29話 故郷へ
宇宙船に乗り込んだ俺は、気持ちが高揚していた。
久々に宇宙船に乗って宇宙に乗って行くのに、何故か不思議と恐怖はなく高揚している。
二回目だからなのだろうか?、それかパウルなら安全運転でやってくれるという謎の信頼からなのか?
そんなことを思っていると、パウルが大声で言った。
「準備OKですか?」
俺は大丈夫なので、「OK!」と即答する。
だが、問題はリアルヌだ。
ガスターは早くいけと言わんばかりにめちゃくちゃ浮かれているが、リアルヌはめちゃくちゃビビってしまっている。
そりゃそうだ、リアルヌはおそらく初めて宇宙船に乗るのだろう。
俺だって三週間ほど前だが、カリウスとあの惑星を脱出するときはとても怖かった。
だからこそ、リアルヌに言えることがある。
「リアルヌ、心配するな!
誰だって最初は怖いんだから頑張ろうぜ!、それにパウルが操縦するんだ、気楽にして大丈夫だろ!」
そう言うと、リアルヌは少し不安げな顔で言った。
「わかりました.............. パウル殿、頼みますよ」
すると、パウルは自信満々に言った。
「任せといてください!」
少しは、落ち着いてくれたようだ。
「では、行きますよ!」
パウルはリアルヌが落ち着いたのを確認すると、そう言いながら制御盤を操作しだした。
しかし、この宇宙船の艦橋はすごいものだ。
俺達の乗ってきた宇宙船よりはるかに機械が少ない。
まあ、それは俺達の乗ってきた宇宙船が、最低でも九十年は前のものだからってのもある。
だが、真にすごいものは艦橋に人形のロボットが三体いて操縦を手伝っているということにある。
まさに、SFの世界って感じだ。
そして、そんなことを考えているうちにも俺達の乗る宇宙船は空へと上がっていった。
その後、俺達の乗る宇宙船は何事もなく大気圏を突破した。
さすがはパウルの宇宙船だ、俺達の乗ってきたオンボロの宇宙船とは格が違う。
そんなことを思っている間にも、俺達の乗る宇宙船はすごい速さで宇宙を進んでいった。
そして三日ほどの日がたったころ、俺達の乗るパウルの宇宙船は、トラキア王国の宇宙港の上空に到達していた。
ちなみに、「他の星系に行くのに三日しかかからないのか?」と思うだろう。
だが、この世界は異世界だ。
この世界の宇宙には、昔の古代文明が残したワープホールというものがある。
それに入ることによって、宇宙船はワープをして時間を大幅に短縮することができるのだ。
そんなこんなで、今に至るというわけだ。
しかし、宇宙港の上空はとても平和そうな雰囲気ではない。
なぜなら、宇宙港の上空にはトラキア王国軍のものであろう軍艦らしきものが何隻も飛行していた。
見た感じ、大量の砲塔がついていたので、この国の軍艦は俺が住んでいたSFのアニメとかにある洋上艦を元にした形だと、この世界の兵器とかを全く知らない俺でもすぐにでも軍艦と認識できた。
だが、そんなことはわかってもトラキアの軍艦にはとにかく驚かさせられる。
なにしろ、サイズがでかいのだ。
艦の全体の姿を見るに、おそらく千メートルは超えているだろう。
そのあまりの大きさに驚かされた俺は、思わずパウルに聞いた。
「随分とでっかい艦だな、この国は大国なのか?」
俺からしたら、こんなでかい艦を建造して、それを維持して運用しているこの国はとてつもない大国だと思っていた。
だが、パウルが言ったことはあまりにも驚かされるものだった。
「こんな艦はどこの国でも持ってますよ! それに、こんな国は小国ですね!」
「は?」
俺はあまりにも驚いて、開いた口が塞がらなくなってしまった。
こんなものを持つ国が、宇宙を又にかけて商売をしているパウルから見たら、小国と思えてしまう。
思ったのより、この世界の「国」というものは想像を絶するものらしい。
そんなことはさておき、いま大事なことはパウルがどんな手段を使って、いかにも警備が硬そうなこの宇宙港を突破するということだった。
だが、俺とリアルヌの心配をよそに、俺達の乗る宇宙船はあっさりと宇宙港の検問を突破してしまったのだ。
「どうやったんだ!?」、これを読むものはそう思うだろう。
どうやったかって? 方法は単純、パウルは金を払って検問を突破したのだ。
さすがは商人、検問を突破するときのやり取りからめちゃくちゃ慣れていることがよく分かる。
まあ、どんな異世界で文明が発展していようが、前世と変わらないということだ。
「楽園だ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
宇宙港のロビーで俺は、自然にそう言っていた。
なぜなら、この国の宇宙港がとんでもないものだったからだ。
とんでもないって言っても、めちゃくちゃ未来的とでも言うわけではない。
この宇宙港のロビーは、歴史の教科書で見るような産業革命のときの万博の会場の絵のように、天井が一面ガラス張りの建物なのだ。
それに、ロビーにはいたるところに飲食店やお土産を売っていそうな店が多くある。
この宇宙港の様子から、俺がなぜ「楽園だ〜〜〜〜〜〜〜!」と言ったのかがわかるだろう。
俺は、「この世界に来て初めてまともな文明に遭遇した。」その事実に「楽園」と言ったのだ。
宇宙港の様子からこれだったら、外はさらに楽園だろう!
俺はそんなことを考えつつ、外へ向けてみんなと歩き出した。




