34話 星は色を手に入れる
会議室に主要なメンバーを集めた俺は、会議室にいるみんなに向けてこう言った。
「まずはみんな、ご苦労だった! そして、我が村に加わると判断してくれた村長方、心より歓迎します!」
このときの俺の、精一杯の村のトップとして考えた会議の始め方だ。
そんなこんなで始まった会議だが、この会議は今思い返すと、この国が大きく動き出した重要な会議だった。
流石に長くなるので、要約して決まった内容を話そう。
まず決まったのが、新たな班の設立だ。
ちなみにこの会議では、村の人数がかなり増えて、班と呼べるほどのサイズではなくなってきてしまったので、班から部門に名称を変えることにした。
なので、これからは班から部門に変えて書いていこう。
まずは、新たに設立された部門から。
今回の会議で新たに設立された部門は三つ、工業部門、科学部門、そして軍事部門だ。
一つ一つ、内訳を解説しよう。
まず、工業部門はロンメルの下につけた五十人がロンメルの指示のもとに活動する。
やってもらうことは、農業に必要な道具などの作成と、トラキア王国の近代的な工業の勉強だ。
「近代的なものは作らないのかよ?」そう思うだろう。
しかし、今の俺達にはそれを作る資源も工場も知識もないのだ。
なので、資源の調達はパウルが買ってくる輸送艦を利用して、他の星から持ってくる予定だ。
そして、俺達の宇宙船が手に入るまでに勉強をしてもらって、その知識と資源を元に工場を建てて、今の俺達の発展に必要なロボットを生産しようという考えだ。
次に科学部門、これは知識を持たない俺達にはどうすることも出来ない。
なので、ロンメルが持ってきたロボット二十体が研究をしてくれる。
また、村人たちに技術の習得をしてほしいので、特に頭が良かった十人を科学部門のもとで学ばさせるつもりだ。
ちなみに、「ロボットの燃料はどうするんだ?」と思うだろうが、そこは大丈夫なのだ。
なぜなら、この星には俺達の持て余していた原油が腐るほどある。
なので、それをロンメルの持ってきた電力生産機を用いて電力に加工して使うことによって、ロボットの燃料には困ることがないのだ。
次に軍事部門、こちらは考えるのにかなり時間がかかった。
なにせ、まともにわかるやつが、この村にはだれもいないのだから。
まず決まったのは、人材の面だ。
流石に、俺達四人では指揮官を務めるのには少なすぎる。
なので、新たにそれなりの才能があると判断された十人を軍事部門に入れて、学ばさせることにした。
しかし、俺達にはこの宇宙の戦い方などを教えてくれる者はいない。
なので、ガスターがトラキア王国で買ってきた、古めの戦術書を頼りにして、この宇宙での戦い方を研究していく予定だ。
まあ、そんなんでは宙賊とまともに戦えるかはわからないのだが..........................
また、流石にリアルヌとワーグナーが食料部門のそれぞれの部門のリーダーを担当しながらだとかなり大変だと思うので、リーダはそれぞれ副リーダーに譲ってもらうことにした。
農業はコンラートが、狩りは新たにリーダーに、ワーグナーとは違ってしっかりしているヨルクを任命した。
次に決まったのは、パウルがどんだけ宇宙艦隊創設のための軍艦をどれだけ買って来るかということだ。
この話しは、パウルがトラキア王国で大量に売ったサンドアントの利益である白金貨五枚を使って大量に軍艦を買ってくることが決まった。
ちなみに、サンドアントの身はトラキア王国の王侯貴族にかなりの人気を持っていたらしく、かなりの高値で売れたのだ。
そんなわけで、その金を使って購入すると決まった内訳がこれだ。
軽巡洋艦六隻 駆逐艦八隻 哨戒艦二隻 輸送艦六隻
今考えてみれば、かなりのすごい戦力だ。
しかし当時の俺は、ミリタリーとかに全くの興味を持っていなかったのでノリで購入すると決めてしまった。
ちなみに、「宇宙船を運用するロボットはどうするんだ?」、そう思うと思うが、その面は、軍艦を買うとついてくるので大丈夫とのことだった。
また、今度のパウルが宇宙船を買いに行くときに、他の国の政治体制や文化を学ばさせるために、政治が得意と出てきた六人を送り込むこととした。
他の国にもパウルの商館はあるらしいので、滞在はもちろんOKということなので、安心して送り込むことができそうだ。
そして、送り込んだ六人の送ってくる情報をもとにして、カリウスやワーグナー、各村の村長を中心に、この村の政治体制を研究してもらう予定だ。
もちろん、いまだしたメンバーには引き続き、他の村の併合という仕事も、そのままやってもらう。
まあこれが、この会議で決まったことだ。
そんな大会議を終えた三日後、俺は溜まっていた環境班の仕事を片付けるために、ガスターとともに空を飛んでいた。
実は、このときの俺とガスターは、この星全体に、草原に覆われた陸地と海を作ろうとしていたのだ。
なんともバカバカしいことだろう。
それは、ガスターの提案から始まったことだった。
「魔力が溜まりに溜まりきっているから、この星全体の環境を作り変えちまおうぜ!」
ガスターは、満面の笑みでそう言った。
これを言われたときは、流石に星の地形の全容もわからないんだし無理だと言った。
しかし、なんともすごいことに、ワルター村のヴァルター村長がこの星全体の地形を写した地図を持っていたのだ。
なぜそんなものを持っているのか、かなり驚かされたが、どうやらこの星に移住する前に、その国の王から渡されたものらしい。
そうとなれば、話はかなり変わってくる。
そんなこんなで、この星全体の環境を変えることが決まってしまったのだ。
「どうだグレース、準備はできたか?」
「ああ、いつでも行けるぞ!」
とは言ったものの、このときにやったのは、今までに自分が経験したことのないサイズのものだ。
はっきり言って、成功するかわからない。
このときは、今までにやったことのないものを試すドキドキと、失敗するかもしれないということしか考えてなかった。
「じゃあ行くぞ!」
そう言うと、ガスターは溜まっていたありったけの魔力を俺の体に流し込んだ。
俺は事前に頭の中で考えていた惑星の環境操作後の陸地や海の配置をイメージする。
そして、完全に頭の中で環境操作後の惑星の様子が定まったとき、俺は環境操作魔法が発動するように、心のなかで強く念じた。
その瞬間、俺の体の中から一気に魔力が抜けていくような感覚とともに、上空にいる俺の目から見える範囲全てが、緑色の炎に覆われた。
そして、一瞬にして砂漠の色の地表に緑や青の鮮やかさが一面に広がった。
つまり、成功したということだ。
ちなみに、「星全体の環境を変えたら生態系に悪影響を及ぼすのではないか?」そう思うかもしれないが、今回併合したとトト村の持っている、この星の生物の研究資料を見た結果、基本水があればどこでも生きていけるので、大丈夫だと判断した。
また、まだ併合していない村にも伝えはしているので、これを機会に俺達の村に加わってくれたら一石二鳥だ。
まあ、とりあえずこの星全体は、豊富な緑と海を手に入れたのだ。




