9 暗闇の邂逅
ひと騒動が過ぎ去り辺りも昼の獣から夜の獣にとって変わる頃
俺の表情をみてとったのか
「シーア様、昨日の深夜からお疲れでしょう今日はおやすみ下さいませ」と言ってきたので
「ああ、そうしよう」と軽く首肯する。
俺は、地下の実験室内に着替えやら寝床代わりのソファ等の持ち込んでおり
あの爆発でほとんど失っていた
屋敷内にも自室は有るのだが部屋の隅々まで研究書の類で埋め尽くされているのを
覚悟していたが扉を開けて思わず「おぁっ!!」と素頓狂な声を上げてしまった。
するといつの間にそこ居たのか背後から、
「シーア様のお部屋は下に篭っていらしゃる時に、いつも掃除して御座います」と事も無げにいう
「すまないな」
「いえ、これもメイドの努めですから」
軽いやり取りだったが俺のなかでは、重く心の奥底に来るものがあった。
本の山に埋もれていた俺用の寝台もキレイに整えられて居りまたもや”私のお古ですが”と
書き置きが有り”被る様に着て下さい”とネグリジェがたたんであった。
もし着ないで寝たりすると又機嫌を損ねそうなので着ていたワンピースを脱ぎネグリジェを被るように
着て長い髪を乱暴につかみ取り引き出した。
新しい感覚に戸惑いながらもゆっくりと寝台に意識を沈めていった。
どれぐらいたっただろうか?意識の向こうか此方か分からぬが、何者かが言葉を紡いできた
・・・ーアよ われは・・・ ・・・なり お主には・・・って・・・たい・・・ことが・・・る
必ず□□□・・・□□を探せ そのためにそなたをその・・・・・・に・・・ まずは・・・ ・・・
海の☓☓☓を目指せ・・・ ・・・それからだ・・・ ・・・は待っているぞ
「待て! おっおマエは一体誰だ!」
自分自身の声で急速に意識が覚醒して半身をがばりと起こす。
声が響いたせいで下から慌てて様にミーアが駆けつけてきた
「シーア様、どうかしましたか?」
「いや、ちょっと夢見がわるくてな自分の声で目が覚めただけだ」
「本当ですか??」といい更に
「本当ですか??」と同じ質問を重ねてきた。
じーっと腹の底を探る様な目で睨めつける
「うぅ、降参だ軽く沐浴してから話そう」
「そうして下さいませ」と語尾荒げに言う
軽く沐浴を済ませた後、昨日のワンピースに着替えていつもしている様に
朝食を済ませると
「やはり、シーア様はシアズ様ですね」と
にやにや笑いをして「お話しが終わったら街にでかけましょう」言ったミーアの顔を見ると
俺は何故か悪寒が背を走りびくりと身体を震わせた。