再会
竜王様登場です!(^^)
それは、突然に訪れた。二人との話も終わり、お店の方に戻る。
お店の中は静まり返っており、先ほどまで居たお客さんは皆帰っていた。
店内では、リーヤンとリゼの二人がエールを飲んでいる。
「あっ! ルミエールさん、お帰りなさい~。団長にネス様、遅いですよ~」
リーヤンの顔は赤くなっており、酔っているみたいだ。
「坊主。弱いんだから、飲むのはもうやめときな。」
リーヤンの横で、リゼはそう言いながらエールをぐびぐび飲んでいる。
(……リゼさん、あんなに飲んで大丈夫かしら?)
「いえ。まだまだ~! リゼさんには負けませんからね!」
リーヤンはそう言うと、エールを喉に流し込む。
「「はぁ~」」
シルとネスは、困った様な表情で頭を抱えていた。
バンッ!!
いきなりボヌルのドアが開き、一人の騎士が慌てた表情で入ってきた。
「だ、団長! 宰相様! 大変です!!」
「どうした?」
「どうしました? ドアは、もう少し静かに開けなさい。」
(……何かあったのかしら。)
「ブ、ブラン様がこちらに来られます!」
(えっ。ブランが?)
「分かった。リーヤン、ブラン様が来る。お前たちは店の周りを固めろ。誰も通さない様に。」
「「はっ!!」」
リーヤンは酔いが覚めたのか、ブランが来ると分かると。顔を青ざめ。慌てた様子で、外に出ていった。
「リゼさん、申し訳ございません。ブラン様が此処に来られるそうで……。」
「良いよ。皇帝は、ルミエールに用事があるんだろ?」
「…っ! 気付いていらっしゃったのですか。」
「ルミエールの周りに、先日からブラン様の魔力が纏わり付いているから。まさかっと思ったが。本当だったとはね。」
「リゼさん、ごめんなさい。」
「何を謝っているんだい? 誰にでも、秘密の一つや二つぐらいあるさ。……私は奥にいるから、此処を好きに使いな。」
そう言ってリゼは優しく微笑むと、店の奥に行ってしまった。
「やっぱり来ますか。」
「ネス、ブランに私の事を言ったの?」
「いえ。私はブラン様に、何も言っていません。……もしかしたら、ルミエールさんの魔力が分かる様になったのも、ブラン様が原因かも知れませんね。だから、ルミエールさんの周りに、ブラン様の魔力が漂っているのかも……。」
(ブランが? そんな事、出来るのかしら?)
そんな事を思っていると、ドアが開き懐かしい人の姿が見えた。
あの頃と変わらない。大好きな人が無表情で立っている。伏せていた目がこちらに向く。
吸い込まれそうなぐらいの漆黒の瞳が、見開かれた。無表情だった顔は、大好きな笑顔に変わった。
「リゼリア!!」
ギュッと抱き締められ。ルミエールの頬に、黒色の髪の毛があたる。
「リゼリア……あぁ、リゼリアだ。」
ネスが居た所には誰も居らず、いつの間にか二人きりになっていた。
少し躊躇いながらも、ブランの背中に手を回す。すると、先ほどよりも強く抱き締められてしまった。
「リゼリア。顔をよく見せて? ……リゼリア。今の名は?」
「ルミエールよ。ルミエール・リフェア。」
「……ルミエール。良い名だね。」
そう言って微笑むと、もう逃がさないといったようなぐらいに強くもう一度抱き締められる。
「会いたかった。」
「……私もよ? ブラン」
(この街に来る前から、貴方の事はずっと気になっていた。)
「……あの時は、守ってあげれなくて。気付いてあげれなくてご……ブフッ!」
ブランが謝ろうとしていたので、ルミエールは咄嗟に頬を手で挟む。
「何しゅるの」
手で頬を挟んでいるからか、喋り方が変になっている。
「……ブラン。謝らないで? 私も悪かったの。きちんとブランに確かめれば良かった。貴方を、信じれば良かったのよ」
周りから、ブランの番だと言われてもリゼリアは不安だった。
(だって、竜人の国に戦を仕掛けた国の姫だもの。国に捨てられた姫を同情して、婚約者として迎えてくれたのかもしれない。と思うと、不安でいっぱいだった。)
そんな事を思っていると、ブランが頬を挟んでいる手を優しく叩いてきた。
ルミエールは、頬を挟んでいた手を離す。ブランは、ゆっくりとした動作で腕を広げると「おいで?」と言って、ルミエールに微笑みかける。
ブランはルミエールを優しく抱き締め。ルミエールのおでこに口づけを落とすと、優しく微笑み「そんなの、違うよ。気にしなくていい。」と、言ってくれた。
「私の愛しい人……。私と一緒に、お城に帰ろう?」
(……また、一緒に居れるのは嬉しい。だけど、私の心は決まっている。)
「……ごめんなさい。まだ、一緒には戻れません」
「何故!? もう邪魔する奴は居ない。もう一度、一緒に居よう?」
ブランがそう言ってくれるが、首を横に振る。
「……私の事、嫌いになってしまったの?」
「いいえ。」
「じゃぁ! 何で!!」
「……ブラン。1から始めましょ? 貴方は、私をリゼリアとして接している。私の今の名前は、ルミエール・リフェアよ? あの頃の私とは違うわ。」
(……分かっている。ブランが好きなのは、前世の私。リゼリアだって。でも今は、ルミエールとしての人生を送っている。)
ルミエールは竜人になってから、番の大切さも知った。
でも、ブラン自身。ルミエールを通して、リゼリアを見ているのだ。
「リゼリアだった頃の私より、今の私が好きだと言わせてあげる。」
「……リゼリア。いや、ルミエール。生まれ変わって、変わったんだね。あの頃の弱かった君とは、全然違う。」
「当たり前よ! 小さい頃からシスターに色々と教えて貰ったり、教会に居た子達と遊んだりしていたのだから!」
「分かったよ。……でも、城には帰って来てくれないかい? 君が居ないのは寂しい。」
ブランは、子犬の様な表情をしながらこちらを見ている。
「戻らないわ。私、この場所も気に入っているの。お城に住むのは、婚約か結婚してからね。」
優しいリゼに、いつもお店に来てくれる人達。まだ来てそんなに経っていないが、ルミエールはこの場所が大好きになっていたのだ。
そんなルミエールを見ながら、ブランは残念そうな顔をした。
「……分かったよ。じゃぁ、毎日ルミエールに会いに来る。」
「ブラン様、それは無理ですよ。仕事があるのですから」
声がした方を向くと、いつの間にか居なくなっていたネスとシルが、後ろに立っていた。
「それに、ブラン様が目覚めたと他の国が知ったら謁見に来る方が多くなるかと。」
「じゃぁ、知らせなければいい。」
ブランは拗ねた様な表情で、ルミエールを後ろから抱き締めながらそう言った。
「……はぁ~。冗談言わないで下さい。」
「冗談ではない。ルミエールと会う時間が少なくなるなら、嫌だ。」
(ふふっ。懐かしいわ。)
前世でも、ブランが我が儘を言い。ブランに仕事をさせる為に、ネスが怒りながら引きずっていくのが多かったのだ。
「ブランの事は好きよ? でも、仕事をしている貴方もかっこよくて凄く好きよ。」
「……本当?」
「えぇ。だって、仕事をしている時の貴方はかっこいいもの」
ブランの普段は、リゼリアと接している時とは違い。喋り方も変わり。無表情で、淡々と仕事をこなしているのだ。
(前に見た時、私といる時とは違う事にびっくりしたけれど、普段とは違う表情で仕事をしている姿がかっこよく見えたのを覚えている。)
「……分かった。早く終わらせて、会いに来るから。」
「えぇ。楽しみにしているわ。」
「これを。」
そう言って差し出されたのは、黒色の石が付いた耳飾りだった。
「これは?」
「何かあれば、すぐに駆けつけられる様に魔法を付与している。何かあれば、念じればいい。」
チュッとおでこに口づけをし。そう言い残すと、ブラン達は帰って行ってしまった。




