8 シーア はじめての その2
食事も摂って水分も摂るといよいよこの身体が代謝活動を始めたらしい己の中で
魔素が体内を巡る感じが視えて来た
(やはり、魔法適正がすごいなどんな形で発現するか楽しみだ)
暫く、くつろいでいると急に尿意がもたげて来た
だまって経過観察する訳にはいくまい。
トイレに立とうとするとミーアが「トイレですか」と言ってきた
「あぁ、場所は分かるがその何だ作法とやらが有るならドアの外から教えてくれ」
「はい、ちゃーんと御座いますともシーア様はオンナの子なのですから」などとからかうように言う
「分かった!分かった!」と言い個室に入る
ショーツを下ろし小用を済ませ危機は脱したが
「今、終わったが作法ってこの後か?」と個室の中からか細い声音でいうと
「そうでございます、そこに有る使い捨ての拭き取り用の葉(硬い葉を叩いてやらかくして干して拭き取り用
として使用している)で優しく拭き取って下さいませ」とくぐもった声が聞こえて来た
(ホムンクルス体いえど人間の女性と変わらず、子孫だって残せる様に創造したからな)
「分かった」と言って彼女の言う通り撫でるように拭いた。
「終わったぞ」というと
「今の作法は必ず守って下さいね。でないと体調を崩しますので」と強めの口調で警告された
「必ず守る様にする」
(これからは、外出時は拭き取り用の葉は持ち歩かないとだめかぁ面倒くせぇ)
多少の不便さはあるものの、元の身体が完全に埋葬されもう存在しない。この身体とは
命が尽きるまで付き合わないといけないし、面倒くさい作法とやらは早く身に付けるに限る。
(シアズの時は、トイレを汚く使って小便器の前に 一歩前に! などと書かれていたものだ
身体に関しては付き合う覚悟だが、心の中まではまだ無理なようだった)