星空の向こうには何がある?
空気が冷たい冬の夜は、星がとってもキレイに見える。ママは、あの星空の向こうにパパがいるんだよって言っていたけど、パパがいる星空の向こうには何があるんだろう?
僕も星空の向こうに行ってパパに会いたいけれど、どうやって行ったらいいのか分からない。パパに、そこには何があるのって聞きたいけれど、それをどうやって伝えたらいいか分からない。
僕は、どうしてもパパに会いたくなって、どうしても星空の向こうに何があるのか聞きたくなって、大きな公園の裏山のてっぺんまで登ってみた。少しでも星空の近くへ行って、大きな声でパパを呼べば、僕の声がパパに聞こえるかもしれない。
裏山のてっぺんで、僕は出来るだけおっきな声でパパを呼んでみた。でも、パパは返事をしてくれなかった。もう一回、今度はもっとおっきな声でパパを呼んでみた。でも、パパは返事をしてくれなかった。
僕は、何度も何度も何度も、パパを呼んでみたけれど、パパには僕の声が聞こえなかったみたいだ。
だから僕は、出来るだけ早く大人になる事に決めた。僕の背がどんどん大きくなって、少しでもあの星空に近くなれば、パパにも僕の声が聞こえるはずだ。
僕が大人になったら、パパに会って星空の向こうには何があるかを聞くつもりだ。そしたら、それをママにも教えてあげようと思う。
明日になれば、僕はちょっとだけ大人になるはずだから明日も裏山に行ってみよう。だから、今日は早く寝よう。
僕は、ママにお休みと言って目をつむった。まぶたの裏にはまだ星がきらきらしていた。