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城②


リゼ達と別れを告げたルミエールは、ブランと一緒に城へと転移した。城の入り口では、沢山の侍女や執事が並んで立っている。その前にはネスが立っており、帰って来た二人を出迎えた。


「「「お帰りなさいませ」」」



「陛下、ルミエール様お帰りなさいませ。ルミエール様、もしよろしければ湯浴みのご準備が出来ています。」


「ルミエール、行ってくると良い」


「えぇ」


ブランと別れ、ルミエールは案内してくれる侍女の後に付いていく。

ルミエールは、戻ってきたのだと実感する。

前世から変わらない城内を、ルミエールは懐かしい気持ちになりながら進む。


「リゼリア様……いえ、ルミエール様お帰りなさいませ。」


「ただいま」


案内をしてくれていた二人の侍女のうち、一人がポツリと言葉を落とす。その侍女に、ルミエールは見覚えがあった。リゼリアだった頃、その侍女は身の回りの世話をしていたのだ。


ブランが、ルミエールと一緒に帰って来たのを見ていた者達の中には、ルミエールがまだリゼリアとして生きている頃から侍女や執事として働いている者達も居た。その者達は、ルミエールが帰って来たという嬉しさで涙を流していた。

ルミエールと初めて会う者達も、物語などを読んだりして知っていた為、皇帝が番を連れて帰って来た事に歓喜していたのだった。


侍女の案内で、一つの部屋に着いた。

扉を開けてもらい。中に入ると、中にはリーオが居た。


「ルミエール様お帰りなさいませ! お待ち致しておりました!」


「ただいま。リーオ」


「さぁ、汗もかいているでしょう。湯浴みをしてさっぱり致しましょう!」


ルミエールは、リーオや周りに居た侍女達に服を脱がされ。湯槽に入れられ、髪や体を洗われていく。

今世では、色々な事を自分自身でやっていた為か世話される事にルミエールは慣れなかった。



(前世ではドレス着る時だって、湯浴みをする時だって侍女にお世話されていたのに、慣れないって変な感じだわ)


「……? どうしたのですか?」


クスリと笑ったルミエールを、リーオは不思議そうな表情で見ている。


「ふふっ。こうやって、リーオ達にお世話されているのが慣れなくて。リゼリアだった頃は、当たり前だったのにね」


「私達は、またお世話出来るのが凄く嬉しいのです。慣れて下さいね?」


「えぇ」


「この後、陛下が今後についてお話をしたいと言うことなので、うんとおめかし致しましょう!」


何故、話をするだけなのにおめかしをするのかとルミエールは疑問に思ってしまったが、侍女やリーオが楽しそうなので何も言わない事にした。

リゼリアだった頃と体型などが変わらないルミエールは、前世に着ていたネグリジェに袖を通す。


髪の毛は、邪魔になってはいけないからと片側で三つ編みをし。体を冷やしてはいけないと、一枚肩からかける。


「これで陛下もイチコロですね!」


「「「はい!」」」


リーオと侍女達はルミエールの姿を見て、何処かやりきったような表情をしている。

だが、ルミエール自身。鏡を見ていない為、自分がどんな格好をしているのか分からなかった。

楽しそうなリーオや侍女達を見て、ルミエールは苦笑いを浮かべた。

身仕度を終えたルミエールは、リーオに連れられブランが待つ部屋へと案内された。



コンコンコンッ


「ルミエール様をお連れ致しました。」


「入れ」


扉をノックすると、中からブランの声が聞こえた。リーオが扉を開け、ルミエールが中へと一歩踏み出す。


「なっ!!」


ガタッ


入ってきたルミエールの格好を見たブランは、顔を真っ赤にして勢いよく立ち上がる。

声は出ておらず、口をパクパクとさせている。


(やっぱりこの格好変なのかしら? 着替えてきた方がいいかしら……)


「ごめんなさい、ブラン。今来たばかりだけれど、着替えてくるわ。変よね……こんな格好。」



ルミエールは、視線を下へと落とす。


「ルミエール様、大丈夫です。陛下があんな状態になっているのは、その理由ではありませんから。それに、私達がルミエール様に似合わない格好をさせるわけございません!!」


「……そうなの? では、何故ブランは顔を真っ赤にしているのかしら? もしかして、どこか体でも悪いの!?」


ルミエールは、ブランが何処か体を悪くしているなら大変だと側に駆け寄る。

ブランのおでこに自分のおでこを当てて熱を測るが、熱があるわけでもなかった。


「ブラン、何処かしんどい所ない? 話があるって聞いたけれど、また今度にする?」


「……いや、大丈夫だよ。それよりも、少し離れないかい?」


ブランにそう言われ、ブランと距離が近い事に気づく。

お互いの鼻が触れるほど近い。


「ご、ごめんなさい!! すぐ離れるわ!」


慌てて離れようとし、ルミエールは後ろに倒れそうになった。


「大丈夫かい?」


「えぇ、ありがとう。……ブ、ブラン? 反対側の椅子に座るから離して?」


倒れそうになったルミエールを抱き止めたブランは、ルミエールを自分の膝に座らせると離そうとしなかった。


「ダメだ。このまま話をしよう」


ブランは頑なにルミエールを離さない。ルミエールは、下りようとしていたのを諦めてブランの膝の上に座る事を選んだ。


「君をここに呼んだのは、結婚についてだ。ルミエール、結婚の時期を早めようと思う。」


「早く結婚が出来るのは嬉しいけれど、準備に時間がかかるだろうし……。」


(帝国の陛下が結婚するとなれば、他国から人を招いたりするのだろう……。そうなったら、時間がかかる筈。)


「今回は、この国の者以外招く予定はない」


「え!?」


ブランの言葉を聞き、ルミエールは驚愕した。


「今、この国で私やルミエールに逆らう奴は居ないだろう。だが、他国となったら別だ。君は、皇帝の妻になるのだから誰から狙われるか分からない……。怪我なんかしたら、他国を滅ぼしそうだ……。」


「……分かったわ」


(こんなにも愛してくれて、考えてくれていたなんて知らなかったわ……。)


「この国の貴族は、結婚式が終わった後のパーティーに招く予定だ。良かったら、リゼさん達や君がお世話になった人達を結婚式に招くといい」


「良いの?」


「あぁ、ルミエールがお世話になった人達なら私も会いたい。」


「ありがとう。ブラン」


(シスターを招きたいけれど、王都までは遠いから来れないだろう……。リゼさんやアスフレッドさんを招こうかしら?)


お世話になった人達を招いても良いと言われ、ルミエールは嬉しくなった。

自分を拾ってくれて、ここまで育ててくれたシスターには来れないだろうから手紙を書こうと決めた。



「さぁ、今日はもう寝ると良い。色々とあって疲れただろう? 明日からは、結婚に向けて準備があって大変な筈だ。」


「えぇ、分かったわ。」


「お話中申し訳ございません。まだ、ルミエール様のお部屋をご用意出来ていないので、出来れば陛下のお部屋に今晩だけ泊めて頂きたいのですがいかがでしょうか?」


「「えっ!?」」


ネスがにこやかな笑顔で部屋を用意出来てないと言い、ルミエールと扉の側で控えていたリーオはつい大きな声が出てしまった。


「ネス様? 今からでも、私が客室を整えてまいりますよ!?」


リーオが焦った様な表情でネスに近づく。だが、ネスは微笑みながら否定をした。


「リーオだって他の仕事があるでしよう? 陛下とルミエール様は婚約者なのです。一緒の部屋でも大丈夫でしょう」


「でも、もしもの事があったら!!」


「結婚するまで手を出してはいけないのです。陛下もお分かりでしょう。さぁ、行きますよリーオ。では明日朝に参ります。」


「ルミエール様ぁぁぁぁぁぁ!!」



ネスはそう言い残すと、ルミエールの名前を叫びながらこちらに手を伸ばしているリーオを連れて部屋を出ていってしまった。


「……ふふっ」


ルミエールは、可笑しそうに口元に手をやって笑う。


「じゃぁ、ルミエールもう遅い。寝よう」


「えぇ、そうね。」


ルミエールはブランに手を引かれ、部屋にあった大きな寝台に一緒に寝転がる。

疲れていたのか、ブランに優しく頭を撫でられながらルミエールの意識は遠退いていったのだった……。






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