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地獄に堕ちし者達  作者: 柴野まい
第3地獄
6/20

地獄にて

すみません。

あまり書けなかったです。

 セインセイズの人生は裏切りと絶望に溢れた人生だった。

 後悔、執着心、そんな感情がセインセイズを地獄へと至らせた。

 セインセイズの生前は此れ以上でも以下でもない。


セインセイズの回想は終わりを迎える。


***


「ふぅ、やっと目標数整理出来た。……でもまだまだ書類はある。絶対見つけてみせる。あの人の書類を」


山のように積み重なっている書類を見ながら、セインセイズは一人呟く。


そんな時、扉がノックされ、セインセイズ一人のはずの執務室に人が入って来る。


黒い髪、紅い目をした男だった。

男はセインセイズを見ると、紅い目を細める。

そして問うて来た。


「イーンフェルヌス様。ご職務ありがとうございます。誰かから、息抜きとして甘味が用意されておりました。お食べになりますか?」


セインセイズは一瞬だけ躊躇った後、頷く。

生前ならば、絶対に知らない相手からの差し入れは受け取らなかったであろう。

だが、セインセイズ達はもう死んでいる身である。

故にもう毒の心配などない……のだが、セインセイズは少しだけ躊躇った。

生前の感覚がまだあるのだろう。

地獄へと至った者が生前の感覚を覚えている事など稀だ。


大抵はもう死なないと思い、何でも口にするものなのだが。


セインセイズは地獄へと至った男。


そして、地獄の試練を乗り越え、地獄の長(イーンフェルヌス)となった男。


この地獄の誰よりも今の地獄を知っている。

それが***の権限だから。


なのに躊躇った。

男は驚いていた。

地獄の長(イーンフェルヌス)に。



男は地獄の長(イーンフェルヌス)に長く仕えているが、この様な姿を見せる事はなかったから。


生前を思い出していたから、などとは知る由もない。




甘味を食べたセインセイズは、また書類の整理に戻る。

あの人の書類を求めて。


今の地獄を知っていても、過去の地獄は知らないから。

それを知るために。

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