2話 結成
相沢翔太はいじめられ、二ノ宮綾に助けられる。親も理由を言わなかったのは心匂という人の心の匂いを感じる能力の為だった。今回は二人のスタート地点です
相沢翔太は二ノ宮綾と病室から廊下をロビーに向かって歩く。
綾は当たり前のことを聞いた。
「なぜ私なの?」
翔太は冷めた顔で言った。
「精神年齢高いから」
綾は一瞬で赤面だか真っ青だか、初めて見るような顔になり、ソッコーで聞いた。
「年寄り!?」
「ハハハッ」
翔太はお腹を抱えて笑い、目に涙を潤わせ、指で涙を拭いて答える。
「いや、違うよお姉ちゃん。悲しみも、幸せも知ってる。…それだけなら老人でも良いけど、老人は頭が堅い。それに…人のキズに敏感だから。…あ、心のキズのことだよ。言葉足らずでごめん」
綾うつむく
「あなたもね。っていうか、秀才!?よくそんな大人っぽいセリフ言えるね…」
今度は翔太がうつむいた。
「本の、ムシだから」
綾は翔太の小さな手を握りしめた。
私は人の心のキズに敏感?ウソだ。だって、こんなこともわからないんだもん。
「ムシだなんて、誰が言った?」
翔太は目を泳がせ、きつく目を閉じ、立ち止まった。
「いじめっ子の一人。『ママに翔太は図書館に入り浸ってるって言っら、本のムシね…って言ったんだ』だって」
綾は翔太を抱きしめた。
「ムシじゃない。ムシじゃないよ。言葉のアヤ…アヤって私じゃないわよ?言葉のアヤって言って、読書家ってこと。人から聞いたっていう人の話…つまり、いじめっ子の親の心の匂いはわからないでしょ?」
翔太はうなずく。
「でも、ムシって…」
「青虫が葉を食べることからきてるらしいけど、大人はよく知らない難しい言葉を使って子供に対して、えばるのよ…ホンッとムカつく」
翔太は綾の背中に手をまわして言う。
「やっぱり、心読めるじゃん。見込んだ通り。僕がお姉ちゃんは心のキズわかるっていうの疑ったでしょ?」
綾は翔太の頭を撫でる
「ちょっと、ね…でも、大人はそのくらいわかるわよ」
翔太はニヤリと笑う。
「大人嫌いなんでしょ?」
綾は、ふくれっ面になる。
「む〜…でも、大人だもん…」
「そっか…わかったよ、おばさん!♪」
綾は顔を真っ赤にして怒る。
「まだ高校生だ〜!明日の退院前に骨折ったる!」
綾と翔太は廊下を走る。
「コラッ!廊下は走らない!」
看護師さんに怒られ、一気にテンションの下がる二人。
「屋上行こうか?」
綾がいたずらっぽく尋ねる。
翔太の顔がぱあっと明るくなる。
「うん!ありがとう、お姉ちゃん!」
目を細めて微笑む綾。ふぅん…ちゃんと笑えるじゃない。
そよ風が吹く屋上。
「うーん…!きっもちいい!」
綾が大きく伸びをすると、翔太も真似をする。
「ん〜♪」
すると、翔太は真顔になる
「お姉ちゃん、呪いとか、物質浮遊とか信じる?」
綾はびくっとした。
「…え…何それ…無いわよ」
翔太はうつむく。
「忘れたの?僕はウソついたかどうかは、すぐわかるよ」
今度は綾がうつむく。
「そう…だったわね…」
「怖いんでしょ?」
綾は、慌てふためいた。
「そ!そんなこと…ないけど…ちょっと怖い思いさせられて、敏感にはなったかな…」
綾は翔太をまともに見れない。手のひらをブンブン降る
「ほ、ホントよ!?ホント、どうしたんだろ私…」
手のひらを降る綾の手を握る翔太。
「いいんだよ、お姉ちゃん。ごめん、ちょっといじわるだった」
あのね、と付け加えて語り出す翔太。
「お姉ちゃんさえ良ければ、僕とこの街を歩いて欲しい。感じて欲しい。能力者の心を。で、いつか…」
綾は、翔太の手を握り返す。
「いつか?」
綾は問いかけ、微笑む。今度は、真っ直ぐ目を見て。
「いつか大人になったら、一緒に能力者の心を救う旅に出て欲しい!」
綾はきょとんととする
「なぜ私?」
「お姉ちゃんの手が、心が温かいから。きっと能力者のみんな、心を開いてくれるから」
綾は即答する。
「わかった!その心匂で導き出した答えだもん!私は翔太を信じる!能力者も救う!もちろんあなたもね!」
翔太は微笑む
「ありがとう!」
二人で温かな風を受ける。
「夏休みに計画に移す?」
「わかった。これから時々お姉ちゃんの家に遊びに行って良い?」
「オッケ!翔太の家は事情ありそうだからね」
「でも…二人はパートナー!説得する」
明るく綾は言い切った
こうして、二人の出逢いは実った。
今回は序章。
次から呪いや物質浮遊でるのです。お楽しみに!