表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

名は体を表す~緊急事態

「起きて、起きて、ちょっと」

目が覚めると、目の前は活字の嵐、顔をずらすとパサッと小説の本が落ちた。

『今世紀に俺ができること』と、表紙のカバーに書いてある。ああ、そうだ、寝

る前にこの本を読んでいたんだ。

ちょっと、記憶を戻してみよう。


カランカラン、と鐘の音が鳴る。

「一等しょ~!」

そうだ、確か商店街の福引きで、一等をもらって……。

「おめでとうございます」

「ちょっと、あんた!」

「はい?」

一等は、スイスへの旅行と前のテーブルにそう書いてある。そこに不満はない、

ないのだが。

「一人旅ってどーゆうことよ~!」

一等を祝福してくれた福引きの男性スタッフに向かって、首ねっこを両手で掴み

、揺さぶること、八秒、他のスタッフも総動員して、おさえられたが、そのスタ

ッフは、

「わ、わ、わかりました。では、スイスへペア旅行~!」

と高らかに言い、再び鐘を鳴らすのだった。やはり、プロはこうでなくちゃ。

と、いうことで、近くに住んでいる気の合う隣人、白銀蘭子(30)とスイスへ飛行

機で旅だったはず……。

ということは今は飛行機の中か……。ようやく思い出した。乗っている時間が多

いので、自前の小説を読んで時を過ごしていたが、いつの間にか眠っていたらし

い。まだ、眠い。横を見て、蘭子が何か言っているが、大したことではないだろ

う、と再び眠りにつこうとした、その時。

「太ってるよ!」

と、隣から私の全細胞を刺激する一言が聞こえてきた。一気に目が覚めた!

「あ~ん~た~ねぇ!」

「まあまあ、いいじゃない。実際太ってるんだし」

「それはそうだけど、言っていいことと悪いことがあるでしょ」

「名は体を表す」

彼女は、プッ、ククッ、と笑いだした。

「焼き殺して欲しいのかしら?」

そう、私の名は、太手 瑠代(ふとでるよ)決して、太ってるよ、ではない。そして

、白銀蘭子を焼き殺そうと思ったのも今回に始まったことではない。

いらついた私のストレスの矛先は、ちょうど通りかかった、スチュワーデスに向

いた。

「ちょっと、お茶!」

スチュワーデスはかしこまりました、とそそくさと去っていく。

「で、何の用なのよ?」

「いや、雲の上の夜景って綺麗だな~って」

やはり、大したことではなかった。そもそも、暗くて景色などあまり見えない。

「あんた、子供か」

「フフッ、いいじゃない。私は大事だと思うよ、そーゆーの」

子供っぽい隣人をほっといて、私は再び、小説に没頭した。

何時間たったろうか、いきなり、飛行機がガタン、と揺れ、トイレ近くから、ス

チュワーデスの、

「機長~、副機長~!」

と、いう声が聞こえた。

蘭子は、関わるのはよしなさいよ、と言ったが、私は男子トイレの外にいるスチ

ュワーデスに話かけた。

「ちょっと、どうしたの?」

スチュワーデスはおろおろしながらも、何でもないです、と言う。私はスチュワ

ーデスに小さな声で、

「機長や副機長がどうかしたの?」

と訊いた。

スチュワーデスは話している暇はないんです。と言ったが、私が、

「みんなにばらすわよ。機長や副機長があ~ってね」

と言うと、スチュワーデスはハァ、とため息をつくと、実は、と話し始めた。

「え~!機長も副機長もいない!?」

スチュワーデスはしー、しー、と人差し指をたてながら言うと、

「ですから、出来れば、事情を知ったあなた方にも捜すのを手伝って欲しいので

す」

「ちょっと、待って、今、操縦は?」

「自動操縦にしてあります」

今度は私がため息をはいた。

「わかったわ。私と蘭子は客席を捜すから」

私も? 蘭子は言っていたが、事情が事情なのだ。蘭子を諭すと早速客席を捜す

ことにした。



え~、友達に、今度おばちゃんを主人公にしてみてよ!

と言われ、……筆者、やってしまいました。


いしの力のスピンオフ的な作品になるのでしょうか?

え~、読者がいるのかわかりませんが、

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ