転生の魔王
すっ飛ばして書いてるところがありますが、目をつぶっていただけると幸いです。
――あぁぁぁ……なんか、転生してる気がする。
――こういうことを考えられる時点で転生してるんだろうな~。
やっぱり、こういう運命なのかなっと、自分でも思ってしまう。だって、何百万分の一の確率でしか転生できねぇって言われてるのに、二回も転生しちゃってるからな。
そんなことを考えながら、元魔王サタン、もしくは、勇者アイン(自称)または、勇者サタン(自称)は、今回も初めに目を開けた。
「? ばうばう(なんだあれ)?」
あ、そうだった。赤ちゃん言葉しか喋れなかった。
「あら、優耶。起きたのね」
なんか、すげーデジャヴ感が……。俺は優耶って言うのか。そうかそうか。それより、あれはなんなんだ? 太陽やランプや火、ましてや魔法やそういう類の物でもないのに光っている、あれはなんなんだ。
「なに優耶? 電球に興味があるの?」
電球……知らない言葉だな。どうやら、別の世界のようだな。
や~。めんどくさいな。どうやら魔力も残っちまっているようだし。ていうか、毎回出産時の記憶がない。なんでだ?
「もう少し、おネンネしてなさい」
そういうと、母親(多分)は、台所の方に消えていった。
お言葉に甘えよう。幼児の頃は、なぜかすごく眠い。それも、既に経験済みだ。なんたって、俺は魔王で
勇者だったのだからな――。あれ? 今の魔王とか勇者、関係なくね?
そんなどうでもいいことを考えながら、転生した魔王――柊優耶の意識は落ちていった。
それからの日々はあっという間で、今はもう受験生の中学三年生。
いや~、あるよね。子供の頃って、時間の進む速度が尋常じゃないもんね。時は金なりとはよく言ったものだよ。
「あと三日後には公立高校の受験ですよ? 家に帰ってしっかり勉強してくださいね?」
担任のおばちゃん先生が言うと、教室は「えぇーー」という声でいっぱいになった。
実のところ、俺はもう行く高校が決まっていた。
『私立甘崎学園』。この日本でトップクラスの会社のさらに抜き出た甘崎グループが運営している学園だ。
その学園から、直々に推薦状が来たのだ。
『私の学園に来ませんか? あなたは、適合者です。by甘崎グループ社長 甘崎留那』
と女子高生的な手紙(特に『by』のところ)と、案内状が送られてきた。
不思議な内容だったが、学力の普通な俺は、確実に高校に行きたかったから甘崎学園に行くことにした。
何に適合しているのかはよくわからないが、とりあえず、入学金なども、安く入れるようなので、俺にとっては、一石二鳥だ。
「なぁ~。お前どこ行くんだっけ?」
隣の席の友人、奏月葉が話しかけてきた。
「俺は、甘崎学園の推薦あるから、そこ行く」
「え!? お前、甘崎行くのか?」
葉は驚いた様子で、声を大きくした。
「甘崎ってとこ知ってんの?」
実は、俺が行く高校について全く知らない。行ってから考えようと思っていたからだ。
「……知らないのか? 甘崎のこと……」
真剣な表情をして聞いてくる友人を見てゴクリと唾を飲んだ。
「あの学校は、甘崎っていうグループ経営していてだな」
「それは知ってる」
「まぁ、聞け。その学園には普通の生徒は入れない」
「なんでだ? その学校は生徒を入れないのか?」
生徒がいなけりゃ金が入ってこないから、その学校は潰れるだろう。
「普通の生徒っつたろ? 普通はできないが、特殊な力を持っているものだけは受験が許されている。国公認の学校なんだよ」
特殊な力? 魔法か……。え!? ここって魔法が公認されてんのか!? あ、もしかして適合者ってそういうこと?
「おい、葉は魔法とか信じるか?」
おそるおそる聞いてみると、葉はキョトンとした顔をして笑い出した。
「はぁはぁはぁ……当たり前だろ。俺だってそこ受けるんだから」
「はぁぁぁああ? お前もそこ行こうとしてんのかよ!」
じゃなくて、魔法を信じてる? 人間の体にも魔法があるのは知っていたが
「まさか、隣の席の奴が使えるとはな」
「は? 俺は使えないよ、まだな」
そのまま葉は続けた。
人間はその体の中に十人に一人の確率で魔力を宿すと言われていて、その中で、魔法として使えるのは二人に一人だと言っていた。
「だいたいわかったよ。ありがと、葉」
「まぁ、それはいいんだけどよ。お前推薦もらったんだろ?」
「おう、もらったぞ」
カバンに入っている案内状を見せた。
「うぉ! すげ~迫力あるな」
「そうか? 俺にはそんな風には見えないけどな」
ただの紙切れにしか見えないからな~。
「じゃなくて! 推薦やるほど来てほしいってことだろ? お前、実力隠してたのか?」
「ま、隠してたわけじゃねぇんだけどな」
「魔力あるやつってさ、普通より身体能力が少しだけいいんだわ。だが魔力を外に出せるやつは、その魔力に応じた力が出せる。だけど、優耶ってさ、普通よりちょっといいだけだよな? 俺には、そんなヤツに推薦来るわけないと思ったんだが……魔法使えるのか?」
「そりゃな」
魔法使えない魔王なんているわけないしな。
「俺に見せてくれよ。なんでもいいからさ」
「ま、いいけど、規模の小さいやつな?」
「おうおう。それでいい!」
葉は好きなことになると一直線なのかな?
などと考えながら、指先にライター程度の火をつけた。
「え? ちっちゃ! でも、どういう原理だ?」
熱心に俺の指先から出ている小さな火を見つめている葉を軽く脅かしてやる。
(火力を少し上げてっと、ポンっ!)
優耶が、火力を上げると、当然、指先の火も炎に変わった。
「おわっと! おい、髪の毛燃えるだろ!? てか、驚かすなよ、顔面熱かったわ!」
「ナイスツッコミ!」
「ナイスツッコミじゃねぇよ!」
「さてと、葉イジリもすんだし、帰るかな」
「お前、本人前にしていうか?」
「影で言われたい?」
「いや、本気で勘弁してください! ごめんなさい!」
誤字脱字あったら教えていただけると幸いです。
感想お待ちしています。