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帝国のつくり方  作者: ムックk
開拓編
35/38

35話   宇宙艦隊創設

 あの会議の翌日、新たな体制となったこの村は本格的に動き出した。

 そんな中、軍事部門に配属となった俺達は、宙賊と戦うために軍事の勉強を開始した。

 しかし、これを読んで、「パウルが部下になったのなら、戦わなくていいんじゃないのか?」そう思うかもしれないだろう。

 だが、パウルが仲間になろうが俺達は宙賊と戦わなければいけなかった。

 なぜなら、まともな資源が原油ぐらいしかない当時の俺達の村にとって、他の資源を手に入れることは最重要目標だったからだ。

 なのでこのまま宙賊を放置しておくと、他の惑星で資源を手に入れたとしても輸送する過程で輸送艦が狩られるだろう、

 そう判断したので、俺達は宙賊と戦わざるをえなかったのだ。

 しかし、俺達はこの宇宙での戦い方の勉強を開始してから初日でつまずいていた。


 「なあワーグナー、ここわかるか?」


 「そんなところわかりませんよ................... なにせ、地上と宇宙だと戦い方がまるで違うんですから.......」


 おそらくこの村の中でサンドアントと一番戦ってきて、戦い慣れているであろうワーグナーでさえこのざまだ。

 そりゃそうだ、ワーグナーが言った通り、地上と宇宙では戦い方が全く違う、なにせ宇宙の戦いは三次元での戦闘だ。

 地上でしか戦ったことがない俺達が、この宇宙での戦い方を学ぶなんてかなり大変だ。

 しかも、専門家がいるのではなく、たった一冊の軍事書を頼りに学ぼうとしている。

 こんなんで本当に宙賊に勝てるのだろうか..............

 このときの俺達は、おそらく誰しもがそう思っていただろう。

 しかし、そんな俺達の漠然とした不安を取り除く出来事があった。

 パウルが、「軍艦を買ってくる」と言って、村を出てから一ヶ月、パウルが帰って来たのだ。




 「パ、パウル! お前、これいくらかかったんだ!???????????」


 俺はパウルが買ってきた軍艦のサイズを見て、度肝を抜かれてしまい、気づいたらそう口に出していた。

 いや、おそらく度肝を抜かれたのは俺だけではない。

 あの時、パウルの買ってきた軍艦を見た者は、俺と同じように度肝を抜かれてしまっていただろう。

 それはどうしてか? パウルの買ってきた軍艦は、俺達の予想を遥かに上回るサイズをしていたのだ。

 俺達は「デカくても、パウルの持っている三百メートルの宇宙船には及ばないだろう」と、思っていた。

 しかし、実際にパウルが買ってきたものは、それをゆうに超える八百メートルクラスの大型艦艇だった。

 なので、俺達はそれを見て、皆呆然としてしまったのだ。

 しかも、それだけではない。

 その軍艦を俺達に見せた後に、パウルが俺の先程の質問に対して答えた内容がさらに衝撃的だったのだ。


 「そんなに驚いて、「いくらかかったんだ!?」なんて言う必要ないですよ! こんなの白金貨五枚で余裕で収まりました!」


 そう言うとパウルは、商人が良いものを仕入れて喜ぶような笑顔を浮かべた。

 しかし、その笑顔をよそに、俺達はさらなる衝撃的な回答に、さらに言葉を失って呆然とすることしか出来なかったのである。




 しかし、その日を機に、俺達の勉強をするモチベが上がったのは間違いない。

 なにしろ、後にパウルから説明された軍艦の性能は、俺達のモチベを十分に高揚させるほどの性能を誇っていたからである。

 では、前置きはこのくらいにして、気になるであろう軍艦の性能を説明していこう。

 まずは、見た目から。

 この前文を読んだものは、「性能を説明するんじゃないのかよ!?」、そう思うだろう。

 しかし、ただ淡々と軍艦の性能を説明する文章を読ませるのは、なんか申し訳ない。

 物語を書くという試みをするうえで、読んだものを楽しませるというのは、本を読ませるうえでの最低限の礼儀だろう、俺は少なくともそう思う。

 なので、ただの軍艦の性能の説明を、見た目を解説したうえで楽しめるようにしよう。

 では、改めて見た目から。


 パウルが買ってきた軍艦は、艦種を問わず、まんまシャープペンシルのような形だ。

 「まんまシャープペンシルのような形」と、言われても分かりづらいと思うので、もう少し具体的に説明しよう。

 具体的な形は、シャーペンのクリップを後ろとして、それを下向きにした形状だ。

 これを最初から読んでいたらわかると思うが、この軍艦達はトラキア王国で見た洋上艦のような見た目の軍艦と、全く違う形状をしていたのだ。

 期待外れだったかもしれない、しかし、いまの俺からしてはこっちのほうが、かっこ悪くても合理的な設計だと思えるのだ。

 これは、数々の経験を積んだからこそわかるものなのだが、宇宙船の形は洋上艦みたいにするよりも、筒状にしたほうが良いのだ。

 まあ、そのことはいずれこの物語を読んでいくうちにわかるだろう。

 

 

 今回は、当時の俺達の主力艦となった軽巡洋艦の性能を詳しく見ていこう。

 武装は、艦首に固定型のレールガンが二門、旋回型のレーザーを打ち出す、連装無砲身砲が艦の上部と下部にそれぞれ二基ずつ、両舷に魚雷発射管が二門、艦の上部に垂直発射型のミサイル発射管が九基搭載されている。

 まあ、SFに出てきそうな武装が大量に詰め込まれた感じだ。

 

 次に解説するのは艦の心臓となる機関だ。

 これは、シャーペンの消しゴムのついている部分に搭載されている。

 この艦に搭載されているのは、恒星炉ステラ・リアクターという機関だ。

 まあ、この世界の宇宙船の殆どに搭載されている、標準的なものだ。

 恒星炉は簡単に言ってしまえば、人工的に恒星の燃える核だけを再現したエネルギー源だ。

 イメージすると、小さな太陽が燃えているイメージである。

 正直俺は、この仕組みをロンメルから教えられたときはかなり驚いた。

 人工的に恒星を再現するなんて凄すぎる、前の世界の技術力と比較したら半端ない代物だ。

 しかし、この世界では、このレベルの技術が普通なのだ。


 次に艦橋、これはシャーペンのクリップの場所にあたる

 この艦橋は、俺が今まで見てきた宇宙船の艦橋とはぜんぜん違う構造だった。

 大量に搭載されているモニター、まさしく軍艦としてふさわしい艦橋だ。

 それに、この艦の艦橋は電子戦能力がとても高い。

 かなり離れた距離でも普通に通信することができるし、こちらから電波妨害をすることもできる、本当に素晴らしい艦橋だ。


 まあ、これがこの艦のだいたいの性能の解説だ。

 本当にこの艦は、優秀な設計をしていた。

 あまりにも優秀な設計をだったので、この国の軍艦は以降、この軽巡洋艦の設計を元にして作られていくのだ。




 さて、そんな素晴らしい物を手に入れて俺達がじっとしていたわけがない。

 もちろん、その日から有り余る原油を燃料に変換して軍艦を動かしまくった。

 しかも、その過程で戦術などを学ぶことができて、まさに一石二鳥だった。

 また、それと同時並行で、艦隊の編成なども進められていった。

 このときの俺達はなんというか、宙賊を倒すためではなく、子供が工作をするような純粋な気持ちで宇宙艦隊を作るのを楽しんでいたと思う。

 そして一月ほどの時間がすぎると、俺達の宇宙艦隊は戦えるようなぐらいまでになり、組織としても軍隊というものになっていた。

 このときに、この国の宇宙艦隊は創設されたと言っても過言ではないだろう。




 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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