4話 その一瞬と女の子と
18歳、高校3年の二ノ宮綾と、
13歳。中1の相沢翔太は心の匂いがわかる”心匂”の持ち主。
その二人と出会った少年と情報交換し、二人は能力者の核心に触れる。
運命は二人に何を見せるのか?新たな二人の能力者の正体は!?
高校三年生の二ノ宮綾と、中学一年生の相沢翔太は、二人では最初の秋を迎えた。
翔太の能力、心匂はやがて無くなる。それは、子供から大人に変わる時。
そう翔太は綾に語った。
「なんでそんなこと知ってるの?」
「物質浮遊の能力者、二ノ宮健悟君と情報交換して確信した」
もう木枯らしの吹く季節だ。
私達も、冬を迎えるのだろうか? と綾は思った。
「なんとかなるさ」
「なるようになれ、と?」
綾は紅葉を眺めながら、翔太はうつむきながら会話を続ける。
「そゆこと」
翔太は、うす青くなった空を見上げ、ため息をつく。
「はぁ……なんだかなぁ……」
「キャッ! 」
綾は突然叫び、ミニスカートを抑える。
「へ?って痛て! 」
今度は翔太が間抜けな声を上げ、即座に頭を抑える。
「お姉ちゃん、なんで殴るのさ? 」
「あんた、今スカートめくったでしょう!? 」
翔太はブーブー言いながら反論する
「なんで幼児体型の女子高生のミニスカなんかめくるんだよ? 」
綾は烈火のごとく怒る
「バカ! 」
再び殴ろうと腕を振り上げた時、それは聞こえた。
「あははっ」
二人は同時に後ろを振り向く。
そこには、五歳くらいの男の子が木の上で笑ってた。
「あ! 犯人はあいつだ! 」
翔太はズビシッと男の子を指さす。
今度は男の子がゲッと言った。
「なんでわかるんだよ!? 」
そう言うなり、消えた。
消えた、としか言えない。もう姿が無いのだ。
「へ? へ? どういうこと? 」
綾は混乱するが、翔太は濡れ衣を着せられて、珍しく怒り心頭だ。
「心匂のなごりも消えた! 瞬間移動だよ! 」
翔太クソっと言うなり、寡黙になる。
綾は、気まずい空気に耐えきれず謝る。
「ご、ごめん! 周り見てなかった」
綾は頭をさげ、頭の真ん中で両手を合わせる。
翔太は握り拳を作って言う。
「絶対犯人を捕まえてやる! 」
「私も協力する! 」
綾は怒りが原因というよりも、翔太に対する申し訳なさで言う。
「私が協力しようか? 」
え? と二人がイチョウ並木の片隅に目をやると、小学四年生くらいの女の子が立っていた。