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獣人国

ルミエールとブランの婚約が各国に伝えられ、竜王の婚約と言うことを聞いた各国の間では激震が走っていた。

その中でも、帝国と関わりが深いと言われている獣人国から帝国に書面が届いた。

その内容は、婚約したことを祝うという事と近々祝いの品を持って使者が来ると書いてあったみたいだ。

それも、使者が来るのが今日らしい。


ブランは、あの獣人王の事だからぎりぎりでこの手紙を出したのだろうと今回の事を呆れた様に言っていた。


獣人の国であるフォーサイス国を治めている獣王の名は、イーサン・フォーサイス。ライオンの獣人だ。

獣人は身体能力が高く、戦う事が好きな国でもある。


各国では婚約ということに激震が走っていたが、竜人達は違った。

皇帝であるブランの番が見つかったということに素直に喜ぶ者、婚約者がもしかしたらリゼリアの生まれ変わりではないかと思い喜ぶ者も居た。街は数日お祭り騒ぎだった。


まだ、どんな人が皇帝の婚約者なのかをお披露目していないため、ルミエールは街に行きお祭りを楽しんでいた。街にはリーオと一緒に行ったが、その際ブランも一緒に行くと言って聞かなくルミエールとネスは止めるのに必死だった。皇帝でもあり、顔が知られているブランが街に行ったりしたら騒ぎになるだけではなくなる。それに、一緒に居るルミエールが婚約者だと見せびらかしていると同じだ。

必死にブランを止めている二人の後ろで、ルミエールと一緒に街に行けるリーオが勝ち誇った様に微笑んでいるのは二人は知るよしもなかった。


しぶしぶ納得してくれたブランとは、早めに戻ると言うことを約束してルミエールはリーオと楽しんでいた。二人でリゼのお店に行って、リゼや常連の人達とお喋りをしたり美味しいものを食べたりして楽しんでいた。だが、ふとした瞬間にブランは今何をしているのだろうか。ここにまた一緒に来られるだろうか。そんな事ばかりを考えていた。だからだろうか、リーオが嬉しそうに笑いながら「陛下が拗ねちゃいますからそろそろ帰りましょうか」と、声を掛けてきた。

ルミエールは、静かに頷くとリーオと乗ってきた馬車へと乗り込む。


馬車の中で、リーオは嬉しそうに言葉を放った。ただ一言、「ルミエール様が陛下とまた一緒に居てくださって嬉しい」と……。

馬車が城に着くと、ルミエールはブランが居るであろう執務室へと急ぎ足で向かう。その後を、ニコニコとした表情でリーオが続く。


執務室では、ネスとブランが仕事をしていた。仕事の邪魔をしてしまうかと悩んだ結果、扉の隙間からブランの仕事の様子を見る。後ろでは、リーオが声を圧し殺しながら笑っている。ルミエールはリーオの方を向くと「リーオ、静かによ」と、言うとリーオは微笑みながら畏まりましたと言いうとルミエールの後ろに控える。


だが、視線を感じたのだろう。ルミエールが覗いている扉をブランが見つめると、優しく微笑みながら「ルミエールこっちにおいで?」と、呼んだ。

見つかってしまったので、執務室に入るとブランは手招きしている。近くに行くと、手首を引っ張られブランの膝の上に座っていた。

最初は焦っていたルミエールだったが、優しい瞳で見ているブランに街はどうだったかと聞かれ、街であった楽しかった事を伝えるのに夢中でそれさえも忘れる程だった。楽しそうに話しているルミエールを優しく抱きしめているブランは、その場に自分がいないという悔しさもあったが、それよりもルミエールが嬉しそうに話している姿が何よりも嬉しかった。だが、ポソリと呟いた「今度はブランと行きたい」と言う一言が、愛おしくてしょうがなかったのだ。


それからと言うもの、ブランの休憩中に執務室にルミエールはよく呼び出される。そこで何をしているかというと、只ブランの膝の上に座らされ抱き締められながら話をしたり一緒に昼食を食べるだけだ。最初は凄く恥ずかしかったが、回数を重ねるごとにルミエールも受け入れ二人で楽しそうにお喋りをしている。


今回、獣人国から書面が届いたのも二人で喋っている途中だった。ブランは、今日獣人国の使者が来るにも関わらず焦る様子がない。


「ブラン。今日、使者の方が来られるのでしょう? 私はもう戻りますね……」


「駄目だ」


「でも、迎え入れる準備とかも……」


「連絡が遅かった獣人国が悪いのだ。待たせとけばよい。それよりも、貴重なルミエールと過ごす時間を邪魔されるのは許せないな……どうしてくれようか」


「ブ、ブラン! まだ昼食に持ってきたフルーツが残ってるわ! 食べたらどう?」


ブランが良からぬ事を考えてそうだったので、ルミエールは必死に話を逸らす。

当の本人は、ルミエールに微笑むと口を開ける。


「そうだな。ルミエールがくれるかい?」


「えっ!?」


「……駄目かい?」


「だ、駄目ではないけれど……。恥ずかしいわ」


ルミエールは、顔を赤くしながら下を向く。

ブランは、そんなルミエールに手を伸ばすと顎を上に向ける。


「大丈夫だ。夫婦になるなら普通だぞ?」


「そうなの?」


「あぁ」


(膝の上に座らされた時も、ブランは夫婦では普通だと言っていたわ。夫になるブランに食べさせるのも普通なの!? 夫婦になったら、こんな恥ずかしい事もするのね……。前世では、両親とともに過ごす事がなかったから分からないわ。……だったら、今のうちに慣れとかないといけないのかしら?)


「分かったわ!」


「フフッ。ルミエールは可愛いな」


ルミエールは意を決すと、フルーツを食べさそうとブランの方に差し出そうとした時だった。

豪快な音を立てながら、執務室の扉が開いた。


「ブランよ! 来たぞ!!」


ブランの名を呼びながら、獣人国の王である男が執務室に入ってきたのだった。




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