懐かしい人
その後、アスフレッドと屋台で食べ物を買って食べたり。リゼに似合いそうな髪どめを見つけ、買ったりしてルミエール達は街を楽しんでいた。
「次は、どこに行こうか。」と、アスフレッドが話していた時だった。
「あれ? アスフレッドさんではないですか! 珍しいですね、この時間に居るのは」
横から声を掛けられ、アスフレッドがそちらの方を振り向く。ルミエールからは、アスフレッドが居て見えなかった。
ルミエールは、アスフレッドの知り合いの人かと思い話の邪魔になったらダメだからアスフレッドから離れようとした時だった。ルミエールの耳に、よく知っている人の名前が聞こえた。
「あれ? リーヤンさんとネイスト様じゃないですか!」
(……ネイスト?)
知っている名前が出たので、アスフレッドの後ろからその人が居る方を見る。そこには、前世でよく関わっていた人が居た。
「お久しぶりです。アスフレッドさんは、お出かけですか?」
「えぇ。昔から知っている子が、帝都に出てきたので道案内をしていたんです。ルミエールちゃん、このお二人
はこの国の騎士団の方達で、リーヤンさんはよく商会にも来て下さる方なんですよ?」
「初めまして。私は、シル・ネイスト。帝国騎士団団長をしています。横にいるのは、騎士のリーヤン・カフスです。」
「ルミエール・リフェアです。よろしくお願いします。シル・ネイスト様。リーヤンさん」
シル・ネイスト。
シルは、ブランの護衛騎士の一人だった。いつの間にか、騎士団の団長になっていた。あの頃はまだ、騎士団の団長にはなっていなかったのだ。
シルは、褐色の肌に銀髪の髪をしており。筋肉もついており。侯爵の子息と言うこともあったからなのか、お城で働いている侍女や令嬢達には密かに人気があったのだ。
シルとは、ブランが来れない時によく喋っていた。
その日の嬉しかった事や、驚いた事などを。それをシルは、楽しそうに笑いながら聞いてくれていた。
「…ルミエールさんとは、初めて会ったような感じがしませんね。私が知っている方に、雰囲気が良く似ている」
「えっ!?」
ルミエールはドキッと、してしまった。もしかして、ルミエールが前世リゼリアだったことがシルは分かってしまったのかと思ってしまったのだ。
「団長! 初対面の人を、いきなり口説いちゃダメですよ~!」
「リーヤン。この頃、減らず口が多いな。よし、鍛練のメニュー増やすか」
「ひどい!!」
リーヤンが話を逸らしてくれて良かった。あのままだと、絶対気づかれていたに違いない。
(前から思っていたけれど。シルは、勘が良すぎるから言動には気をつけないといけないわね。)
何故か、誰かに気づかれてしまったら。ブランにも気づかれてしまうんじゃないかと、ルミエールは不安になっていた。
まだ、会う自信がなかった。ルミエールの事を、どう思っているのか分からないから。もしかしたら、怒っているかもしれない。呆れているかもしれない。忘れてしまったかもしれない。そんな、不安が過る。
「ルミエールさんは、何処で働いているんですか?」
「えっ!? 今、ボヌルで働かせて頂いています」
「「えっ……!?」」
(あれ? 前にもこんな事があったような気がするわ…。)
二人は、驚いた様な表情をしている。
「ボ、ボヌルで働いているんですか!?」
「えっ、はい。リゼさんやお客さんにも、良くしてもらってます。」
「ボヌルには、リーヤンに勧められてから私達もよく行くのです。私達は夜に行くので、酔っ払ってしまってお店で暴れている人が多いんですが……。それを、リゼさんが毎回拳で止めるので最初はびっくりしました。お店で暴れている人が居ても、私達の出番がないんですよ。」
シルは、苦笑いを浮かべながらそう言った。
ボヌルは、平民の人達が食べに来たり。飲みにきたりするのが多く、貴族の人はあまりこないらしい。
だから、安心していた部分もあった。知っている人が来ないんじゃないかと。
でも、この国で騎士団に入っているのは貴族や平民の人とさまざまなのだ。
竜人が治めている帝国では、前世の故郷である国みたいに貴族と平民との間に差別もない。竜人はもともと、身体能力が優れている。なので、この国では力がある人であれば誰でも良い職に就けるのだ。力がなくても、自分にあった仕事が色々とある。
そのお陰か、この国では人族みたいに貧富の差がない。
「そうだったんですね。また、ボヌルにいらしてください。」
「ありがとうございます。こんな素敵な人が働いて居るなら、次行った時も楽しいでしょうね」
来ないで欲しいと言うのは可笑しいので。そう言うと、シルは微笑みながらそう言った。
(何故か、気づかれてはいけないと本能が言っている気づかれたら、ブランにも知られてしまうと……。)
「あー! 団長がまた、女の人をたぶらかしてる!!」
「またってなんだ。またって。……では、そろそろ私達は職務に戻ります。アスフレッドさん、ルミエールさん失礼します。」
まだシル達は、そう言うと。仕事に戻っていった。シルが、何か言っているリーヤンを引きずりながら……。




