リーオ・フレリア
長い金の髪を後ろで一つにまとめ。水色の瞳を細め微笑みながら、ルミエールを見ている女性はリーオ・フレリア。
「リーオ!!」
「お久しぶりでございます。リゼリア様、お会いしたかった……。貴女様の今の名を、私に教えて下さいませ?」
「ルミエール……ルミエール・リフェアよ」
「ルミエール様……また貴女様の名を呼べて、リーオは幸せでございます」
リーオはそう言うと、深々と頭を下げた。
リゼリアの頃からそうだった、人族であるリゼリアを馬鹿になんてせずリーオは慕ってくれていた。
諜報部隊と呼ばれる所に居たリーオは、リゼリアがブランの婚約者になってからは、侍女として就いてくれていた。
リゼリアがブランの噂を聞いたパーティーの少し前に、リーオのご両親が倒れたから。リーオは実家に帰っていた。だから、死ぬ直前リーオには会えなかったのだ。
「リーオ。皇帝である私の扱いが雑じゃないか?」
そう言いながら、近くにいた騎士にモブリアンを連れていく様に指示をする。
「何を言ってらっしゃるんですか? 私が、皇帝であるブラン様にそんな事するわけないじゃないですか。リゼリア様を死なせ、私の愛する夫に後始末を全て任せ。眠りについていたブラン様になんかに、そんな事するわけないじゃないですか。」
(これは、怒っているわね。)
リーオは、夫であるネス・フレリアとは凄くラブラブなのだ。ブランやネスの事も小さい頃から知っているらしい。
「フフッ。リーオとブランは、本当に仲良しね~」
「「違う!! (います!!)」」
前と全然変わらない。いつも二人が言い争って、リゼリアとネスは呆れながらも見ているのだ。
「ルミエール様、ブラン様より聞きました。今すぐには戻ってこられないんですね……。」
「リーオ。私は、もう一度ブランとやり直したいの。それも一から……。だから、私は今普通の民よ? だから、様付けは駄目よ?」
「……分かりました。ルミエールさん」
ルミエールがそう言うと、リーオは渋々納得してくれた。
「ブラン様!! 早く惚れるようなかっこいいことをしなさい!」
「格好いい事って……無茶を言うな!」
「フフッ。ブランは、いつも格好いいわよ?」
ルミエールの事を常に思い、助けてくれる人なんだから。
「ルミエール!!」
ブランは、いきなり抱きついてきた。
「フフッ。ブラン、苦しいわ?」
「ルミエールが可愛すぎるのが悪い……。」
(……? 私、可愛い事なんか言ったかしら?)
首を傾げていると、リーオが近づいてきた。
「ブラン様。ルミエールさんから離れなさい」
リーオは、ブランを引き剥がすと。ルミエールの前に立った。
「まだ結婚もしていない異性と抱き合わない! 城なんかで抱き合ったら、誰が見ているか分からないですよ! 抱き合うんだったら、部屋とかバレない所でしなさい!!」
「そうだな。次からそうする。」
ブランは納得したみたいだ。
「……リーオ。バレない所でも、婚約者や結婚していないんだから駄目だぞ?」
後ろからそんな声が聞こえた。
「あら、ネスにシル」
「 ルミエールさん来られたんですね。」
「えぇ。」
後ろを振り向くと、ネスとシルが此方に向かってきていた。
「ネス様!!」
「リーオ。良かったですね、ルミエールさんと会えて」
リーオがネスを見つけて抱きつく。そんなリーオを、ネスは受け止める。ネスの前では、いつもの格好いいリーオではないのだ。
「はい! ネス様が言って下さなければ、この器の小さい男に私はずっと知らされなかったでしょう……。」
「おい。私は器の小さい男ではないぞ?」
「あら! 何を言ってらっしゃいますかブラン様。リゼリア様と私が、仲良かったのを羨ましそうに見ていたのは知っていますよ? それに嫉妬して、直前まで言わなかったつもりでしょ?」
「うぐっ……。」
「ブラン、そうなの?」
確かに、リーオとは友達の様に接し。姉の様に慕っていた。
「ルミエール、違うよ!? ちゃんと落ち着いたら、言おうと思っていたんだ……。」
ブランは膝をつくと、心配そうな目で下から見上げてきた。
「フフッ。大丈夫よ? ちゃんと、ブランの事は信じているわ? 只、ブランがリーオと私が仲良かったのを嫉妬していたのが嬉しくて……。」
(ちゃんと私を見て、愛してくれていると実感が出来る。そう思うと、凄く嬉しい。)
ブランも嬉しそうに、ルミエールを抱き締めてくれる。
「絶対、私達の事を忘れていそうですね」
「ルミエールさんに抱きつくなんて……ブラン様、そこを変わりなさい!」
「こらこら、リーオ。邪魔しては駄目ですよ?」
後ろから、シルとリーオ。ネスの声が聞こえ、我に返る。ネスは、リーオが此方に来ようとしている所を止めていた。
「ブ、ブラン離して頂戴? 恥ずかしいわ」
「大丈夫。前世でも、よく抱き締めていたんだよ?」
何が大丈夫なのか分からないわ!
離れようとブランを押すが、びくともしない。
「フフッ。じゃぁ、抱き締めるのはこの辺にしてそろそろお茶にしようか?」
「……意地悪だわ」
ルミエールが必死に離れようとしているのを、ブランは微笑みながら見ていた。
(でも、ブランから離れようと言われたらそれもそれで寂しい……。)
「……ブラン様!! お茶のご用意が出来ましたので、席へ!!」
「はいはい。リーオが、怒りそうだからまた後からだね。ルミエール」
「なっ!! 後からも、しませんからね!!」
恥ずかしくなりながらも、ルミエールはブランにそう言うと。そそくさとテーブルの方へと歩いていく。
テーブルでは、リーオがお菓子の用意もしていた。
「さぁ、お好きだったお菓子もご用意させて頂きました!」
「わぁ~! ありがとう! リーオ」
「リーオは、ルミエールさんのその笑顔が見れて幸せです。」
リーオはそう言うと、嬉しそうに笑った。
「リーオ、貴女も一緒に座って?」
「はい。ルミエールさんの仰せのままに」
リーオは、頭を少し下げるとネスの隣に座った。
「ねぇ、何で私のお茶の用意が無いんだい?」
「えっ!? ブラン様、いるのですか?」
「リーオ!! 酷いぞ!」
「ふん。ルミエールさんを一人占めしていた罰です」
リーオとブランの言い合いはいつもの事なので、気にせずネスと喋る。
「本当に仲良しね~」
「まぁ、小さい頃から知っていますからね」
「ねぇねぇ、リーオって小さい頃からネスが好きだったの?」
リーオは、ネスと他の人達との差が激しすぎるのだ。
「はい! ネス様は、昔から聡明で。かっこよくて、優しくて……私の好きな方ですわ!」
「……リーオ。その辺にしておくれ。」
リーオの話を聞き、ネスは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
(……ああやって、気持ちを素直に伝えれるのが羨ましい。)
二人を見ながら、そんな事を考えていた。




