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転生しました

『竜人の皇帝が治めている帝国は、昔から周りの国々に恐れられていました。今の皇帝であるブラン・ネイジュは、若くして王の座につき。冷徹な皇帝として有名でした。

周りの国々は、絶対的な力に畏怖し。同盟国として、協力しあう事を皇帝に約束したのです。

ある日……。

愚かにも、戦を仕掛けた国がありました。その国は、あっさりと戦に負けてしまいました。

その国の者達は、自分達の姫に全ての罪を擦り付け。自分達を解放するように、帝国に許しを求めました。

自国の美しく。賢い姫を犠牲にし、自分達が助かる為に……。

その事に、皇帝は激怒し。その国を滅ぼしてしまいました。その後、その国の姫は皇帝に連れられ帝国に来たのです。皇帝は、美しい姫に一目惚れをし。婚約をしました。

その後、姫と皇帝はお互いを愛しあい。幸せに暮らしていましたが、ある時姫が病で倒れてしまいました。姫は、病が悪化し亡くなってしまったのです。

皇帝は、最愛の姫が亡くなったという悲しさで、深い眠りについてしまったのでした。また、最愛の姫が生まれ変わる事を信じて……。何十年もの間、皇帝は姫にまた会えるその時を待っているのです……。』


「はい、おしまい」


ご飯が出来るまでの間、読んでほしいとせがまれていた本を閉じ。膝に乗っていた可愛い小さな子に視線を移すと、その真ん丸とした可愛い目に涙をためていた。

その可愛い目にたまっている涙を、持っていたハンカチで拭う。


「ブランしゃまとお姫しゃま、はなればなりぇかわいしょう」


「ヤンは、優しいわね。ヤンにそう言って貰えて、お姫様も喜んでらっしゃるんじゃないかしら。」


ヤンの頭を撫でながら微笑むと、ヤンは嬉しそうに笑った。


「ヤン、ルミエール。ごはんにしましょう?」


扉からシスターが顔を出し、優しく微笑んでくれている。


「ヤン。私はここを片付けて行くから、先に行っといて頂戴?」


「はーい!! ルミエールねぇたんはやくきてね?」


「えぇ、片付けたら直ぐ行くわ?」


ルミエールがヤンにそう言うと、元気な返事をしてシスターと一緒に部屋を出て行った。


(本当に、ヤンみたいな優しい子にそう言われるのは嬉しいのよ?)


そう思いながら、先程読んでいた本を片付ける。本の内容と、本当の話とは最後はかけ離れていた。本当の原因は、民達には教えなかったのだろう……。

だから、色々な終わりかたの本がこの世の中には多数出ている。

ルミエールは、生まれた時から前世の記憶を持っていた。それは、今さっき、読み聞かせで読んでいた本にも出てくるお姫様。リゼリア・ファンス。それが生まれ変わる前の名前なのだ。


本当は、皇帝であるブランがほかの令嬢と密会をしていると聞き。ブランを信じる事が、ルミエールは出来なかった。ルミエールは、体調を崩し。そのまま寝込んでしまった。食欲も無くなり。どんどんと、痩せ細っていった……。そして、最後は死んでしまったのだ。


(死ぬ直前に、令嬢じゃない私に生まれ変わりたい。と言ったけれど、ブランが治めている竜王の国に生まれ変わるなんて……。)


最初、記憶を思い出した頃は「結局ブランが新しく婚約者を迎えていたら見ることになるじゃない!」 と、思い。絶望した。

でも、本当はリゼリアが亡くなってからずっとブランは、眠りについているのだ。それも、誰とも婚約をせずに……。

その事を知ったときは、ルミエールも首を傾げてしまった。


(ブランはなんで、あの時の令嬢と結婚せず。私が死んでから、深い眠りになんてついているのかしら……。)


ルミエールはてっきり、令嬢と結婚していると思っていた。


「でも、なるべくブランに会わない様にしないと! あんな別れかたをしたんだもの。ブランと会うのも、気まずいわ……。」


そう意気込んでいると、なかなか来ないルミエールを、シスターが呼びに来てくれた。


「ルミエール、どうしたの? 早くごはん食べないと無くなってしまうわよ?」


「はい、シスター。今、行きます。」


ここは、教会。そして、このシスターは孤児である子供たちを教会で育てている。

ルミエールの両親は、馬車での移動中に事故に遭い。亡くなってしまった。たまたま近くを通ったシスターは、事故の時生き残っていたルミエールを教会に置き、今日まで立派に育ててくれた。一人でも生きていけるように、料理や洗濯。様々な事をシスターは教えてくれたのだ。


でも、この教会で過ごすのも今日で最後だ。

成人になると、独り立ちするために教会から出ていかなくてはいけない。これまでも、年上の子達が此処を旅立って行くのは見ていた。その時、皆は笑顔で旅立って行ったので羨ましさもあった。いざ。自分が旅立つとなると寂しさもあるが、これからの生活が楽しみでもあるのだ。

優しいシスターは、働く所に困らないようにと知り合いの所を紹介してくれたが、そこはブランが住んでいる帝都だった。


(まぁ、ブランが眠りについているんだったらばれないと思うけれど……。)



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