冒険者ギルド
ルーゼリシア大陸の西域に位置する、ここレガシア王国には、多種多様な種族が混同している、この時代においては、とても珍しい国の一つだった。
基本、この時代の他の国などでは、人族が最も尊いとされ、亜人種、エルフや、ドワーフ、獣人族などは、虐げられ、奴隷などにされることが多かった。
しかし、レガシア王国では、奴隷制度が廃止され、新たな生活様式となって、各種族の禍根が一切なくなったかといえば、そうではないが、目立った争いなどは生まれることはなく、治安もよく、平和的な国であった。
そのレガシア王国の大通りをエリアスはバランの後ろを離れないように歩いていた。
「昨日街に着いて思いましたけど、やっぱり賑わってますね。」
エリアスは初めて見るものも多くついついキョロキョロしてしまう。
「あぁ、この国は多種多様だからな、国自体大きいし、この通りはメインの通りだからな、賑わってないほうが珍しいぞ。」
バランは前を向いたまま、説明する。
「お前は、長いことじじいのところで生活してたんだろ?この国のことはどこまで知っている?」
「えぇと、国王は若い人間の女の方?で、廃れかけていたこの国を新たに基盤を作り、奴隷制度とかを廃止して、多種多様な種族が集まる、平和的な国に…」
エリアスはあらかじめグレゴリウスから聞いていた知識を答える。
「まぁ、そんだけ分かっているならいい。」
「はい。あっ、あと、その、、空いている部屋を貸して下さりありがとうございます。昨日はよく寝れました。」
「そうか、当分は使ってくれてかまわない。」
エリアスは昨日街に着いて宿などはとらずに一番最初にバランのところに挨拶に伺った。その後、宿を探していると伝えたさい、好意でバランの自宅の隣にある家もバランのものとゆうことで、使っていない、空いている部屋を貸してくれていたのだ。
尚、その際に最初はバランのことは無愛想だと思ったが、実は優しい人なのではと思ったことは心の中にとどめておく。
「さて、見えてきたな。あれがこれからお前が所属するギルドだ。」
バランは指を指す。
そこにはレンガ造りの大きい建物があった。
中に入るとたくさんの冒険者たちが情報のやり取りや、仕事の依頼などを探していた。
バランはまっすぐに受付に行き、受付に立つ一人の可愛いらしい、ハーフエルフの少女に声をかけた。
「バラン様、おはようございます。お仕事の依頼を受けますか?」
「いや、シルヴィ。すまないが、今日はパーティーの登録と、新規の冒険者登録を行いたい。」
バランが言った瞬間、周りにも少し聞こえていたのか、ギルド内がざわつき始めた。
「おい、今バランがパーティーの登録って言ってなかったか?」
「あぁ、たしかに言ってた。まさかあいつが?」
「バランがパーティーを組むとは思わなかったぜ!」
「誰がパーティーメンバー?」
「もしかしてあの子がメンバーかしら。」
ギルド内のいたるところからそんな会話が聞こえてきていた。
エリアス視線を感じながら、受付の前に行き、登録用紙の記入と説明を受けることになった。
「冒険者ギルドへようこそ。ご登録をご希望とゆうことですね。それでは、まず、こちらの、用紙をご記入下さい。」
エリアスは名前、ジョブなどを記入していった。
「エリアス様ですね。私は受付のシルヴィです。お仕事の受注や、確認、報酬の引き渡しなどをさせていただきます。よろしくお願いします。」
「あっ、はい。よろしくお願いします。」
「それでは、次にこの冒険ギルドのシステムなどご説明させていただきます。冒険者ギルドでは、基本的に素材収集や魔物討伐など、さまざまな依頼がきます。それを冒険者の方々に引き受けていただき、成功すれば報酬をもらうという流れになります。もちろん冒険者の方が仕事を依頼することもできますし、また、大きい案件になれば国の方から依頼を受けたりもします。冒険者ギルドは国ごと本部があり、大きい街には支部もあります、基本はどこでも依頼を受けることは可能です。その国には属していますが、ギルドは一部独立しているような側面もあります。ここまではよろいでしょうか?」
「は、はい!」
エリアスは必死に説明を聞いていた。
「では、冒険者ランクについてですが、冒険者ランクは七段階になってまして、下からFランク、Eランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランク、Sランクとなります。ちなみにですが、現在レガシア王国では冒険者は全体で、511人います。そしてSランクはバラン様を含め4人だけとなります。また、ランクによってプレートが違いますので、ご了承下さい。エリアス様にはFランクからのスタートとなりますが、ランクアップに必要な条件として、現在のご自身のランクの一つ上のランクのお仕事の依頼を連続して、10回達成していただき、なおかつギルドマスターとの面接の後、晴れてランクアップとなります。尚、今回バラン様とパーティーを組まれるとゆうことですが、パーティーの場合のランクアップは全員が同じランクの必要があります。ですので、ランクが自分より高い方とパーティーを組まれていて、自身のランクより上のランクの依頼を達成したとしても、ランクアップの条件としてはカウントされませんので、ご了承下さい。そして、ランクアップには年に一度昇格試験もありますので、その昇格試験に合格した場合もランクアップすることができます。また、受けられる仕事はご自身のランクと同様、及び一つ上のランクのみとなりますが、Sランクのご依頼はSランクの方のみしか受けることはできません。また、パーティー内でランクが違う場合は、一番ランクが高い方のランクまでのみ、依頼を引き受けることができます。ご不明な点はありませすか?」
「えと、もし、依頼を達成出来なかった場合はどうなりますか?」
「その場合は、依頼未達成とゆうことになりますので、キャンセル料をお支払いいただくか、支払いができない時は、ランクが降格する場合もございます。」
「なるほど、分かりました。」
「それでは、基本的な説明は以上となります。その他の細々した留意点はこちらをお読み下さい。それと、こちらがエリアス様のギルドに所属する証のプレートです。」
シルヴィは少し厚めのマニュアル本と、石でできたプレートを差し出してきた。
「それでは、これより冒険者と認めます、ご武運をお祈りします。よろしくお願いします。」
シルヴィはエリアスに微笑みかけた。
「ありがとうございます。頑張ります!」
エリアスは石でできたプレートを嬉しそうに手にとりながら、かざして見たりしている。
プレートの表面には、このギルドのマークと、エリアスの名前が刻まれていた。
ふと、バランの方を見てこう言った。
「あのぉ、バランさんのプレートはどんなのですか?」
バランは自身の腰につけているプレートを見せてくれた。
そのプレートは、綺麗な黒とシルバーの縞模様が浮き出ている、とても高価そうなものだった。
「ちなみにですが、バラン様のプレートはダマスカス鉱石でできた、特別なものです。」
シルヴィが答える。
ダマスカス鉱石はエリアスも本で呼んだことがあり知っていた。幻の鉱石である。
その価値は米粒くらいの欠片で、金貨数千枚と言われるほどのものであった。
エリアスは生唾を飲み込んだ。
シルヴィは目を輝かせながら、バランを見つめていた。