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バランのステータス

「ふむふむ、なるほどなぁ。」

エリアスはベッドの上で、今日シルヴィからもらった、冒険者ギルドに関するマニュアル本を読んでいた。

説明しきれない部分がこの本には書かれている。直接の指名依頼のことや、他のメンバーとの、任務が被る場合など、いくつかのルールが設けられていた。

また、ギルド証のプレートを手にとり、近くでみたり、遠目でみたり、天井のランプの光に当てて見てみたりした。


(このプレートの中に魔力を込めたデータクリスタルが入ってるんだ。)

先ほど呼んだページには、万が一任務中に死亡した場合このプレートが身元確認できる遺品になったり、他の国に入る際の通行手形になったりと、さまざまな利点があるものだとゆうことだった。


(Eランクになったら、黒曜石のプレートかぁ。)

エリアスは気が早いが自分のプレートが良いものになっていくのを想像して、少しにやついてしまった。

田舎暮らしが長かったせいか、この街で見るもの全てが新鮮で、刺激的で、正直とてもワクワクしている。

何より、明日からは、初仕事を受ける予定でいる。どちらかといえば、不安よりも楽しみとゆう感情がうわまって、それはそれで寝付けない。

そして、寝付けない理由がもうひとつ、目をつむれば浮かんでくるのはバランのことだ。

エリアスは今日1日のことを振り返る。


◯●◯●◯


冒険者ギルドで登録をすませ、次に向かったのは、道具屋だった。そこで青いポーションと、紫色のポーションを購入した。前者は体力の回復、後者は魔力の回復だ。あと、毒消薬を購入した。

グレゴリウスの家からこの街にくる一月の間、もちろん村などによって宿代など払うことはあったが、あらためて、買い物をするとなるとまだ少し慣れない。


ちなみにこの時代のお金のは基本的に銅貨10枚で銀貨1枚分、銀貨10枚で金貨1枚分になる。そして、金桜貨(きんおうか)と呼ばれる通常の金貨より一回り大きく、細かな彫刻が施されているものが金貨10枚分の価値となる。


道具屋のあとは、街を案内してもらった。武器屋、防具屋、鑑定屋、魔道具を売っている魔法局、そして、お城など、ある程度の場所は把握できたが、あらためて、自分でも街をさんさくする必要があると感じられた。


その後夕方くらいになったので、自宅に戻ってきた。

そこで、エリアスは好奇心に負けたのだ。初めてバランに会った時、直感で分かった。バランは自分よりも遥かに強い存在であるとゆうこと。そんな存在のステータスを見てみたいと思ったこと。

ただ、ステータスを覗かれることに、もしバランが気づいたなら、いや、間違いなく気づかれるだろうとは思った。しかし、一度湧いた好奇心は抑えられなかった。

階段を上るバランの背中を見送りながら、鑑定スキルを使った。

その瞬間頭に激痛が走った。頭がかち割れる程の痛みを伴った。


「はぁー。」

バランは長い溜息を吐いた。


「どこかで使うかとは思ったが、案外早かったな。」

バランは呆れたように振り返る。


「痛みはすぐに落ち着く。」

エリアスは息を上げながら、首だけを動かし頷く。

しばらくして、痛みはだいぶ収まってきた。


「おれのステータスが気になるか?」

唐突な問いだった。エリアスはてっきり怒られるものだと思っていたが、予想に反して、バランは冷静だった。


「隠蔽スキルを一部といてやる。ステータスが気になるなら見てもいい。とりあえず家の前でダウンされてても困るから中に入れ。」

エリアスは逆に怖くなったが、頷いて、バランの自宅に入った。


「あの、怒らないんですか?」

エリアスはまだ少し痛む頭を押さえながら問いかける。


「ああ、そうだな。怒ることはない。仮にお前にステータスを覗かれても困ることはない。」

{困ることがない}その言葉が何を意味しているのか、エリアスはわかったような気がした。


(この人にとって、私は取るに足らない雑魚とゆうことか、、)

エリアスは分かっていたことだった、分かっていたけれど悔しさに拳を握りしめる。それならば余計に知らなくてはいけないと思った。


「それでは失礼します。拝見します。」

エリアスは今一度鑑定スキルを使った。視界にバランのステータスの数値が浮かび見えてくる。

そして、驚愕して、言葉に詰まる。



名前 [バラン]

年齢  24歳

性別  男

レベル ???

体力  8000

魔力  8500

攻撃力 1.2000

防御力 9000

魔攻力 1.8888

魔防力 9500

速さ  1.0000


{スキル}

[魔獣使役S級] [黒魔法S級] [隠蔽スキルS級] [   S級] [   S級]


{ユニークスキル}

[ウロボロスの魔眼] [     ] [?????]


{使役魔獣}

[メル] [アイラ] [アッシュ] [ゲルギオ] [オクタヴィアヌス]



「これが、S級ランク冒険者の実力・・・」

エリアスは感動と尊敬、恐怖と畏怖、さまざまな感情が入り乱れていた。


「ステータス見れたようだな。ちなみに、さっきの頭痛の原因はこれだ。」

バランは左耳につけているピアスを人差し指で示し揺らす。


「このピアスは魔法による攻撃への耐性を向上させ、ステータス異常に対する絶対の耐性をもつ。そして、ステータス異常の魔力やスキルを使用したものを足止めするカウンターが発動する。お前が使った鑑定スキルはステータスに干渉するものだからそれが発動したんだ。」


「そうだったんですか。そういった装備品もあるんですね。」

素直な感想しか言えなかった。


「お前はまだ弱すぎる。お前自身の目的のためにもここにきたんだろ?強くなれ!死に物狂いにな。」


「私の目的を知って・・いや、なんでもありません。」

エリアスはじっとバランを見つめる。

この人がどこまでのことを知っているのか、推し量ろうとしたが、無理そうだった。バランは謎が多すぎる。

ステータスの[   ]空欄は、隠蔽スキルで隠しているということ、バランはスキル2つと、ユニークスキルといわれる、生まれもった特殊スキルを1つ隠している、それはいったいどんなスキルなのか。

そして、ステータスの???の部分。あれを見たことが今までにも一度ある。それは私の目的。復讐すべき、殺すべき敵の一人にバランと同じように???をもつものがいた。

そこから分かることが1つだけある。


「バランさんはレベルの概念がありませんね。???になってます。そして、自身でも理解しきれていないユニークスキルをもっていますね。」


「あぁ、そうだな。」


「私はバランさんと同じように???をもつステータスを小さい頃みたことがあります。」


「それで?何が言いたい?」


「バランさんは異世界からの転生者ですね。」


◯●◯●◯


エリアスはベッドの上で小さく身震いをする。バランのステータスを思い出したからだ。

そして、自分はまだまだ弱いということを痛感する。そして、無知であるとゆうことも。

まずは自分がギルド内でどこらへんの強さにいるのかを知らなくてはいけない。そんなことを考えながら自分自身に鑑定スキルを使用する。


名前 [エリアス・ベア・ブラッドフォールン]

年齢  17歳

性別  女

レベル 81

体力  1500

魔力  3000

攻撃力 2531

防御力 1811

魔攻力 2050

魔防力 900

速さ  2800


{スキル}

[体術S級] [赤魔法S級] [鑑定スキルS級] [アサシンS級]


{ユニークスキル}

[能力コピー]


やはりバランとの圧倒的な差があることは歴然だった。


鑑定スキルに目がとまり、考える。

そういえば、バランは自分が鑑定スキルをもっているのを分かっている様子だったことに。

鑑定スキルはレアなスキルであることにかわりはないが、バランはもっていないはずである。隠蔽スキルで隠してなければの話だが。しかし、勘づかれるものを隠す必要はない。そうなると、ユニークスキルで、同じように相手を鑑定することができるのかもしれない。

いくら考えても答えはでない。

とりあえずは、今与えられる仕事をこなして行くことしかできないのだろうと思う。

そうしているうちに、やっと眠くなってきたので瞼を落とす。

エリアスは眠りについた。

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