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オルティア・レコード  作者: 南 泉
二章 〜 魔女と小さな銀の鍵 〜 ベルゼ浮遊大陸編 第一部
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62話 万魔殿に棲まうモノ




「ねぇ、 古代王朝 レギミニアって知ってる」

突然外界で待機していたシセラが問いかける

『何じゃい? 突然? 』

クローティアは首を傾げる。


「思った通りの反応ねぇ ”旧き贄の蛇”さん 世界の覇権を争って

神界・現界と闇・冥界を争っていたあなた達としては

人の歴史なぞ瑣末な不確定要素の一つでしか無いでしょうけどね」

シセラは腕を組みしたり顔であった。


 クローティアは顔を顰めつつも、剣呑は空気は纏わず

諦観の様子で

『よもや、其処まで看破しとったか そうじゃお主の言うとおりじゃ

儂にとって嘗ては人の歴史なぞ瑣末な不確定要素の一つに過ぎなかった ...が

ある者ががのぅ 儂の考えを改める切っ掛けを拵えてくれてな 儂は変わったのじゃよ

じゃからこうしてあシーアと旅をしておるのじゃ

世の清濁を含めてもう一度この目で見てみたいと思うてな

わざと目的を言わないのも先の発言の通りじゃ』

とクローティアはシーアから貰った瑣末で変哲もない首元の黒真珠を触った。


「ふぅん 殊勝な事なこと」

と軽口を叩くも茶化した様子ではない。

「このわたくしを誰だと思って? 」

とシセラは髪を艶っぽく掻き上げた。


「あのシーアでさえ女神リーンはお伽噺の女神様だと思っているものねぇ

まさか、実在していて神界で隠居生活を堪能していて

自堕落な暮らしをしてるなんて知ったら今代の神官達が知ったらどうなるかしら? 」

『何がいいたい? まさかあリーンをコケ下ろす為の前フリとも思えんが? 』

「ふふっ まさか? あなたが言うその瑣末な不確定要素の一つに

古代王朝 レギミニアってあったのよぅ」

とじれったく間を置きにやにやする。


『ええい、まどろっこしいヤツめ はよ、本題を言わんか? 』

「しょうがないわねぇ 古代王朝 レギミニアにね ”獣” がいたらしいのよぅ

シーアのとは違うみたいけどね

魔女:メトリエーテですら解読出来ない文献にね


((( 旧き獣、その美しき姿は空中庭園〇〇の美姫なるも性質たちは恐ろしく

数多あまたの魔物を喰らう者なり

王朝の王、卒去そっきょなるも庭園とともに虚空を彷徨さまよえり 

幾人いくひと拒まず、幾人いくひと還らず))) 


と一部欠落が有るけどこうあったわ」

『それは、もしや? 』

「そぅ、シーアの獣は人造だけど どうやらこの世界には人造でない ”獣” が確実に存在するわね

どぉ? 興味出てきたでしょ? 可愛い好きのシーアならどう反応するかしら?

でも、不思議ねぇあんな可愛いがなんで ”殿方” になびかないのかしら

クローティアぁ 何か知ってる? あのシーアが殿方嫌いな理由? 」

とシセラはクローティアに不思議そうにたずねていた。


『わっ、儂は知らんぞ あ奴は可愛い物が好きなだけじゃろ』

明らかな素振りを知ってか知らずかシセラは

「ふ〜ん、それにしては”接吻”がね上手いのよぅ まるで”殿方”みたいにね」

『どうして生娘のお主がそんな”殿方”の”接吻”を知っとるんじゃ? 』

「ふふん、わたくし魔女:メトリエーテに”育て”られたのよ

あのヒトったら魔道士:ウニサーレとねぇ今でもしょっちゅう ”接吻” してるのよ

シーアと契約する前は魔女と感覚を共有してのたのよ

み〜んな知ってるんだからぁ でもいいわそのことはあとは聞かないわ

女同士でもスゴク退廃的で素敵だもの」

と堂々と言い放った。


『所で此処での話は 分かっておろうな? 』

「はいはい、”旧き贄の蛇”様のお言葉のままに

それとビヨン、貴女寒くない? 水銀の巡りが悪くなるようだったら火晶石ひしょうせき使っていいわよ

それと、数は”ゆっくり”数えてやってあのたちには肉の器があるしね」

とビヨンに優しく声をかける。


[ そうですね、シセラ 私の水銀の巡りが些か悪いようです 

火晶石ひしょうせき使わせてもらいますね ] 

と不活性の火晶石ひしょうせき励起呪文スペルを唱え

励起させる

火晶石ひしょうせきは暗い赤から明るい赤に色が変化して

温かい空気が三人を包み込む

光りはほんの僅かだが差している場所もある

それにヒカリゴケが凍てつく冷気にも負けずぼんやり明滅を繰り返していた。


「さぁお話はここでお終い、全ては銀の風の赴くままよ」

『そうじゃな』

[ そうですね ]

と三人はまた静かに目を閉じる

凍った氷柱から剥がれ落ちた氷の薄膜がビヨンとクローティアの頭に積もり

幻体のシセラを通り地面に積もる

時間は穏やかに過ぎていく

ビヨンがシーア達に声をかけるのはまだ先の事だった。




「おぅ、マリアージュか? 何時、目ぇ覚ましたんだぁ 相変わらずの少女ぶりだな」

「当たり前だろこれがオレ・マリア様よ なぁ”千変の御使い”様 

いや 今は”ロージィって名乗ってんだろ」


マリアージュはトノベルの廃屋で使い魔を出し”千変の御使い”と申し合わせていたのである

ロージィも相も変わらず、ふるもの(アンティーク)人形の様なドレスに身を飾り

大きなボンネットを揺らしていた。

声もあいかわらす野太い下卑たオトコの声である。


 少しはメイドが掃除したのだろうやや小奇麗な長テーブルの上に胡座でドカリと座り

ショーツを見せつけるように膝を抱えるのもいつも通りである。

「そうさ、オレはこの格好なりが気にいってよぅ これからはずっとこの様式スタイル

通すつもりだぜ」

と片足をくいっとあげ可愛いパンプスとソックスを見せつける。


片や、マリアージュはフリルやレースで彩られた敷物を無骨な椅子に敷き丁寧に脚を横に流し座る

この敷物も嘗てマリアージュが喰い物にした少女のドレスを

仕立て直して誂えてある

意匠デザインがマリアージュの好みでは無かったのだ


「こうして、オレの尻にいつも敷かれている光栄を味わっているんだ

このメスガキも満足だろうよ」

と後ろで髪を持たせてつつ梳かせているメイドを横目に見ながらニヤついて下品に唇を舐め回した。


「ふ、外道なヤツめ」

とロージィは、マリアージュ相手に軽口を叩いていた

一歩間違えば直ぐ血煙になっていてもおかしくはなかった

「それをテメェが言うか? 」

とマリアージュ

「はは、違ぇねえな ガハハ」

とロージィ


こうして”見た目”はどの少女よりも、可愛い似非少女達の下品なお茶会が始まった。

「まず、せっかくのマリアージュお嬢様のお目覚めだ 快気祝いと

いこうじゃないか 

ちょっとこれ摘んでいけや ついさっき拐かした娘だ」

とロージィはやおら 明らかにそれと分かる肉塊をメイドに運ばせた

「きゃ〜ん 美味しそぅ ねぇ マリアねぇ これ此処で食べていい? ねぇ食べていい?」

と口角を上げ涎を抑えられない

「お嬢様、はしたのうございますよ」

と後ろからさり気なく涎を拭き取る 

拭き取った手巾ハンカチはどす黒く変色して崩れる。


ロージィはテーブルの上に胡座をかいたまま

「あぁ、たんまり喰いな テメェの為のモノだ」

とクイッと顎をしゃくった。


 マリアージュは可愛い手で直接毟り取りながら、でも自分の衣服は一切汚さずに

少女っぽく口に運ぶ食肉鬼はヒトの様に食器は使わないこの様式スタイル

普通であるが彼の場合は下品には食べない

彼は、母親の食肉鬼としての性質を色濃く引き継いでいた

一口の大きさに”毟って切り分けて”から丁寧に口に運ぶ

汚らしい音等は立てない

厳しい母親からの躾の賜物であった

「これ とっておきなの いつも最後はこれで〆よ」

と紐が付いたまん丸いモノに舌を伸ばし絡め取る様に口に含み


ぶちゅり


と鈍い湿った音が僅かに二回聞こえた。


メイドに口周りを拭いてもらい 口を突き出し

口紅を指し直してもらう 余分な紅を手巾ハンカチを唇に挟み落とすのも

彼にとっては普通の所作である。


最後に ちゅぽりちゅぽり と丁寧に指を艶美な仕草で舐め上げる。


「なぁ こうしてオレに貢いだからには何かオレにしてもらいんだろ?  

さぁ言えよ 飯の見返りをよぉ? 」

と目を眇めた


「お前さんは、こういう所は抜け目ないな、狡猾さはヴァン族随一だけのことは有るぜ

実はな、あんたの交友の深さを見込んで頼みたいことがある

オレの”妹”分をオンナノコにしてやってくんねぇかな」


「おいおい冗談はよせ これ以上はお作法を教えるガキを増やすつもりはないぜ

兄貴の所のガキ一匹で間に合っているぜ これ以上は引き受けられんぜ」

「まぁまぁ、慌てるんじゃねぇよ 外法魔法医術師の ”リリアーナ” に

オレの”妹”分を躰もろとも”完全なオンナノコにしてやりてぇのよ

何回も確認したが”オトコノコ”には未練がないそうだ

血の盟約書もホレこの通り有るぜ」

と差し出された羊皮紙には個人間の契約で使われる様式で署名がしてある


「ほぅ、カネはどうするよ アイツはがめついぜ? 」

「分かってらぁ 其処は分割でな オネガイするつもりだ

その代わり フレジアとしては素材を分割分のカネと共に持っていくつもりだ

素材の品質やらは担保出来ねぇが何かしらの素材を都度提供するってな

まぁ繋がりを持つ意味もあるからな なぁ、頼むよ」


 外法魔法医術師とは魔法医術師の中でも今代では喪われた”禁術”を駆使

する専門家である

闇社会や魔界等の手勢に改良魔物や改良使い魔などの生物を提供することが多いうえ

外道な目的に使われる事が多いため

禁術魔法医術師とは呼ばれず、この世界では外法魔法医術師と呼ばれていた。


”リリアーナ”はその中でも闇の手勢に与していて幾星霜も、勢力の中でも筆頭格の

外法魔法医術師であった


「ふん、 アイツも物好きだぜ オトコのくせに最後まで追求出来なかった

女の悦楽を得たいためだけにテメェんとこの助手の”少女”を誑かして

乗っ取ったったというえげつないヤツだ 人格や記憶や経験を貪り潰して

今は ”リリアーナ” としてオンナノコを謳歌していてな オレの嗜みの相手でもあるしな」

と誰とは無しにごちる。


 リリアーナの精神は乗っ取ったオトコのものではあっても、

躰は元の持ち主のれっきとしたオンナノコであり

マリアージュも耳の形が気に入らずただ一点彼女に形成術を施してもらい

彼の最大の目的である髪を遺産の少女の様に自由意思で動かせるようにしてくれるだた一人の

外法魔法医術師でもあった。

 

そして ”リリアーナ”の中のオトコは女の悦楽を味あわせてくれ、マリアージュはレディの嗜みを

満足させてくれる相手でもあったのである

世間いういわゆる男女の仲であった。


「所で、ロージィよぉ テメェ シーアってメスガキ知ってるか? オレの甥っ子がやたらと

ご執心でよ 何でもこのマリアージュを謀って封櫃したらしいと言うじゃない? 

何かご存知ないかしら? 」

と語尾は、彼お得意の少女口調のおねだりである


「オレは、見たこと有るぜ 七色に輝く髪で左右の目の色が違う娘だ

でもよ 聡いお前さんの事だ 本気でその娘が謀ったと思ってんのか? 

考えても見ろ オレは幾星霜も存在しているが以前はあんな娘は見たことも無いし 

拐かす”依頼” を受けた事もネェし

お前さんが封櫃される前から存在していれば、嫌でも噂ぐらいはオレ(フレジア)や

お前さんにも噂が流れて来てもおかしかないからな そんくらい上玉な娘だぜ あれは」

一瞬の沈黙がロージィの言葉を切った。


... 。


「クククッ ...... 」

ロージィの目がニヤリと歪む

「 ハハァン  オメェ、一杯食わされんだろよ その甥っ子とやらに

いいようにテメェの能力ちからを利用しようとしたんだろうよ ハハハァア!! 」

ロージィに高笑いされると


 マリアージュがガチりと爪を噛み

「あぁんのぅ 、クソオスガキィーッ!!! 怪しいとは思っていたが テメェの話で合点がいったぜ

チクショゥ 兄貴のガキで無かったら血煙だけでもの足りねぇくらいだ ......が

アイツにもいまは、一杯乗ってやると言った以上手は出さねえがな

クソゥ 一体どこのどいつだ この可愛いマリアージュ様を謀ったのはァ? 」

とメイドがあまりの剣幕にマリアージュの髪を取り落とそうなる。


「マリアージュ様、今はこらえて下さいませ

いずれ真相が分かりましょう それまではお心にお収めておいていて下さいまし」

と彼のスカートの中で”脚”の手入れをしていたメイドがくぐもった声で進言する

「む、それもそうだな オレとしたことがついな ......あぁん...」

と彼は突然顔をゆるめた。


 実はマリアージュはもう一人メイドを侍らせていて

座ったと同時に彼のスカートの中で

可愛い足置き台にパンプスのまま乗せて”脚”の手入れをさせていたのである。


「あぁぁん それいいわ貴女お上手ね」

と思わず漏れる嬌声を隠そうともしない。


 ロージィも彼のワンピースドレスのスカートの中で何が行われているかは百も承知である

表情一つ変えずに

「でもよぉ その娘 人外な上にとんでもない能力ちからありそうだぜ

依頼じゃなかったらオレは手ぇ出すつもりは無いがな

オメェも気ぃ付けな ”十字聖剣” 以外じゃ討滅も叶わないおめぇらでも手痛い目に

遭うかも知れんぞ」

と目を細め友であるマリアージュに進言した。


...と マリアージュは ”十字聖剣” の名を聞いた途端片眉を釣り上げる

これは幼少からの癖で彼がカチリと来た時の癖であった。


「おぉい ロージィッ!! テメェ!! いくらテメェでも言っていい言葉と

言っていけない言葉があんだろがぁ 物言いに気ぃ付けろよ コラぁ!!! 」

とマリアージュは剣呑な空気を一瞬で纏う


「うぅ、悪かったよ もう二度とは言わん 赦せ しかしな、舐めて掛かっていい小娘じゃねぇ事は

友としての忠告だぜ まぁせいぜい気張りなよ」

「ちっ るっせーな 分かったよオメェがそれくらい言う相手だ 事は慎重にするさ」

とまた一瞬に剣呑は空気は去ってメイド達は大きな双丘を撫で下ろした。


 ネリスティーナとマリアージュの両親は共に ”十字聖剣” の露と消えていて 

彼が”先輩レディ”として最も尊敬している母親も同様である。

「して そのシーアとやらの行方はどうよ 

ここベルゼと聞いて辛気臭ぇ隠秘学オカルト

中心地までわざわざ来てやってるんだ つかめている情報だけでもいから話せや」

とマリアージュはロージィを問いただす


「オレが直接見たのは、ギルトスだが部下の知り合いのケット族が言うには

最後にあったのは空中遺跡のギメルだそれからここ、トノベル入りしたのは掴んでいるがな

こっからは分からねぇな 優秀な間者スパイでもいりゃいいんだかな

こちとら聴謀活動専門じゃねぇ 頭まで筋肉で詰まって居るような部下連中ばかりじゃな

オレの部下じゃ頭ァ悪すぎラァ」

とロージィは肩を大袈裟に竦めた。


「そこでオレの”妹”分を使おうって訳よ 聞く所に依ると女世帯らしいからな

アイツも望んで居ることだし”完全”なオンナノコとして接触してらおうかとな

それに唯一まだ闇の手勢にも完全に染まってねぇ 

纏ってる雰囲気から直ぐ看破はされねぇだろ

これを利用して冒険者として仕立てて接触させるつもりだ。

だからな、協力してくれよ なぁ」


「分かったよ 契約書寄越しな オレも近い内に此処の部分だけでも

動かせるようになるかも知れんし ヤツ(リリアーナ)とは接触するつもりだ

ヤツは女として女の悦楽をたんまり味わえるし オレも思いっきり嗜みが

出来るしな そこらのメスガキ共じゃ長く愉しめねぇしよ

リリアーナとは男女の仲だ おねだり してみるとするか」

とマリアージュは右こめかみ付近から二房の髪を分けてリボンで結わえてあった

色違いの部分の髪をくるくる指に絡め取った。


 ある ”遺産の少女?” と張り合った時、彼女はこれをまるで自分の第三の手の様に動かし

彼を翻弄したのである。

それ以来、彼は自分の色違いの部分の髪を第三の手の様に動したくて

しょうがなかったのである。


「おめぇの  おねだり はなぁ」

「何だ? 、まだ物言いか? 」

「いや、何でもねぇ......よろしく頼みますわマリアージュおねぇーさまぁ♡ 」

とロージィは最後はとっておきの少女声で机の上で可愛い脚を上げ弾みをつけ

そのままストンと床におり

マリアージュの元へ両手を伸ばし抱きつき、可愛い接吻を唇に重ねて

丸めた契約書を 傍で髪を持っていたメイドの双丘の深い谷間に差し入れた。


「最後に聞きたいんだが、最近 仄暗き霧 内部で何か起きたか? デメテルの野郎が

言っていたんでな」

とロージィのすいっとマリアージュの首に絡めた腕に力が篭もる

可愛い真っ赤な唇を耳に寄せ


「ふっ、耳聡いなぁ あぁオレの階位じゃ、噂程度だがな 政治変クーデターが起きたらしいぜ

階位二位のヤツが盟主を幽閉したとかなんとか おっとこれ以上は分からねえ

詳しく知りたかったら バルケモス大陸の ”ロートレンスの絵画世界” 内の 仄暗き霧 に

オメェさんが直接出向くこった」


「オレは嫌だね あんな辛気臭ぇトコ オレはまつりごとが嫌ぇなんだよ

そういうのは兄貴の専売だぜ それとオレの甥っ子の ”ヴェネイーラ” がてめぇに粗相したら

オレに包み隠さずに話せよ あの莫迦はレディの修行中の身でな

徹底的に作法を教えなきゃなんねぇからな」

「へぇオレのシーアの行方探しの依頼人が ”ヴェネイーラ” だと知っていたんか? 」

「ふん それくらいはオレだって頭が回るぜ」

とマリアージュは艶っぽく髪をいじる。


「相変わらずだな、オメェのその頭を部下共に分けてやりたいぜ

オレはこれでおいとまとするが 階下の沐浴場に 異世界風の ”ばすたぶ” なるモノを

準備してある 良かったら入っていきな

混じりっけなし処女の血の上澄みだぜ 気に入ったら ”ばすたぶ” とやらはくれてやる

好きにしな」 

「きゃ〜ん♡! うれしーっ ではでは遠慮なくぅ♡ ごきげんようロージィちゃん♡ 」

処女の血の上澄みと聞いてマリアージュは浮足立った。

と彼は挨拶もそこそこに


メイドを引き連れて ”ばすたぶ” がある階下に向かい沐浴場に向かう

メイド達は流石に彼の扱いはなれている

歩きながら衣服を脱がせていく、最後に最高級のアラクネ糸で織った大きなタオルを

谷間がある双丘に巻き ”ばすたぶ” がある小部屋に消えていった。

 

 ”ばすたぶ” それは四足のネコの様な脚がついている長い深皿のようであった


この世界で沐浴といえば地面に丸い穴を掘り其処を煉瓦で敷き詰めに水を張り

贅沢に火晶石ひしょうせきをたんまり使って温めてそれに浸かるのである

マリアージュはこんな深皿のような ”ばすたぶ” とやらは今まで見たことは無かったが

 やはり好奇心が警戒心を上回り

「あらぁ、 ステキだこと♡ 」

と白い貴族の調度品のような陶器で可愛い小花柄の ”ばすたぶ” を見つめていた


その上彼が好きな黒薔薇の花びらを薄いピンク色の液体が満たしてある上面に

多数散らしてあった。


 これこそ飲んでよし、美容によし、の処女の生き血の上澄みである

これだけの量になるまでいかほどの少女が犠牲になったのかは

今の彼には、考慮すべき事柄では無かった。


 ちゃぷり と

一糸纏わぬ姿のマリアージュは、男性でありながら形の良い双丘、あとは男性のしるし

も併せ持った倒錯的な体躯を上澄みに浸ける

髪はせっかくなので上澄みにはらりと散らし

艶美な仕草で一掬い手にとり口に含む  


「ああぁん、 おいしー 後は下がっていいわ サボンで洗う時に呼ぶからお願いするわね」

「はい、マリアお嬢様ごゆるりと」

と服の脱衣を手伝ったメイドを下がらせる。


 彼は長い沐浴を愉しんでから 違う意匠デザインの可愛いワンピースに着替えた。

のちにこの ”ばすたぶ” は王都ギルトスの本拠地の

本邸に据え付けられる事となりマリアージュ専用の

 ”ばすたぶ” として愛用される事となった。


ベルゼのデメテルの拠点に戻り進捗を確認すると明日中にはベルゼの拠点の

準備が整うという

ヴェネイーラは流石に大人しくしていて彼の趣味とブラの詰物の実用を兼ねた匂いポプリ

作っていた。

「ほぅ、大人しくしていたか いいな明日は、此処での屋敷に移るぜ

デメテル以下歓待の宴があるらしいからな ”粗相” はするなよ」


「はい、おねーさま」

とヴェネイーラは、何時になく上機嫌でいい香りがするマリアージュを恨めしそうに見ていた

彼も”オンナノコ”として徹底的に教育されている

僅かな”オンナノコ”としての嫉妬が彼を支配し表情に出てしまう。


「ふん、 嫉妬だけはいっぱしだな まぁいいワンピースドレスは選んだか?

明日の夕刻までは誂えておくんだぞ

あと手隙の者がいたらヴェネを見てやれ

まぁ、予行としてはいいじゃねぇか 多少の”粗相”はまだ赦される相手だ

我がヴァン族のあのお方の前では 多少の粗相すら赦さねぇからな

肝に命じておけよ」

「はぃ、おねーさま ヴェネはもう少しこうしています」

というと

「オレは明日の夕刻までワンピースドレスやら何やらの誂えさえ出来ていれば

何も言わねぇよ テメェの一挙一動まで指示する気はねぇし メイドにませるなり

店に出向くなり メスガキ共から奪ってくるなり好きにしな

但しな メスガキ共から奪うなら”後始末”はきちんとしろよ

トリンデのようなヘマやったら兄貴に言って

兄貴の使い魔共にいたぶってもらうからな覚えとけ」

と語調は穏やかだったがヴェネイーラの目に光るものを浮かばせるには

十分だった。

 

「泣くんじゃねぇよ、まだ何もしでかしていないだろぅよぉ ヴェネイーラぁ? 」

とニヤつきながら茶化す。


「マリアお嬢様ヴェネイーラ様は、まだお若いのですから

もうこの辺で......」

と流石に見かねて進言すると

「ちっ、めんどくせーヤツだぜ あーぁオレは眠くなってきたぜ

たんまり餌も喰ったし夕刻前だが休むわ」

と自分より背が高いメイドに連れられて、マリアージュは寝室へと下がった。

ヴェネイーラは叔父の言葉に加虐的な倒錯を覚えほんの少し劣情を抱いたが

自分の衣服選びに思考を巡らせた。


幾々星霜も前

 ”彼”は自分の存在を自覚してから自身の男の体躯が気に要らなかった

背が高く薄い唇、低い声、怜悧な目、痩身な体付き全てである

ヴァン族男性としては理想的な体躯にも関わらず...だ。


同じヴァン族の女達はこぞって婚姻を申し込んで来たというのに

気が乗らないのだ どうしても... 。


 じつは彼は、かわいいやや幼な目の少女にがれていたのだ

可愛い顔、大きな目、小さな手足、陽の光りにけぶる睫毛、

可愛い衣服や小物、それを飾るリボンやレース達

小さな唇、そしてふわふわの上級のアラクネの糸の様な髪と、少女を彩るリボン。

彼のがれの先はこのような少女との婚姻や、男の征服欲を満たしたいのではではなく

少女そのものにがれていたのである。


「どうして オンナノコになれないのかしら? 」

とつぶやくも自分の耳には怖気がするほど嫌な男の声

しかし、ヴァン族の祖レーリアより かの地タフタル大陸の調査を命ぜられ

更に赴いた先で、

幾星霜もかけてヴァン族の男性として完成されいく自身の体躯を恨めしく感じながら

彼はかの地で理想の 少女 を見掛けて大きな転機をむかえたのである。


 背は小さく髪は躰を覆い尽くすほどに美しく波打ち、可愛いリボンを散りばめて

容姿はまさに彼の理想とも言える存在が、蹂躙の限りを尽くしていた。

しかし、能力ちから的には敵わぬ相手、下手に手出しは出来まい

 戦闘を仕掛けるには レーリアの存在が、この場に必要だった。


 ...がしかし、彼のがれはそんな事はどうでも良かった

その少女の容姿が目に焼き付いて離れなかったのだ。


「あんなのようになりたいわぁ」


 彼のその台詞はその娘の能力ちから等ではなくその少女自体を指していた

まさになりたい理想の オンナノコ がいたのである。


...... と 


 呟いた時、突然ヴァン族の祖 レーリアとのパスが切れたのである

突然切れるなんてありえないことであった

パスは、この世界において血より濃く、親子の絆より太いいモノ

まして、彼は人外である 繋がり(パス)はやすやすとは切れぬモノ

相手が滅されるか封櫃されるかのどちらかあるまい。


 彼は、レーリアの性分からしてそのどちらにも当てはまらないことは

分かり切っていた。


「ふふっ 我が祖レーリアは何処かの誰かの封印の余波に巻き込まれたのね

簡単には逝かないものねぇ あのアマ

こうしていくら待っても、パスが戻って来ないんだもの

階位2位であるわたしが

こうして難を免れたのもハデス王の加護かしらねぇ〜♡ 今、この時ヴァン族は混乱している筈

このチャンスを逃す程莫迦じゃないわ ふふ オンナノコとして

ヴァン族を支配しても一興よね ふふはは 早速 魔法医術師のセンセに

この穢れたオトコの躰を素体にやや幼めの可愛いオンナノコに”改変”してもおうかしら 

今の髪も目も躰ももう嫌っ! 」

と嫌な男の声で叫ぶと 彼は闇の手勢でも名高い魔法医術師

リリアーナに今までの蓄えた全てのカネ、大樽50に詰め

いきなり床に樽を並べ

「センセ、これで私をオンナノコにしてっ! こんな男の躰はもぅイヤっ! イヤなのっ!! 」

とまくし立てた。


「 ......でもでもしるしは残してね 思い出に残しておきたいの♡ 」

と羊皮紙に高名な人相書きに描かせたた彼の理想のオンナノコの絵を見せて

施術を契約した。


 7昼夜後、可愛い豪奢なワンピースドレスに身を包みながらもスカートの股間は

しるしがはっきりと分かるくらい膨らんでいる可愛い少女が

リリアーナの許へ医術院の療養室から出てきた。

背は彼の好みのやや幼めで低め、足首まで有る髪は銀光沢のラベンダーアイス

のウェーブロングで

あのと同じ淡いブルーラベンダーのメッシュが所々に入っていて

髪全体にリボンを散らしていた

瞳は、淡いアイリスで、唇はパウダーピンク

豪奢なワンピースドレスがよく似合っていた


「ヴァン族の階位二位である貴男にこんな願望があったなんてね

リリもびっくりよ、ついでにずっとこの姿のまま 大樽50のおカネのオ・マ・ケ

貴女がどう動こうともおカネさえあればリリはそれでいいわ それと声も変わってるでしょ?

 

...秘密? ...秘密なら当然厳守じゃない でないとこの仕事は務まらないわ 」

と姿見でモジモジしたりスカートをつまんだりしている少女に向かって確認していた

「えぇ、ちょっと幼めで素敵なお声 ”るな” の理想通りよ」

可愛い小ぶりな唇からは、がれてがれてやまなかった

やや幼い印象を与える少女声が、発せられた。


「センセありがと♡ きゃうん ...いやぁ... またスカートに風が入って来たわぁ〜

うふ でもこの感覚を待ち望んでいたのぅ 今からお洒落が楽しみよ♡ 」

「満足手いただけたようで、魔法医術師冥利に尽きるわ」

とリリアーナも満足気であった。


アレだけの大金を積まれたのである、施術も気合が入るというものであった。

そうして、彼はオンナノコになったらやってみたかったいう

スカートをつまみ足を交差させる挨拶をして部屋を辞した。


 彼は男の躰の時にたんまりと”自分”の為に可愛い服や小物を既に買い込んでいた

慣れない”男言葉”で

「娘に買ってやりたくてね」

等と会話をはさみつつ棚全部のワンピースを自分用として購入したこともある

彼は普段は少女言葉ではあったが、さすがにヴァン族として、階位二位としての体面もある

対外的では我慢をして窮屈な”男言葉”を使っていた。


 彼は、その少女の躰でレーリア不在で混乱しているヴァン族をたちまちの内にまとめ上げ

て難なく階位一位の座を手に入れた


 突然行方不明になった階位二位の男、そして突然現れた”少女”を結び付ける者は

誰一人とて無く

るな こと ”ルナティア” はレーリア封印事故後の新たなヴァン族の統治者として

今代、シーアの時代まで幼めの少女の見た目のまま何一つ姿を変えず君臨し続け

まつりごとの辣腕を振るい、今も強大なカリスマを遍く発揮して

その小さな少女のパンプスに多くの癖あるヴァン族を跪かせてきたのである

あのマリアージュでさえも。 である。

”ルナティア”が男であったことは、彼らヴァン族にとっては瑣末なことであった


 その ”ルナティア” がタフタル大陸の某所で

大きな玉座に座り、足置き台に足を乗せメイドをスカートに潜らせ”脚”の手入れをさせながら

「もう、穢らわしい”下男”は下がりなさい るなは、殿方はキライなの

特に貴男のような半人半魔はね

殿方と認めていいのはヴァン族の殿方だけよ 覚えておきなさい 

レジーナに伝えて頂戴 彼女から聞くわ」

と大きなクマの布製玩具ヌイグルミを姫袖に抱き顎をしゃくる


「はい、姫様ひいさまお目汚し失礼しました レジーナ様......と訳でして」

と彼・ ルナティアの専属メイド ”レジーナ” になにやら伝えていた。


突然、ルナティアは可愛い嬌声をあげる。

「やぁぁん くすぐったぁい るなねぇ これだぁ〜い大好き レミーナぁ 優しくしてよ もぅ♡ 

やっぱりコレ残しておいて良かったわぁ 」

とだた一箇所だけ遥か幾星霜も彼が少女になる前から変わらぬ箇所も手入れさせていた

彼の脚のお手入れを独占している ”レミーナ” は ”レジーナ” の姉である

ケット族のメイド長として彼に絶対の忠誠を誓いお手入れ専属になるまで幾人も

同じメイド仲間を蹴落として来た。


 淫靡な性格で女性特有の嫉妬や独占欲の塊の様な悪女であった。

「そうでしょうとも わたくし”レミーナ”もぉ 姫様ひいさまのコレお好きですよ」

とスカートの中から声が聞こえる 


姫様ひいさま、お耳を......」

と彼の耳からぶら下がっている大きな紅玉ルビー色で今代の流行りであるらしい

心の臓を抽象化した意匠デザインの耳飾りに口を寄せなにやら

下男から報告を受けたレジーナが囁いた。


「うふふふっ ......クックックッ...... とうとうアイツも目覚めたか? 厄介事をいつもいつも招きやがってよ

この オレ・るなてぃあ様を散々、事後処理に走らせやがって

自分は知らぬ存ぜぬでいい気で寝やがって あの”ヤロウ” 大人しく寝てればいいものを」

と余程昂ぶったらしい 彼は声もやや幼い少女声に改変していたが

小汚い男言葉口調になった

彼もまたマリアージュ同様昂ぶると小汚い男言葉口調が出てくる性格たちであった。

窮屈で嫌な男言葉も”恫喝”にはもってこいである

ルナティアは、時折男言葉で”恫喝”して数多の少女を喰って来たのである


「して 今は、ヤツは何処にいるって あぁん? 」

とクマの布製玩具を可愛く抱きしめ、指を深く食い込ませながら睨めつけた。


「はぃ姫様ひいさま マリアージュ様は浮遊大陸”ベルゼ”にご滞在なされているとか

副メイド長の ”レアーネ” が先の使いの下男に伝えきたとの事です」


 副メイド長 ”レアーネ” はエル族の少女で妖術使いの冒険者兼間者スパイ

表向きは 優秀な妖術使いとして単独ソロで活動している

行きずり的に

他の一行パーティーに加わり彼・ルナティアの為に”餌”の少女の選定や調達

市井の噂や同ヴァン族の監視等を行っていて

同じ間者の配下を多数抱えていた

この少女も、またドス黒いゲスな心根こころねを抱えていた。

彼女は表向き冒険者をしている位に躰を動かすのが好きでもあり

常に各大陸を巡っていた。


「ふん、そうか ヤツは、もう何かしでかしたのかァ? 」

と子供っぽい仕草で小首を傾げクマを撫でながら上目でやや剣呑な空気を纏った。


 ”レジーナ” は

「いえ、今は大人しくしているようですよ 甥っ子のヴェネイーラ様の初お披露目に向けて

淑女レディ”のお作法をたんまり仕込まれていなさるとか」

「がははぁ アイツがか? 冗談だろ オレはてっきり ネリスティーナが面倒見てると思ったぜ」

と可愛い舌でペロリと口角を舐め上げる。


「それが どういう気まぐれかマリアージュ様自らのご指導なようですよ」

「ふはは そのヴェネイーラというオスガキも気の毒にな ヤツは丁寧にもの教えるって事を

知らねえからな この るなてぃあ様に遭う時まで ... が無くなっていなきゃいいんだかな」

「ふふ んんっ......それを......んゅ...急かしているのも姫様ひいさま...んぁぁん

でしょうに...」

と”脚”の手入れをしているレミーナがくぐもった声で言う。


「それもそうか 今まだ 何もしでかしていないからいいとするか でもネリスティーナには

何故ヤツが目覚めたのか 聞かなきゃな おぃッ!!、 ネリスティーナに使いを出せ

此処タフタルまでテメェが オレのトコまで出向いて来いってな

ヤツの眷属はオレでも退きそうなくらいは怖ぇ相手だ なんせあのハデス王に直談判して

手に入れた眷属だ

丁重なふみを出せよ とにかく”本気”で怒らせなければどうでもいい

さっさと準備しろぉ!! 」

とまた急かしていた。


「はぃ、では早速」

レジーナは階位の下の下女を呼び何やら伝えていた

慌て二つの三つ編みを踊らせると下がって消える。

「ふふ もうお手入れはいいわ ありがとね  レミーナ」

と彼はいう

もうスカートも不自然さは無いどころか

可愛いフリルのショーツに完全に収まってしまいこうしてみると男とはにわかには

信じられなかった。


「ふわぁん もうねぇ るなねぇ 眠いの 今度は、るなのすきなウサギさんのにしてよ」

とポイッとクマの布製玩具ヌイグルミを投げ捨てた

さっきまで綺麗だったそれは、あちこちかから綿が飛び出し手足が半ば千切れかけて目のボタンも

糸がほつれて無残な有様になっていた


「レジーナぁ〜 ねぇ〜 この子もう壊れちゃった つ・ま・ん・な・いーっ 新しい子頂戴ぃ?〜 」

と大きな玉座で両の脚をばたばたさせた。


姫様ひいさま、 もう少しお優しくしてあげてくださいね」

と レミーナが進言すると

「ふん、生命の無いものに哀れみなんか必要なんてないわ 早く捨ててきてよッ! 

もうるなは、そんなもの見たくもないわ」

と言い捨てていた。


「えぇ、その前に御髪を梳かしましょうね 姫様ひいさまは ”オンナノコ” なのですから

御髪はいついかなる時も綺麗にしておきませんとね」

「うんッ、 るなは可愛い”オンナノコ”だもんッ 早く髪梳かしてよ  

ねぇ レミーナぁいつもの御本読んでよ ”初期古代語” で書かれているやつ

 ”獣の少女の考察と見解” をね♡ 」

とわざと彼は幼さを演出していた。


 嘗て躰を改変してまで求めた理想の可愛いオンナノコは

今こうして自分より背が高いケット族のレミーナに連れられて大きなフリルやレースの天蓋つき

の寝台に座り朗々と難解な初期古代語で書かれた、分厚い重厚な装丁本を読み上げるメイドと

髪を丁寧に梳くメイドに囲まれてショーツを見せつけるように

片足を抱えうっとりとしていた。


 ちなみにレミーナが朗々と淀み無く今代語に訳しつつ読み上げている

”初期古代語”は学院の老講師ですら

多くの碑文・古文書と格闘して数頁翻訳出来れば上出来な位の難解さである。


「ククッ ネリスティーナの奴め、どんな言い訳を持って来るか楽しみだぜ」

とこれが髪を梳かし終え

新しいウサギの玩具を抱え寝台に眠りに就く直前に吐いた台詞だった。


 昔、

ネリスティーナとマリアージュが産まれた時、

父親のランドスが ルナティアの許を訪れたことがあった

当時は、新興氏族の若いヴァン族だったランドスは

テレシィとの間で二子を設けた際、ランドスなりの野心が有ったのだろう

既に頂点として君臨していた ルナティアに 息子達をお披露目したことがあった。


 可愛い産着に包まれた二人を見たルナティアはニヤリと顔を歪める。

「まぁ、ステキでかわいい赤ちゃん あのね、ランドスのオジサマ るなねぇ

その子達を穢らわしい男にはしたくないの 分かるでしょ? 

るなと”お友達”になりたかったら 完璧な”オンナノコ”として育ててみない?

可愛いドレスに可愛い小物、お洒落だって幅が広がるわ」

と嘗て同じ想いを男の躰の時に焼け付くほど、

いだいてていたルナティアは、甘くトロリと溶け込む様に

傍で控えていたテレシィにも優しい視線を向け囁きかけた。

 

「このるなてぃあも、 ”同じ” オンナノコのお友達が欲しいなぁ

でないと 階位も滅するまで アナタ達一番下よ 分かるぅ? その意味ぃ」

幼声おさなごえで囁く。


「...... 。 」


 若きランドスは理解した 

目の前の、ルナティアは異性装の男性である 同じ異性装の者を育まないと

階位は上がれぬのだと

そして、新興氏族である自身の位階を上げて自分も重鎮達と席を並べるには

そうしなければならぬのだと。


「...... 。 」


「うむ、そういうことならボクはボクの氏族の為でもある

息子達を徹底的に”娘”として育てようではないか なぁテレシィ」

と恐る恐るテレシィを見ると、目が輝いているではないか。


「...... 。 そうね、息子二人じゃお洒落も愉しめないし

ドレスも着せてあげられないものね

えぇ、アナタ この子達は、たった今から上の子が”ネリスティーナ”

下の子が”マリアージュ”というのはどうかしら? 

どぅ? 可愛い名前でしょ」

とニヤリと微笑んだ


 このテレシィはヴァン族でも珍しい純粋な食肉鬼でもあった

対して彼・ランドスはヴァン族でも純粋な吸血食で生肉は一切口にしない


 性格も淫靡でオトコ好きを絵に描いたような女である

変性する前のルナティアにも自分になびかせる為

色んな事を画策して仕掛けた事もある

だが一向になびかないのでおかしいと思っていて 知り合いに探らせるほどの

行動派でもあった。


 結果、

小さい少女好きだと思っていたがまさかその少女そのものになリたくて

自分になびかないのだと知った時は、一時オトコ好きの性格も潜めたが

男性だった時のルナティアに面立ちが似ていた

若きランドスを目撃して再び火が付いたのある

彼女は欲望の赴くまま

ランドスに恋の矛先を変えすぐに我がモノにしたのであった。


 自分の淫靡でねっとりとした性格を息子達に植え付けたかったのもある

あるいは十字聖剣の露と消える事をこの時、予見していたのかも知れなかった。

 彼女は、先のルナティアの提案や夫・ランドスの決意もありすんなりと

受け入れたのである。


 ただ、上のネリスティーナの幼少時は、ドレスやワンピースを嫌がっていて

あまり彼女には懐かず、

すんなりと、ドレスやワンピースに馴染み

好んで着ていたマリアージュはテレシィによく懐つき率先して厳しい作法もこなしていた。

テレシィも贔屓するほど可愛がり徹底的にレディとしての嗜みを仕込んだのである

テレシィという女は、そんな女の塊のような女であった。


 猛反対されるかと思った若きランドスは、まるで既に考えて有ったかのように

女性らしい息子達の名前が彼女のすんなりと口から出て内心で驚きながらも首肯した

あとは現在の彼らを見ても結果は言うまでもあるまい。


 将来の彼らをオンナノコとしてヒトの社会に上手く溶け込ませ

ヴァン族とヒトの接点を 

ルナティアは労せず、甘言一言で築き上げたのである。


 ルナティアの恐ろしい所は決して直接的にああしろこうしろとは言わない

あくまで言葉を曖昧にして言われた相手の解釈に委ねる様に

その容姿と幼い口調で巧みに誘導する。

癖多きヴァン族を短期で掌握してきた

下衆で野心家で策略家の男が若きランドスの眼の前に

可愛い少女の姿で立っていた。


 ランドス辞したあと

「莫迦め、まんまとこの るなてぃあ様に乗せられやがって これで

ヒト共と我らヴァン族との接点を”自然”な形で溶け込ませることが出来るぜ

労せず大魚を釣り上げるとはまさにこのこと。

あのオスガキめらがこれから、ステキなレディになるのが楽しみだぜ

レアーネェ 分かっているだろうなぁ 定期的に経過を報告しろよ」

と 既に副メイド長として、また間者スパイとして才覚を発揮していたレアーネは

「お姫様ひいさまの御意に」

の一言で掻き消え、そして今代に至る。

そしてそのランドスの孫までが ”レディ” として育てられていた。


 約束通りランドス氏族を新興氏族でありながら 彼・ルナティア配下の重鎮共

を ”むりやり” 納得させヴァン族での階位を上げたのであった。

ヴェネイーラとやらの社交界のお披露目を急かして彼らを煽り、徹底的に

淑女レディ教育を仕込ませて

ヴェネイーラ自身に疑問をもたせる余地を持たさぬようワザとである。

そういう変わった手駒は彼・ルナティアにとっていくらでも欲しかったのである。


 それからまもなく、王都ギルトスでルナティアの書簡を受け取ったネリスティーナは

渋い顔をして ガチリ と丁寧に磨いた爪を噛んだ。



わたしは、夢のなかであの少女とまた邂逅を果たす。

『ふふ、此度の微睡みははお主と戯れたいと思うてな』

「戯れ? 」

私は一糸纏わぬ姿であの美しい少女の前に立っていた

躰には縦に大きく裂けた空間が蠢き、胸元ではなく喉元に移動した、わたしの証たる

鱗群がその存在を主張していた。

『そうじゃ、この躰は時期が来たらお主のモノになる 妾の意識・能力ちから

お主と完全に一体になってお主として妾は生きる』

「わたしのココロは? 」

『案ずるではない、ココロは変わらぬ 魂に寄り添って見守のみ、ココロの邪魔はせぬ

ちくと性格に変化はあるじゃろうがのぅ』

「でも、今戯れと? 」

『ふふっ、こうして分かたれた存在として妾がお主の前に顕現出来るのは此度が最後じゃ

しばし、女の悦楽に付き合うて貰うぞ

少女の躰にオトコの魂か ... ”女として” の悦楽を味わうのは初めてじゃろ

安心してこの妾に身を任せい』

と彼女の髪が一糸纏わぬわたしの躰にやさしく触れてきて

わたしの髪もまた彼女の躰に絡み合う


...あぁん ...いやぁ...


とっくに違和感がなくなった自分の少女言葉に艶っぽさが乗る。

そして彼女の裂け口に引き寄せられるように吸い込まれた


「これが、わたし? 」

気が付いた私は幾分背が高くなり

双丘も外観年齢にふさわしい大きさになる。

吸血樹の根は更に怪しく広がりうねうね蠢いていた

『どうじゃ すごいじゃろ これがお主の ”獣の少女 クレアーティア” としての姿じゃ

姿見で見てみい』


と眼の前に浮かんで現れた姿見でわたしは自身の顔や全身を

くまなく見ていた

トロリと大人びた目つき、前髪や髪全体や吸血樹の根ですら

全体的に大人びた雰囲気を纏っていた

そして胸からへそ下辺りまで縦にさけた闇色の裂け口

触ると くちゅりとした感触で先程の ”女として” の悦楽が蘇る


んんっ... ...あぁん...


『今は、特別じゃ目が覚めればまた元の躰じゃが 次回の”血の覚醒”で

完全にお主の意思でこの躰になれるのじゃ ココロの声で

その時能力ちからの全ての継承と、最後の指南をしてやろう

それと、妾と同様の ”獣” の少女が後、3体はこの世界にはいる 

お主の助けになる者共じゃて 楽しみにしておれ 

しかし、その者にたどり着くのは己次第じゃ 今は、己を信じともがらを信じて

向かい来る悪意を祓い突き進むのじゃ』

「はい ”獣の少女 クレアーティア” 様」

と声も幾分大人っぽさが出ていた。


『己自身に ”様” はいらぬじゃろ はははッ 愉快なヤツ

こんな性根の魂だからこそこの妾が、寄り添う価値もあろうというものよ

...... 。


そろそろ ”竜” とやらの対峙が控えておろう試練を乗り越えて見せよ』

「えぇ、 ”獣の少女 クレアーティア”」

『ではな 魔導のビヨンの数がもうじき数え終わるぞ

しかと、悪意を討ち破るのじゃ ではな』 

とまた周り暗闇に戻り、わたしは元の躰でネグリジェを纏い空間に漂っていた。

ビヨンから念話で声が掛かったのは、この後まもなくであった。


 <<[ ...ア ーア、 ...シーア、 頃合いですよ お疲れでしたら先に延ばしますが? ]>>

<<えぇ ぁあ...いや、軽く沐浴を済ませてからいくわ ミーアお姉様は? >>

<< [ ミーアは、お食事の用意をしておりますよ 戦闘ですから

簡素な衣服も準備してあるようですよ ]>>

<<ありがと、流石はミーアお姉様ね>>

とわたしはレヴィアが持ってきてくれたミーアが選んだ簡素なローブとワンピース、ドロワーズに

着替えて食堂へ

途中、例のオーパーツの塊の様子を聞くと

レヴィアは

[ シーおねーちゃまあれ、すっごく鼓動が早くなってきたわ

しかもオーパーツのゴミをたんまり喰うの

レヴィアねぇ びっくりしちゃったぁ ]

等と言うので実際に確認も兼ねて例の部屋に入った。


 すると鼓動は、もうドクリ・ドクリと通常の速さで脈打って

卵から解れた血管の様なモノが触手の様に蠢き隣の部屋のオーパーツのガラクタ置き場から

引き寄せてさながら獲物を捉えた蛇の様に飲み込んでいた。


「レヴィア、引き続きお願いね」

[ はぁ〜ぃ あと、遺産のおねーちゃま達はまだオネンネしてるわ ]

「そう、分かったわあの達って相変わらずね。 」

外は洞窟である多分外界も今は夜か明け方であろうことは今だライブ・アーティファクト達が

寝ている事を鑑みると、なんとなく察せられた。


 食事を済ませ再び洞窟内、凍てつく寒さにも慣れてわたしは、先を進む

「シーア、後は道なりよ 難所は無いわ」

「えぇ、 シセラありがと」

とそんな会話をしつつ最奥の広間へ



 其処には、一匹の ”竜”が寝ていたのである

大きさは思ったより小さく先の大氷狼フェンリルより

小ぶりではあった

体色は、大氷狼フェンリルに硝子竜と言われただけの事はある

半透明の水色で時折透明になり向こうが透けて見える

それと寝ている天井には大きな氷柱つららが垂れ下がり

一人の少女が、閉じ込められていて両手には何やら

碑文が書かれた石版を抱えていた。


ふいっと 隣に三人のライブ・アーティファクト達がわたしのスカートをつまむ

「あれ、私達の同類よ ねぇ早く助けてあげて ねぇねぇあのも仲間にしようよ

シーおねーさまぁ」

とコトン

「くそぅ、オレの仲間をあんな目にアワセヤガッテ

ただの硝子細工にしてやるッ!! 」

と滅多にわたし達の居る所では男声の男口調を出さないラヴィアまで

昂ぶっていた。

レメテュアは珍しくミーアの影に隠れていてニヤニヤ舌なめずりをしている。


「皆、まずお屋敷に戻りなさい 後でラヴィア、貴女には

頃合いで来てもらうわ、それまでお菓子でも食べててなさいな」

とシセラは指示を飛ばす。


「はぁ〜ぃ 漆黒のおねーさま」

と皆はまた掻き消えた


「さて、どうふっかけるかなぁ〜」

とシセラが思案していた丁度その時、

硝子竜  レオフィールが片目を開ける


[敵対反応 ...微不活性からごくに移行 ]  

ビヨンは素早く反応した。


{ふぅ、我を起こすのは誰かと思ったら まだ年端もいかいかぬ小娘共ではないか

銀の娘・魔女の遺産の娘・魔導の娘とケット族の娘までと揃い踏みじゃねぇか。


 我は髭の生えた ”小僧” 共がまたしてもくだらぬ武勲をあげようと蛮勇を振るいに、

”遊び” に来たのかと思ったぞ}

と若い男の声で睨めつけた。


...... 。


 わたしは、無言を貫いた

{ほほぅ、我に話す言の葉など持たぬと見える 銀の髪の娘ェ? 

......しかも、なにやら見知った気配がするナァ

なにやら、我の喪ったはずのまなこが疼きよるわ

まさかとは思うが お前たち大氷狼フェンリル傀儡かいらいでは

あるまいな? }

とやおら立ち上がり

 

ノシリノシリ


と気配を探るように歩く


 目視だと、体高はわたしの背の約三人分、体長は約五人分、体幅約五人分の

大きな翼を備えた双脚翼竜型ワイヴァーンであった。


 そんな竜が十体分は楽に収まる最奥の空間は

歩く度に地面が揺れ細かい氷片がレオフィールに降り注ぐ。


<<シーア、貴女は無言を貫きなさい 口火を切るのはあたくしの”役目”よ>>

<<えぇ、お願い>>

と念話を交わす


「ふんっ !! ”硝子細工の竜”め このアタクシを誰だと思って? 

幾星霜も多くの魔女の犠牲の元に練り上げられ育て上げられたシセラ様よ

黙ってもう片方の ”蒼き宝珠” を寄越しなさい」

といきなり啖呵を切った。

(うわぁ、やっちゃったよ 後にもう退けないわ

まぁ、素直に ”蒼き宝珠” を渡すとも思えないけどね)

わたしはこんな”度胸”はなかった向こうから仕掛けられるのなら

まだしも ”こちらから” 仕掛ける事が出来きたのは彼女・シセラを置いてこの場には

居なかった。


{おぅ、 何処でその我に対する侮蔑の言葉を聞いたぁ? 

まさか、まさか 彼の大氷狼フェンリルのヤツじゃあるまいナァ? }

と冷気を大きく裂けた口と牙の間から漏らす。


「だったらどうってのよ 素直に ”蒼き宝珠” を渡してくれるの? 

シーア、アレ見せてやって」

とシセラはまた レオフィールを煽った


「えぇ、これよ」

大氷狼フェンリルより預かった ”蒼き宝珠” を小鞄ポシェットからとりだした。


レオフィールは隻眼を見開き大氷狼フェンリル同様凍てつく不凍の涎を撒き散らし

声を張り上げ激昂した。


{ 小娘エェェェー 何処でソレを手に入れたァー!! 

...... そうか大氷狼フェンリルのヤツか? ...そうなんだなァ? そうなんだな

オレも舐められたモンだぜ 生かしては返さぬぞ

後の問答は最早、無用ッ!! オレの腹に収めてやルぅッ 

大氷狼フェンリル傀儡かいらい共メッ!! }


と怒気も露わにレオフィールは戦闘態勢に入った。


 わたしはすぐ道中の打ち合わせ通り

ケールとヘルハウンドをぶ。


{うぉん}

と一声また一回り大きくなった体躯でケールがじゃれついた


{ 我があるじ ようよう 我も言の葉を交わせるようになりましたぞ

詳しい話は後ほど ......今度は、”お漏らし”はしておらぬ様でなにより}

と股間をまた嗅ぐ様な仕草をする

「いやぁ〜 やめて」

と声を上げると

{ふふ、相変わらず可愛いあるじではありますな 

配下を一匹あるじの足にいたしまする

お作法はこの際無視して跨って下され いいか? 我が決してあるじを落としてはならぬぞ

落としたら ただの いぬに降格だぞ}

{はっ ケール様の仰せのままに}

とヘルハウンド達も一回り大きくなった体躯で言で返事を返す。


{今回はビヨン様に万全の”動き”をして貰わねばなりませぬ

お主はあるじを乗せる ”名誉” を預かれるのだ

存分な働きを我・ケールに見せよ}

とわたしを乗せたヘルハウンドに鼓舞する


{応!! ッ }


{シセラ殿、我と後二匹で盾役タンクを引き受け合間に

ダメージを与えまする

後は存分に攻撃してくだされ}


「いいわ、ミーアは下がってなさい 貴女は治癒役ヒールが有るからね

遠隔の攻撃が来たら 宿り木で防ぎなさい

特に ”冷気の息吹レステ” は全力で防ぎなさいよ

凍結と拘束それに物理疵ダメージを負う上、何回も食らったら

ヤツは全盛では無いとはいえ 息吹ブレス息吹ブレス

竜の息吹ブレスは舐めてかかれば撤退は免れないわ」

「えぇ、任せて!! 」


「では このシセラ 我が主シーアのお言葉のままに

全力で参る

シーア 実体化をお願い!! 」

「えぇ、」

わたしは左手の甲に接吻をする

たちまち、彼女は実体を持ち大鎌を構えた

ビヨンも 錬成武器に”炎”を纏わせ 大剣を構え

わたしも蟲を喚び三角錐の形に螺旋を象らせ待機する。


{ウォオォォォオォー }


 とレオフィールの咆哮が合図となり

戦いの火蓋は切られたのである。



大氷狼フェンリルより


((( あ奴の片翼は、存分に力が出せぬ この我が癒えぬダメージを負わせたからな

だが、一度羽ばたけば冷風で容易に近づけぬ

左の翼の根元の鱗を壊せ。


さすれば右同様力が出せぬはず

只人ならまだ脅威であってもお主達なら微風であろう

ヤツに気取られぬように手疵ダメージを負わせるのだぞ)))


 皆は、先の邂逅でこのことも承知している

気取られてもう一枚鱗を重ねられると勝機が遠のく

誰もが理解していた。


視線を交わし、こちらから初手が投げられた。


バスッバスッ


 といつぞやの隻眼巨人サイクロプスの演習を思い出し

脚の関節に打ち込む


{ぐぉっ 小賢しい真似を!! だがそんなモノは通用せんぞ}

と息巻いた

「どうかしら? これ ”潜る” のよ」

とわたしは、蟲を潜り込ませ関節内で爆ぜさせた

{こんのぅ クソ女ァ〜 }

と尾を振りかざす。


「来るワっ 避けて!! 」

と大声で叫ぶ ミーア・ビヨンは範囲外へ

シセラは真上わたしは腹の下へ

{ふふっ我の腹が安全だと思うたか? }

と片翼で ブワリ と羽ばたく 

途端に冷風と共に周囲の壁に吹き飛ばされる

「きゃぁー 」

「シーちゃん!! これに! 」

とミーアが宿り木の蔓を伸ばしヘルハウンド毎絡め取る

辛うじて壁の激突は避けられる。

{おのれ、宿り木か 只人の分際で過ぎたものを持ちやがって}

ケールと四匹のヘルハウンドは右脚、残りの四匹のヘルハウンドは左脚に取り付く

{くそ犬っころめが このオレ様の脚に牙を立ておったな 

だが何時まで持つかなオレ様の血液は凍気の液体だぜ

口が痺れて来たろ さぁどうする 口が壊れちまうぜ 犬っころ!! } 


{これくらい主の為である 壊れる事に何の躊躇いがあろう ビヨン殿

その焼け付く剣でヤツの鱗の隙間からダメージを!! }

[ ケール心得ました ]  

と炎の剣を鱗の隙間に滑り込ませる。

{くそぅ でもまだヌルいヌルい フンッ}

とレオフィールは鱗を逆立たせて素早く閉じ冷風で纏った炎を薙ぐ

「くそ 霊体共!! ヤツのマギの流れを乱して!! マギを吸い取ってやる」

とシセラは三体の幽体を喚び取り付かせ

髪の毛全体がラヴェンダー色に染まっていく

「うわぁ これ美味しいわぁ ”竜” のマギなんてそうそう吸えないのに

病みつきになりそうん♡ 」


{ええぃ 小癪な真似をぉ }

更にわたしは蟲を増やし開いた疵口から潜り込ませる

更にビヨンが灼熱の炎の剣で追い打ち

時折振り回される尾の振り回しは先の様子から腹下は止め

素早く範囲外に退避さけ


 ケール達は口を凍らせながらも食いつき、やや拘束が弱い左脚を振り上げる

その刹那である、ビヨンは水銀の珠を拵えて、これに青白くなるまで温度を高めた

炎を纏わせ、左の翼の根元の鱗に叩き込んだ。


パリン 


 と割れる音がしてその下の弱点とおぼしき蠢く瘤を

わたしは嘗てのウィップより

棘が多く大きくなったそれで違わず貫いた。


{こんのぅ メスガキ共 大氷狼フェンリルから聞いたな? 

クソゥ おのれ、クソフェンリルめ 余計な事吹き込みやがって

こんなにオレが憎いカァ 嘗ては同じ氷の魔物として 

同じ主に忠誠を誓い心根を共にしたというに

そんなに オレ様が ”遺産の少女 チフェーリア” を封櫃して

独占しようとしたのが気に食わんかぁ〜」

と咆哮をあげるが明らかに大きな躰が確かに傾いだ。

こんな攻防が続く。


 シセラは頃合いを見ていたらしい

ラヴィアを


 現れたラヴィアは、可愛い仕草で手を口に添えて

「うわぁ、もうヤツは へろへろじゃない

でもおねーさま達もね ...で、どうするの? 」


「ねぇ、此処で貴女の ”本気” 見せてよ」


「いいわ 後でヒトの骨忘れないでよ

それと漆黒のおねーさま ラヴィアの詠唱時間を稼いで」

わたしとシセラは視線を交わす。


「いいわケールもうちょっと頑張って!」

{応!!! }

と噛みつきながらくぐもった声で応じる

口は既にびっしりと霜が降りていた


デカラヴィアはわたしと視線を交わし詠唱を始める


(( 巡り巡る輪廻の輪、紅き葡萄酒、白き灰持て、

個は個なれどゼルスの御身の前、

持つは連理の枝なり若き骨、悪しき彼の者より捧げ奉らん 

ロサ(ばら)の中より来ませり...来ませり

賑やかし我が嬰児の宴

糧となれ、贄となれ

我が秘術 ”嬰児達の饗宴” 此処に開宴!! ))


彼女の胸の薔薇の飾りが蠢き其処から四体の嬰児が飛び出してくる


ゥァウァ...ゥァウァ...


 と臍の緒を付けたままレオフィールの鱗の隙間から

体内に入り込み


グチャリ・グチャリ


 と湿った音が続く

何が起きていてるかは想像たくなかった。


暫く音が続く

{貴様ぁ 我に何をしたぁ〜? }

レオフィールは苦悶の表情を浮かべ声をあげる。

 

デカラヴィアは

「ふふん、 このライブ・アーティファクトの能力ちからを甘く見ないでよ

あの仔たちアンタのハラワタをぶっちぎって ”遊んで” 居るところよ


ふわぁん でももうダメぇ もうマギ保たないィ〜 これ本来ヒト用なのよ 

竜相手なんて初めてよぅ」

とトサリと倒れ込み 急ぎわたしはクロ、の魔法陣の上に置く

まもなく彼女は吸い込まれて掻き消えた。

<<レヴィア ラヴィアをお願い 彼女の封櫃の種の中に入れてやって>>

<<はぁい>>と

運び終わったらしく念話が返って来た。


<<おねーちゃまはひどく疲れているみたいなの すごく怠そう

でも今は寝てるわ>>

<<ありがとね>>


と念話をやり取りをする どうやら存亡の危機では無いらしい

ライブ・アーティファクトの本気を垣間見たわたしは

こんな能力ちからを持つ少女が身近に居ることに少し、身震いした。


{ウグゥゥ 遺産の少女までもがいたとは不覚だった

オレ様の腹わたが...ぐちゃぐちゃじゃ...ねぇ...か}

とこんどは大きくぐらりと傾いた 


{ふふ まだまだ ......ハァ...まだ...だ 我は地に伏せぬ! 

翼を持つ双脚翼竜型ワイヴァーンとして地に翼は付けぬぞ

我が奥義 ”冷気の息吹レステ” を喰らえ

此処一体毎 ”遺産の少女 チフェーリア” 

ともども 封滅してくれるわ


{ (( 凍てつく凍気 氷晶のつぶて・風・枷にて凍てつかせよ 冷気の息吹レステ!!)) }


と大きな口を開け水色の光りが漏れる


「逃げ場はないわミーアっ !! 全力で防いで!!! 」

「はいっ!! 」


(( 土、風、水、火、いかずち、緑の大地よ、 我が宿り木に祝福されし者達を守り給うッ!!! ))

とミーアは私達をそれぞれ宿り木を繭の様につつむ

勿論ケール達も


それと同時に凄まじい冷気と振動が襲う

わたしを包む宿り木は新緑色から氷に包まれ

急激に色が褪せていく


ピシリ、ピシリ

ひびが広がる

パリンと砕けたと同時に息吹レステが止んだ。

{ウォオォォォオォー これすら防ぎきるかーっ 

一体 お前たちは何者ーっ? } 


とさしものレオフィールも疲弊している。 


{クソゥ 万全であったならこんな小娘共にはーーッ}

と今まで偽装していたのであろう

竜が持つ弱点の”逆鱗”が胸の中央で七色に輝き露わになり更に鱗が開いて

心の臓が見えた


「シーアっ 今よ、」

私は、血の短剣でヤツの心の臓を貫いた


{グワァァァァアァ 最早、ここまで...やはり......冥闇の獣...か}

と途端に目から闘争の色が消え失せ

穏やかな顔になりゆっくりとわたしの胸に大きな顔を近づける。


「えっ!!」

いままで、闘争の色に染まっていた顔が、急に穏やかなモノに変貌する

死期を察したか、あるいは他に理由があるのか 

この時は、分からなかった。


{ふ、っ オレもヤキが回ったわ

よもや此処で堕ちるとはな 冥闇の獣にオレなど稚児同然とはな

当たり前すぎたといえば当たり前だったな。

一度は、差しで勝負をつけたかったのでな

でないと、オレの目玉を奪う道義が立たぬだろうからな

敢えて、戦意を煽ったのよ}

「まさか、貴男わざと? 」

{ふふ そこは、お主の想像に任せようかの ...グッ...

 しかもお主がその冥闇の獣とはな

オレが地に伏す前にその冥闇の獣であるアンタに頼みある}

「なぁに? 」

わたしもレオフィールの血で服が凍てつきながらも

彼? の顔を両手で寄せた。


{オレの素材全てくれてやるが ”逆鱗” だけはアイツ・大氷狼フェンリルに託せ

これは只人が持つには過ぎたるモノよ

 これが有るといくさや争いの種にもなるからの

我は只人共が争うのは好まんのでな 我の宿敵は大氷狼フェンリルのみ!!

それだけだったが、それももうじき終わる。

我の敗北でな。 }

レオフィールの心の臓からは凍てつく血が流れる。


 次第に鼓動が弱まっていく

それでも彼は言葉を続けた

{ ...フフっ ...ググッ......我の為に涙を流すか? 

泣くことは... あるまいて... オレの...目玉が...グフッ ...欲しいのだろう おかしなヤツ...だな...

アイツと立場が......逆であったならお前をこの背に乗せてみたかった......

もう叶わぬがな ...丁寧に、オレを解体するのだぞ}


 わたしは、いつの間にか大粒の涙で溢れていた

彼に落ちた涙はたちまち凍結して、カシャンと砕け散る。

{ではな ......冥闇の獣の少女よ...輪廻の向こうで待って居るぞ

その時こそ 一緒に...大空を...飛ぼう......では...ないか}


と彼・レオフィールは幾星霜もの大氷狼フェンリルとの因縁に

彼なりの終止符をこうして打ったのである。


 緩やかに体躯を崩し、堅い岩盤にも関わらず

地揺れが起き 隻眼竜 レオフィール

高潔たる翼を持つ双脚翼竜型ワイヴァーンはこうして地に伏した。


「レオフィーールッーーッ」


 私は、大声で泣いた。

今は彼にわたしなりの

哀悼の意を捧げたつもりであった

こうした事はこれからも度々有るだろう事は、

百も承知でありわたしの覚悟でもあった

ソレがやや日和見主義の大錬金術師であった、嘗てのわたしへの試練かもしれないと思って。 


[ 敵対相手の生命活動の ”完全沈黙” を確認 

以降はシーアに命令の優先権を復帰 シーアご命令を ]


「彼の言う通りにしましょう 丁寧に”解体”してくれる? 」

[ はい、お任せを ]

と左手で解体を済ませる サキュホーンの時と同様

鮮やかな手並みであり

樽はミーアが用意してくれていた。


蒼き宝珠 1 

硝子竜の骨 多数

蒼白き竜の血 大樽3樽

硝子竜のウロコ 多数

硝子竜の牙 多数

硝子竜の爪 多数   

硝子竜の尾 1

硝子竜の皮 竜一頭分

逆鱗 1


を得て”逆鱗”は大氷狼フェンリルに委ねる為丁寧に新鮮さを保つというアラクネの布に包む


「ミーアおねーさま、お願い」

後の言葉は何も言わずとも分かっていた

彼に捧げるべきモノは分かっていた


〜 尊き、猛き竜の御霊 異形の神々の御手みて御許みもとへ 誇り高き御霊は

風になり、雨になり、土に還るでしょう 

女神リーンの御手が、その灯火ともしびとならんことを 〜


とこの場の全員祈りを捧げる


天井の氷柱つららが静かに砕け少女が落ちてくる

それをビヨンは難なく受け止めて持っていた石版が地面に落ちる


 其処には初期古代語で碑されておりシセラが今代語に翻訳するところに依ると

封印地域”ギアトレス”の開放四行詩は


猛き、竜の御霊 

異形の神々の御手の御許へ

氷雪の風は御霊のしるべとなり

両のまなこもまたしるべとならん


と碑されていて更に文末には


 この碑文を ”ギアトレス” の来たるべき〇〇の再来の為に

開放四行詩として碑する


異邦の魔導考古学者 リンスティール が

存在を賭して刻むものなり


 一部は欠落して解読は不能では有ったが 

これを、記したであろう人物の名で〆られていた。


すると ”空” の蒼き宝珠二つに碑文が分けて収まる

文字列が石版から剥がれるように宙に浮き


一つは

 

猛き、竜の御霊 

異形の神々の御手の御許へ


もう一つは


氷雪の風は御霊のしるべとなり

両のまなこもまたしるべとならん


の二つのまなこに収まり

そして蒼く淡く光り輝く

少女はビヨンがおぶさりこの空間を後にする

よくよく見ても何の変哲もない空間でありなぜこの氷結遺跡に 

”ザキル” の名が付いたのかは今となっては知る術が無かった。


 帰路は一度経験している音無しの谷も、難なく越え外界にようやく出てきた

明るい日の光りは丁度頭の真上であった。


{おぉ、シーアよヤツは? }

と早速、大氷狼フェンリルが問うてきた

コクリと頷く 言葉は要らなかった。


{そうか、......ヤツは逝ったか... 永い永い因縁であった 何処で履き違えたのか

同じ主を巡ってな 小さな諍いが起きたのだ

ヤツは空を、我は地を支配するに当たりどちらに主を置くかってな

これでもヤツと同じ氷の魔物として友とも呼べる存在じゃった筈なのにな

いまでは、切っ掛けすらよく思い出せぬ}

大氷狼フェンリル様これを、レオフィール様より託されましたお納めくださいまし」

と事の顛末を語り布で包んだ”逆鱗”を渡す

途端に


{オォォォオーン }


 地を揺るがすような遠吠え

この声は遠くセネストリまで届き のちの世に

亡友ぼうゆうの遠吠え” として知れ渡り

親しい友の死の知らせとして語り継がれる事になる。


{五月蝿かろう ...済まなんだ我にはこうしてでしかヤツに手向ける事しか出来んのでな

赦せよ


 我は、主の意向を聞いたらヤツの逆鱗と共にあの場所で隠居するつもりでおる

音無しの谷は自然の結界じゃわい 丁度お誂え向きだしのぅ

さて、両のまなこにも碑文が収まった

これからどうするつもりじゃ?

我があるじは今だ目覚めぬようであるが? }

「そうですね わたしとて冒険者としての身があります

一度賢者の懐にも戻らねばなりませぬ

大氷狼フェンリル様がお赦しいただけるなら

このライブ...って失礼しました ”遺産の少女” も一緒に賢者の懐に

連れて行きとう御座います、宜しいでしょうか? 」

と尋ねると


{ソレは、良かろう 後で我があるじを助けた恩人をないがしろにした

知れたとあっては面目が立たぬ。 

 ただ目醒めたらもう一度我に会わせてはくれぬか

意向の確認も兼ねておるしな どうじゃ? }


「もったいなきお言葉、それではまたここに連れてまいります

しばしのご猶予を このシーアにお与えくださいませ」

と丁寧に胸に手を添える

{ふふ いいだろう 我はこの場で待っておるからの}

とわたしはこの場を辞した


 シーア去った後、大氷狼フェンリル

{なぁ、レオフィールよ 

あるじはあの者達と一緒のほうが良かろうなぁ 

そんなにあるじを ”独占” したかったので有れば

我と一緒じゃ、輪廻の向こうからも妬まれそうじゃしな

あの者と旅を共にするのならば、お主も納得じゃろ?

 

 しかし、どう事態が転がることやらこの我にも分からなんだ まったく分からぬ}

と一瞬吹雪が止み静寂が訪れ、強烈な日差しが大氷狼フェンリルの目に刺さる

まるで最後のレオフィールの嫌がらせの様でもあった。


「そうですか 彼の大氷狼フェンリルからそのような依頼があり

彼の竜は貴女が討滅したと? 」

「そうです トリスティ様 此処に素材があります それと

蒼の宝珠も此処に 」

一同 

「オォォオー 」

と声がどよめく

「よく、成し遂げられましたね ランドルフ様もご満足でありましょう

後日早速、氷結遺跡 ザキルに調査員を向かわせましょう

貴女のこれ ”大火蜥蜴サラマンドラの涎” は必ずや 名無しの村の

シリー様お渡しします。

 

小瓶はまだ沢山あるようですから 当方でも頂いて宜しいでしょうか? 」

「えぇ、これ 匂いと火のは厳禁ですから取り扱いには

ご注意願いますね。

 

 後、大氷狼フェンリル様から 音無しの谷 以降は今後聖域とするため

何人たりとも立ち入らせぬ様に仰せつかっても居ります。 」

「はい、承知しました 幸いその ”大火蜥蜴サラマンドラの涎” は聖域の

手前で採取出来るようですから大氷狼フェンリル様の障りは無いでしょう

あの ”遺産の少女” については 我々の扱いの範疇を大幅に超えるため

一度、ランドルフ様のご意向を伺ってからで宜しいでしょうか? 」

と寝台で横になって居る少女をチラリを見やる

「えぇ、いいですわ  トリスティ様 それまで滞在の了解を得たいのですが? 」

「滞在の了解なんて言うまでもなくごゆるりとしていいですよ

素材については あまりに貴重ゆえ此処では扱えませぬ

”ネグリール” でランドルフ様と直接ご商談願いますか? 」

「えぇ、いいですわ 皆、疲れておりますので

早く部屋に下がらせていいですか? 」

と皆に視線を送り、許可を求めた

皆、疲れ切っていて

玄関の長椅子でわたしの他はぐったりしていたのである。


「勿論です どうかごゆるりと」

と言って トリスティはまた持ち場に戻った。


 部屋にとろとろ歩きで戻り

ビヨンは大粒の”飴”を舐め

シセラは手の甲の紋章に珍しく潜り込んでいて

休んでいた

ミーアも早々とネグリジェに着替えて寝台に潜って寝息を立て始める

言葉はない。


 わたしも、レオフィールの事が頭から離れず

ぼんやりしていた

『お主も難儀なヤツよのう あ奴が気になるのか? 』

「えぇ、何かうまくいく方法が無かったのかと今でも考えるの」

『あ奴もワザと儂らを焚き付けていなければ まなこを取らせる

事が出来んじゃったろうに あまり気にやむでは無いぞ』

「えぇ、分かってはいるの でもなんかもやもやするのよ」

『今は、ゆっくり休め お主が自然に目が覚めるまで誰も近づかせぬから

安心せぃ』

「うん、そうする ごめんね」

『謝る必要などなかろうに ほんとに難儀なヤツよ』

とそれっきり会話が出てこない

日もまだ十分高いというのにわたしは、強烈な睡魔に誘われるまま

意識を寝台に預けた。


一方、やはり香水と間違えて 幾人かが”大火蜥蜴サラマンドラの涎” を躰につけて

ひと騒動が屋敷内で起きていたことは、わたしは知る善しもなく

ゆっくりと刻が過ぎていく

”遺産の少女” もまだ眠りからは醒めてはいなかった

 

 既に事態は、シーア一行パーティーとランドルフとの邂逅を待たずに、

大きくうねろうと、ベルゼで待ち構え疼きだしていたのである。


 わたしは、こんなことは露とも知らず、夢の中でレオフィールの背に皆で乗って

楽しいお茶会を愉しんでいた。




次回 63話 付き従うモノ・棲まうモノ

お楽しみに

千変の御使い ”ロージィ” ”ルナティア”ををみてみんに投稿しました


2017_12_30 次回 63話タイトルを語感調整の為 棲まうモノ・付き従うモノ に変更します

ストーリーの路線変更のためはなく、あくまでタイトルの語感調整のためです

投稿までしばしお待ちくださいませ。


2018_01_02 本日 活動報告にモノマキー・マニー兄弟の設定を投稿しました

みてみんのリンクに飛びます。


2018_01_04 本日 活動報告にサラ・ソラ姉妹の設定を投稿しました

みてみんのリンクに飛びます。

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