23話 洞窟の底に眠るもの
「長いですね............」
もう三十分ぐらい進んだろうか?カリウスがそう言ったとおり、この洞窟は長すぎた。
いくら先に進んでも、まったく底に着く感じがしない。
幸いにも、階段状になっているので疲れはしないが、心には「いつ着くんだろう?」という不安があった。
しかし、そんなことは突然終わることとなった。
「なんか平坦になりましたね」
急に階段が終わりを迎えて、平坦な通路に俺たちは着いた。
たが明らかにヤバそうだ、まず構造からして人工物で間違いはないだろう、しかも通路の先には扉みたいなのが遠目から確認できる。
「どうします..........?」
さすがにカリウスもヤバいと思ったのか、ビビったような声で話す。
もともと、行きたそうにしていたのはカリウスなのに、いざ来てみるとビビってしまうのには呆れたもんだ。
しかし、ここまで来てしまったらビビるよりも行きたいという気持ちが勝ってしまう。
人間の感情とは、なんとも不思議なものだ。
俺は、行きたそうにないカリウスをなんとか連れて再び歩き出した。
そして、三十秒ほど歩いて扉にたどり着いた。
それにしても厚そうな扉だ、なにかをしまっているのだろうか?それともなにかを封印でもしているのか?
いずれにしても今はとりあえずどうでもいい、今大事なことは、扉をどのようにして開けるかということだ。
二人がかりで押してみたが、びくともしない。
なにか特殊なからくりでもあるのか? そう思いながら俺たちは扉を念入りに細かく調べる。
すると五分ぐらい監査した結果、とある仕組みがあることに気付いた。
扉には四つの模様が描いてある、おそらく見た感じだとそれぞれ 火、水、草、雷のマークだ、そしてそのマークからそれぞれ矢印が出て真ん中の穴へと続いている。
つまり、四つを生み出して合体させるということなのか?
とりあえず、自分で考えても分からないのでカリウスに聞いてみる。
すると、カリウスはとんでもないことを言った。
「見た感じ、このマークは四大魔法のマークですね」
この後カリウスに聞いて分かったのだが、四大魔法というのはこの世界の魔法の大元になっている魔法らしい。
この世界だと、生まれたときから四大魔法を持っているらしい。
使える種類は人によって違う、一つでもあれば四つとも使えるということだ。
そして、成長するに連れて魔法も成長するということだった。
こういう大事なことはもっと先に言ってほしかった、そんなことを思いつつ俺は魔法を使おうとする。
すると、俺の頭にはあることがよぎった。
さっきカリウスは、生まれて来るときにどれか一つ四大魔法を持って生まれてくると言っていた。
そして、それが成長すれば魔法も成長する。
カリウスが使う防御の魔法は電気のなんかを利用して盾を作っているのだろう、だが俺のもとから持っていた精密の魔法は何の魔法をもとにしているかまったく見当もつかない。
なんか特殊なタイプなのか?そんなことを考えつつも、とりあえず今は扉を開けることに集中しよう。
「俺が三つの魔法を出すから、カリウスは水と雷を出してくれ!」
「わかりました、では行きますよ!」
俺たちは、魔法を使う。
さすがに、四つ全ての魔法を使うのは厳しい。
なので、カリウスには水と雷を出してもらう。
そして、二人の出した魔法が穴へと入っていった。
すると、扉についている四大魔法のマークが光る。
そして、ゆっくりと扉が開いていった。
俺たちは、扉の中へと入っていく。
すると、扉の先で見たのは大きな無機質のドームのような部屋の真ん中にたたずんでいる巨大な結晶だった。
俺たちは部屋を見渡しながら結晶に近づく。
見た感じ、結晶の中はよく見えない。
「なんでしょうか?」
カリウスが口を開く。
「なんでしょうか」と言われても正直分からないが予想できることはある。
たぶんボス部屋かなんかだ。
さっきもそんなことを考えていたが、この異質な光景を見てしまえばそう確信せざるをえない。
しかし、結晶をみる感じただの氷の固まりのような感じだ。
火で炙ってしまえば簡単に溶けそうな感じなので、結晶の中をみたいという好奇心もある。
俺は迷った。
結局どうなったのかというと、カリウスが「ここまでせっかく来たなら溶かしてしまいましょうよ!」と言ってくれたおかげて俺は、結晶を溶かす決心がついた。
なので、今は魔法を使おうとしているところだ。
「いくぞ!」
俺はそう言うと炎が結晶を包み込むようにイメージして、そうなるように強く念じた。
すると緑色の炎が結晶を包み込み、やがて赤い炎に変わる。
そして、みるみるうちに結晶は溶けていった。
だが、中から出てきたのは俺の予想とはまったく違うものだった。
「ずいぶんと久々の外だ、何千年ぶりだろう
か........」
そう言いながら結晶から出てきたのは、藍色の髪の青年の男だった。
身長は百八十ぐらいだろうか、それになかなかガッチリしている体つきだ。
明らかに強そうな感じがする、俺たちはあまりにもヤバいと感じて動けなかった。
そして、男が俺たちに話しかけてきた。
「俺にかかっていた封印を解いたのはお前か?」
変な解答をしたら殺されるかもしれない、しかし俺とて国を作ろうとしている身だ、こんなことでビビっていたら国なんか作れはしない。
そう思った俺は覚悟を決めて落ち着いて答えた。
「ああそうだ、少しは感謝してもらいたいものだな」
すると男は「ほう......」と言った。
終わった........ 完全にヤバい反応をしている。
カリウスも、何やっているんだ的な顔で驚いて固まっていた。
そして男は少しの沈黙の後に口を開いた。
「気に入ったぞお前!大魔族の俺によくぞ言った!」
はい.......? 予想外の反応に俺たちは完全に呆気にとられてしまった。
そして、男は話を続ける。
「封印を解いてくれたお礼だ、お前の願いを一つ叶えてやろう!」
まさかの質問に俺たちはさらに驚愕する。
だが、またとないチャンスだ、こんな凄そうな男ならなんでも叶えてくれそうだ、そう思った俺はなにを願うか考えるのだった。




