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オルティア・レコード  作者: 南 泉
二章 〜 魔女と小さな銀の鍵 〜 ベルゼ浮遊大陸編 第一部
55/75

55話 宿り木の武器と土産話と四方山話

 “櫃”に近づき髪をクローティアの時のように鍵穴と思わしき場所に差し入れる

すると、膨大な文字列が、頭をよぎり


ガチり


と大きな音がして蓋が静かに開く


 すると、童顔でややきつい印象で髪は銀光沢のライトシアン

ショートツインテールで肩下ぐらいまで、ツインテールは更に二つに別れ

色が黒の蝶の髪飾りを付けていて、クリムゾンの薔薇の大きなコサージュで両の髪を結わえている

漆黒の少女趣向の強い蝶の刺繍のワンピースでフリル・レース・リボンも全て漆黒で

ワンピースにあしらっている薔薇のみクリムゾンの少女が横たわっていた


「んっ〜〜ん」


 とクリムゾンの唇から、可愛い声をあげ半身を櫃より起こし更にキョロキョロと

淡いクリムゾンの瞳をせわしなく動かし


「ふわぁ〜よく寝た、あたしをおこちたのだれぇ そこの銀のおねーちゃま? 」

と地の口調か起き抜け分からない調子で私を見つめる


わたしは、

「えぇ、そうよ貴女はもしかして”ライブ・アーテファクト”のかしら? 」

と私は問う


 手に持っている虹色に輝く立方体群や肩に浮かんでいる、二つの幾何学文様の立方体は

通常のお宝とは思えない輝きを放っていて

まして櫃に少女が寝ているなどど明らかに通常の迷宮の”お宝”とは異彩を放っていた


 すると少女は、

「そぅ、あたし”ライブ・アーテファクト”が一翼 ”レメテュア” よ。 皆からは

”迷宮のレメテュア” なんて大袈裟な二つ名で呼ばれていたわ んしょ...よいしょっと」

と櫃から身を外し ぱんぱん と身なりを整えて此方に歩み寄る


 脚は黒の蝶柄のタイツに黒のフリル付きのソックスで

クリムゾンの蝶をあしらったツーストラップパンプスの可愛い両足を覗かせ

まだ眠そうな顔で、目を擦る


「ごめんね、挨拶が遅れちゃったわ わたしはシーア。 

シーア・オブライエンよ シーアでいいわ」

と挨拶をし


「 あたしの”封印”を解いたの貴女? 」

と指を指す


「そうよ、わたしよ可愛い”ライブ・アーテファクト”ちゃん」

とわたしが言うと


 途端に、レメテュアは表情を強張らせて、わたしの前に跪き

「大変、ご無礼致しましたあたし、レメテュアまだ覚醒めたばかり故

この身の幾星霜ににも渡る封印を解いた我が”主人マスター”に

粗相な物言いをしてしまいました何卒、寛大なご処断をお願い致します。 」

と地面に平伏しようとした。


 わたしは、慌てて

「まってまって、そこまでしなくていいわ わたし貴女とお友達になりたいの 出来れば

一行パーティーの一員として加わってほしいだけなの」

と言うと、レメテュアは


「あたしレメテュアは封印を解いた貴女様のお傍に永遠に置いて頂きたく

こうして ”依代” を貴女の手に」

といいかけて


「それなら適任が居るわクローティア? 」

『おぅ、お主の”依代”なら儂が預かるぞい 良いな? 』

と後ろ髪に引っ付いていたクローティアが前に進み出る


「もしや、貴女様は 君主 #$@#%@!@#@%!%$& で居られますか? 」


と恐る恐るレメテュアが問うと


『いかにも 儂は#$@#%@!@#@%!%$&じゃ 故あってシーアと共に

歩む事にしたのじゃ』 と

したり顔で言うと


レメテュアは、目を丸くして呆けていた。

『ほれ、レメテュアよ此処に収めい』 と

例の”水晶の棺”を出すと


「恐れ多くもわたくめ如きが、そのような立派なあつらえに収まっても宜しいのでしょうか? 」

『勿論じゃともシーアが許可した以上問題無いぞい』


「では、あたくめの”依代”をお納め下さいませ」

と手に持っていた”虹色に輝く立方体群状のコア”を”水晶の棺”に収めクロの魔法陣に

吸い込まれ

新たなライブ・アーテファクトであるレメテュアはわたしの一行パーティーの一員となった


すると前触れもなく

「きゃはっ、シーおねえさま新しいライブ・アーテファクトの手に入れたのね

ステキーー♡ 」

とコトンがビヨンの横に現れていきなりまた唇を奪い

レメテュアに

「貴女、お名前は? 」

と優しく誰何すると

「おねーさま、わたしはレメテュアよおねーさまは? 」

「あたくしもライブ・アーテファクが一翼”テュレアル”よ皆から”コトン”って呼ばれてるわ」

「はいコトンねーさま、こうして二人のライブ・アーテファクトが揃うなんて滅多にないわ

アレをお願い」

とレメテュアがコトンにおねだりをする。


「そうね”レメちゃん”あたくしがお姉さんですものねアレしましょうか 

ついでに シーねーさまにも知っておいて貰いたいしね」


わたしは気になり


「コトンちゃんアレってなぁに? 」

「シーねーさま、あたくし達ライブ・アーテファクトが一人の主人に集った時はこうして

情報を共有するのよ、ビヨンねーさまとレヴィアみたいにね」


 と二人は向き合い互いの目を見つめ合う すると二人の瞳が淡く輝き

何やら見たことの無いような文字列が互いの瞳で行き交うように流れる


『ほうあれは ”神域文字” じゃな』

「神域文字? 」

『そう嘗て幾々星霜も前、前史代と呼ばれる時代に栄華を誇った

種族 ”蒼き深き者” の言語じゃよ

ライブ・アーテファクトらの原初的な言語でな、あの文字一つ一つに今代の魔法言語

幾数万文字の情報が詰まっておるのじゃ』


 わたしが触ろうとすると

『やめるんじゃ お主でも触ると指が爆ぜて無くなるぞい まぁ尤もお主の場合はすぐ再生するがな

それでも触りたいなら好きにせぇ』

と忠告を聞き、慌てて引っ込めた。


その情報が詰まっている ”神域文字” のやり取りを暫くやってようやく

行き交う文字が疎らになっていきやがて収束する


「ふぅ、ふ〜んあのがミーアね」

とビシリを指を指す 何処かで覚えがある光景だった


「レメちゃん! 駄目でしょ ちゃんとご挨拶しなさいな」

と窘めると途端にレメテュアは

「うわ〜ん、ミーアのせいでシーねーさまに怒られたー」

とわたしのスカートにしがみつき ゲス顔を造りあかんべをして

「コトンねーさま”レフィキア”内で遊びましょ 積もる話もあるしぃ〜 ねっね♡」

と叱ろうとするわたしの手をすり抜けクロの魔法陣にコトンと一緒に吸い込まれてしまった


「全っくもぅ、あのったらッ ごめんね ミー姉様後で叱っておくから

今回は勘弁してやってくれない? 」


 ミーアは、

「シーちゃんいいのよ、大体、レメちゃんの性格って見た目通りだなって納得したから

それよりこれ見てよ 

 とミーアの右手の平から、ワサワサ と宿り木が生えひと振りの突剣レイピアに変化した

すると一連のやり取りを眺めていたシファが


「この剣のみならず宿り木の武器を 貴女の一部にするにはまだまだ修練が必要よ、

修練はきっと実を結ぶわ、頑張りなさないな」

「はい、シファ様きっとモノにしてみせます」


 シファはわたしに向き直り

「よくライブ・アーテファクトのを”また”手懐けましたねあのも癖は強いですが

きっと貴女の一助に成ってくれるでしょうね 貴女の元にはまだまだライブ・アーテファクトの

が集まりそうな予感がするわ ふふふ、楽しみだこと

それとあのの櫃は私が寝台代わりに使うから、悪いけどこのままにして

おいてくれるかしら?」


 とシファに頭を下げられる

「勿論、わたしはあのでミーアお姉様は”宿り木の種”と多くの武器・防具の数々で

その中にオーパーツも有りましたからビヨンも喜ぶでしょう」

とビヨンを見るとコクリと首肯する。


「それじゃ、シーア此処も直にギルドに開放され謎解きや巡回やらのいい訓練の場になりそうね

それと後は、私からのご褒美よ入り口まで戻して上げるわ」

と微笑むと


...風の導きと良き癒やしが貴女方を導きますよう...


 と祈りの言の葉と共に

ふぅ とシファの息が掛かかりとわたしがペコリとお礼するとすぐ

眼の前が霞み入り口の扉の前まで戻って来ていた。


 「「ふふ、銀のおねーさまみぃ〜付けた」」

「あのがそうよねぇマキちゃん? 」

「えぇ、そうよマニーおねーさまあのよ ニール”お姉様”の言う通りですわぁぁん

「やだぁ〜、マキちゃんまたオッキクなっちゃた」

「あらぁマニちゃんもよ、正直でいやぁぁぁん」


と何やらケット族の”少女”二人が此方の行く手を塞ぎ髑髏の杖を振り

ニヤニヤしていた。


[ シーア、殺気ですよ敵対度”小” 尚も継続中 ]

わたしは、頭を切り替えて様子を伺う


 するとシセラがいきなり、刻印から出てきて

「あの二人此方の手の内を観察してるわ”全力”は駄目よ

どれどれ、しかもあの杖は”幽体系”を操る系統ね あたくしの目は誤魔化せ無いわよ

シーアあたくしを実体化させて頂戴な」

「分かったわ、ミーア姉様の治癒ヒールの準備お願い

シセラ、無闇に命を奪うのはやめて」

と念を押す


「ふふッ、貴女の御心のままに」


「あなた方は何者ッ? 」

とわたしは激しく誰何する


ケット族の少女はよく見ると


ライトスィールブルーのロングストレートのツインテールの髪に黒のリボン

でスレートブルーのワンピースにアリスブルーのストラップパンプスと


ライトスィールブルーに黒のリボンにゆるくツインテールの髪を巻いたドリルツイン

スレートブルーのワンピースにアリスブルーの編み上げブーツの

二人共、よく似た出で立ちで


顔も、双子らしく双方とも目は丸く瞳はファイアブリックでライトピンクの口紅をしていて

大変、可愛らしく尻尾のレースのリボンがゆらゆら揺れる


手には髑髏付きの長杖を構えその傍には喚び出されたと覚しき幽体系の

魔物が多数いる


幽体レヴァナントは勿論、ちょっと厄介な生霊レイス・ワイトまで今や遅しと二人の

少女の周りをうろついている


「ホーホッホッ マキちゃんはねー マキちゃんって言いますのよ」

「マニーちゃんもねー マニーちゃんって言いますのよ」

「「ご機嫌麗しゅう、銀のお嬢様お見知りおきを」」

と二人同時にスカートを摘み丁寧な挨拶をする。


実体化したシセラは

「あらぁ〜、今代の ”殿方”ってオンナノコの身なりをするのが

”流行り”なのかしら? 」

と一瞬耳を疑うような事を口走る。


「えッ あの二人って男の子なの? 」

と再度確認すると

シセラは

「勿論よ、可愛らしい”アレ”ドロワーズの中にちゃんと有るわね ちっちゃいけど ふふッ

可愛いこと」


わたしは、「なんでオンナノコの格好してるの? 」

と大声で聞いてみた

異性装の男性をみるのは男娼館でも無い限り見ることは無く普段からあの格好を

しているとは思えなかった


「「きゃん、もぅバレちゃいましたわ」」

「マキちゃんざ〜んねん今まで一度もバレること無かったのにぃ〜くやしー」

「マニーちゃんもよ ”お姉様ぁ” 」

「「わたくし達は、 嫌々この格好している訳じゃ無くってよ 

”オンナノコ”になりたいの 可愛い服に可愛い小物、フリルにレース

可愛いショーツを穿くのが夢なの おカネ沢山ためて魔法医術で”本物”になるんだから

そのために ”銀の三日月” に入ってお小遣い貰っているんだからね」」

ドロワーズをちらちら見せつけるように、スカートを片手にクルクル回る。


わたしは、

「”銀の三日月ッ” 」 と思わず決死気張る

「まぁ、シーアったらアツくならないで 冷静な貴女らしくもない

このあたくしが軽くあしらってやりますわ」


と大鎌を構える

「「それより貴女も名乗った方が宜しくてよ ”礼儀” に欠けますわぁ〜」」

と貴族の令嬢の様に手を口に添えてニヤニヤする。


「わたしは、シーアよ 後此方がミーアに、ビヨンよ」

と名乗りをあげるくらいは冷静だった


「「そぅ、貴女がシーアなのね可愛いくて羨ましいワ アタクシ達も貴女よりも可愛くなるんだからね」」

と二人はおしゃべりを始めた


「「おっといけないそろそろ オンナノコになるなる為の”お仕事”しなくてはね」」


((我ら、魔魅の者共の導き手なりモノマキー・モノマニーの名に於いて命ず

眼の前の仇成すのものにハーデスの接吻を与えよ))


と二人一斉に杖を振る

すると

ブワァと漂っていた幽体系の魔物がわたし達に迫り来る

トリンデのトリシ地下墳墓の様に聖水はなく

喚び出した”蟲”で散らす事は出来てもすぐ集まって元の姿に戻ってしまう

ミーアも風陣ふうじんの指輪で浄化を試みるが、

元の木阿弥でやはり浄化されたと思いきや同じ事を繰り返す


「やはり幽体系は厄介ね」 と毒づくと

シセラは

「シーア、彼らは幽体系を操る事には長けているようね

ここはこのシセラ様に任せなさいな」


「えぇ、お願い撃ち漏らしは此方で散らすわ」

とシセラと視線を交わす


「さぁ、可愛い”坊や達”このシセラがお相手するわよ」

というが早いか大鎌を一閃、ニ閃と幽体を”斬る”


前に彼女が宣言した通り、幽体は復活出来なかったそれどころか

大鎌に吸収されて黒薔薇の花弁に変わるではないか


「「いやぁ〜なんでなんでマキちゃん達の可愛い子達居なくなるのぉ」」

と流石に、狼狽の顔を見せだす


「ふんっ たかが幽体のザコこのシセラの相手では無いわ さぁて、お次はこれよ

 と髪の毛先のラヴェンダーが髪の毛全体にジワリと変化して

ケット族のマキとマニーからマギがシセラに向かって流れて来る


「「きゃん、マギが拔けていくぅ これ以上はダメェ〜」」


と 構えていた杖を下げ両手を挙げて


「「降参よぉ〜 こ・う・さ・ん」」

と戦意を彼らは放棄した


わたしは、シセラと視線を交わして、彼女シセラを退かせる


「今日の、所は勘弁して差し上げますわ ねぇ〜マニーちゃん」

「そうね”マキお姉様”わたくしも勘弁して差し上げますわ ニールお姉様のトコ戻りましょ」

「「そうしましょ」」

と踵を返そうとして


「待って! 聞きたいことがあるの! 」

と制止するも

「「だれが待てと言って待つ馬鹿が居るもんですか ウル族じゃあるまいし ねー」」

と可愛い尻尾を揺らし盛大にあかんべをして掻き消えた


「何だったんだろうあの子達? 」

とシセラとわたしは、顔を見合わせて肩をすくめた。


「何はともあれシセラありがとね 実体化を解くから、好きにしてていいわよ」

「ふふ、やっぱり真面目なのね」

とシセラはまたふわりふわり と辺りを漂う


「さぁ、依頼済んだし改めてメトリエーテさんの元へ行きましょうか」

とわたしは一路メトリエーテ宅へ向かう



※※


近場の岩倉内では 粗末な敷物の上で


「首尾は、どうだ? 」

と今回もまたピンクベージュと白のフリルとレースたっぷりのワンピースドレスに

ふわふわのペチコート

頭には大きなアンティーク・ドールのようなボンネットを被り

髪は足元まで長く赤の小さなリボンを散らしていた。


 脚には白いリボン柄のタイツ、今回は更に手に白のレースグローブまで

誂えていて

スカートを片手で軽く摘み脚を交叉させまさに”ご令嬢”の如き立ち振舞いは

完璧だった。


 交叉させた

赤いリボンパンプスの”ロージィ”のパウダーピンクの唇からは相も変わらず下衆な野太い男の声で

ケット族の”少女”二人と、妙齢のふんわりなワンピースにハイヒールの”女性”

となにやら密談を交わしていた


 一見、女性一人と少女の姦しい三人だがは総て男性で一人は性別不明の

なんとも奇妙な一団が其処に屯していた


「さァ、貴女達早く報告なさいな”ロージィ”お嬢様は新人の教育で忙しいノよん」

とニールが顎をしゃくり報告を促す


「まぁ先ず座れや」 と

ドカリと ロージィは胡座、ニールは両足を綺麗に横に流す座り方で

マキとマニーはペタリと尻を地面に直接着けて膝を折る

 粗末な敷物にはいささか不釣り合いな主人達をそこに座らせていた


「あらん、新人”君”はどうしたの? 」

「あぁ、レーミィの奴なら”オンナノコ”を学んでいる最中だ

アイツが”姉”でこのオレが”妹”だ で今回はオレが出向いたと言うわけさ

王都ギルトスの十字聖教の階位1位 大神官  ”ラクティカス” の養女扱いになっている 

”ヴェネイーラ” にまとめて経緯をせねばならん やっこさん ”シーア” に

えらくご執心でな 可愛いとなると目の色がかわるもんでな」


「なに、その少女好きなのン? 」

と怪訝そうな顔でニールは問う

「いや、自分より可愛いが居ると知るや、この世で一番可愛いのは自分でなきゃ嫌と言う

嫉妬の塊みてぇなのがいるのさ」

「まぁこわ〜ぃワ 女の嫉妬ってやぁ〜ねぇ」 と

しなをつくりこわばる


「オメェはやっこさん の嫉妬の範疇にすらかからねぇよ 安心しな」

「まぁ、オトメに向かってしつれぃしちゃうわん♡ 」

「どの口がそんな事うんだよ がははっ」

と可愛らしい恰好なりからは想像出来ないほどの下卑た笑いが漏れる


「それは、ともかくだが早く報告しな でねぇと やっこさんのおっかねぇ

”取り巻き” にズダボロにされちまぅからよ」


「ロージィお嬢様...... ......という訳でしてよねぇマニーちゃん? 」

「そうよ ”シセラ” という漆黒の少女は強くてどうにもならないわ ひとまず

報告の通りでしてよ」


「ほぅ、まさかソイツ”ライブ・アーテファクト”ではなかろうな? 」

とロージィは眉間に皺を寄せる


「「「ライブ・アーテファクト? 」」」

と初めて効く単語に残りの三人は顔を合わせる


「そうか、てめぇらは知らないだろうが この世界にはな

”前史代”から脈々と息づいている”生きている遺産”ってのが居るんだよ

戦闘力は言うに及ばず凄まじい”術”をいとも簡単に行使出来てな

おまけに”残忍・残虐・冷酷・狡猾・残酷でエグい事好き”でなその上享楽的で気位が非常に高く

滅多に他人に懐こうとしねぇ自我を持った”遺産”さ」


とロージィにしては珍しく身震いしていた


「そのおっかねぇのが ”シーア” に就いたとなるとさっき話した ”ヴェネイーラ” に

任せるしかねぇからよ」

「「「何でそこで ”ヴェネイーラ” の話が出てくるの? 」」」

と残る三人。


やっこさんのおっかねぇ”取り巻き”ってヤツがその ”ライブ・アーテファクト” なんだよ

しかも4人も囲ってやがる うぅおっかねぇ ともかく見た目じゃ分からねぇ

たいていは自分らの”特殊な嗜好”を満たすために”可愛い少年や可愛い少女”の姿をしているらしい

と言うことぐらいしかオレも分からねぇし 

あと着ている衣服は豪奢だったりとか

妙な装飾品や服飾品を身に付けていることぐらいかな」

と息つく間もなくまくし立てる


「どぅアンタ達の”シセラ”っての見立ては? 」

とニールが問う


「「う〜ん分かんない ごめんなさぃ」」

とマキとマニー

「ちッ使えねー”タマ”だぜ なんの為にニ個もぶら下げてやがるんだ」

とロージィはやおら、レースグローブの小さな手を双子のスカートの上から

股間辺りに伸ばし ギチリ と掴み

にやにやする

「「いやぁぁん ソコはイジメないでぇ」」

と懇願する。


「まぁ今回のお仕置きはこれくらいにしといてやらぁ 

次は漆黒の少女が”ライブ・アーテファクト”

かどうか見極めて来いや あと報告だともう一人居るらしいがソイツの見極めもだな

方法はテメェのオツムで考えな

”銀の三日月” の面子である以上フレジアが面倒をみる義理はねぇし 

手取り足取りという訳にはいかねぇ

本物の ”オンナノコ” に成りたいんだろ しっかり稼ぎな ニールは引き続きこいつらの

面倒みてやってくれや」


「いいわん ロージィって少しは優しくなった? 」

「るせぇ、オレも新人教育で忙しいんだよ

オレはもぅ行くぜ オメェらは好きなだけダベってな」 と

髪を可愛くかきあげいつものショーツを見せつけるように脚をあげ立ち上がり

ロージィは掻き消えた


※※



メトリエーテ宅に到着したわたし達は、早速ロハップの”ギメル”での詳細を報告する


「うわぁ〜、すごいわぁこれ 上物の樹木人トレントの樹液じゃない しかも 

大樽三樽分も 後の枝や素材も総て上物じゃない貴女さすがね

貴女達にも成果が有ったようね ふふ」


「そうですね攻略したお陰で”ライブ・アーテファクト”のを手に入れることが出来ました」


<<レメちゃん出ておいで 叱ったりしないから>>

<<はぁい、シーねーさま今行くわ コトンねーさまはレフィキアで”おめめ”愛でるから行かないって>>

と元気な声が聞こえ

程なくビヨンの横に現れた


肩の横には立方体を浮かべてすぐわたしのスカートをきゅっと握り後ろに隠れる

そぅと顔を出し様子を伺う


「さぁ、レメちゃんメトリエーテさんにご挨拶なさいな」

と促すと

「はじめまして、あたしレメテュア ”迷宮のレメテュア” よ魔女のおねーさま」

とスカートを摘み挨拶する


「まぁ、かわいいね 貴女の好きなものはなぁに? 」 

と特殊な嗜好を彼女は聞いていた


途端にニヤニヤとゲス顔で涎を垂らし

「うふふ......うふふ......あたしヒトそのものがほしいなぁ

あたしの二つ名”迷宮”を冠に抱く者として迷宮の”エサ”は沢山いた方がいいわ

だけど”今代”の事情もよく知っているつもりよ今はガマンしてあげるわ 

だってぇシーねーさまと一緒にいられるだけで何か起こりそうなんだも〜ん」

と饒舌に語る。


「貴女もシーねーさまに何かしたら”迷宮”のエサにしてやるんだからね」

「まぁ、こわいこわいシーアには何もしないわ それよりあとこれからどうするの? 」

とわたしに視線を向けた


「取り敢えずギルドで”更新”を済ませたら一度”王都ギルトス”に戻ります

こののお部屋の誂えもあるし久しぶりに”トルティア”に戻り

成果物の武器や防具をある一行パーティーに優先的に選んで欲しいの

ミーアお姉様もリアと積もる話もあるでしょ? 」


「えぇシーちゃん私もリアと積もる話したいなぁ」 と

以前よりミーアは自分の希望をはっきり言うようになってきて

いい傾向である

ミーアももうメイドではなく立派な一行パーティーの一員で

あり貴重な癒し手でもある 相変わらすメイド調の服は好みのようだが。


「そぅ、それならシセラおいて行ってくれる? たんまりお話聞きたいのよ」

とちょっと憂いを帯びた目でシセラを見やる

「わたしは構わないけど シセラどぅする? 」

とシセラに問いかける


「そうね王都には興味あるけど何時でもいけるし シーア 魔女メトリエーテの傍に

いていい? このヒトってホントは寂しがりやだから あと”刻印”はいくら離れていても

大丈夫よ もう一度言うけどあたくしは永遠にシーアのモノだから

心配しなくていいわ」

とわたしは心の底を覗かれたような居心地の悪さを押し込めて


「いいわ用が済んだら此処に戻って来るし、宿は暫く空ける旨伝えておくから

メトリエーテさんに甘えて来なさいな」


「シーア、そうさせて貰うわね」

とシセラも嬉しそうではある

ウニサーレ氏の解析も今回の素材で大いに進むことだろう


 と此処で今後の方針が決まった所で、

「レメちゃんは”敵”の目に触れて不用意な悪目立ちは避けなければね」

と肩の立方体を見る なにせ珍しいモノが常時浮かんでいて

コトンより遥かに目立っていた。


「そうねちょっと寂しいけどレフィキアでいい子にしてるわでもでも

”百貨店”とやらではお外にでていいでしょコレは流行りの”玩具”ということにするし」

「そうね、それならいいわ着いたらまたんであげるからね」

「はぁ〜ぃ」と言ってクロに吸い込まれて行った


「後、ビヨンにもお願いがあるの あの達も自由意思がある以上行動に制限は

加えたくないけど、必ずビヨンの横に出現するから出て行った監視だけはお願いしたいの

いい? 」


[ 承知しました ”ライブ・アーテファクト” の出現の監視を定常処理

(ルーチン)に追加......完了 ]


そして、わたし達は滞在している”魔女の集い亭”のドニスさんに離れを空ける旨を

伝える


「すみません、あまり顔を出さなくて此処でも食事を摂りたいとも思っているんですが」

と言うと ドニスさんは

「なぁに、気にすることないさね冒険者ってのはいろいろあるんだろ 内緒にしておきたい事がさ」

と言ってくれる


「戻ったら又声を掛けますね」

「ソレは、助かるね鍵を預かるよ」

とドニスさんに鍵を一旦返却する

すると二階からくぐもった咳が聞こえてきた

視線に気付いたのかドニスさんは


「ごめんね、あれウチの娘さね ”ラジカ”って言うんだけどね 魔法医師センセ

見立てだど 天命のことわりが限られている病でね どうにも手の施しようが

無いって」

と声では気丈に振る舞っていたが目は何処か遠くを見ていた

「ごっごめんなさい、つい気になっちゃって」

「シーアが謝るこたぁないさね ただシーアと同い年ぐらいでね不憫でならないんだよ」

と既に目には光るモノが浮かんでいた


「あら、私としたことが辛気臭くなっちゃ冒険にも支障がでるさね

アンタらは元気で行っといで ほらほら」

と背中を押され半ば追い出される様に本亭を離れた


『お主、何を考えておる? あぁお主のことじゃあの娘を助けたいと思っとったろ』

「ふふクロにはウソつけないわね」

『定命の者の定めじゃ お主の救いたい気持ちはよう分かるがの

誰彼とも無く救っていたらきりがないぞい たとえ娘を定命のことわりから

外したとてこんどはドニスとやらも、定命のことわりから外さねばならなくなる

そしてドニスと親しい者もと、キリがなくなるからの』

「そうねエリスの時とは違うものね、

わたしはっきり左のまなこで視えちゃったの

”ラジカ”の灯火がもうどうにもならないって」

とわたしは感情を抑えきれなくてミーアに抱きついて暫く頬を濡らしていた

「シーちゃんってやっぱり優しいのね」 と

ミーアもまた目に光るモノが見えた


 例えわたしが牙を穿ち従者になって、定命のことわりから外れたとしても

完全に自由意思は無くなるのだ ミーアであの”オマジナイ”はおしまいなのだ

わたしは、例え同じ立場に有ったらミーアとラジカどちらを選択するかは明白だった


 暫く、感情を吐露して気持ちを切り替え ロコス〜ランベル〜タグリ と移動して

流麗になったユラに座り一路王都ギルトスに舞い戻る


 例の通行証代わりの珠は先達の意見通り持ったままだ 

そして難なく魔霧帯を拔け

見覚えのあるボルグラン城の尖塔群が眼下に飛び込んできた。


尖塔群をぐるりと旋回し更に東の、久方振りのトルティアへ、途中お屋敷

の有った場所は、既に大きな溜池と成っていて


酔狂な物好きが近くに出店を構え、

「さぁさ、見ていってくれよここは大冥界の重鎮が拳で地面を殴ったあとだよ

かつて”大錬金術 シアズ”が錬金の秘術で重鎮と”契約”を交わした証が ここに!」

 

ともっともらしい”話”を作りあげ

「ついでだ オレの店の”氷菓子や焼き菓子”も買っていっておくんな!! 」

と気勢を上げ多くの見物客が屯していた

「へへっ 吟遊詩人の旦那しっかり”流布”頼みますぜ」

と近くにいた吟遊詩人も


〽 冥界の、大いなる黒き手が

〽 錬金の”秘術”と引き換えに

〽 造りし給うた女神も恐れぬ黒き穴

〽 地面を穿ち天界も嘲る御技みわざが幾々星霜の刻を渡り大いなる水面みなもとならん


と大袈裟な”伝説”を披露していた


 わたし達は、見えない所でユラから降り、菓子と氷菓子を求めて頬張る

「おや、嬢ちゃん達も観光かい? 」

「えぇ、まぁ」

「ははっ凄いだろ、ホントはなここにあったお屋敷がある日こつ然と消えたあと

なんだがな

コレくらいの”ハッタリ”女神様も見逃してくれらぁ」

と片目を瞑る

この世界オルティアの通貨単位である女神”リーン”はおおらかだった。


コトンとレメテュアの為に氷菓子を”氷晶石”と共に包みミーアに渡して貰う


戻って来たミーアは

「あの達、シーちゃん来ないのと機嫌悪かったけど、あのお菓子は

好評だったわ」

と嬉しそうだった


こうやって、苦手意識のあるライブ・アーテファクト達にも慣れていって

もらいたいものである

あとは、トルティアのギルドで更新して”ニースの一行パーティー”を待つばかりである


「あら、シーアじゃない久方振りね まぁ随分と”オンナノコ”らしくなっちゃって」

今日の出で立ちはベルゼで買い求めた蝶柄のワンピースドレスに大きな蝶をあしらった

パンプスを履きちょっと気合を入れていた

「わたしは、”オンナノコ”ですぅ」

と頬を膨らませると

「ミーアがね、以前はオトコノコぽかったのに急にオンナノコぽくなって戸惑っていたからね

ソレとは別に何? この大金なにやらかしたの? 」

と質問を重ねられた


「いろいろとあって」 と

濁すと

「まぁ、ギルドに正当に入金処理されているから問題ないけどコレ(ギルドカード)

だけでやり取りすると

怪しい闇競り(ブラック・オークション)に関わると身元が割れて大変よ

貴女の様な可愛い自体を欲しがっている連中もいるからね

ある程度は”手持ち”を持って置くことをオススメするわ」

「なるほど、それはいいですね有難う御座います。 」

「いえいえ、おねーさんからのお節介だと思ってくれればいいわ」


「あと迷宮の報酬の武具や防具は個人で特定のヒトとやり取りしても大丈夫ですか? 」

「個人指定依頼の案件ならいいけど、ギルド経由依頼だったらギルドを通すのが

決まりよ」

とわたしはカードをだしベルゼでの浮遊遺跡”ギメル”での案件を確認した

「コレは、個人指定依頼の案件だから貴女の次第ね出来ればギルドを通して貰いたいのが

本音だけどね お宝たんまりあるの? 」


「ぇぇ、 ミーアお姉様 あの目録を」

とミーアに目配せをする


「はい、リアこれよ私達の取り分は貰ったし後、これだけなんだけと

優先的に選んで欲しい一行パーティーがあるのよ」


「うわぁ、”未開封”遺跡なんて羨ましいわぁ〜 アタシだって現役時代たった一度だけよ

こんな幸運」


「とっともかく選んで貰ってオーパーツのいくつかをこのビヨンちゃん用に貰ったら

あとは全部、此処のギルドに卸すわ」

「えっいいのこんな辺鄙なギルドで? 」

「いいわ私とリアの仲じゃない」

とミーアはわたしと視線を交わし首肯する。


「やたっ、これで此処もギルドの位階上がるかもかもね」

とリアは売れそうにミーアと笑顔を交わす

わたしは初めて聞く単語をリアにぶつけてみた

「ギルドの位階? って」

「あぁシーアは知らなかったわね ギルド同士でも競争があって

多くの武器・防具などを冒険者から買い取って取り扱い量や優れた武器・防具を

扱うと、ギルドの”実績”があがり位階もそれに応じて上がり

より多くのそして難しい案件が、手配されるようになるのよ

そしてここの職員の給金も上がるって訳。

たいていは、近場のギルドが高値で取引するのでこんな例も滅多にないの」


「そうっだったんですか でも今回はヒトに渡すのが目的ですから 

此処でいいですよ」

というと

「今、売買契約書を作るから待ってて」

と奥に下がり

やや有って

「お待たせ」

と見せられた書類には、

「譲渡した残りの総てを此処のギルドで買い取る旨の記載がしてあった」

わたしとミーア・ビヨンの三名の署名で解約は成立する


「後、ニースさん達っていつ戻られます? 」

と聞くと

「あぁ、明後日の夕方頃ね今回の依頼ちょっと大変らしいのよ”浮遊大陸”に渡れる実績試験の

ようなもので後一人の面子が合格すれば”浮遊大陸”の渡航許可が下りるらしいわ

っとこれは彼らには内緒ね」


「わかりました又、宿を借りていいですか? 」

「いいわ、毎度有難う御座います」 と

営業的な言葉で締めくくる


「シーちゃん私、リアと積もるお話していい? 」

「えぇ勿論よわたしは王都の百貨店であののお買い物に行くわビヨン借りるね」

「うん、ビヨンちゃんまた後でね」

とミーアだけ此処に残り

わたしとビヨンだけでユラに座り王都ギルトスへ向かう


見知った百貨店で カードを提示してヘイウッドと相談してまた一箇所に家具を集める算段を

付けて

<<レメちゃん おいで 百貨店に着いたわ>>

と話しかけると


程なくビヨンの横に現れる


レメテュアはキョロキョロを辺りを見渡して

「あのね、レメ寂しかったのコトンねーさまにしてるみたいに レメにもしてして」

と急に甘え声で接吻をねだる


「そうね、寂しかったでしょおいで」

と人目を避けて椅子に座りスカートの上に座るように促す


レメテュアは

早速わたしの唇を奪う

淡いピンクとクリムゾンの唇が重なる


「んっん......くちゅりくちゅり」

と段々音が湿っていく


 レメテュアはうっとりと目をほそめライトシアンのツインテールが揺れ

髪の蝶の飾りが かちりかちり と音をたてわたしもひと房の動く髪で彼女を

包み込むようにまさぐった。


「ぁぁん、いい気持ち もう”櫃”でじっとしてるの嫌 おねーちゃまずっとレメの傍にいてくれる?」

と訴えるような目で言う

「勿論よ、いまこうしているじゃない 後、コトンちゃんの話だと姉妹も一杯いるそうじゃない

直に、集まるわ」

「うん、レメ早くもっとお姉様欲しいのお屋敷まだお部屋一杯余ってるじゃない? 」

「そうね、貴女達って惹かれあうって行ってたけど何か感じる? 」

「うん、ほんの僅かだけど感じるのは確かよ」

と断言した


「ねぇこうしていたいけどお買い物に行きましょ貴女のお部屋の家具や丁度品見繕って

あげる」

「わぁ、いいの? 」

「そうよそのために此処に来たんだから」

かっちり組み合った手を解き

家具売り場へ向かう。


 彼女は、黒を基調とした蝶柄の家具を中心に何点か選び

目がボタンの黒の大きな兎の布製玩具ぬいぐるみを買い求め

て喜んでいた


 壁の模様も黒のリボン柄のを購入する

小鞄ポシェットも同じく黒地に赤い蝶柄のを一点買い求めすべて

外商取引用の小部屋に集めコトンの時と同様に

クロに収納して

後は、下の階層でお菓子や甘味を買い求め、満足そうだった


<<レヴィアちゃんまたお願いね>>

<<[ は〜ぃお部屋は綺麗にしていまちゅから運んでおきまちゅね]>>

と返事が聞こえレメテュアは、

「あたしが、レヴィアに指示しないとね なんていったってあたし”おねーさん”だからね ふふん」

と又、わたしの唇を奪いクロに吸い込まれていった。


 この時、淡い金髪はストレートロングで膝下まであり。瞳は赤で赤い唇をしている

少女が

「何よ!! あの銀の髪の  ヴェネよりカワイイじゃないそれにそれに

隣の毎違いなく”ライブ・アーテファクト”ね あのもカワイイわ

悔しいッ」

と ガリリ と親指を噛む


「でも報告と違うわ”ロージィ”に確認しなくちゃ あのをイジメルのはまだね

ふふふっ、やっとみ〜ぃつけた 早く叔父様に”お願いして”舞台を整えなくっちゃね

ヴェネのライブ・アーテファクトとどちらが強いかしらね

あのかしら ううん、ヴェネちゃんの方に決まってるわ だってヴェネちゃんって

この世界オルティアで一番可愛くて強いんだもの 絶対ヴェネちゃんよりカワイイ

認めないわ あぁん、はやく壊したい壊したい......壊したい・コワシタイわぁ」

とたらたらと涎をだらしなく垂らしハァハァと艶っぽっい息使いに変わる。


「先ずは”ロージィ”に確認しなくちゃね 新人ちゃんのミスかしらね ふふっもしそうだとしたら

ヴェネちゃん絶対に赦さないんだからっ!! 」 

と顔をしかめツバを床に吐く


 とかわいいフリルのソックスに履いた、赤のリボンパンプスでツバを グリグリ 踏みにじる

「いけない こんなトコ見つかったらまた”シェーラ”に”再教育”されちゃうわ

でもでも報告しないと好きな”再教育”受けられないしぃ〜 ふふッどおしよっかなぁ? 

ヴェネちゃん迷っちゃう」 と

一人で顔を赤らめもじもじしていた。

そして一匹の赤黒い”蝙蝠”が外へ飛び出しベルゼに向かって飛んで行く


「後は、あのコウモリの報告待ちかしらね♡ 」

涎で汚れた口周りを丁寧に手巾ハンカチで拭き

少女は王都大聖堂に向かって歩いて行った。


 此処は王都大聖堂内説教室控えの間、神官職位一位 ラクティカス大神官の民草への

説教が終わり、神官二位のノージェは上司に当たるラクティカスと歓談していた


「ラクティカス枢機卿 本日のも有り難き女神 リーンの御言葉

更にわたくしの心に響きましたわ 悪しきことわりと異なるモノ、悪しき魔獣”キマーラ”が

かの銀の風によって討ち滅ぼされました これも枢機卿の適切なお言葉と女神リーンの御業の

賜り物でございますわ」


 好々爺然ととしたラクティカスは、白髪混じりの金髪を丁寧に後ろに撫で付け淡い

アリスブルーの瞳を満足そうに細めて


「儂も、女神リーンの御業を人々に伝えているのに過ぎぬよ

儂とて女神の子らの一員に過ぎぬ同じ方舟の者が艱難辛苦に有れば見過ごせぬまでのこと

かの銀の風こそ女神リーンに近しい者なれば、儂もまだまだかの者の足元にも及ばぬ ははは

して、かの者の仔細は分かったかの? 」

と柔和な微笑みを絶やさずノージェは顔を赤らめて


「いぇ、仔細はまだ ただ......」

「ただ 何じゃ申してみよ ここは女神の御神楽みかぐら

どんな邪な事柄でも女神は聞き逃してくれよう」


「はい恐れながら申し上げます。

彼の者は強い”魔性の瘴気”を纏っていながら自身でも気付かずに

辺りには全く障りをもたらさぬ特殊な躰の持ち主のようです

噂にはケルベロス一頭と、ヘルハウンド10頭引き連れていたとか

不思議な能力ちからを備えたオートマトを連れているとか

最近ではベルゼでライブ・アーテファクトをいとも簡単に手懐けたとか

あっと最後は噂で未確認ですが......」


「ほぅ、特殊な躰とな? 」

「何でも王都医術院では、定命のことわりを完全に外れているらしい

との結論に至り

目下、血液とウロコとおぼしき組織片を解析中とのこと

それと彼の者が、エリスティーナ姫殿下に与えた指輪も国宝級だとか

彼の者と接触した途端、病弱だった彼女が一夜で健康体を取り戻した事とか

不可思議な現象に皆困惑おるそうです。 」

とノージェは今までの情報を伝えた。


「ほう、儂も彼の者におうてみたいものよ して彼の者は何処いずこに? 」

「今はベルゼにて魔女 メトリエーテのァタウェー討伐の依頼を遂行中との事です」

「まぁ、いずれチャンスは巡って来るであろう 引き続き報告は頼むぞ」

とラクティカスはノージェの頭に手を添え祈りの聖句を捧げる


...女神リーンの、息吹が良い報せを運びますように御身にこのラクティカスの名に於いて

言の葉を捧げん...


と祈りを捧げ

「儂は、私用があるので午後の仕切りは任せる 夕刻には執務に戻るでな」

「はいッおまかせを!! 」 

ノージェは顔を赤らめてその場を辞した。


 ラクティカスは、一人きりになり私室へ向かう

向かいながら柔和な顔つきが険しくなりゲス顔で私室に入室したのはノージェの

知る所では無く

そして、彼の首元に二つの丸い疵痕がありすでに魔性に穿かれていた事も。


 バタリと扉を開けると

「あら、ラクティいまお戻り? 」

ワザと片足を抱えカワイイドロワーズをちらちら覗かせていて

まるで子供に話し掛けるように声を発したのは

先程の少女であった。


「ヴェネか? 」

「あら、誰に見えるの よもやこの可愛いこのヴェネちゃんをお忘れ? 」

「いや、今あまり忌々しい報告を聞いてな目の前が霞んでおったのだ」

「また、ディーボ騒ぎかしら? ラクティ? 」

「いやあんなのは瑣末なことよ シーアの事と言ったらいつも済まし込んでいる

お前も多少は動ずるだろうよ」

「何ですってっ!! シーアの件ですってっ 早くこのヴェネちゃんに仔細を

聞かせなさい!! 早くハヤクっ〜ッ 」

と タラタラ 涎を垂らしてラクティカスに、机に腰掛けていたのをストンと降りて

可愛いワンピースドレスが乱れるのもいとわず鬼気迫る。


「ま〜待てそれよりはっ早く儂の”血”を吸ってくれさっきから症状が出始めておる

このままだと儂は...儂は...」

とゆっくり肌が土気色に変化を始めた

「全くラクティったら駄々っ子ちゃんね おぉ〜よしよし今この可愛いヴェネちゃんが

叔父様のを吸って差し上げますわ

丁度ヴェネちゃんもお腹空いてたし」


「んむんむ」 と 可愛く髪をかき上げて首元に赤い唇を吸い付かせる

「叔父様のってステキなお味 ヴェネちゃんこのお味だ〜ぃ好き


「ふぅ、ようやく人見心地ついたわい」

と土気色だった肌も元に戻る


「早くさっきの話聞かせなさいよ ラクティ!! 」 

と今度は椅子に座り可愛く脚を組んでつま先でくいくいと促す。


「さっきの話じゃが......という訳よ忌々しい話じゃわい

女神の御許に近づくのは儂のみで十分じゃて 他は近づくのでさえかなわんと言うに

説教如きで大層有りたがっておって女神に近づいた気になっておる。 っはは滑稽じゃわい

儂こそ女神リーンの代弁者に最も相応しい者よ」

と大袈裟に両手を広げ嗤う。


「それは置いといてね〜ぇラクティ お・じ・さ・ま♡ 」

と上目使いで物欲しそうに指を咥えて

「ん、なんだ急に甘えてきて若い神官の娘の生き血でも欲しくなったか? 」

「ヴェネより可愛いオンナノコ連れ来たら可愛いお顔ズタズタにして

後もグチャグチャにして あの子達の”エサ”にしてやるわ」

と先ほどから後ろに控えている四人の”美少年”を見やる。


「お〜ぉ、可愛い事言ってくれるじゃないか

オンナノコらしく嫉妬かな? ヴェネや」

とラクティカスも目を細めてヴェネの頭を撫でる


「ちっ〜がうもん、あのね シーアをコワス舞台は何時なの? ねっ教えてラクティ? 」

と菓子でもねだるように囁く

「今、シーアらは浮遊大陸”ベルゼ”にいる

此処大聖堂に呼ぶのは魔女の依頼が総て済んでからな

謁見ということで儂にあう機会を儲けよう それからでもいいではないかね」

「うんそれまでヴィネ、ガマンするわ んゅ」

「どうしたね? 」

「ちょっと、お花摘みにいって来るわ」

とヴィネは手洗いへ


「うふふ、愉快愉快 まったく莫迦なラクティ、ヴェネが血を吸った所で

完全な不老不死なんてありえないけどね

今でも定期的に吸ってやらないと生き死人に成り果てて崩壊しちゃうんだから

せいぜいヴィネの為に働いて頂戴。 ヴィネの叔父様

んしょんしょ 大きいとコレ窮屈ねいやぁん」 と

ひとりごちた


「お・ま・た・せ さっきの生き血のはなしだけどぉ 可愛い”聖歌隊”の”美少年”連れてきて!!

オトコノコならいいわ ね♡ 」

「うむ、何とか手配しよう それでほんとに儂の完全な不老不死は叶うのかね? 」

「えぇ、勿論よ ヴィネの言うことを良く聞き良く守ればきっと叶うわ ふふ......フフ

可愛い”オンナノコ”はあの子達の”エサ”するから孤児院から”また”貰ってきて

慈善家の叔父様♡ 」


「うむ近い内にコレも手配しよう」

「きゃん、うれしー ヴィネだから好きよ」

「これこれ、急に儂の唇を奪うな可愛いヤツめ」

「可愛いってもっと言って言ってぇ」

 

こんなやり取りが夕刻まで続いてた。


 宿に戻って一息ついてミーアと合流してテーブルに着くと

決して看過できない ”浮遊大陸 ベルゼ”に関する噂が聞こえて来た


また事態が大きく動きそうなそんな予感がして、わたしのひと房の髪がぴくりぴくりと動き出した。



次回 56話 浮遊大陸の噂

お楽しみに

”迷宮のレメテュア” を追加して

設定ラフのリンクを張りました 

みてみんへのリンクへ飛びます

ラクティカスの設定を活動報告に掲載しました

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