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オルティア・レコード  作者: 南 泉
二章 〜 魔女と小さな銀の鍵 〜 ベルゼ浮遊大陸編 第一部
65/75

65話 忍びよる悪意

「さぁ サラの蚯蚓ちゃん達 裏切り者の”ヤンス”を見つけて頂戴」

サラはニコニコ顔で誰もが気味悪がる闇蚯蚓を愛おしそうな目で

うっとりとして囁く。


 度重なるサラへの仕打ちは少なからず心に変調をもたらしたようでは有るが

蚯蚓への異常な執着以外は普段と変わらず行動自体もおかしな所は

なかった ......が。


 胸に一匹だけいる一際大きな闇蚯蚓はサラが特にお気に入りで指令塔の

役割を果たす他サラに女の悦びを与えてくれる眷属でもあった


 そんな闇蚯蚓がサラは大好きになってしまった 

生理的に大嫌いな魔物との同居・人外のような裂け口と、さっさと

状況を受け入れてしまえば心の負担も軽かったろうが

只人に近い感覚を持っていた彼女にとってはそれは酷な要求であった、


 加えて度重なる非道な仕打ち・難解な古代語の知識の詰め込みと

精神に過大な負担がのしかかっていたのである

そんな状態でも、彼女は辛い現実を極端に自己肯定することで

精神こころの完全な崩壊を本能的に免れていた。


 彼女は既に異性への興味も同性への嫉妬や猜疑心も失い

男言葉も完全に忘れてしまった。

カワイイ服や小物、闇蚯蚓そして最も愛する妹・ソラしか関心を示さなくなってしまい

言われた事は淡々とこなすだけで何も感慨が涌かなくなっていたのである。

 今の彼女に必要なのは美味しい食べ物でもなく

小綺麗な服でもない、ソラとの安穏とした同居と救護院の療養なのである


 従者が別口で運んできた可愛いワンピースに着替え生臭く気味悪い蚯蚓に接吻をする。

胸の裂け口から出たり入ったりしている、ソレを見た従者は顔を顰めたが

サラは従者の態度には無反応で

 

「さぁ、ヤンスを捜さなきゃ ふふっ この子ったら恥ずかしがり屋なのね

ちっとも出ていこうとしないの」

とうっとり眺めていた。

本当は、サラの監視役兼多くの蚯蚓達の司令塔役なのだが、今の彼女には

それを理解出来る精神こころはもうなかった。


 そんな心の迷い子に半分足を踏み入れているにも関わらず自我を保って居られたのは

ソラの存在が大きかった。


 ベルゼに出立の直前、フォルネウスと名乗る男性が声をかけてきたのだ

「サラとやら、安心しろ”ソラ”は健在で息災だからな 御前達姉妹共

引き取りたいと言う御方がおってな 詳しくは言えんがもう少しこらえろ

御前さんの胸の穴と蚯蚓は無かった事には出来ないが

必ず、よい方向に向かうだろう 待っておれ」

と言ってくれたのである。


「本当? ソラちゃんに逢わせてくれるの? 

でも蚯蚓ちゃん達はこのままでいいの 今のサラにはこの子達しかいないもの」

泣きじゃくり呆けた顔でその男性を見上げる

「あぁ、本当だとも オレはウソは言わねぇ 信じるかはどうかは

御前さん次第だがな 蚯蚓に関しては御前さんがそう言うならそのままでもいいがね

どのみち、もう元にはどうしても戻せねぇしな 一度、人外が為した術による結果は不可逆的でな

戻せねぇ事は御前さんでも知ってるだろ? この世界オルティアことわりだ」

彼は、憮然ぶぜんと答えた 純粋な魔族でありサラの目からも相当な位階の持ち主という

ことは伝わって来ていた。


「うん、知ってる でも武器を喪ったサラには後この子しか居ないから もういいの」

と無表情で応える もう元に戻せないことはシュリエルに胸に裂け口を施された

瞬間に諦めていて

ここで踏みとどまらないと本当に自我が崩壊し

妹に出会えたとしても妹と判断する事すら出来なくなる事を自己保存の本能が、教えてくれた。


 その男性の目は真剣だった。

そうして最後の望みを、その男性の一言に賭け

(今度こそ、絶対 ソラちゃんと一緒に暮らすんだから)

その想いをくさびに自身の精神の完全崩壊を食い止めたのである。


 フォルネウスはそんな彼女の心の迷い子に半分足を踏み入れかけている

現状を見てとって、商談を急いだのは言うまでもない



 その頃、ヤンスはトノベルの酒場で酒を飲んでいた

シーアの従者に成ってからヤンスの処遇は劇的に変化したのである

彼も半人半魔の混血種族とういう事も有り、世間の待遇は酷かったのである

しかし、実のところ半人半魔は魔族と只人の特質を備えていて

魔族よりはマギが少ないが只人よりは有り、躰の頑丈さも只人と比べると

遥かに頑丈なのだ。


 種族的に少ないというだけでヒム族・エル族・ドワ族・ウル族・ケット族の

五大種族に蔑まれる対象に成っているに過ぎない。


 中には例外も有るが大抵は卑下されがちで名を馳せるともなれば

只人の何倍もの苦労を経験しなければならないそんな種族が

魔族との混血種族である


 そんな彼がいまは、大金持ちのお嬢様の従者として特にこき使われることもなく

何かを強要されているわけでもない

その上、使い魔まで貸し与えられている。


 今 安酒場でこうして、酒精の濃い酒まで窘めるのだ これを破格の待遇と言わずしてどういうか

彼には他に当てはまる言葉を見つける事は出来なかった。


 放っている黒い金糸雀は特別な動きもなく報告するような大きな変化もない

仕えているあるじはあれだけの能力ちからの持ち、更に

”遺産の少女” と称する普通では絶対目にするとすら出来ない存在までいる

半人半魔仲間でも ”遺産の少女” は時折話題に上る。

”盟約” したいだの ”契約” までこぎつけただのと噂になる

彼が仕えているお嬢様は、相手に気に入れられる ”盟約” を果たし

”遺産の少女” 達はこんな自分にも声を掛けてくれる 

彼も半人半魔仲間に自慢したかった ......が。


 不用意に口を滑らせれば、直ちに自身の左目に慈悲無く、存在全てを喰われるであろう

彼の唯一の縛りであった。


 やや悶々としながらも彼は今の状況には満足していた

そして実際に彼が出張ったのはキマーラ討伐の時ぐらいであり

時折、こちらから声を掛けても心配居らないと言う


 彼が仕えてきたあるじのなかでもシーアは特に思考が読み辛かった

時折、男性的な判断を下すこともあったりかと思えば

振舞は外観相応の少女で有ったりと これといった決め手に欠ける行動思考で

彼は自身のあるじをどういう人物なのかをまだ完全に

把握しきれていなかった。

(シーア様は何を考えてなさるのか あっしには分からねぇ)

そんな事をぼんやり考えていたときである。


 最近、トノベルで潜伏しつつこうした安穏とした生活を満喫していたが

やけに闇蚯蚓が出没するようになったのである。


 彼の隠れ家である ”異元の懐” 以外では大抵見かける様になったのだ。

夜も宿の寝台で休む時もここ数日は毎晩蚯蚓避けの護符を寝台の脚に巻きつけていた

これは本来赤子が闇蚯蚓に喰われないためものであり


 対象が大人になると奴らも本能で、避ける様になるのだ

大人で被害に遭うとすれば病で臥せっているか、年老いた人等である

それが、現役で体力もマギも充実している彼に付き纏うように必ず

何処かしらに数十匹単位で居るのである。


ならば ”隠者いんじゃふところ” で休めば安心ではあるのだがあの空間は

自分一人しか居らず

ついつい人恋しさにかられて外界で宿を取ってしまう。

経費も仕えているあるじから貰っているので泊まってちょっと贅沢する分は困らなかった。


「アンタ闇蚯蚓に好かれているんじゃねぇ? 」

と酒場の主人からもからかわれていた

「そうでやんすね 此処最近多く見かけるでやすね 潰しても潰しても何処からともなく湧いて

来やがるんで 此処の地下遺構にでもでかい”巣”があるんでやしょうかね? 」

「ハッハァ そりゃ闇蚯蚓共に聞いてみるしかあんめぇだろうさ」

「潰すと臭ぇし 放っておくかと言ってこれも、れっきとした魔物 厄介な連中でやす

魔物は魔物を呼ぶって言いやすしね」

と首を横に振り肩を竦める。


「護符がいくら有っても足んねぇし 銭使いすぎるとあっしのお嬢さまに怒られまさぁ」

「はは 何時だって女は男の買い物は理解出来んさ 逆も然りだろうけどな」

「そうでやすが、一回相談してみますかねぇ」

流石に、これはヤンスにとって看過できない事柄であり

小さな変化を逃がしたばかりに痛い目に何度も遭ってきたからである

彼の本能が囁いていた。


「へぇお宅のお嬢さまって半人半魔の御前さんなんかの相談に乗ってくれるのかい? 」

「あっしの ”お嬢さま” を悪し様に言うのは赦さんぞ」

とヤンス酒場の主人を睨め付ける。

 

 彼にとってシーアはだたの仕えるあるじではない

決して待遇のよくなかったフレジア・銀の三日月・クィエル教から”完全”にアシを洗う事が出来たのは

彼女の尽力以外に他ならなかったのである。

「うぇ 悪かった 言葉過ぎたよ オレもアンタに食いもん、食わして

そのお代で生計を立てているんだ、赦してくれ」

と酒場の主人は素直に詫びる。


「いいでやすよ あっしもこうして美味いもんアンタから食わして貰ってる身でやすから」

ヤンスはトノベル入りしてから同じ酒場でこうして食事をしたり酒を飲んでいて

すっかりこの安酒場の主人と懇意になったのである

これも以前は到底考えられなかった事であった。 


「うふ みぃつけたぁ ヤンスぅ よくもサラの ”かわいい” 蚯蚓ちゃん達潰してくれたわね

ククッ 後わぁ オウチを見つけるだけだよね ヒーヒッ...... クックク」

と半ば哄笑にも似たどこかズレた笑い声が漏れる

「それにしても、いい暮らししてるわぁ 新しいご主人様は何処のお嬢さまなのかしら? 

って 新しい主人様って女性? このサラよりその主人様に苛められているのかしら 

だとしたら ウフウフッ い気味だわぁ♡ 」

 

 サラは、彼が自分より非道い目に遭う場面を想像するだけで、思わず目元・口元が緩み

口に咥えた親指を伝って涎が、タラタラ下品に垂れた。

「サラ様、本部より伝達で御座います」

といきなり従者から声を掛けられてあわてて手巾ハンカチ

まだ涎を拭う分別は残っていて、丁寧に拭う 

従者をよく見ると銀の三日月でもよく使っていた

鳥型の魔器がいつの間にやら肩に留まっていた。


「えっっ なっなに? 」

とビクリと跳ね上がる 脳裏に恐ろしいシュリエルの顔が浮かび膝がカタカタ笑いはじめた

「脅かしてすみませぬ フォルネウス様よりの言伝で御座いまして

ルベルト岩礁帯への手配はこの私がお供せよ との事

お一人でわたらなくていいそうです」

「そう」

とまた無表情で答える


 此処へは密航で航って来ている

ルベルト岩礁帯へもどうせまた此処ベルゼ名物の

呪物の蛙やら蟲やらが大量に入った大樽に潜んで、航らねばならないのかと思っていて

うんざりしていた。


 以前なら男言葉で口汚く罵る局面であるが やはり何処か精神こころ

壊れてしまって何も昂ぶる感情も湧き起こらなかった。

そして、どうせならかわいい蚯蚓達だったら良かったのにと見当外れの思考がよぎる

闇蚯蚓は何処にでもいるし珍しくもない。


 ソレが今回は従者付きでオートマトの振りだけでいいそうだ

ビヨンとは違い”普通”のオートマトは無表情でお凡そ生気がない

今の半ば魂が呆けたような彼女には皮肉にもお誂え向きだった

オートマトも普及型は”モノ”扱いであり、少女と見紛う”ビヨン”はなにもかもが特別たっだのである


「あと、アイツの根城だけど アイツって気配には敏感なのよね 蚯蚓ちゃん

どうしよっか? 」

とまたもやうっとり顔でぬらぬらした大きな闇蚯蚓に頬擦りをする。

闇蚯蚓を相手する時の彼女サラは多分に狂気をはらんでいて従者も迂闊には

声を掛けづらく、明後日の方に視線をやりサラには視線を合わせないようにしていた。


「うふふ 後で、かわいいお名前付けてあげるわ  

やぁん、胸のオウチであまり暴れないで、くすぐったいじゃない」

と笑顔で語りかける

その様子をみて従者はまた肩をすくめる。


 その時、フォルネウスは、ようやく全ての商談を終え先にソラを引き取り

仕えるあるじの元へ彼女を送り届けてから契約書を携え再びベルゼを目指していた。



 銀の三日月内でもサラの噂は聞こえてきていた。

トリンデでの贋ディーボの戦闘後、姉だけクィエル教団の信徒に連れて行かれそれきりだった

そして、安否も分からず日々泣き暮していた。 


 メイドの修練をしてるだの、信徒勧誘に精を出しているだの、古文書の読み書きを習っているだの

そんな聞こえのいい話しか伝わって来なかった。

遺物を奪われた事実や自分達の出自を考えれば、そんな事は方便に決まっていた


 そしてとうとうある時、”お父様”と見知らぬ体躯の大きな男性と

何やら話し込んでいたのを聞いてしまった。


「姉の”サラ”ですが気の毒にクィエル教団の女秘書に毎日のように自分の加虐嗜好の嗜みに

されていましてね 挙句、闇蚯蚓などという下等な魔物使いに無理矢理仕立て上げられて

(精神の)状況は切迫しております 

何卒、盟主様の素早い御判断とご決断を受け賜りたく存じます 」

『うむ、分かっては居るのだよ あのは儂が最初に拾い上げた ”娘” の一方であるからな

すぐ手放すとしても、クィエル教団に預けて置けばさらなる

手駒として成長して戻って来てくれると思っとったがのぅ』

と長い髭をひねりながら、他人事の様に困惑していた。


「ですから、相手が些か悪かったようで、 

向こうの教育役は同性で、しかもサラは只人共が”除外者アウターサイド”等と

下賤げせんな蔑称で呼んでいるのをいいことに ”仕打ち” のし放題

どうしても逆らえないことをいいことにして ”己れ” の欲望を満たす有様 

あれでは、手駒として成長するわけが有りませぬ

盟主様を崇めていらっしゃいます我が闇王 ”ハデス” のご息女様方も

冥眼めいがん:イルゼリア” の失態の対価としては

あまりにも重いと嘆いていておられます」


 一見大賢者風で地面までつくほど長いヒゲ・腰まで在る長い白髪の”お父様”は

黒い立方形のオーパーツコアを弄くりながら

『うむ、して ”冥眼めいがん:イルゼリア” を奪った者の名は? 』

先のフォルネウスの問いには直接答えず問いを問いで返して

濃い紫の瞳を細めた。


「畏れながら、申し上げます 例の加虐嗜好の持ち主の言によれば

銀の風こと”シーア”なる娘が持ち去ったとの事と聞き及んでおります」

途端に、”お父様”は、破顔した


『ほぅ!、 アヤツか!! トリンデでおうたきりよの そうかそうか 

いずれ巡り巡って余のたもと

くる運命さだめの娘よ その娘に渡ったのなら わが ”二人” の娘の対価には

余り有るとも申し分ないな

 ふふ 愉快愉快 まったくどう転ぶかは分からんもんじゃの。


 のう ”リーン” よお主は神界で堕落な生活をしている間に

現界は愉快な方に転がっておるぞ

お主も早う現界に出張って来てちょっかいを出せば、面白おもしろなるいうに

三神さんしん協定なぞ律儀に守りおって くそ真面目な女め』

と独り言ととも、視えないない誰かに向かっての問い掛けにも取れる独白をした。


「あの、私・フォルネウスの問いをお忘れでは? 」

と手を擦り合せ恐る恐るいうと

『おっと そうじゃったな すまんつい ”戯言” を言ってしもうたのぅ

対価無しで引き取ってよいぞ 訊けば気の毒に ”心の迷い子” に片足踏み入れておるそうな』

これを聞いたソラは思わず声を上げそうになった

あんなに気丈で自分を守ってくれた姉が、そんなになるまで追い込まれるとはどんな状況だろうと。

チラリと ”お父様” の視線が飛んできたが好奇心には勝てないそのままの姿勢で聴き入る


 尚も会話は続く。

フォルネウスは静かに首を縦に振る。

『そうかソレは済まなんだ 儂も放任しすぎたかのぅ

どうもこういった、父娘おやこというものの付き合いの加減が分からんでな

済まぬ事をしかたの 

それなら この ”コレーの丸薬” を餞別がわりにくれてやろう』

と目を細めほんの僅かうれいを纏う


「 ”コレーの丸薬” ? 」

フォルネウスですら聞いたことのない品だった

『これは、 ”心の迷い子” の深淵に陥った者を掬いあげるものじゃ

闇蚯蚓は元には戻せんが、心の乱れを正す物でな いい方向に向かうだろう

後、 これもやろう ”傀儡かいらいの繰り手” といってな

この両端に魔物の魔石を嵌め込むとな完全にその魔物を眷属に出来ると言うものじゃ』

と何やら捻じれたような意匠デザインの杖を見せる

両端には魔石を嵌め込める様に成っていて今は、空だった

『あれでも我が娘には変わらぬ 何時迄もかわいい ”娘” じゃよ』

”お父様”はまた目にうれいの色を滲ませる。


 三神さんしんの覇権争いで各々の支配圏が決まって

幾星霜も”退屈”で無為な日々を送っていて偶々、地下遺構で

小汚いオトコ口調で必死で妹を守るサラを見て偶々、袂に置きたくなった

ソレだけの事であった。


 銀の三日月もこの世界に介入したくて戯れで結社した。

そして組織の者からも あのサラ・ソラ姉妹からも

いつしか、”お父様”と呼び慕たわれるようになって

この 我・”旧き円環の蛇” の干からびた無味乾燥な心に 

”情” らしきモノが芽生え始めたそんな矢先の事であった。


 フォルネウスは杖と丸薬を受け取り 最礼で ベルゼへ向かう

フォルネウス去ったあと ”お父様”は

『ふふ ようやく”シーア”が動き出したか 彼の地の封印も解けた

退屈せずに済みそうじゃわい。


 儂も ”クローティア” のようにか弱い少女の姿で戯れてみるとするかの 

彼奴シーアは殿方が嫌いとみえる 真に変なやつじゃて

少女おなごが男をいて何の問題があるというのだ

その前に銀の三日月の ”後継者” を決めねばな 面倒なことじゃ』

と ”お父様” は色んな少女の姿に変じていたが

『うむ これでいいかな ......おっと これでいいかしら......かな 

慣れぬ少女おなごの言葉は窮屈なものじゃて』

と長い髪と豪奢なレースとフリルのワンピースを揺らし掻き消えた。



「ふうん、貴女蚯蚓使いね 私達の”下男ヤンス”に何の用かしら? 」

とセミロングで肩くらいのゆるふわで毛先がくるくるカールしている

瞳は淡いミスティ・ローズの可愛らしい少女がいつの間にやら

後ろに立っていて サラはその少女に突然声を掛けられた


 ”従者”は既に昏倒していたが

胸が大きく上下に動いているところを見ると息は有るようだ。

「な なに? 貴女達は? 」

「うふふ そうね シーアおねー様に盟約を誓い おねー様の武器となり盾となることを

望んだ者よ ”ライブ・アーテファクト:遺産の少女” と言えば理解が早いかしらね

うふふ ねぇ、レメ・ラヴィア・フェーリアぁ 」

「「 そうよ、コトンおねー様と同じ私達だってシーアおねー様に盟約を誓っているんだからね

ソレを忘れないでよ」」

「シーアですって!! 」

サラは久しく忘れようとしていた恐ろしい仇敵の名と容姿が脳裏に鮮烈に蘇る

「そーよぉう ソレがどうかして? 」

とコトン目は既に獣の様に細められ剣呑な光を初めていた。


「シッ シーアはどっ何処!! 」

サラは、上ずった声でやや大きめな声を上げる

途端に傍いたもう一人の黒い唇の少女の纏う気配が剣呑なモノに変わった。


「おい 貴様、シーアおねー様を呼び捨てにシやがって オレが赦さねぇ

今この場ですぐテメェの躰から ”生骨” を全て抜き取ってっもいいんだぜ なぁ? 」

と可愛い少女から下衆な野太い男の声 

良く見ると髪に紛れた茨がシュルリとサラの首に巻き付く

「あなた、男? 」

この世界オルティアには一見少女と見紛う異性装の男性も居る

サラにも二人覚えがあった。


「オレは、女だよ こういう声も出せるんだよ 特にテメェみてぇにおねー様を侮辱する奴を

見るとな つい昂ぶってなぁ」

と黒い唇で恫喝したのは

髪は銀光沢のラヴェンダー・ブラシ 淡いオリーブドラブのメッシュが入り

瞳は淡いイエローグリーン全体的に清楚な心象イメージ

しかし、性格は残忍な邪悪嗜好で肉片付きの生骨を集めるのが好きな”ラヴィア”であった。

サラは本能的に彼我の能力差を感じ、お漏らしして地面を濡らした

もうシュリエルどころではなかった。


「ふぅん 怖かったのね この お小水お漏らししたわ」

いち早く可愛い小鼻をひくつかせ茨をふにふに動かす

声は外観同様の可愛い声になっていた。

「 ......で先の質問。 もう一度訊くわ、貴女私達の”下男ヤンス”に何の用? 」

と茨をヤンスの方に向けた。

よく見ると容姿は多少違っていたが 仇敵:シーアがヤンスと話込んでいた


 以前相見えた彼女とは違い

今恫喝している少女と同じようなふにふに動く髪を備え、纏う雰囲気をガラリと変えていた

今更ながらサラは、シーアの纏う雰囲気から彼我の差が有りすぎていた事を

本能で感じ、あの時の事がよぎり改めて彼女への恐怖を実感したのである。


「駄目よ、ラヴィアちゃん ”下男” なんていったらシーアおねー様にお叱りを受けるわ」

と恫喝している少女を窘めているのは 氷を体現したかの様な少女で

サラの足元にはびっしりと霜が降り小水もたちどころに凍て付いていた。

「うふ そうだったわ ごめんなさい いいもう一度だけ訊くわ 私達の”ヤンス”に何の用? 」

もう一人の背が三人よりは低い少女は終始ニタニタ笑っていて

「レメ、もう飽きた お屋敷へ還るわ」

とふいっと掻き消え

と一言、後に残った少女達に

「レメったら お子様なんだから」

と言われていた。


 クローティアの陣の改変により今の彼女達は

本の陣を踏まなくともレフィキアに入ることが可能になったのである。


「い 言えない こ......これは どうしても......言えない」

「ふぅん そう ならその下品な魔物共々潰してあげるわ」

と茨がサラの胸の裂け口にスルリと入り込み 一際大きな闇蚯蚓を絡め取り

ギリギリ 締め上げる 闇蚯蚓は チーチー と激しく鳴きもがく。


「イヤァッァァー!! やめてやめて お願いお願い この子を殺さないでっ!! 」


 サラとのパスは強くなっていて、その上愛しの闇蚯蚓である 

大声が掠れ最早声にならなかった。


 愛しの闇蚯蚓はあっさりと捉えられぎりぎり締め上げられていた

只人にはこの闇蚯蚓は脅威であっても ”遺産の少女” には児戯以下である

幸いここは裏通りで辺りの喧騒でサラの声は掻き消えていたし

誰もがサラのような見ず知らずの他人の面倒事にわざわざ介入しようとはしない。


 ラヴィアが更に締め上げ、闇蚯蚓が潰れる その時、

「ちょっーーと待った!! ”遺産のお嬢様” この場はこれで収めちゃくれませんかね」

とラヴィアの茨を鋭い刺が手を突き破っているにも関わらず...... むんずと掴んだ大腕があった。

ちなみに茨の先のほうは刺を入れたり出したり出来て棘は生えて居なかった。

棘を生やして瞬時に潰すことも出来たがラヴィアはそんなにたやすく

殺すわけがない。

相手の能力差を知りつつ 敢えてじわりじわりと生命いのちを奪うのがラヴィアの流儀であった。


「貴男、何者? このラヴィアの茨を素手で掴めるなんておねー様と貴男ぐらいよ

いいわ この茨を素手で掴んで私を驚かせてくれた貴男に免じて話を聞いてあげる ......わ」

としゅるりと素直に茨を引っ込めた

彼の手の疵はたちどころに塞がり元に戻る。


 闇蚯蚓は解放されたと同時に慌ててサラの裂け口に潜りピタリと口を閉じてしまった

「私は、フォルネウス さる皇女様の御付きの執事でございます

訳あってこのサラを引き取りに参りました。 」

と胸に手を添えこうべを垂れサラを庇う

 

「貴女様がサラにお手を上げているのをみて これはお止めせねばと思い

貴女の処断に御無礼を承知で介入させていただきました。


 このサラは、闇蚯蚓コレを潰されたら、完全に心の迷い子になっていたことでしょう」

彼の真剣な目をみて、ラヴィアは二人に無言で目配せをする

「「あとは、ラヴィアちゃんに任せるわ」」

とニ人とも首肯し掻き消える。


「それとこのラヴィアのシーアおねー様に対する侮辱に何の関係があるのかしら

しかもその 闇蚯蚓使いの女とおねー様って因縁があるそうじゃない

今、おねー様はヤンスと大事なお話中なの そこでラヴィア達に怪しい気配をさぐり

悪意が有るなら討滅していい と命を受けているの

おねー様への侮辱は悪意以外の何物でもなくってよ」

とゲスな笑みを浮かべ鋭い視線をサラに向ける。


「それは御尤もで御座いますがね、 この娘は半分乱心していた という事で

このフォルネウスに今一度ご再考の余地をいただきたく存じます 

このサラもこんなに怯えていますし」

とフォルネウスに庇われたサラは大きな躰の後ろで童女の様にズボンを掴んでいた

「ふん、おねー様は無闇に生命を奪うな ともおしゃっていたわ

おねー様に感謝しなさいな 

でも先のおねーさまに呼び捨てという侮辱。 これの謝罪が無いわ

ソレはどうするつもりなのかしら? 」


「お待ち下さいませ いまこの娘は半分”心の迷い子”に足を掛けております

今、丸薬を飲ませます さすれば、心のもやも晴れて正常な反応が出来ると

思います故、 暫し猶予を頂戴しとうございます」

「いいわ、ラヴィアはその闇蚯蚓使いの謝罪が聞けて

”下男” に一切手を出さなければそれでいいの 

早く丸薬とやらを飲ませてよ」


「はい、只今 さぁサラこれを飲め 心が晴れる飴だ ”お父様” からの餞別だぞ」

とサラは白い細長い楕円の丸薬を含んだ

忽ち、淡い白い燐光がサラを覆うそして燐光が収束して元に戻ると

「お父様ぁ!! ごめんなさい」

の第一声を切っ掛けに心の霧は晴れて正常な心に戻り

今まで彼女を支配していた狂気の闇が薄れ瞳は本来の

輝きを取り戻した。



「ラヴィア様、お赦しを ......そしてシーア”様”にもお赦しを頂戴しとうございます。

フォルネウス様、サラはこの ”闇蚯蚓:ルシャラ” と共にご皇女様のメイドとして尽力をつくす

所存です。 

どうか、このサラをシュリエルの手よりどうかお救い下さいませ」

とその場に泣き崩れた。


「ふん、確かに謝罪の言葉ね 

いいわ無礼におねー様を呼び捨てた件は赦してあげる

おねーさまへの敵対心も無いようだし 

ヤンスへは今後一切手を出さなければ あとは好きになさいな」

とラヴィアはほんの少し目元を緩めた。


 今までの呆けたサラは何処にも居ない 毅然とフォルネウスに応対し

初めて自分の要求を他人にぶつけていた。

「ようやく、自分の意思で望みを言えたな さぁこれに著名しろ

妹の名の上だ」

「あぁソラちゃん 元気だったのね」

 久方振りに見る妹の字は少し乱れていてサラ自身の涙で霞んでよく見えなかった

そして自血で著名しこの瞬間サラとソラはハデス王第二・第三皇女付きの正式なメイドとなった。


「貴女、もう居らない邪魔よ」

と言い放つ冷たい声

「えっ!! 」

と途端に怯えるサラ


 ラヴィアの茨がサラに向かって伸びていく ......が、 

直前でれ後ろに居た従者の少女から ”生骨” が全て抜かれいつの間にやら

そこにいたコトンは目玉を、フェーリアは心の臓を掴んでいて

「んーおめめ 久しぶり おいしー」

とコトンは早速一つを口に含む

「この心の臓 新鮮だわぁ氷漬けにして蒐集品にしちゃおうかな食べちゃおかな

迷っちゃうわ 今までは採れたてじゃなかったしぃ 味がちょっと ......ね」

と凍りかけた心の臓を抱き愛おしそうに匂いを嗅いで

ニヤついていた

これをみたフォルネウスは

「噂に違わずおっかねぇなぁ 敵対はしたくねぇ嬢ちゃん達だな」

本来の彼の口調であろう砕けた言葉で

肩を大袈裟にすくめた。


 従者の少女はグチャリと皮袋に成り果てて手からは

狂毒が、塗られたイチノキの柄の竜牙の短剣がカラリと転がり落ちる。


 この毒は狂毒で回復したてのサラが今、喰らうともう二度と心の迷いの深淵からは這い上がれない

この狂毒を調合した本人しか解毒出来ない難物でもあった。


 このような狂毒は調合する素材の割合が人に依って異なりその割合を知っている

本人しか専用の解毒薬を調合出来ない性質があり

単なる”毒”と違い 狂毒や呪毒はこのように厄介だった。


 呪毒も同様で 毒を放ち恐ろしい呪詛の言の葉を紡ぐのである

妖術を極めていない素養のない只人でも毒を購入すれば簡単に実行出来る

この世界オルティアでも極めて危険な毒種であった。


「ラヴィア様、素晴らしいお手並みでした このフォルネウス改めて御礼申し上げる

シーア様の会談も終わりのようですな」


 フォルネウスが行動を起こさず彼女に賛辞を述べたのは

ラヴィアの茨の軌道が背後で刃をサラに向けていた 従者のヒム族の少女に

向かっていたのを一瞬で看破したからである。


「お挨拶を と思いましたが 今は一刻も早くサラをソラに逢わせてやりたいのです

シーア様とは何れの機会が有りましょう 

さぁ サラ、タフタル大陸までこの石翼魔ガーゴイルに乗って行くぞ

荷物はこれか?」

とクィエル教より持ってきた小さな麻袋に入った幾ばくかの私物をサラに渡した


「向こうに付いたら お主の ”お父様” よりもう一つの餞別を預かっておる

楽しみにしておれ」

「はい フォルネウス様 あの ”ヤンス” の居場所の件は? 」

「気にせずとも善い、 従者は不慮の ”事故” で生命を落した そういうことだ では」

とラヴィアと軽く目配せをした。

 

バサリバサリ

 

 と灰色の翼を広げ石翼魔ガーゴイルは二人を乗せ飛んでいく

タフタル大陸でサラとソラは無事、久方振りの再会を果たし紆余曲折あって

皇女の好意もあり二人も純魔族の仲間入りを果たし

定命のことわりからも外れた。


 こうして、地下遺構に端を発したこの姉妹の過酷な生い立ちは

二人の皇女の庇護の元でようやく全て報われ皇女付きメイドとして新たな一歩を踏み出し

 シーアが見違えるように生き生きとしたこの二人に邂逅するのは

もう少し先のお話である。


「ねぇ おねーさまぁ どうだった ねぇどうだった? 

ラヴィアだって殺さずにちゃんと事を運べたわ

ねぇ撫で撫でしてぇ でもおねーさましっかり見てたでしょ? 」

「ふふ いいね よくこらえたわね 偉いわ」

わたしは、ラヴィアの髪を優しく手で梳いてやった

「うふふ いい気持ち ラヴィアはねぇ 世界オルティアを彷徨って居たぶん他の皆より

物知りなのよ」

としたり顔

「ふふ、知ってる でも後の三人も苛めないでね」


そのようにさとすと

「勿論よ そんな只人共のように器量は狭くないのよ ラヴィアって♡ 」

彼女は封櫃されるまで四人のなかでは一番活動期間が長く

知略と交渉事にも長けていたのである。


 全てをみていた訳ではなかったがどうやら彼女達で上手く気配をとりなしたようである

今回は敢えてヤンスに呼ばれてから嘗て感じた怪しい気配の探索を任せていたのである

クローティアからも

『たまには ”遺産の少女” 達にも事を任せてみたらどうじゃ

危うくなったらお主が介入すれば善いではないか 

本来はじっとしていて、満足するたちの者達ではないからな』

と提案され

彼女らの退屈凌ぎにはちょうどいいし、レフィキアはこの世界オルティアに比べたら

遥かに狭い世界、そういう空間に愛玩動物のような扱いは彼女ら自身にとっても

酷だろうと慮っての判断だった。


 何れは、これから増えるであろうと”予見”さている

人外の少女達の為に ”庭園” を誂えなければならない時がきたようである

でもわたしにはまだ広く人外の少女達でも満足する ”庭園” の具体的な

姿は浮んでは来なかった。


 一人は彼女達の手にによる犠牲が出たようだが

あれはあれで始末を付けなければいけない局面であろうことはなんとはなしに察せられた。

嘗て相見えた仇敵サラもあの男性が来てから劇的に変わったようであり

こっちに本気で悪意をぶつけて来ない限りにおいては、もとより手を掛けるつもりはなかった

しかし謎なのはあの男性である。


 嘗ての仇敵たる”サラ”を何処かへ連れ去ったのかはわたしにも分からない。

その上ライブ・アーテファクトたちがいくらわたしの命があったとはいえ

最後まで手を下さなかったのかも謎であった 

ライブ・アーテファクト達の温情があったのか、向こうから何らかの取引を持ちかけられたか

それはラヴィアの表情からは読み取る事が出来なかった。


「おねーさまに説明するの面倒くさいし あの殿方にお愉しみに取っておけと言われたの

だから 言ーわないっと」

と分りやすい知らぬが存ぜぬを通し

彼女にこれ以上の問い詰めは愚問であろう。


 強引にわたしの唇を奪って中はわたしのほどは広くない

空間だが見た目はぺしゃんこの戦利品の入った小鞄ポシェットをぽんぽん叩く


「お土産手もこうして手に入ったんだしこうして

おねーさまのお口もらえたからもう他はどーでもいーの

今回は採れたてだから皆しばらくお屋敷から出てこないと思うわ

ねぇ ラヴィアも行っていい? はやく愉しみたいの」

とおねだり顔。

「えぇいいわゆっくりしなさいな これからはヤンスとの行動よ」

「はぁ〜ぃ」

と言って掻き消えた。

ミーアとビヨンは儀式前に行きそびれた百貨店に行っていてこの場には

居なかった。



 刻は今より数刻前、儀式を終え安宿で休んでいた時の事


<<あのう シーア様 いまいいですかね? >>

と突然ここしばらく音信が無かった”ヤンス”から突然念話が入ったのである


<<ヤンス、どうしたの? 敵? >>

ある程度は戦闘能力もある彼である

その彼が、向こうからの連絡である

<<いえ 最近あっしの廻りに闇蚯蚓がやたら出没しやがるんで

それに”見知った気配”がちらほらとちらつくんでさぁ>>

<<えぇ、今は何処? わたしはネグリールだけど>>

<<あっしも お嬢様を辿り 近くの安酒場で 一杯引っ掛けてます>>

なんと昼から彼は酒を飲んでいた。


<<呆れたわね。 まぁでもいいわ お酒愉しめるくらいならまだ 

向こうからは仕掛けて来てないようね >>

<<へぇ、まだでやす でもどうも気になるんで 金糸雀を放ってあっしのいる酒場の

上空で旋回させておきまさぁ 足労おねげぇしていいでやすか? >>

<<そうね、 貴男は動かない方がいいわね 気配の正体が完全に掴めない以上

敢えて貴男が動くのは愚策ね>>


 彼と一緒に得体のしれない”気配”を動かすのは避けたかった

わたしは多くの無関係な人まで巻き込むのは望んではいなかった。


 程なく上空から金糸雀が何処からか舞い降り ある一点の上空で旋回を始めた

『気を付けるんじゃぞ この世には能力ちからのあるやつが敢えて弱く

見せる ”擬態” をするヤツもおるでな』

「クローティア ありがと」

『気にするな ...で 提案なんじゃがの』

珍しい事にクローティアが提案を持ちかけて来たのである。

これは、何か彼女に算段があるらしい

『今回はの ”遺産の少女” 達に気配の処理を任せてみたらどうかのぅ

あ奴らは愛玩動物ではないし それに”レフィキア内”は退屈であろう

お主も背負いすぎは良くないし、まぁ何か問題が起きたらその時に

”介入” すればいいではないかの ......とも思うんじゃが どうじゃ?

本来はじっとしていて、満足するたちの者達ではないからな』


「何か”問題”が起きたら介入していいと言うことなら任せてもいいわ」

とわたしが答えると、どこからともなくシセラが舞い降り、

「そうよ シーアったら過保護なんだから あの達って

思ったより ”分別”は弁えている ......と思うけど......」

とシセラも言う 語尾が消えかかっていたが。 


 今回、

ライブ・アーテファクト達にまかせて見ようと思ったのは

クローティアに言われた ”愛玩動物” の一言であった

彼女等は ”愛玩動物” でなく人格を備えた者達である

聞いてみて嫌と言われればその時は、わたしが事を運べばいい。


早速見えない場所でライブ・アーティファクト達を

「おねーさま  んんっ 退屈で退屈でどうにかなりそうよ」

と四人共、同時に頬に接吻をし唇を奪い同じ言葉を言った。

「で ...で 今度は誰を殺るの? 殺るの? 」

と各々武器を構える素振りを見せたりラヴィアの髪の茨がわさわさ蠢きはじめた


「それを決めるのは最後ね、取り合えず ”ヤンス” に付き纏っている ”気配” を探って

頂戴 もし”本気”で敵対し悪意で迫ってきたなら」

「敵対し悪意があるなら? 」

と四人は声を揃えてわたしの次の言葉を待つ。


「無闇に生命を奪わないと言う条件で」

「条件で? 」

と四人は声を揃えてまたわたしの次の言葉を待つ。


「討滅していいわ お土産をたんまり貰って来ていいわ」

すると 三人は童女の様にはしゃぐ レメテュアは 

「またレメだけ 貰い損ねたわぁ」

とわたしのスカートをぎっちり掴み泣きべそをかいた

「ごめんね レメちゃん 泣かないの 今夜はお屋敷で一緒に寝てあげるから」

とここしばらくレメテュアを抱いてやれなかったので今夜ぐらいは

彼女を甘えさせてやろうと優しく声を掛けなだめる

「うん 絶対よ絶対」

「いいわ だから ...ね」

「うん」と他の三人に

「まって レメもいく〜」

と とてとて 走ってついていく

「また おねーさまに無理言って我儘したのね ほんとお子様ね レメったら

でも今回は仕方ないわね さぁ早くシーおねーさまも」

と四人一斉に声を揃え手を引っ張られて 件の安酒場に到着する

「おやおや、お嬢ちゃん達ここには ”牛乳ラッテル” はないぜ」

「銀のお嬢さん アンタもだ」

といわれ

四人の少女達は 

「いらないもーん」

と同時に声を出し

「ねぇ 裏道はこちらでいいの」

とコトン

「あぁ そうだが何もないぜ ガラクタ置き場だけだぜ まぁ遊び場にはいいかもしれんが

散らかすなよ」

と言われ

「はぁ〜ぃ」

と返事をして 彼女達は”怪しい気配” のする裏道へ出ていった。

「銀のお嬢さんアンタもだ ......」

とわたしに酒場のあるじは顎をしゃくる。


「おっと旦那、 このお嬢さんはあっしのあるじでさぁ 

あの小さいお嬢さま達の あるじでもありやすぜ 何か見繕ってやってくだせぇまし」

「すまねぇな アンタのあるじだったか ほらここのまかないだ 食いな

そこの彼に何時も懇意にしてもらってる礼だよ」

とわたしとやヤンスに肉や菜葉なっぱの切り落としと濃い玉蜀黍のスープが

振る舞われて

「あぁ、 お代はいいぜこれらは、俺ら働き手の食いもんで客に出せるようなモンじゃねぇしな

たんまり有るから お代わりはそうさな 二杯ぐらいまでならいいぜ」

と片目を瞑る。


 これは干し肉をぶら下げていた端っこや、燻製の腸詰めの端などが

玉蜀黍のスープと一緒に柔らかく煮込んであり

とても美味しかった。


 この干し肉はアガテ連峰の特産品で寒く乾いた氷穴で約、二季節ふたきせつまたいで

作る高級品らしい あの連峰の麓にはこうした干し肉の生産拠点が多数あり

彼のバルケモス大陸を筆頭に其処から各大陸へ流通させているらしい


「ヤンス これは貴男によ ここしばらく おカネ渡してなかったわね」

と大きめのカネ袋を机の下から渡し、

気配の件はあのたちに任せたことを説明する

「あのおっかないお嬢様達にでやすか? 」

彼も又、彼女達の本性を知っているので

わかり易い表情で聞いてきた。


「えぇ でも無闇に生命は奪うなときつく言って聞かせてあるし大丈夫よ

それに何かあったら直ぐわたしが介入するしね」

「そうでやしたかそれならそれで いいんですが またお一人お仲間に? 」

「そう 後で紹介するわ それより いよいよ”封印地域 ギアトレス”の封が解かれたの」

「えっ!! 」

「しっ 声が大きいわ」

と慌てて彼の口を塞ぐ 彼は顔を真っ赤にしてわかり易い反応を示した。


「ソイツは、大儀でございました ...で何時、乗り込むんで? 」

早速彼も、彼の地が気になる様子。


「ふふ、 これは大規模討伐隊レイド依頼案件となりそうなの どれだけの討伐隊が

集まるかはまだ未知数ね ニーズさん、やケインズさんは飛び付きそうだけどね


心配なのは貴男よ ヤンス 貴男は言い方は悪いけど

普通の 半人半魔でしょ どんな種族がいるかも分からないどんな

強大な人外が跋扈しているかも不明

そんなトコへ飛び込もうとしてるわけ 

......どうする 此処ベルゼに残ってもいいのよ わたし ......」

と言いかけた時

「あっしは、シーア様に救って頂いて以来こんなウメぇモン毎日の様に食わして貰ったり

酒精の濃い酒も窘めます。

元よりこの躰は、シーアお嬢さまのモンでさぁ どうかあっしも連れて行ってくだせいまし」

と泣きそうな顔で懇願する 彼のこんな顔はトリンデ以来だった。


「ふふ そう言うと思った でも最低、自分の生命は全力で自分で守り抜きなさい

あの達に頼んでもいいけど ”対価”が必要よ」

「うへぇ おっかね」


......。


「な〜んて おどかしたけど 貴男の身の安全がこのシーアがシーアの名にかけて

担保してあげる 何か有ったら直ぐ知らせなさいな

あの達にもいって聞かせておくから 安心なさい」

 

「すまねぇす お嬢様」

と彼は益々縮こまっていてわたしに気を遣ってくれたのが痛いほど伝わってきて

こちらが却って及び腰になった。


「新たな武器はもう少しガマンして必ず すごいのを見繕ってあげるから」

と諭し

 トリンデ以来、重要な”家族”である彼にも新しい武器が必要なのは承知はしていたが

候補が無く彼にはもう少し今の武器でガマンをしてもらう必要があった。


「すまねぇす お嬢様」

と再度頭を掻き彼はどこか愛嬌のある顔をニコニコさせていた。


 わたしはここ、ネグリールのギルドへヤンスと連れ立って向かう 

丁度、ライブ・アーティファクト達も無事、”気配”を遠ざけたようであり

甘えてきて頭を撫でてとおねだりをしてきた。


彼女達が屋敷へ還っていったのを見届け今に至る。


「貴男も私と”ギルド”に来て ”半人半魔” だとしても堂々としてなさい」

「有りがてぇでやんす あっしを お嬢様の”下男”としてギルドカードに登録さなってくだせぇ

そうすれば、あっしも単独でギルドに入れますし 予め情報ネタを仕入れてきておきやすんで」

「でも ”下男” じゃ ......」

わたしはヤンスを”家族”として見ていて”下男”扱いはしていないつもりである

ライブ・アーティファクト達は度々、下男扱いしているようではあるが

彼女らとは違って、ヤンスをそういう目では見ることが出来ない。


「なに、構いませんて 気にするような事でもないでやす どうかたのんます

隠者いんじゃふところ” は確かに安全ではありますが 

あっしも人の子 人恋しくなるやすから偶にこうして酒場をうろつくんで」

と異元の指輪をみせる


『そうじゃぞ シーア 此奴もまた愛玩動物ではないでな ”役割”を与えてやることも

主人であるお主の ”役割” じゃぞ 目的・役割が有れば無為な日々を

漫然を過ごす事も無い ......嘗ての儂のようにな』


 今の言葉でクローティアは嘗て、幾星霜もそうした目的・役割も無くただ漫然と無為な日々を

経験してきたであろう事が流石にわたしでも察せられた 

いずれ彼女が全てを話してくれるその時まで 今は、何を訊いても無駄であろう。


「貴男がそれでいいということであれば 名目は”下男”としていてもいいわ」

「是非、そうしてくだせぇまし あっしもクローティア様のおっしゃっている通り

安全で無為な日々は送りたくねぇす」 と真剣な目である。


 決して安心安全ではないこの世界オルティア

身近に野盗・ならず者が跋扈し郊外の街道には小型の魔物がうろつき

偶に、向こう見ずな若者が豚犬に喰われ、女が子鬼ゴブリンに拐われる

こんな世界オルティアであっても人は何かと”刺激”を求めずにはいられない。


 このわたしですら嘗て男性のときにこの少女の躰を創造したのも

クローティアと出逢いこうして”冒険”に旅立ったのも

本能で”刺激”を求めていたのであろう。


 わたしは、なにか勘違いをしていたようだった。

「そうね、分かったわ 名目上は ”下男” として登録してあげる」

執事だと例外が有るだろうが屋敷からは殆ど出ることは無く屋敷守やしきもりの役割がある

執事の下で働く ”下男” であれば使い走りが多く外で単独で動く機会も多ので

出歩いていても何らおかしくはなく

それに、彼の身分も保証され 半人半魔であったとしてもおいそれとは因縁はつけられまい。

こうして下男下女達は出自が半人半魔であろうとなかろうと

主人の庇護の元、自由に動くことが出来るのである。


 ネグリールのギルド担当はケット族男性 ニケル である

「へぇ、アンタ 半人半魔か でも主人は種族不明ときらぁ 

変わった御一行様だな」

と軽口を叩く。


「あぁ御免よ 気にしなくていいからオレはこういう物言いなんだ

上司からは度々注意されるがね、種族の特性ってやつで

俺らケット族の男性は軽いお調子者が多いのさ」

と手慣れた口調で弁解する。


「ところで、アンタか ”冒険者付き下男” の登録者って? 」

「へぇ あっしでやす」

とヤンスが答えると

「ほぅ、このお嬢様が主人って訳だな 下男付きは大規模な一行パーティー

大抵は荷物持ちだ 雇うことも出来るが必ずしもいいヤツとも限らんから

それはいいこった。

中には女のふりして同じ代金で荷物を少なく持とうとする”男”までいるから気ぃつけな」

と忠告する。


「さて証しは耳飾り・指輪・腕輪・首輪から選べるが 好きなの選びなよ」

とヤンスは問われ

「あっしは 指輪にしやす」

「おう いいぜ これは無くさないようにしろよ

それとこれは簡易なギルドカードにも成っていて カネ等はこれでやり取り出来るし

主人からの給金や小遣いも其処のお嬢様のカードから直接カネを移動出来る

もちろんソレは其処のお嬢様しか出来ないがな」

とチラチラ彼の腰のカネ袋に目をやっていて、

「ヤンス取り敢えずそのおカネ、やってみたら? 」

と提案する。

どうやら半人半魔がちょっと大きめのカネ袋をぶら下げて居るのは

珍らしいことのようであった。

「それによ 初回の移動はオレの実績にもなるんだ なぁやらせてくれよ

こう見えてもオレはギルドの職員だ 掠めたりはしねぇ」

と言われ手持ちを少々残しやや七色の光沢のある白い指輪にカネが入る


「さて次は、アンタの番だ ついでに更新するか? 」

「えぇ お願い」

「うひょう すげぇ金額だ こんなカネ何処から転がりこんで来るんだ

羨ましいぜ 

後、次回からは王都”ギルトス”名で ”大火蜥蜴サラマンドラの涎”の

利益金が上乗せされる 全くオメェさん何者だ? 

冒険者としての実績もすくねぇしな キマーラ討伐ぐらいかデガブツは ...」

「こら ニケルッ!! 他人の事をとやかく詮索は無しだよ 

アンタのお給金下げるわよ」

と女性の声。


「うへ まずったぁ 上のお叱りが飛んできだぜ

カードを返すぜ これで 其処のヤンスは正式にアンタ付きの”下男”て訳だ

これでギルド内では 半人半魔のアンタに因縁ふっ掛ける莫迦はいないだろうよ

アンタのようにさ、どんな後ろ盾があるか分かんないからな」

と軽い調子で片目を瞑る。


 彼は、従僕の指輪を右手中指に嵌めて晴れて正式な ”下男” となり

社会的にも私の完全な庇護の元に入った。


「ごめんね 立場上名目は ”下男” だけど貴男はわたし達の家族に変わりないから」

「いぇ お嬢様が気にすることでねぇす」

と彼は分かり易い嬉し涙をこぼしていた。


 早速、ギルドの掲示板を見ると、ネグリール北西のメギスト遺跡で

謎の魔物が居座り遺跡調査が出来ないという。


 既に調査隊の何人かは犠牲者が出ていて目下、大規模討伐隊レイドを編成中とのこと

希望者は、受付までとあり実績は必要ないとの事

それだけ頭数が足りていないのだろう

 

「ふふッ、 犠牲者ってこの子かしら? 」

とふいっと現れたのはラヴィアだった。

「あら、 しばらく愉しむんじゃ無かった? 」

と言うと

「だって 退屈なんだもん」

と口を開け可愛い舌の上には、指の骨と思われるものが乗っていて

ソレは、先の救護院で貰った生骨と思われた。

「駄目よ、あんまり見せびらかしちゃ」

「分かってるもん おねーさまにしか見せないわ そこはきちんと弁えているわ」

と直ぐまた、口に含み直した。


 あの検屍官は死霊術の触媒が

まさか”飴”代わりになっているとは思いにも至らないだろう

 其処にドヤドヤと数人の冒険者達の声

「もう還る、何かあったら喚んでよ 退屈でしょうがないもん」

と彼らと擦れ違いに掻き消えた。



「いやー、まいったぜ 遺跡の先行調査隊全滅らしいで」

「遺跡の中でか? 」

「いんや、ソレが遺跡の入り口付近でよ」

「なんで、罠でもあったんか? 」

「そうとも言えるな 忽然と現れた珠っころから魔物が出てきてよ

やられたって訳だ」

「で犠牲者は? 」

「男二人・女三人だ しかも護衛の冒険者連中はいち早くトンズラしたってよ」

「うへぇ そいつら当分は明るいトコ出てこれねぇな」

「あぁ、そうだろうな」

「でもよ、今はなんで大騒ぎになってねぇんだよ その魔物とやらが

此処、ネグリールまですっ飛んできても可笑しか無いだろ? 」

「それがある程度その珠っころから離れるとな

ヤツはその珠っころに引っ込むんだ だから、こっちには来ねえ」

不思議な物があるものである。


 人が近づくと現れるなんて想像できなかった、何かの罠だろうか? 

『お主、何を考えておる まさかその珠っころ欲しい等と考えてはおらぬよな? 』

「さて どうかしらね? 退屈しているあの達の ”遊び相手に” 

はうってつけと思わない? 」

『呆れたヤツじゃな』

「その 呆れたヤツに引っ付いている貴女も同じじゃない? 」

『それもそうじゃな もう少し彼らの話しを盗み聞きするかのぅ』

彼女クローティアも乗り気であった。


「でよヤツはどんな姿だ? 」

「それがよ 有る時はデっけぇ黒狼、ある時はこれまたデっけぇ黒騎士の姿だ」

「男共は、黒狼にズタズタに、女共は魂を黒騎士に吸われちまった」

「うへぇ 怖ぇな 今、どんな塩梅よ」

「今は、島ごと絶賛封鎖中だが、メギスト遺跡をどうしても調査したい連中が居るらしくてな

どうしてもソイツを退かしてくれだと」

「なんでまた 学者連中はそんなにメギストにこだわるんだい? 」

「さぁな 俺らには理解出来ねぇお宝の目星でもあんだろ

おれたちが興味があるのは武具や防具や蛇若干の宝石類だろ? 宝石っつても

殆どが術士用の触媒だろうだがな」

「それもそうだな ......で面子は集まったのかい? 」

「それがてんであつまらねぇ 報酬がギルド規定なんだよ

今回は後ろ盾が居ねぇ 仮にあの珠っころを報酬にしたって誰も扱えねぇし 

名のある盾役タンクのケインズや新人のニースは

誰かに先を越されたロハップの ギメル遺跡で修練中だからな

何でもニースのヤツ すげぇ大剣と大盾を手に入れたはいいがまだ上手く使いこなせないんだと」

ここ暫く名を聞いてなかった盾役タンクの名を耳にして、

わたしはニース一行パーティーが無事ベルゼ入りを果たしたことを知った。


『ほう、あ奴らもベルゼ入りしとったか?』

「そうみたい ソーヤ元気かしら? 」

わたしは、あの頼りなさげな ”渡り人” であるソーヤが気に成っていて思わす口に出していた。

『ほぅ、気になるのか? お主が ”男性” を気にかけるとはどんな心情の変化かのゥ』

とニヤニヤ笑い

「そんなんじゃないわ ただ気になるの それに ”男性” が ”男性” を好きになるわけない

じゃない」

とつっぱねる。


 まだ、男性に対しては恋愛感情は生まれてこない

思えば幼い時も、近所の悪ガキ連中とは一線を引いていて本ばかり読んでいたっけ

そんなわたしを、女子はまるで妹扱いで良く悪戯で髪飾りを知らぬ間に付けられて

同性にからかわれていたな。 

そんな女子の輪に半分足を踏み入れていても恋愛対象はその輪の中の少女であった。


『何を言うとるか お主は何処をどう見ても本物の女の子ではないか? 』

「うっ それはそうだけど」

と、もうすっかり違和感がなくなった股間をスカートの上からさり気なく触り

反論の弁を持たぬわたしは言葉に詰まった。


「でもでもその珠は欲しいわ あの達の愛玩物ペットになってくれるといんだけどな」

『まったく、呆れてものも言えん まぁモノに出来るかはともかく、

協力は惜しまぬからな 好きにしたらええ』

「そうさせてもらうわ」

まずは、所有権をはっきりさせるためその大規模討伐隊レイド編成に名乗りをあげる


「おっまたアンタか 例の古代魔物(仮)の討伐隊に入りたいって? 」

ニケルは例のニヤニヤ顔でわたしを見つめる。


「えぇ 他に(一行パーティー)は居るのかしら? 」

わたしは、恐る恐る訊いてみた。

今回はシセラの古代知識が必要になるため実体化してもらう必要があり

余り、悪目立ちはしたくなかったのである。


「いんや 居ねぇな 報酬は規定の賞金だけだし 例の学者連中もメギスト遺跡の先行調査

の権利だけを主張していてギルド規定の報酬の分け前でいいそうだ

まぁ、カネが無いんだろ だから面子も集まらん と言うわけさ」

「そう それならわたしとミーア・ビヨンの三人で登録するわ」

『おいおい ミーアのヤツに了承はいいのか? 』

「今回は どうしてもその珠が欲しいの 後でちゃんと承諾貰うからからいいでしょ」

と今回は強引に押し通した。


『ますます、遺産の少女共に似てきおってからに』

とクローティアは肩を竦めて首を横に振った。


「まぁ、オレは受付だ あとは何も言わん 取り消し料金もかかるから此処を良く読んで著名しな」

とわたしはミーア・ビヨンの連名で著名する。


「あんがとよ これでまたオレ様の実績が一つ増えるぜ 締め切り刻限は明日朝の一番鶏までだ

鳴いたら 此処に集まりな その居合わせた面子で今回の大規模討伐隊レイドってわけよ

それまではまだ動くなよ 規定の違反金ふんだくるぜ」

「えぇ」

と返事をして 準備の為わたしは百貨店に向かう

もちろんミーアと、ビヨンに事後承諾をもらいにいくためもあった。



 こうして、わたし・シーアは冥骸都市 ”ユクントス” 入りする前に成行きで”一仕事”する

ことと相成ったのである。

 刻はまだ昼 寒い季節も終わり陽も高くなり、温かい日が次第に多くなりはじめる

そんな時候であった。


次回 66話 混沌より漏れいづる者と邪法の傀儡かいらい

お楽しみに


拙著 ゆめのん名義の

ギリギリ♡(はーと)にキリキリMind(マインド

せ物さがし の てぃあどろっぷ

もよろしくお願いします。


台詞の文言のニュアンス変更は有るかも知れません。

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