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知らない少女から告白された

作者: 東井なつき

「私と付き合ってください」


 彼女いない歴=年齢の男子高校生としては、この上なく嬉しい言葉だった。

 しかし、ここで俺はある疑問を抱く。

 どうして俺なんかに告白を? 

 ……とかではなく、頬を赤く染め、勇気を振り絞った感じで俺を見つめてくる少女。


 え、誰? この美少女。


 流れるような黒髪。アイドル顔負けの整った容貌。

 こんな可愛い娘、一度会えば忘れるはずがない。

 つまり、俺の知らない娘。

 ウチの学校の制服を着ているので、同校の生徒であるのは間違いないだろうが……なにぶん、生徒数の多い学校だ。全く顔を知らない人がいても不思議ではない。


 知らない相手に告白される。

 俺が知らないだけという可能性もあるが、そんな相手を好きになるとは考えにくい。

 唯一可能性があるとすれば、一目惚れ?

 いやいや、俺は女子が一目見ただけで好きになっちゃうようなイケメンではない。

 とはいえ、別に不細工ではない……と思うので、可能性がゼロではない気もするが……いや、ないな。


 となると、アレか!

『恋人になってください』という意味の言葉ではなく、『買い物に付き合ってください』的な意味か。

 たとえば、彼女は俺の知り合いの誰かのことが好きで、もうすぐそいつの誕生日だから、そいつの好きそうなモノを一緒に選んでほしい、みたいな。


 そう、そうだよ。きっとそうだ。

 ふぅー、危うく、超恥ずかしい勘違いをしてしまうところだったぜ。


「分かった。付き合うよ」

「ほ、本当?」

「ああ。買い物に付き合うくらい、お安い御用さ」


 ……数秒後、俺の右の頬に少女の平手打ちが炸裂した。


「……へ?」

「ば、バカ!!」


 目に涙を浮かべそう怒鳴った美少女は、ポケットからメガネケースを取り出し、中に入ってたメガネを装着。


「い、委員長!?」

「この朴念仁! 状況を考えなさいよ!」


 そんな捨て台詞を残し、俺のクラスメイト……というか、ウチのクラス委員長は走り去る。


 いや、ちょっと待って!

 いつも三つ編みだったよね! 常にそのダサいメガネ装着してたよね!

 なんで、このタイミング髪型変えて、メガネ外してた!

 いや、そういう乙女心は分かるけどさ。

 告白の相手である俺が、委員長だって分からないほど劇的に変わってたんだよ。


 あー、言い訳してる場合じゃない!

 待てよ、委員長。

 今すぐ、そのダサいメガネ外してやるからな。


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