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救出

ルミエールの視界にブランが入り、ルミエールは助けに来てくれた事。この子供達が助かる事に歓喜した。


「な、何で此処に皇帝が居るんだ!!」


「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!!」


いきなり天井が壊れ。上からブランが降りてきたのを見た男達は、驚愕した表情をしている。だが、男達はその場から動けなかった。

ブランは、男達に向けて殺気を放っていたのだ。殺気を向けられた男達は、腰を抜かす者や足が震えて動けない者。気絶をする者などと様々だった。


ブランの後に続いて、ルダンや騎士団達が下に降りてきた。ルダンは、リーリエを見つけると真っ先に側へと行き、二人は事の結末を静かに見守ろうとしていた。

騎士団の人達は此方に近づいてくると、子供達を安全な外へと転移魔法で連れ出していく。ルミエールは、最後まで子供達が転移魔法で外に行くのを見届ける事にした。


(やっと……やっとあの子達は、自分の親の元に帰れるんだわ……。)


そう思うと、ルミエールは気が抜けそうになった。だが、まだ終わっていない。きちんと最後まで見届けなくてはいけないと思い。視線を上げると、いつの間にか近くに来ていたブランがルミエールの事をじっと見つめてくる。


(あぁ……何でブランは、そんなに悲しそうな顔をしているの?)


ブランの顔は、眉が下がり。今にも泣きそうな表情をしていた。そっと、ルミエールはブランの頬に手を伸ばす。

ルミエールが手を伸ばした事に気づいたブランは、ルミエールの手を包み込むと瞼を下ろした。何か感情を押さえ付ける様に、自分を安心させるかの様にルミエールの手を握りしめている……。


ブランは、しばらくすると瞼を開け。ルミエールに向かって微笑むと、前を見据える。その表情は、皇帝の顔へと戻っていた。

ルミエールの肩を抱きながら後ろを振り向く、後ろには子供達を拐った男達。ルダンやリーリエ、騎士団の他にもう一人男が居た。その男は、騎士団の者達に捕まっていた。

ブランの視線は、捕まっている男の人を見つめている。


「男爵よ、これはどう言うことだ? お前の屋敷から、子供達を誘拐していた奴等が居るとはどういう事なのだ? お前は先ほど、居ないと言っていなかったか?」


「へ、陛下! 違うのです!!」


「……何が違うのだ? 現に、屋敷からは子供達が発見されているのだぞ?」


「わ、私はこの人族の男達に脅されていたのです!! 私はけして陛下の事を裏切ったりは!」


男爵はブランに向かって必死に言い訳をしているが、男爵を見ているブランの瞳は寒々しいほど冷たい目をしていた。


「おい! 何を言ってやがる!!」


「そうだ!! あんたが、竜人族を拐って売れば一番もうけれると言っていたんだろうが!!」


「……男爵よ、男達はこう言っているがどういう事だ?」


男爵の言葉を聞き、男達が反論をする。

ブランに見つめられていた男爵は足が震え、腰を抜かしてしまった。ブランの殺気で声が出ず、口をパクパクとしている。


「前からお前が何かを企んでいたのは知っていたが、この国の宝である子供達や私の番を拐うとは許しがたい。」


「こ、この平民が番ですと!?」


ブランの言葉にびっくりした男爵が口を開く。

ブランの番が平民だと言うのは知っていたが、男爵は信じてはいなかったのだ。それが仇となってしまった……。


「……黙れ」


男爵の言葉を聞いたブランは、手を前に翳す。その瞬間、男爵は何が起こったのか分からなかった。だが、時間が経つにつれ自分の下半身に痛みが生じる。


「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃ!! 足が……足がぁぁぁぁぁ!!」


男爵は自分の下半身に目を向けると、足から血が噴いている。痛さで叫ぶが、ブランはまだ冷たい視線で男爵を見ているだけだった。


「口を開くな。私を裏切った罪……私の番やこの国の宝を傷つけた罪は重いぞ。判決を言い渡すまで牢で静かにしてるがいい。騎士団よ、男爵を連れていけ。」


「「「はっ!」」」


ブランの殺気と足を斬られた恐怖で、男爵は気を失ってしまった。気を失った男爵を、騎士団達は連れていってしまった。

そんな光景を見ていた人族の男の一人が、ブランを見ながらポツリと言葉を落とした。


「……化け物」


「何を言っている人族よ、竜人族の強さは分かっていた筈だぞ? 分かっていて私達にケンカを売ってきたのだ、手加減するわけにもいけないだろ? それとも、バレないと思っていたのか?」


「……くそっ!!」


男達は震える手で剣を抜くと、ブランに斬りかかる。だが、男達の剣はブランに届かない……。

人族と竜人族とは、強さが違う。だが、昔から自分の力を過信した者は結果が見えているのに竜人族に戦いを挑んでくるのだ。竜人の中で一番強い竜王が負ける筈がないと分かっている為、そんな光景を幾度となく見てきたルミエールも騎士団の人達も男達とブランの戦いを冷静に見ていた。


(いつになっても、変わらないのね……。あの男爵も、強さが桁違いの竜人族を拐って売り。そのお金を元手に、この帝国から逃げようと思っていたのかしら……。)


ふと、ルミエールはボヌルで聞いた噂を思い出し気になった。何処かの領地は、お金に余裕が無いのに貴族が贅沢をしていると……。その為、裏では悪どい事をしているのだと街では噂になっていたのだ。


(もしかして、噂になっていた貴族が男爵なのかしら? その貴族は、裏で人族と繋がっていると聞いた事がある……。)


先程の話の内容を聞くと、噂になっていたのは男爵なのかも知れないとルミエールは考えた。

斬りかかった剣もブランに届かず、男達の体から血が噴き出す。一人の男が手を切り落とされたのを見て、ルミエールは目を背けたくなった。

ブランは、戦いを挑んできた者を容赦なく叩き潰しいつも冷酷の瞳をしているため、血にまみれた皇帝だと他国では言われているのだ。

だが、これからブランと共に歩んでいく道でこんな光景を幾度となく見ることがあるかもしれない。そう思うと、目を背けてはいけないような気がした。

いつの間にか側に来ていたリーリエが、ルミエールの背中に手を当てる。


「貴女がこれから歩む道は、茨の道かもしれない。」


「はい、分かっています。だけど、私はブランの横で支えたいんです。」


「……そう。」


リーリエを見たルミエールは、何処か泣きそうな表情をしながら微笑むとブランの方を真っ直ぐ見つめる。


戦っていたのにも決着がすぐ付いた。人族の男達が、ブランの足元でボロボロになりながら倒れている。


「……こいつらも連れていけ」


「「「はっ!!」」」


ブランの言葉を聞いた騎士団の人達が男達を拘束し、転移魔法で居なくなる。


戦いが終わり、少し乱れている前髪から見えるブランの瞳は、寒々しいほど冷たい目をしていた……。






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