助け?
自分の魔力を行き渡らせる。
敵の中に魔力を使える人が居ると分かってしまうので、少しずつ。慎重に……。
集中しながら、そんな作業を何日続けていただろうか……。
(周りに結界が有るからか、行き渡らせるのが難しいわ……。)
ルミエールが此処に来て、何日か経った時だった。
男達が、ルミエール達が居る部屋に来た。だが、その側には一人の男に腕を掴まれた、フードを被った小柄な女の子が居た。
「こんだけ居たら良いだろう。早めにずらかるぞ」
「そうだな。でも、国全体に張られている結界が邪魔だな……。」
「いつでもずらかれるようにしとけよ」
男達はそう言うと、腕を掴まえていた女の子をこちらに放り投げた。
(なっ!! なんて事を、するの!?)
ルミエールは急いで駆け寄り、女の子を抱き止める。
男達はルミエール達を一瞥すると、部屋から出ていってしまった。
出ていったと同時に、ルミエールは抱き抱えていた女の子を覗き見る。ハニーブロンドの髪が見えた。
「……やっと見つけたわ」
「えっ……?」
女の子が呟いたと同時に、光りに包まれ。女の子がいきなり女の人に成長した。
その人は、ルミエールが見知った人だった。
「……リーリエ様?」
「ふふっ。お久しぶりね? えーっと、今の名前はルミエールだったかしら?」
「は……い……」
「ふふっ。また後からゆっくりお話をしましょ? それよりも、貴女も子供達も無事で良かったわ。必ず、此処から出してあげるから安心して?」
リーリエは、おっとりとした喋り方で優しそうな表情をしながら子供達に微笑んでいた。
子供達は、リーリエの事を知っていたのか驚愕した様な表情をしながら固まっている。
リーリエは、前皇帝であるルダン・ネイジュの番でもありブランの母でもある。
リゼリアの頃、一緒にお出掛けしたり。お茶をしたりと、リゼリアはリーリエに可愛がってもらっていたのだ。
「で、でも、リーリエ様。此処には結界が……。」
「ふふっ。ルミエールちゃん? こんな弱い結界なんて、私には関係ないわよ?」
リーリエは、頬に手を当て。ルミエールの方を見ながら微笑む。
(そうだった。リーリエ様は、魔法に精通していて魔力の量も私より遥かに多い。魔法に精通しているリーリエ様だったら、皆を此処から出せるかもしれない!)
「さて。じゃぁ、お迎えがくるまでお喋りしてましょ?
」
「へっ!?」
ルミエールが思っていた事と違う言葉がリーリエから発せられ。思わずルミエールは、声が裏返ってしまった。
「今すぐ此処から出るのではないのですか!?」
ルミエールの中ではリーリエが来たから、此処から出られると思っていた。
だが、リーリエは何も無い所から大きな机と椅子を出すと人数分のお菓子や紅茶を出し始めた。
「ルミエールちゃん。こういう時は、かっこよく殿方が助けに来てくれるものよ? さぁ、皆座って? 沢山のお菓子を持ってきたのよ?」
リーリエがそう声を掛けると、いきなり現れたリーリエに警戒していた子供達はお菓子があると聞き。目を輝かせながら近づいてきた。
「食べてもいいの?」
「えぇ、沢山食べて頂戴?」
「「やったー!!」」
一人の子供が恐る恐る聞き、リーリエに食べてもいいとの了承をもらうと、いつ助かるか分からなく泣きそうな表情をしていた小さな子供達はあっという間に笑顔になっていた。
皆、椅子に座ると気になるお菓子に手を伸ばし。美味しそうに食べている。
そんな嬉しそうな子供達を、ルミエールも目を細め。微笑みながら見ていた。
「……心配しなくても、大丈夫よ? 貴女やこの子達を守れる程の力はあるわ? 只、全員を無事に脱出させようとしたら助けがくるのを待っている方が安全なのよ」
リーリエはルミエールにそう言い残すと、嬉しそうな表情をしながらお菓子を食べている子供達の方へと行ってしまった。
リーリエの雰囲気のお陰なのか、子供達の緊張はとけており。楽しそうに喋っている。
ルミエールは、リーリエに言われた言葉で頭が覚めた。
(……私は、攻撃魔法は苦手で回復しか出来ない。そうなれば、どれだけ外に敵が居るのかもわからないまま全員を脱出させるのではなく、居場所を知らして助けに来て貰った方が安全だわ。)
何かあれば、未来ある子供達の盾となろうとルミエールは決心をし。リーリエや子供達が居る方へと歩みを進めた。
「おねえちゃん! これ美味しいよ!」
「本当? じゃぁ、私も食べてみようかしら?」
ルミエールが近づいてきた事に気づいた子供達は、嬉しそうに喋り掛けてくる。
騒がしいのに気づいたのか、一人の男がこの部屋に入ってきた。
「おい! 騒がしいぞ!! ……って、何している!!」
「何って、今皆でお茶会をしているのよ? 邪魔しないで頂戴?」
「お前は誰だ! いつの間に、その中に入りやがった!!」
人族は、リーリエの事を知らないのだろう。
リーリエを追い出そうと、此方に向かって来ようとしていたが何か見えない壁に顔をぶつけた。
「ふふっ。来られるなら来てみなさい? 此処には、結界を張っているから入って来られないわよ?」
リーリエは、紅茶が入ったカップを持ち上げ。一口飲むと、挑発するかのように微笑んだ。
「くっ!! そんな余裕があるのは、今のうちだけだぞ!! こっちにも、魔法を使える奴なら居るんだからな!!」
男はそう言い残すと、何処かへと行ってしまった。
「リーリエ様。大丈夫なのでしょうか?」
「えぇ。結界の強度は、貴女達を守れるぐらいあるわよ? あんな男達になんて負けないわ」
その後、出ていった男は仲間を連れて戻ってきた。連れてきた仲間は、私の時に防御魔法を破った男だった。
だが、リーリエの魔力の強度には敵わないのか男は魔法で攻撃をしているが結界はびくともしていない。
時間が経つにつれ、攻撃しても壊れないのに苛立ったのか此方をギロリと睨み付けると部屋を出ていってしまった。
「あら? もう終わりなの? じゃぁ、後は助けを待ちましょうか。あら!? ルミエールちゃん、この焼き菓子凄く美味しいわ! 食べてみて?」
「えっ!? はい、頂きます」
リーリエは、近くにあった焼き菓子を一口食べると。美味しかったのか、ルミエールに勧めてきた。男達が来たことにより、体が強ばっていたルミエールはリーリエによって強ばりがとけていった。
「あら? もう来たみたいね。もう少し、皆とお茶会を楽しみたかったのに……」
リーリエは、口を尖らせ。拗ねたような表情をしている。ルミエールも、ブランの気配が近くにあることに気づき、助けが来た事に安堵する。
先ほど男達が出ていったのにも関わらず、また部屋に戻ってきた。
「くそっ! 何でいきなり此処に来たんだ!?」
「今、あの人が相手をしてくれている。俺たちが此処に居る事が見つかれば終わりだぞ……。」
「国に張ってある結界が邪魔で、逃げる事も出来ない……。こいつらを始末して、此処から逃げるぞ」
「でも、此処も結界があるんだぞ!?」
男達は、何かを言い争っている。
ルミエールは、子供達を自分の後ろへと集め。守るように前に立つ。
「攻撃をし続けるしかないだろ!」
「だが、攻撃の音でバレたら……」
「大丈夫だ。此処は地下だぞ? それに、遮音の魔法もかけてある。」
「そうだな」
男達の意見も纏まり、此方に杖を構えた時だった……。
ドゴーン……。
天井が揺れ。何かが壊れる音がした。
リーリエが張っていた結界のお陰で皆無事だった。ルミエールは、一瞬何が起きたのか分からず。上を見上げると、部屋の天井が壊れ。光が差していたのだ。壊れた所から、誰かが飛び降りるのが見えた。
飛び降りてきたのは、ルミエールがずっと会いたかったブランだった。




