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決着の日~回想~

ブランは、両親の言葉を聞いた後。いきなり笑いだした。

父や義母は、口をあんぐりと開けびっくりした様な表情をしていたが、すぐに父は怒った様な表情をした。

馬鹿にされたと思い、顔は真っ赤になっている。


「何を笑っておられる!」


「ふははは! 本当に、人族というのは滑稽だな。私がそんな嘘を、分からないとでも思っているのか?」


「なっ!! 嘘では無い!! こいつが全てやったことだ!! 私達は、悪くないのだ!!」


「ほぉ。……本当に、君がやったのかい?」


ブランは、目を細めて。鋭い目付きだが、その目付きには何処か優しい雰囲気がある。

父や義母は、リゼリアの方を睨み付けており。絶対に肯定をしろ。否定をするな。と、眼で訴えている。


(本当の事を言ってしまっても良いのだろうか…。いつもの様に、お父様達の言うことを聞かないといけないのだろうか…。)


そんな事を考えていると、どんどんとリゼリアの顔が下を向いていく。


「……君が思っている事を言えばいい。それを、全員が望んでいる。」


ブランの方を見ると、リゼリアを見ながら優しく微笑んでいる。

(……私は、この人達からもう解放されたい。)


そう思うと、少し自信がついた。リゼリアは、真っ直ぐにブランを見つめる。


「……私は、やっておりません。お父様にずっと、地下牢に閉じ込められていましたもの。戦を仕掛けたのは、お父様達です!」


「なっ!!」


(お父様やお義母様が怖い顔で睨んでいるが、怯んではいけない。)



リゼリアは、民達を助けたくて魔力を使っていた。このまま、父達の言っている事を認めてしまうと。また、民達が苦しい思いをしてしまうのだ。だったら、リゼリアの存在を無視し。民達を苦しめてきた、王族や貴族をリゼリアは許さないと決意した。


「……肯定をすれば良いものを!! お前みたいな気味が悪い奴に、父と呼ばれるだけでも虫酸がはしるわ!!」


父は、こちらに来ようとしていたのか。後ろに立っていた兵士の人に、取り押さえられながらもそう叫んでいた。


分かっていた。魔力を持っているリゼリアを恐れて。遠ざけていた事なんか。


(でも……。私に、お父様と呼ばれるのも嫌なの? 私は、実の娘なのに?)


そう思うと、リゼリアの目から涙がこぼれ落ちてきた。


「そこまでだ、愚王よ。……ネス。」


ブランは側に立っていた人にそう言うと、王座から立ち。ゆっくりと、こちらに歩いてくる。

そして、持っていたハンカチでリゼリアの涙を拭い出した。


「では、私がブラン様に変わって説明をしましょう。」


ネスと呼ばれた人の説明によると、帝国の人達がこの国の侍女や執事になり。王族や貴族の悪事を調べていたらしい。

リゼリアや民達にしていた事。父達が戦を仕掛ける事を本当は知っていたらしい。

その侍女や執事の名前を聞いて気づく。いつも、リゼリアに優しく接してくれていた人達だったのだ。


(戦が始まる前ぐらいに、姿を消してしまっていたから心配していたけれど、帝国の人達だったのね……。)


それからも、どんどんと話は進んだ。まだ小さい弟は、帝国の属国で暮らす事が決まった。

民達を蔑ろにして、自分達だけ贅沢をし。帝国に戦を仕掛けた、この国の貴族や父や義母達は、兵士に取り押さえられながら何処かに連れて行かれてしまった。

そして、最後まで父はリゼリアに興味が無いのか。こちらを見ないまま行ってしまった。


(……心が苦しい。少しだけ、希望はあった。最後に、私を見てくれているんじゃないかと。そんな事を思っていたのに……。)


「……ふぅっ。」


手でどんなに拭っても、どんどんと涙が溢れてくる。


(苦しい……。何故。魔力を持っていると言うだけで、愛されないの? 何故、私の名前を呼んでくれないの?何故、私を見てくれないの? )


そう、心が叫んでいる。


「擦るんじゃない。」


そんな事を考えていると、優しい声が聞こえた。

側に来ていたブランに、拭っていた手を止められる。


「……私と一緒においで?」


「……えっ?」


涙で視界がぼやけている中。言われた事にびっくりして、慌てて上を向く。

頬に、そっと手を添えられた。


「貴女は、持っている魔力で民達を助けていました。民達からも、感謝の声が上がっています。なので、貴女には特に罰はありません。よければ、帝国にいらしてください。」


近くで、リゼリア達の事を見ていたネスがそう言ってくれる。


「……でも。」


(そう言ってくれているが、本当に良いのだろうか……。罰が無いとしても、私は戦を仕掛けてしまった国の人間……。帝国に、来ても良いと言われているのはとても嬉しい。だけど、怖い。また、私は恐れ。嫌われるんじゃないかしら……。)


そう思うと、リゼリアは怖くなった。


「私が、君を愛してあげる。」


「……本……当……に?」


(私を愛してくれる?)


「あぁ。本当だよ……。」


それを聞き。リゼリアの目から、涙が流れる。

安心してしまったのか。そんな声を聞きながら、リゼリアは眠りについてしまった。


「……絶対に離さないよ。私の番。」


眠ったリゼリアを見ながら、ブランがそんな事を言っているとは知らずに……。


この日、王族や貴族はブランの手によって殺され。地図上から、ファンス国が消え。帝国が治める事になった。


民達は歓喜した。これからは、飢餓で家族が。友人が死ぬことだって無くなると……。

そして、心配もしていた。自分の、身分を隠してまで治療に来てくれていた、王女様はどうなってしまったのかと……。

だから、王女が帝国で暮らすと聞き。今度こそ、幸せになってほしいと。民達全員が願ったのだった。




過去編は、ひとまず終わりになります(*´ω`*)

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