俺の唯一の武器
戦闘です。どこかでも言ったきがするんですが、俺は戦闘シーンを書くのが苦手です。耐えてね(๑≧౪≦)てへぺろ
「準備はいい?」
「おう!」「おー」「かかってこい」「いいですよ」
一斉に返事をした。俺と冬華以外、みんな殺気立っている。
「それじゃあ――――始めっ!」
審判の女性の声と共に、敵の女が咆哮。獣のように飛びかかってきた。ちなみに審判の女性は、最初のピンク色の空間が嫌いな人だ。
「っと、余計なこと考えてる場合じゃなかったっと」
飛びかかってきた女を軽々と躱す。
短い舌打ちを漏らし、方向転換してさらに飛びかかってくる。
「無駄が多いな。身体強化が得意なようだけど、魔力移動がバレバレですよ?」
「う、うるせぇぇえ!」
「そんなに大振りな攻撃じゃ当たらないよっ!」
飛びかかりを躱し、首筋に手刀を入れる。
「きゃぶっ!」
変な悲鳴を漏らし地面に墜落していく。だが、すんでのところで四つん這いになって耐えた。
「へへ……なめんなよガキ」
お? 子猫からランクアップした。
「しょーがないなー。俺も強化してやってやるからな? 俺のスピードに付いて来られなかったら負けでいいな?」
「いやだ」
「あのね、もう、殺したりしたくないんだよね俺」
「いやだ」
子供かっ!
「とりあえず、立って。ほら仕切り直し仕切り直し」
「おう。わかった」
黙って元の位置に戻って構えるあたり、ちゃっかりしてるなぁと思う。
「おっしゃ! 行くぞ!」
片腕をブンブン振り回しながらこっちに歩いてきている様子を見ていると言ってやりたくなった。
「だから――」
刹那、優耶は女の後ろに回り込んだ。油断していた彼女の目では捉えられない程のスピードで。
「隙が多いんですよ」
「へっ!?………………参った」
後ろから声をかけると彼女は素直に認めた。
正直言って下っ端の下っ端の下っ端のくらいだろうか? あんまり手応えはなかった。唯一の武器も使ってこなかったし。
それより、冬華の方はどうなっ…………!
考えながら振り返ってみるとわけのわからない光景が目の前に広がっていた。
「ほらほら! とってきなさーいっ」
冬華は手に持っていた聖剣を遠くに放り投げた。
「わんっ!」
そしてわけのわからないのがもう一人。
さっきの『わんっ!』は冬華と戦っていた男だ。四つん這いになり、俺のやった女よりも、獣らしくなっていた。
「てか聖剣投げんなッッッ!」
俺の叫びと共に放った魔弾が、聖剣に当たり軌道がずれた。
犬はそれを見ると「きゃうんっ!」と鳴き、走っていった。
「……あれ? 私何してた?」
「犬と遊んでた。聖剣投げて」
「うそっ!?」
冬華はその時の記憶がなかったかのような態度をとった。
「え、覚えてないの? ネタかなんかじゃないのかよ」
「うそ! 絶対嘘だっ!」
鋭い眼力に萎縮してしまった。
「その点については僕が答えるよ~」
キャンキャンと吠えて聖剣を追っていた男が帰ってきた。
「僕ね~洗脳系魔法が得意なんだよ~。その代わりにね~僕も洗脳されちゃうんだけどね~」
それがさっきのご主人様と犬か。全く使い物にならねぇ!
「で、お前はまんまと洗脳されたと」
「うぅぅぅ……っ! 仕方ないじゃない! 能力がわからなかったんだから!」
まぁ、何かされたから、かかったんだろうけど。
「冬華は聖剣とってこいよ。お前の唯一の武器だろ?」
と、優耶が言うと、冬華は赤い顔をして
「わ、わかってるわよ!」
と駆け足で出口に向かっていった。聖剣がない出口に……。
「ホントに覚えてないんだな。それより……?」
男に向き直ると、男はアホのように踊っていた。
「何やってんだこいつ?」
怪しく思い、一応距離を取る。
それが一分ほど続くと、ガクッと急に踊りが終わった。
「さぁ、始めましょうか。自分の体を洗脳して、限界以上の力が出せるようになった僕と」
さっきの怠け口調がなくなり異様な雰囲気が漂ってきた。
な、なんなんだこいつのオーラ量、さっきと比べ物にならない!だけど……。
「いきますよっ!はぁぁぁああ――せりゃぁッッ!」
勢いをつけて、右足の蹴りを繰り出してきた。
早い、早いけど、――まだまだだな!
「だすか……」
左腕を上げて男の蹴りを止めながら、そんなセリフを吐く優耶に腹が立ったのか、男は先ほどの温厚そうな顔を連想させない形相で攻撃を続けてくる。
それを全て躱しながら、魔法陣を出す。
「何をする気なんですかっ!」
「それは見てのお楽しみっ!」
今度の蹴りを左手一本で弾き飛ばすと、優耶は魔法陣の中に突っ込まれ、そこから出てきたのは……
「魔力剣……これが俺の唯一の武器。お前も出せよ。ちなみにこれを出したのはお前を強者として認めたわけじゃねぇ。読者サービスだ!」
刀身がない刀だった。
「ほぉ……素晴らしい!刃がないのは何かの仕掛けでしょうか? 僕たちが教えるまでもありませんね。……こちらも、行きますか! はぁぁぁあっ!」
男は気合を入れて魔法陣を出した。
「それ出すので限界でしょ?」
「なんでですか?」
「なんとなくわかるんですよ。 その前に俺の剣の効果を読者の皆様にお披露目したいんですけど」
「勝手にすればいいでしょう?」
「では遠慮なく――おりゃぁぁっ!」
優耶は自分の魔力を剣に流し込む。すると青色の刀の刃の形をした魔力が刀身に生えた。
「――っ! なるほど! 魔力を刃に変える能力ですか!」
ちがう。一部合っているがコイツの力はそんなものじゃない!
至近距離に迫った剣を避けることができない男は、その場で動くのをやめた。
当然、刃は男に当たるが、優耶は腕を浅く切っただけだった。
「痛っ! なぜ、体ごと切らなかったのですか?」
「は? 状況わかってんのか? お前の魔力はもう残ってないよ」
「え!? そんな……はぁぁぁあ! …………出ない。何故ですか……僕の魔力が切れたのは何故ですか?」
「…………この剣だよ」
「でもそれはっ! ……それは魔力を刃に変える能力ではないのですか」
「コイツはな、力すべてを変えることができる。聖剣の聖の力も、魔剣の魔の力も、もちろん魔力もだ。そしてもう一つ。コイツは相手の力をぶんどることができる」
「それじゃあ……」
「そうだ、喰ったのはこいつだ。そして俺に渡してくれるんだよ、いろんな力」
「はぁ、君は王様とかから転生でもしてきたのかな?」
「あ、元魔王ッス」
「あ、魔王なのね……あひょっ!? 魔王!?」
「あ、でさっき、あんたが戦ってたのが、俺を殺した勇者ね」
「えぇぇぇぇぇッッッ!! パタ」
気絶する前に青ざめた顔がとても面白かったです。
どうだったでしょうか?
感想お待ちしています。もらったことないんですけどね(笑)