、真剣な顔をしていた。
(ーーアリス、今度こそ君を守ってみせる。もうあんなことにはさせない)
"嘘つきはだーれだ?"
読むのは簡単。書くのは難しい。何言ってんだこれ……。続きはかけたらいいなぁ