54話 姦(かしま)しい浮遊遺跡と宿り木の種
カツーンカツーン と回廊に大きく足音を響かせながら霞んで見えない行き当たりを目指し
歩いて行く
ところが何時までも同じ光景が続き終点らしき所にたどり付かない
どうも”堂々巡り”の罠に嵌ってしまったようだ
「シーちゃんどしよう? 」 とミーアが オロオロし
[ シーア状況が分析不能です 警告...コアに負荷がかかっています ]
と優秀なビヨンが”コア”に過大な負荷がかかっている言う
2人共、初めての状況らしく軽い恐慌状態に陥っていた
ここは男性時代から培ってきた冷静さを発揮する時だった
わたしは、素早く状況を皆に知らせ落ち着かせねばならなかった。
堂々巡りに陥った時は先ず動かない無いことである
”幸い”罠解除を能力とする彼女もいる。
「みんな、止まって これは”罠”よ”堂々巡り”に嵌ったみたい こういうときは
動かない方がいいわ 慌てて別の新たな罠を踏む可能性も或るし
シセラ、早速貴女の能力見せて貰うわ」
シセラはわたしの前に浮いたまま跪いて
「御意に 貴女冷静ね 大抵は慌てて却って疲弊するのが常套なのに
いいわ このシセラ貴女にあたくしの能力見せてあげる」
とシセラはおもむろに右手を前方にかざすと
複雑な文様の黒紫の光りの環が五つ腕輪の様に取り巻き
腕を軸に右や左回りに回転していて更に、光りの環の内側から
黒紫の多数の光りの糸が紡ぎ出されて 周囲の壁を弄る
暫くそうしていたが
「成る程分かったわ 2つの仕掛けが有るわねここ 先ずはこれ! 」
と壁を弄っていた光りの糸を引っ込め
何の模様も無いツルリとした壁を今度は指で古代文字
を書く様になぞる
「場所は何処でもいいの この文字列を描く事が鍵になるわ ほら」
そうすると、今まで蒼一色だった床に正方形のマス目が現れまた
古代文字が一面に浮かぶ
「あとは無作為に有る文字から意味有る文意を読み取り
そこを踏むだけよ
此処は
”我、真贋の淑女の足跡をたどり真理の袂へたどりつかん正しき者が正しき途へ
過ちを犯し者は常世の闇のハデスの口に導かれん”
と文意を読み解けるわねぇ
シーア貴女、蝶の翅は使っちゃだめよ 貴女の瘴気がこれ以上、上昇すると
すぐ反応して文意が又変わり厄介だからね ビヨンに抱っこして貰いなさいな
ミーアはそうね 今の貴女なら上手く飛べるでしょ」
と いい跳んで踏むべきマスの上に浮かび待機している
「では皆行くわよ」
と掛け声と共に空中で待機したマスに皆跳んで行く
わたしはビヨンに両手で抱きかかえられ軽々と跳んでいく
「ビヨン大丈夫? 」
[ 問題ないですよシーア、貴女は私からすれば羽よりも軽いですから
それより舌を噛まないように ]
「うん、ありがと」
ミーアも軽々とシセラの後に従いていく
「シーちゃんすごいわぁ以前より身体が軽く感じるわ」
元から敏捷だった彼女は人外になることで更に身体機能が向上したようだ
とそんな会話をしつつ最後の文字のマスを踏む
すると霞んで見えなかった先の視界がぐいと引き寄せられ一行は
”堂々巡り”の罠を脱し、大きな水晶の扉がが目の前に飛び込み
皆にシセラは首を縦に振り他の”罠”がない事を知らせる。
そして聖堂のような内部に足を踏み入れた
すると二人の冒険者の白骨体が衣服を纏ったまま斃れていた
おそるおそる近寄ると男女の衣服を着ていて首には”エモニィ”の弟と同じ意匠の
ネックレスがそのまま残っていてわたしはミーアと視線を交わし素早く駆け寄り
ミーアは
風陣の指輪で 彼らに癒やしの風を捧げる
” 優しき女神の息吹よ二人の御霊を御前に導き、御前の懐で包み給う 御霊に安寧あれ”
と唱える。
やはり彼女は冥界の住人でありながら癒やしの能力に天賦の才があるようだ
白骨は塵と化してさらさらと形を失う 後の遺品はミーアが 自分の小鞄に
大事にしまう
「後はレヴィアに”賢者の右手”を預かって貰うわ」
少しでも痕跡を”フレジア”に気取られ無いように万全を期さなければならなかった
<<レヴィア出ておいで>>
<<はぁ〜い、レヴィアいまいく〜>>
とビヨンの横に現れる
[ しーねえさま なにかごよう? ]
「ちょっと待っててね」 というと
レヴィアは
[ ビヨンねえさま...今のおやちきのじょうきょうよ ]
ビヨンと早速情報をやり取りしてビヨンのスカートにしがみついてわたしの指示を
待っていた
わたしは警戒しつつも最奥の祭壇の様な場所へ近づく
すると、透明は蒼っぽい硝子の匣の中に何やら種族は不明だが干からびた右手が入って居る
華美な装飾などはなく黒い爪化粧が施されているのみ
他にはそれらしき物は無くレヴィアに”反応”するか聞いてみた。
「あの”お手手”に貴女の”スフィア・コフィン”反応するの? 」
するとレヴィアは 蒼い魔法陣を出願させ鎖で探っていたがやがて
[ うんあれ、レヴィアの”鎖”はんのうする〜 ]
と今にも絡め取ろうとしていた
シセラも
「あの娘のアレ反応してるわね シーア アレで間違いなさようよ」
と判断した
「レヴィア、アレ貴女のお胸に匣ごと仕舞って頂戴な ”食べ”ちゃ駄目よ」
と指示を出す
レヴィアは
[ は〜ぃ、れゔぃあ あのお手手 お胸にナイナイしちゃうわ ]
と カラカラ と硝子同士がぶつかり合うような音を立てて収納し胸の陣が
ゆっくり掻き消えた
「ねぇレヴィア コトンはどうしてる? 」 と聞く
[ れゔぃあが此処に来るまでレフィキアねーさまと お紅茶飲んでお菓子食べてた
早く、同じらいぶ・あーてふぁくとの姉妹がほしい〜 とだだこねてたげど 今夜は必ず
しーねーさまとお泊りするんだぁ〜 ともいってた〜 ]
と聞いて何気にミーアがニヤニヤしていてわたしはシラを切った
用は済んで部屋の遺骸の有った近くの帰還用の陣を踏もうとした時、
「だぁぁれぇ〜 気持ちよく眠ってたのにぃ〜」 と気怠そうな少女の声が聞こえてきて
わたしは、皆を素早く視線を交わし戦闘体勢を整えた
しかし、 「リズはねぇ〜リズベートよ貴女と戦う意思は無いわ 此処の守り手よ
っと...誤解はしないでねあの”冒険者”はリズは殺っていないわ
もう天命の理の終着点だったわ これを守るように託されただけ」
と手の有った場所を指し
「そして”強い”魔性の瘴気を纏った貴女が来たって訳 それで完全に目が覚めちゃった
貴女の魔性の瘴気って美味しそう
もぅこんな辛気臭いトコはいや ねぇリズも貴女の傍に居る黒いおねーさまのように
従いていっていい? 悪いようにはしないわ」
と囁きかけて入るが姿は見えない
「わたしも”声”だけじゃ信用出来ないわアナタが姿を見せた上で”盟約”したいと言うなら
考えてもいいわ」
と言う
冥界の住人たるもの盟約を申し出てきた以上先に”正体”を明かすのは向こうである。
「ごめんなさい そぅだったわぁ〜 では改めて ”リズ” はねぇ〜リズベートよ」
と蜃気楼が現れるように声の主は姿を現した
ふわふわ シセラと同じように 可愛い”少女”は浮いたまま挨拶をする
その姿は
背はコトンと同じくらい瞳は淡いダークオーキッド唇はライトピンクで
目は気怠い感じの印象の丸顔で髪は背より長くゆらゆら揺れている
銀に近いアッシュ・グレイのゆるいウェーブロングで髪全体に
ミディアムスレートブルーの小さなレースのリボンを散りばめている
山の裾野の様に広がり豪奢な雰囲気を讃えていて
唇はライトピンクで肌はシセラと同じくらい
衣服も少女趣向の非常に強い大きなフリルの姫袖で首が窄まった淡い
ゴーストホワイトのワンピース同じくゴーストホワイトの少女趣向の非常に強いケープを着けている
楽師の楽譜の意匠の刺繍入りで
フリルとレース部分はミスティローズ、首のリボンはクリムゾン
スカート丈はヒザ下ぐらいでミスティローズの豪奢なペチーコートを着用している
足には大きなゴーストホワイトのリボンで、ミディアムパープルのストラップローパンプス
白のバラ柄タイツをで脚をつつんだ可憐な少女がそこにいた
わたし達も此処でようやく構えを解く
全体的な雰囲気は気怠そうな感じでいつも眠たげな印象なリズベートは
右手に逆螺旋状で花はゴーストホワイトで蔓は緑の野ばらのカリヨンを携え
シセラの契約時と同様に浮かんだまま跪いて
「銀の君 御手を私リズベートに」
とシセラと同様に左手を取る
左手中指に軽く接吻をして
《 我真贋の淑女、汝に水晶の付託を以って請願する者なり、指輪を以って縷縷の誓いを立てん 》
と契約の文言を交わす。
すると左手左手中指には銀の蔦と紫水晶の蔦が絡み合った様な意匠の指輪が嵌まる
「宜しく、銀の君 貴女のお傍いいわぁ リズはねぇ品物の来歴の解析や真贋の鑑定等が出来るわ
あとは音や振動を操るのが得意で
悪意と悪しき者に幻惑と認識誤認をさせる事も可能よ
一般人は7日ぐらいは白昼夢に悩ませられるわ
うふふ 早く悪しき者をイジメてイジメぬきたいわぁ」
と何やら加虐的嗜好を思わせる発言をする。
わたしは
「銀の君は照れるから普段は”シーア”でいいわ」
とリズに言うと
「分かったわぁ でもリズはお眠が好きなの 用が有れば何時でも出てくるから
指輪で寝てていい? 」
と訴えてくる
「勿論、盟約を交わした以上無闇に生命を奪わなければ行動は制限しないわ
好きな様にしなさいな」
と言うと
「銀の君の御心のままに」 と浮かんだまま頭を垂れるや
「おやすみなさい」 と声だけ残して
指輪にすぃ〜と消える
こうして守り手の契約”も”果たしたわたしはシセラに隠し部屋や扉がないか確認させて
その後、
帰還用の転送陣に改めて飛び込む 恐らくこの場所は余程の偶然でなければ再び訪れるのは
無理であろうと思われた。
それもそのはず此処は、水晶の都 ”ソーン” の 近く 水没都市 ”ケルモール”
嘗て前史代末期 ”蒼き深き者共” が栄華を誇っていた時代の彼らの祭祀場で今代は
深海近く水没した水没遺構の一部で ”悪鬼の口” の底に有って
”特別な転移の四行詩”でなければ訪れるのは不可能なのだから。
こうして”魔女 メトリエーテ”との依頼を果たし 又、魔術文字の奔流の中移動する
途中で エモニィと両親の三人の魂がわたし達に
〜 これで信じる神の御許に逝けるわ シーア、有難う〜
と囁く声が聞こえたのは幻聴だったのだろうか
程なく、魔女メトリエーテの屋敷の出発点に戻ったわたしは
「メトリエーテさん、このシーア只今戻りました。
お約束のお品は娘が持っていますが此処で取り出していいのでしょうか
この娘あらゆる呪物・聖遺物の保管と破壊が出来て魔力痕跡も漏らさない異能を
持っています どうしましょう? 」
と問うた。
「あら、シーアおかえりなさい その様子だと”守り手”も貴女に従いたのね」
と左手中指の指輪に視線が動き
「それにその娘もオートマトなのに異能持ちなのねぇ」
とレヴィアを羨ましそうに見つめて微笑む
さらに言葉が続く
「そうねぇ、あの匣は特殊な蒼水晶製で、魔力痕跡が少しも漏れないわ安心していいわ
あれは
我が夫ウニちゃん特製の魔道転換炉のコアに使うのよ
”同じ まどう”でもその娘様に機械技術と私達の隠秘学とは
起源は同じでも違うわ音は同じで字の綴りが違うのよ
まぁ講釈はそれくらいにして
取り出しても平気、匣のままコアにするし魔道転換炉で私達の扱い易いマギに
変換するからそれ特有の魔力痕跡は一切漏れないわ安心して頂戴」
それを聞いて
「さぁ、レヴィア貴女のお胸から取り出してメトリエーテさんに渡しなさいな」
[ はぁ〜ぃ、しーおねーさま ]
と蒼い陣を出現させて鎖を匣に絡めたまま差し出す カラカラ と解いて メトリエーテに
[ メトリエーテちゃまに、お土産あげるの〜 ] と渡す
「ありがとね、 これでマギをふんだんに使えるわ それに解析も格段に進みそうよ
例の浮遊遺跡の件はここのラストレの支部に依頼を出しておいたわ
気が向いたら行ってみてね ギルド支部で ”ギメル浮遊遺跡の件” と言えばいいわ
「有難う御座います帰りがけに寄ってみますね」
といいメトリエーテの緊急依頼を済ませ次の目標で
有る”ギメル浮遊遺跡”の調査を目指す
そして魔女の家を辞したわたし達は
ギルド支部へ足を向けた。
[ れゔぃあ やちきへ戻らなきゃ コトンねーさまがたいくつしてておかしも
ほちいっていってるの〜 ]
「えぇ、ご苦労様コトンには今夜お泊りするって言っておいてね」
「はぁ〜ぃ」 とレヴィアはクロの陣へ飛び込んで消える
そのころ、
オルティア大陸の王都では、ちょっとした弾性樹脂のにわか景気で湧いていた
何でもこの新物質である”弾性樹脂”は異世界人の提案で
異世界語で”ゴム”と命名されて衣服や様々な用途が考案されていた
後で知ったことだが異世界で似たような物質が存在してるのだそうである。
何より
ライブ・アーテファクトの可愛い少女達を一人でも多く手元に置きたいわたしは
遺跡攻略後にメトリエーテの助言を聞こうと決めていて
コトンの大好きな新鮮な”目玉”を合法的に入手する方法も考える必要も
迫られつつ有った
ギルド支部でメトリエーテの指名依頼を受けた
わたしは”お兄様”のパテントの収入を軽く凌駕していて
また金額の多さに驚き軽く”お漏らし”をしてしまう
これを機に早めにミーアに運用法を教わろうとも考えていた
離れの宿に戻ると早速ミーアに運用法を尋ねてみた
「ねぇ、ミーお姉様 おカネの運用ってどうやるの? 」
「そうねぇ、先ずは商工会に出向き各職人ギルドの代表に”投資”を持ちかけるの」
「投資? 」
つまりおカネを出資することだが、これで利益がどう出るのかが分からない
「そぅ、自分が好きな物を製造しているギルドにおカネを出す代わりギルドの利益が
投資した額に応じて少しずつだげど配当として入ってくるわ
あとそのギルドで製造や精算してる物品等が安く買えたりね
それにおカネではなくても意匠や妙案を提供するやり方もあるわ
そうね
私は後者のやり方ね 私名義でシーちゃんの”お兄様”の妙案を提供する代わりに
配当を得るやり方で運用してるわ これのいいトコは私が”死ぬ”まで有効ってことかな
ギルドカードが更新されていれば生存確認は出来るし他人のカードは使えないからね」
なるほど、ミーアはこうやって手堅い事をしてたのかとわたしは
初めて”運用”の方法を知った。
「分かったわ、わたしなりに考えてみますね おねーさま」
とここで話は終了する。
「 おねーさま、今夜はお屋敷で休みます おねーさまは? 」
「私は宿で休むわ ふふ コトンちゃんきっと寂しがっているわね”ゆっくり”してきなさいな」
「はぃっ、そうします 服の洗濯あるし」
と少しにやけ顔でクロの陣へ飛び込んだ
そして、沐浴も済ませネグリジェに着替えて寝台に座ると早速
ドアをノックする音が聞こえて
「どうぞ コトンちゃんいらっしゃいな」
というが早いか
「きゃはっ あたくしを”コトンちゃん”って呼んでくれるのね うれし〜♡ 」
と何時ものワンピースドレスのまま
トトッ と駆け寄り 腕をぎゅぅと絡めてわたしの唇が奪われた
「「んんっ ......んっんっ」」
とお互いの言葉が重なり
「「ちゅくちゅく」」 と音が湿って来た
「......んっ...どうして...ちゅくり...コトンちゃんは”おめめ”が好きなの? ...」
と何故”目玉”が好きなのか尋ねてみた
「どうしてって... んんっ...コトンねぇとおいとおい昔にねぇ〜...あぁぁん...今日の シーねーさまって
何時もよりお口の動き積極的ぃ〜 ...ちゅく」
「コトンちゃん ...んくんく...はぐらかしちゃ駄目よ」
とわたしはコトンの唇を軽く甘噛みした
「きゃうん、シーねーさまってずるいこんな事するなんて...んとねぇ...それはヒト共が私に
”おめめ”の捧げ物をして”お願いごと”をしたからよ」
腕を絡めたまま二人の双方の手はお互いの髪を優しく梳く
「んゅ...”お願いごと” それってしょれを贄にって事? 」
「そぅよ、あたくし達って幾星霜にもわたりこういった贄を捧げられてきたの
他にも”心の臓”や”生の骨”等にご執心な娘も居るわ たいていは
ヒト共がかってに自分達の欲望の為に捧げてきたものであたくし達からは”要求”は
しなかったけどね
でも、わたくしがわたくしであると自覚した時は、”おめめ”が
すでにだ〜ぃすきになっていたわ」
わたしはメトリエーテが彼女達は、
”享楽的で気位が非常に高い上、残忍・残虐・冷酷・狡猾・残酷嗜好にみえる”といっていたが
すべてヒトが性格傾向を造り上げてきたものだと確信した
「今代のお菓子や甘味もだぁぃ好きだけど
”おめめ”等の”贄”こそあたくし達の本来の”食べ物”なの実際に口に入れる娘も
居るしね わたくしは”集める”のが好きなの」
「そぅ ところでコトンちゃんは同じような”姉妹”欲しい? 」
とレヴィアが言っていたのを思い出す
「勿論じゃない 今は独りで寂しいわ でも”贄”とは別におねーさまのトコには
”姉妹”達が寄って来るわ だっておねーさまって不思議な魅力があるも〜ん
だから コトンからもお願い〜 ”姉妹”もっと連れてきてお屋敷でお茶会したいの」
と彼女は徐々にわたしのショーツに手を掛ける
「いやぁぁん、ソコは絶対ダメぇ〜」
と軽く”オンナノコ”に触れまたゆっくりと頭の髪を梳く
「おねーさまって”子供のお部屋”まであるのね いいわぁ 」
「どうしてそれを? 」
「ふふん、だってだって今おねーさまの”オンナノコ”にさわったら分かっちゃたんだもん
わたくし達ライブ・アーテファクトの”姉妹”って”オンナノコ”はあっても
”子供のお部屋”はないの ねぇシーおねーさまはどんな殿方が好き? 」
といきなり核心を突いてきた
「わたしは貴女の様な”可愛いオンナノコ”が大好き ”男性”は恋愛の対象外よ」
と即答した。
いくら少女になったからといっても元”男”のわたしとしては
三度の”アレ”を経験しても尚、”男性”は恋愛の対象外だった。
「へぇ、そうなんだぁ〜良かった わたくし達ライブ・アーテファクトの”姉妹”ってねぇ
おねーさまと同じくオンナノコ好きよなんていったて”贄”
といったら生娘だものねぇ」
それじゃそれは殿方との恋愛模様は(あの娘に期待しようかしら っふふっ」
と企み顔でにやにやしていた
「とッとにかく”おめめ”は出来るだけ”新鮮”なのを調達出来るように
メトリエーテさんに相談するわ」
コトンの話しを聞くにライブ・アーテファクト達は皆”特殊な嗜好”を持っているようで
”それ”も満足させてやらねば今後行き詰まるのは目に見えていて
”特殊な嗜好品”の入手の伝手を一刻も早く確保して彼女を満足させてやりたかった
「きゃ〜ん、嬉しい是非そうして頂戴 お・ね・え・さ・ま♡ 」
とコトンは脚を寝台の上で嬉しそうにバタバタさせソックスのフリルが交互に揺れた。
「難しいお話したら眠くなっちゃった、このままおねむしていい? 」
とコトンの目は閉じかけていた
「そうね明日は浮遊遺跡の準備や貴女の”おめめ”の伝手を相談しなくちゃ
わたしも ふわぁ〜 眠いわ おいで抱っこしてあげるから」
「ふわぁ〜ぃ、おやすみおねーさま」 と彼女は眠りに就いて
コトンの首に腕を絡めたまま睡魔に意識を渡した。
翌朝、わたしは遺跡に潜る事を考慮してこの身体に成りたての頃のような
”普通”のワンピースにシンプルなリボンパンプスで整えまだ眠っているコトンの額に接吻をして
レヴィアにコトンの事を任せてレフィキアを出る
外ではもうミーアがたまった自分の服や下着を洗濯していてた
予定を聞いたら、今日は宿にいるそうである
遺跡に出かけるのはいつでも出来るようにしておくとの事
わたしはメトリエーテに用があるので魔女宅に行く旨を伝える
「よく眠れた? シーちゃん」
「えぇ、とっても」
とそんな会話をミーアとして
後ろに浮いているシセラに
「今度潜る浮遊遺跡って”罠”が一杯あるの? 」 と聞くと
「そうよシーア、ここベルゼは嘗て魔道士や魔女が闊歩していたから難解な”謎解き”式の
罠が多いわ でもこのあたくしに任せなさいな でも殿方の”アレ”って朝オッキクなるのね
あちこち見て回ったけど皆オッキクなってたわ 驚いたわぁ
今度 ”斬っこ” するときは朝方にしようかしら」
とまた相変わらず少々下品な話題を切り出しわたしもそれを聞いて
元男としてその”現象”を身をもって知っているだけに
”ソレが”無いはずの股間がきゅぅとなってしまった
「あら、シーアどうしたの? 」 と気取られたらしい 慌てて
「なっ何でも無いわ」 と返すと
「変なの」 と首を傾げて覗き込む
「とっともかく、遺跡では貴女に頼る事になりそうだからお願いね」
「改めて何言ってるのよ あたくしの総ては貴女のものなのよ 任せなさいな」
と頼もしい事を担保してくれた。
メトリエーテ宅でライブ・アーテファクト達の”嗜好品”について聞いてみると
「”非合法”ならいくらでもあるけど世界中を敵に回す事になるわ
それは貴女のようなお人好しな性格や信条に合わなそうだし......あとは救護院で”検死官”と
お友達になるのそうして”魔女”の使いを装って”嗜好品”を買うのよ
”魔女”はそういった触媒も使うから取引きしてくれるわ」 と提案してくれた
成る程これなら”合法的”ではある
彼女はさらに
「後は、そうねえ行き倒れの遺体かたまにある”公開処刑”の現場に出向く方法かな
”行き倒れ”から”拝借”する時は絶対に装備品には手を付けちゃ駄目よ」
「どうして? 」
「遺体は既に魔物にやられている場合がほとんどだから”嗜好品”が無くなっていても
遺族は気にしないけど
遺品は遺族に引き取られる事がほとんどだからね
仇討ちと武器取り返す為に腐肉塊を執拗に付け狙う冒険者(遺族)が居るくらいよ
例え、遺族がそれらを後で売却するにしても、
一度は身近に置きたい物でしょ 武器は引き継いで使う事も多いし
ただ”拝借”はこっそりやらないと、身の潔白を官吏の前で証明しないと面倒だから
この方法はあまりオススメ出来ないわねぇ」
「貴女にオススメなのはやはり”検死官”とお友達になることと”公開処刑”に出向く方法がいいわ」
わたしは、ミーアの資産の運用話で救護院に投資か寄付で
繋ぎを作って於く事を頭に過ぎらせ
もう一つの公開処刑は今後増えるであろ彼女達の残酷嗜好も同時に満たせそうだった。
「ありがとう、メトリエーテさんお陰でわたしなりに案が浮かんできました」
「そう、それなら良かったわ」
わたしは遺跡攻略の準備が有るからこれでとメトリエーテ宅を辞した
一方、4層島群ロハップの浮遊遺跡”ギメル”の近くの廃遺構群の片隅で
異装の麗人”ニール”は”ロージィお嬢様”の命を受けて
あのケット族の双子に指令を伝えていた
「......と云う訳ぇ分かったァ? 」
「「はい、ニール”お姉様”銀の娘はマキちゃんとマニーちゃんがちょっかい出せば
いいんですのね」
ライトスィールブルーのロングストレートのツインテールの髪に黒のリボン
でスレートブルーのワンピースにアリスブルーのストラップパンプスのマキと
ゆるくツインテールの髪を巻いたドリルツイン
スレートブルーのワンピースにアリスブルーの編み上げブーツのマニーは
髑髏付きの長杖を持ち二人そろって答えた
「そうよン、でもアナタ達じゃかないっこ無いと思うからぁあくまで手の内を探るだけヨン♡ 」
「「え〜、だってだってこの杖で食べちゃってもいいんでしょ? 」」
「やれるものなら殺って見なさいな アナタ達じゃ無理ヨン ギルドの間者によると
あの娘達 明日辺り浮遊遺跡”ギメル”に潜るそうよ
手の内を探るなら疲弊している攻略後を狙いなサイ テキト―にあしらって
アタクシに教えなさいな 万が一本気でふっかけて返り討ちに有ってもシラないからネ
アナタ達”本物”のオンナノコになりたいんでしょ? 」
「「ぃやん お姉様ぁそれを言わなぃでぇ だってこのドロワーズって恰好悪いんだモン
早く”本物”のオンナノコになって可愛いショーツ履きたいの ねーー」」
と二人のケット族の”見た目少女”の男性は手を取り軽く弾む
まるで少女の様に。
そう、このケット族はオンナノコになりたくて言葉使いやしぐさまで”少女”を目指して
今や誰もひと目で”男性”とは分からない域に達していた。
ちなみに本名は”兄”をモノマキー”弟”をモノマニーという
そしてオンナノコになるために何処かにあるという性別を変えるオーパーツを
求めて”銀の三日月”の構成員になったのである
その上その容姿を使って冒険者をたぶらかし多くの人命を杖の餌食にしてきたものも
また事実だった。
「マキちゃん、お肌に疵が付くのはいやですわ ねぇマニーちゃん? 」
「そうよマキ”お姉様” マニーちゃんもお肌に疵が付くのはいやよ」
ニールはニヤリと笑い
「だったらアテクシの指示に従いなさいな よくって? 」
「「はぁぁぃ、ニール”お姉様”の御心のままに」」
と二人はスカートを摘みあげ腰を落としニールに跪いた
「それじゃねン、アテクシは何時ものトコにいるわン」
とまた何処かへ歩いていった
「「きゃん、いよいよあの銀の娘と遊べるのね♡ 」」
「「...んっんっ...」」 と
唇を絡めお互いの首に絡めていた腕を移動させ
手で”不自然に”盛り上がったスカートの股間をおさえ
「「いやぁぁん、またオッキクなっちゃった だからいやなの...オトコノコって...ねっねーー♡」」
と二人は簡易天幕へ入っていった。
一方フレジアの一時的に拠点している某空き家にて
”ロージィ”は鏡台で”お粧し”を念入りにしていた
椅子にスカートをふんわりかぶせ両脚は綺麗に斜めに揃えて
可愛気のある仕草でとはいっても髪と瞳の色以外はドウにでもなるので
胸のリボンを弄りながら、お気にのゆるふわ系の髪を
ベビーピンクのワンピース姿で
地毛らしい腰まであるサンシャイン・イエローの髪の”男の子”に梳かせていた
「なぁ、少女の恰好っていいだろ」
小さく小振りな真っ赤な唇からは相変わらず野太く下卑た男の声。
ロージィは黒のレース・フリル・リボンが豪奢にあしらわれた真っ赤なワンピースドレスに
黒のペチコート・大きなローズ・ピンクのリボンを頭の天辺に付けお嬢様然としていて
更に
ローズピンクのリボンパンプスに黒のタイツで誂えていた
「髪はヨゥ、適度に掬ってから頭によぅ負担が掛からないようにするんだぞ
いいな 所でオメェは何処で拾われたんだぁ その恰好だと娼館か? 」
と無遠慮に”少年”に声を掛ける
「うん、ボクもう少して娼館に売られるトコだったのフレジアのオジサンに助けて貰ったから
頑張るね オンナノコの格好も好きだし”お嬢様”のお付きになりたいな」
「そうか、オレの服やら下着やら女物は管理するのが楽じゃネェし オレが見た所
お前も半分人外だろ?」
少年はコクリと頷く
「そぅ、だから親戚中に邪険にされて、その上好きなオンナノコの格好してたら案の定
” テメェときたらオレのお下がりのカッコいい装備くれてやるってのに
女の恰好ばっかしやがるそんなにその恰好が好きなら
テメェはオレの息子じゃねぇ 娼館でも行って稼いで生きていきな...... ” と父様に勘当されて
娼館に売り飛ばされたの そして脂臭いオジサンに危なく慰み物になるトコだったの」
とおどおどしながら言う
「そうか、それは気の毒にな半分人外なら成長もあとしねぇし定命の理から外れて
いるなお前 って名はなんと言ったか? 」
「ボク ”レーミィ”っていうんだよ 」
「女みてえな名だな」
「この名のせいでよくイジメられてて ボクもオンナノコの格好好きでよくこっそり着てて
見つかっちゃて更にひどくなって うぅ......」
「泣くな泣くな、オメェにだって特技があるだろ ソレも買ってるんだぜオレはよ
あとは言葉遣いはオンナノコらしくしろよこれは命令だぜ オレはこれが魅力だがな
二人も野郎の言葉遣いは嫌だぜ わかったか? んーー?...オンナノコになりたかったら
徹底しな
後な、期待しないで聞いて欲しいんだがゆくゆくはお前を”魔法医術”の権威に合せてやらぁ
性別変えるなんてお手の物だぜ ”本物” に成れるんだぜ
だからオレ付きのメイドになれ」
と目細め囁く」
レーミィは
「うん、努力するよ」 と目を輝かせている
「それでいいぜ あとたまにオレの服や下着貸してやらぁ......でだ......首尾はドウだ?」
とワザとタイツ越しのショーツを見せつけるあざとい仕草をすると
”レーミィ”は慌てて股間を抑えた
「いいなそれ、女の恰好で股間があるなんてこれは新たな性癖に
覚醒めそうだぜ ニールの奴とは違うなアイツは単なる異装好きなだけだっテェからな」
といいながら、反応を楽しむようにタイツに包まれた脚を高くあげる
ペチコートがするすると脚の動きにつれ腰まで上がり
タイツ越しの水色のショーツがはっきり見えるようになり
ワンピースの赤も有って実によく映えていた
レーミィは顔を真っ赤にしながらも
「ラルド!! 」
と虚空に向かって呼ぶと何も気配無しに一羽の梟が舞い降りる
ラルドと呼ばれた梟は
{ホゥホーゥ}
何事かレーミィに囁くと
又何処かへ羽音無しで飛び去った
「あの娘はギルドで浮遊遺跡”ギメル”の個人依頼を受けたそうです」
更に”黒い娘”が傍にいたとも言っているの......よ」 と
慣れない”オンナノコ”言葉でレーミィは報告する
「そうかアイツラが遺跡攻略した後、ケット族の双子に味見させると言っていたし
これで遺跡に赴くのは確実になったな 後は”黒い娘”とやらか 引き続き梟に探らせな
後、最後になったが今日からオメェはオレ付きのメイドにしてやる
特に髪やリボンは念入りに頼むぜ
遠慮はいらねぇから後は好きなだけオンナノコの恰好してな ようはオメェの
”働き”が重要だからよ格好なんぞでガタガタ言わねぇしオレも可愛い”少女”を侍らせるのが
好きなんでな
カネも働きに応じてくれてやるからよ その恰好楽しみな
まぁオメェの場合は”給金”って感じだがな がはは」
と可愛いお嬢様然とした仕草で脚を組み直す
そしてパンプスのつま先をくいくいとレーミィに向かって動かす
それを見たレーミィは居住まいを正し
「はぃ、ロージィお嬢様♡ 」
と慣れない手つきでスカートをつまむ
「”ロージィお嬢様”っていつ聞いてもいい響きだぜ」
とロージィから、オンナノコを徹底するための仕草や言葉遣いの手ほどきを受けていた。
ロージィは
「オツムが悪いと思っていたらとんでもない逸材を見つけてキやがってョ 可愛い部下共だぜ」
と独りゴチていた。
昼は、ミーアに戦闘が本当は苦手じゃないのかとそれとなく話を振ると
「シーちゃんって、そんなトコはやっぱり”お兄様”なのね」 と
軽く首肯する
「そぅ、気付かなくてごめんね今はシセラとリズ・コトンも居るしケールとヘルちゃん達も
頼もしくなってるはずよ だからお姉様は今後戦闘では”治癒”に専念して貰いたいの
今はお姉様にも皆のマギの状態が分かるはずよ だからなるべく攻撃の被弾は避けて
自身の体力とマギは温存しておいてわたし達が安心して立ち回れるように
援護お願いするわ いい? 」
とわたしなりにミーアの立ち位置を提案する
ミーアは、顔の表情が明るくなり
「是非、それでお願い 強い娘が集まってきて居場所がなくなるのが不安だったのよ」
と抱きしめてきた
「後、コトンちゃん様なライブ・アーテファクトの少女達って見た目とは裏腹に
とても享楽的で気位が非常に高い上、残忍・残虐・冷酷・狡猾・残酷嗜好的よ
でもそれが彼女達の本来の姿なのコトンちゃんのような”特殊な嗜好品”を欲しがっても
吃驚しないでくれるとうれしいな」
とコトンの会話とメトリエーテの会話を元にライブ・アーテファクトの性格傾向を話した
「うん、コトンちゃんの様な娘達って可愛いからシーちゃんも”好き”なんでしょう? 」
「そうよ、お姉様わたし可愛い娘って大好きよ」
と隠さず本心を即答した
「でも”普通のヒト”に勝手に手出ししないの? 私それが一番こわいの」
とミーアも不安な気持ちを吐露する
「それはわたしが許可しない限り手出し出来ないわ クローティアと”誓約”してるの
知ってるでしょ? 」
するとクローティアが
『そうじゃとも、儂と盟約している以上はシーアが許可しない限り勝手に手出しはせんよ
”依代”は儂が預かっておるでの シーアの事は好いているようだしそこは
儂も担保するぞい しかしシーアもライブ・アーテファクトをよく手懐けているもんじゃて
その上まだ”欲しい”ときたもんだ 全く、お主も段々冥界の住人らしくなって儂も
嬉しいの
この世は綺麗事だけじゃ生き抜いて生けんしのミーアよあ奴らの”特殊な嗜好品”好きも
詮無き故で嗜好するようになったのじゃ、そこは汲んでやってくれんか』
とそれを受けて、わたしは昨夜コトンから聞いた話を継ぐ
「えぇ、それを聞いて安心したわ”特殊な嗜好品”についてはシーちゃんに任せるわ
私は、ちょっと......」 と言い淀む
ミーアがそういうのもそれは道理である。
「誰にだって苦手なものはある物よそこまでは強要しないわお姉様。 あの娘ってお菓子と甘味や
紅茶はソレとは別に好むとも言ってたし レヴィアにも聞いたら屋敷では
それらを食べたり飲んだりしているそうよ
ただ”特殊な嗜好品”は目の色が変わるというだけの事よ」
「そぅ、分かったわ ライブ・アーテファクト達てやっぱり色々凄いのね」
「あとライブ・アーテファクト達はすごく珍しいらしいから ”ライブ・アーテファクト” の名は
表に出さないでくれる? 」
「それも、分かったわ」
とわたしはミーアの唇を奪い
「んっんーーっ♡ ......ん......
ミーアおねーさまってやっぱりステキなわたしのお・ね・え・さ・ま♡ 」
と囁きもふもふの耳を撫でる
「もぅシーちゃんったらお願い事するのお上手ね♡ 」
と一番敏感な色の濃いひと房の髪を撫でられ ビクリ と跳ねる
「相変わらずここも敏感なのね」 と
ニヤニヤする
「所で”ギメル”にはいつ行くの? 」 とミーア
「今日はもう嫌、あす朝一番の予定でどう? 」と言うと
肩を竦め
「それでいいわ 折角ワンピースも質素なのにしたのにね
ふふっシーちゃんの気まぐれなトコ、コトンちゃんに似てきたわね」
とミーアはまたニヤニヤしていた
わたしは、早速宿で何時ものフリルやレースで飾られたワンピースドレスに着替え直し
ようやく落ち着く
「やっぱりフリルやレースがいっぱいある方がステキ」 と片手でスカートを摘み
パタパタと具合を確かめる
白の下地にピンクの小花柄のワンピースドレス、パウダーピンクの薔薇をあしらった
パンプスにリボン柄の白のタイツ アイボリーのペチコートである
「シーちゃんたらいつの間にその色の買ったの? 」
「ふふっ、ナイショよおねーさま。 丁度お昼ねおねーさまはどうするの? 」
「私は、ビヨンちゃんと百貨店でお買い物よ夕方には戻るわ」
「わたしはコトンちゃんと例の嗜好品を貰いに”救護院”に行って来るわ」
とここでコトンを喚ぶ ビヨンの横に現れたコトンは
「きゃん、おねーさまぁ 今日もステキなお召し物」 とがっちり腕を組まれ
早速唇を奪われる。
「それじゃね ミーアお・ね・え・さ・ま♡ 」
とコトンはミーアに流し目で暗に ((どっかいってよ)) 的な訴えをする
ミーアもこれに気付き
「じゃね シーちゃん・コトンちゃん」 とここでそれぞれの目的地に分かれる
「これからどこいくのぉ〜」 とコトンは甘える様に聞いてきた
「そうねこれから”おめめ”を貰いにいくの」
と
「おめめ!! ホントに」 と
嬉しそうに目を細め可愛い舌で舌なめずりをし始めた
ぴちゃりぴちゃり と音をたててゲス顔で嬉しそうに
「で......ドイツ殺るのよぉ」 と辺りの人々を物色する様にねっとりと見渡す
この様子をみてわたしは彼女の残酷嗜好の一端を垣間見たような気がした。
「今日は”検死官”の魔法医師に貰うだけよ ”お人形で遊ぶ” のは
今は駄目」
「つまんな〜い、つまんな〜い でも”おめめ”は”検死官”とやらからは貰えるんでしょ? 」
「そぅ、でもどの”おめめ”がいいか分からないからコトンちゃんも一緒よ」
「きゃはっ、ホントにコトンに選ばせてくれるの? 」
「そうよ」
とギルドで救護院の見取りを貰っておいたのを広げる
程なく救護院に近づくと彼女は
「はぁぁん、”血”のにおいがするわぁ これよこれを待っていたの♡ 」と
彼女の可愛い口の横から涎が一筋垂れ手巾で拭いてやった
「あら、優しいのねふつうはこれみて、たいてい怖気つくのにね、さすがおねーさまね
ますますあたくしのだけのモノにしたいわぁ」
と気もそぞろなようだ
裏手に回り黒いショールを羽織る
いかにも魔女のお使いという感じを装ってドアをノックする
「どうぞ」 と若い男性の声が聞こえ中に入り
金髪で赤い瞳のエル族の男性が対応する
「あぁ、魔女のアレね部位は何処かな? 」
とさも当たり前の様に場所を聞かれる
「えっと”目玉”ですけど”目利きと取り出すのは”妹”がやるので
魔法医師は席を外してくれればいただけたらと......」
「あぁ、そうかい手慣れて居るんだね......いいよ 瓶はあるのかい? 」
と聞かれて
コトンは
「瓶ならわたくしの特製がありますわ。おにーさま 此処で待っていてくださいな
取り出す秘儀はおねーさまにしか見せないの」
「分かった 取り出したら代金を貰うから瓶を見せてくれればいいよ 今日は死刑が
有ったから3体だ 遺体は地下に安置してあるし武具や防具は遺族に渡し済みだ」
と言う
そこでコトンを連れ地下へ
そして毒殺刑に処されたと思われる成人ぐらいの男性1体、女性2体の
遺体が計三体寝台に横になっていた
「きゃは〜んっ、まだ”新鮮”じゃないあの子達 当然皆、頂くわ きゃ〜美味しそう♡
おねーさまはコトンのやるトコ見てて見ててぇ」
とゲス顔で涎を垂らして
まるで子供が母親に自分の遊びを見せたがる様に言う
そして、
コトンは涎を拭うのも忘れ目を細めて武器を構える
傀儡のトリスティシアをかざし
((来たれ、魂無き我が似姿たるもの。トリスティシアの傀儡とならん)) と唱え
一体のアンテークドールを喚ぶ
「さぁてわたくしのオニンギョさん あの方々のおめめ頂くわよ
あぁんんっ、久方振りのこの感覚たまぁんな〜ぃ もぅステキ♡ 」
と上気した顔でうっとりしながら
人形をあやつり遺体の顔に取り付かせて小さな手をを眼窩に丁寧に差し入れる
ぐちり・......ぐちゅり・ぐちゅり......
と湿った粘っこい音を立てて紐の様な組織を付けたまま彼女特製の
保存液の満たされた飾り瓶に抉り出した眼球を入れる
「感触がオニンギョさん通じて伝わってくるわぁ おねーさまあたくし”達”ってこの伝わってくる感触も
だぁ〜ぃ好きなのよ 覚えておいてね んっんっーん♡ 」 と恍惚状態である
これが六回繰り返された
彼女はゲス顔のままうっとりして
「きゃふ〜ん、いいわぁ なんてステキなおめめさん達♡ 」 と 可愛い舌で瓶を舐めまわし
武器しまうとアンテークドールもスカートを摘み一礼して掻き消えた。
六つの瓶を上で待機している魔法医師に見せると
「これほど綺麗に”処理”されたのを見たのは初めてだよ」 としきりに感心していたが
「魔女の秘儀だったね 余計な詮索だったな」
と頭を搔き
「代金は部位で決まっているし亡くなってからの時間で決まる仕組みだ
君達は運がいいね 彼らはさっき処刑されたばかりだったからね」
「あの、医師? 」
「何だね? 」
わたしは”公開処刑”の日取りを聞いてみた
「そうだね”公開処刑”は”広場”に3回の日の出前には貼り出されるから
見学するんだったらギルドではなく”広場”の掲示版を見るといいよ
人気だから特等席はすぐ埋まるけど立ち見だったらタダだけどね」
「はい気を付けて見てみる事にします」
とわたしはあまり高額ではない代金を支払い此処を後にした。
このエル族は遺体をみて傷跡もなく綺麗に無くなっている眼窩を見てもう一度
驚愕する事になる。
「おねーさまっ、好き好きだぁ〜いすきっ」
と人目も憚らずわたしの唇を奪う
周りも仲のいい姉妹ぐらいにしか思っていないようだ
「おねーさまぁ。 コトンね後ぉお菓子がほしいな お菓子食べてお紅茶飲みながら
これ眺めるの いいでしょ? 」
と ミスティ・ローズに黒薔薇の刺繍の小鞄を指差す
「お菓子ならいくらでも買ってあげるわ さぁお店行きましょ」
「でも今代って”公開処刑”ってあるんだぁ ”公開処刑”って何かの贄の儀式? 」
「違うわ、あれは重罪人を見せしめの為にやるのよ あんな風にするよってね」
「へぇ、わたくしに捧げられた子達って咎人じゃなくてもいっぱい捧げられにやって来たけど
今代って悪いことしないと捧げちゃいけない決まりなの? なんか変なの」
盛んに考え込んでいた
やはりライブ・アーテファクトの少女は微妙に今代とは価値観が異なるようである。
この一連の様子を見ていた一羽の梟には人外の頂点近くの階位に位置している
彼女達でさえ気付けなかった
ラストレの百貨店にてロージィとレーミィは服飾売り場で服を物色していた
すっかり”ロージィお嬢様”にハマった”千変の御使い”は装いを
アンテークドールの様な豪奢なローズダストにブルーラヴェンダーの小花柄のスカート丈は
膝下ぐらいのワンピースドレスに生成りのペチコート、豪奢なレースが付いたソックスに
ピンクベージュの大きなリボンをあしらったパンプス 髪は腰下までゆるいウェーブロングに
赤の小さなリボンを散らして
頭には黒薔薇のボンネットを被りメイドワンピース姿のレーミィを従えていた
サーモンピンク唇からは
「おぃ ホントに此処に入ったんだろうな レーミィ? 」
とドスの聞いた野太く下卑た男の声
「はい、お嬢様先程 ”ラルド”から報告がありましたしかも又新しい”少女”を連れていて
冥界の階位の高い者としか分かりません...わ」
「そうか、必要と有れば此方から接触してもよいがな”少女”というのが気になるぜ
今は何処の階層だ? 」
「今は、一階層の菓子売り場で買い物してるそうですわ」
とぎこちない少女口調でレーミィは報告する。
「まぁいい、今はなそれより服だ服オメェにも見繕ってやろうってんだ 感謝しな
でよ どんなのがお好みよ? 」
「ボ......わたしお嬢様とお揃いがいいなぁ こんな可愛い服着て見たかったの」
「ちっ贅沢いいやがる うーん」 とロージィは暫し黙考していたが
「よし、出世払いと行こうか 今後は、オレとお揃いにしてやる その代わりオレの”代わり身”勤めろや
取引相手とはオメェが出張りなちゃんと少女言葉使えよ
オレもこの身一つじゃ足らねぇしまぁ慣れるまで俺と同じ恰好であちこち動くがな
あくまで表面上は”姉妹”で通すからオレはは可愛い”妹”を演じてやるからオメェは姉貴役でいいだろ
ロージィは声を変え
「いいでしょ レーミィねーさま」 と甘える様に言い
レーミィはぎこちなくも
「行きましょロージィちゃん♡ 」 と返す
ロージィは声を男の声に変え
「それでいいぜ そう少しお揃いの服探そうぜ」 といい閉店間際まで二人は粘っていた
翌朝、今度こそ浮遊遺跡ギメルに潜るべくわたしは”簡素”なワンピースに着替えてミーア
を呼ぶ。
「そう言えばお姉様 ウニサーレ様から短剣を鍛えてもらうってどう鍛えてもらったの?」
とあの時、地下に降りて行った理由が気になり聞いてみた
「そうそう、あのねシーちゃんから貰った短剣ね魔法的にね鍛えてもらって 何でも
魔力のパスを断ち切る事が出来るらしいわ」
「魔力のパスを断ち切る? 」
わたしはクロを見やる
「でも、断ち切れるのは”弱い”のだけシーちゃんの様な強い魔性のパスはこれでも無理よ
断ち切ると言っても一時的に”繋がり”を斬るだけだけど此処は隠秘学の大陸
この能力は役立つと言っていたわ
何でもそのために”銘”も貰って”名”を与え能力も高まったらしいけど実感無いわねぇ」
とぬらりと虹色に輝くその剣を引き抜いて見せ
「”アルゴルの牙” 銘は双牙:アルゴルよ」 と言った
私も右の淡いアッシュグレイの瞳を凝らしたが分からなかった
ミーアは辺りを見回して 「あッあのコトンちゃんは? 」
と少し怯えた様にいう
「あの娘ならまだ寝てるわ、昨日六個もおめめ貰って大満足したらしいから
レフィキアからは今日は出て来ないと思うわ」
「そう私、真っ先に出てくると思ったのに実はあの娘のようなライブ・アーテファクト(あれ)って
苦手てで」
「別におねーさまはそれでいいと思うわ誰にだって苦手ってあるし ただちょっと”変”だったり
言葉遣いが乱暴だったりするだけよ 実際彼女もおねーさまに仕掛けては来ないでしょ? 」
「そうね、でもまだ個性が強すぎて私は戸惑って居るだけだらから シーちゃんはどう感じているの?
「わたしは個性が強い娘って、手間の掛かる”妹”みたいで好きよ それに髪を梳かしてあげたり
するものも大好きよ」
髪を梳かしてあげたり梳かされたり、一緒に寝台で”お泊り”をしたり
こうした砂糖菓子のように甘く穏やかに抱きしめ合ったり手を握り合う、あるいは頬ずりするなど
の行為を全く知らなかった”男”の時と違って
初めてこうした行為を”手の掛かる妹”にしてやることで受けて来なかった愛情を
わたしも同時に得ているんだと感じていて、オンナノコになって心底良かったと
認識を確かなものにする この想いを胸にしまい
わたしはコトンに対する素直な私見をミーアに返した。
ミーアはついっと視線を遠くに向け
「シーちゃんってもうホントに”オンナノコ”なのね」
とボソリとつぶやいた。
私はビヨンにも
「いいビヨン、これからは”罠”が多いと聞くわ罠の解析はシセラに任せて貴女は、
わたしが機動力が無い分の”支援”をお願いするわ」
[ シーアの御心のままに私はいつでも貴女の手足ですよ ] と
真面目な性格の彼女らしく胸に手を添え軽く頭を下げる。
そして、メトリエーテの依頼で貰った”ギメル”の位置を記した見取りを片手に四層島群
”ロハップ”へ向かう
長い急な勾配の渡り橋を渡り私達はロハップへと足を踏み入れた
そこはまさに浮遊遺跡群の見本市の様な風景だった
建物が土台からそのまま空中に浮かび静止した遺跡群が多数眼前に飛び込んできた
ベルゼに渡り遠目に見た景色とは違い圧倒的な迫力を初めて目の当たりにして
この幻想的な光景に息を飲む
なんていったって
王城と思われる建造物や聖堂の様な構造物等がまさに空中に静止して浮かんで居るのである。
その中から 一つの構造物を見つける
四角い構造が林の様に立ち並ぶ小さな街のような遺跡がぽかりと浮かんでいた
「アレね、ユラお願いね♡ 」 と
{きゅーい}
と長く優雅に進化したヒレをたなびかせ”ギメル”に向かう そこはベゼリン学術院の様な
建物で空中に運ばれた植物の種と嘗ての植裁よって古の大樹と化し
根や枝や蔦に覆い尽くされていた
よくよく見ると浮かんだ基底部に半ば埋もれる様に閉ざされた入り口を垣間見る
シセラは
「シーア、入れそうな入り口は彼処しか無いようよ彼処に降りて頂戴」
と指差す
わたしは、シセラの指差した埋もれかけた入り口近くにユラと共に舞い降りる
クローティアは定位置のわたしの髪にしがみついて
『ほぅ、これがあの $&!%# か時というのは相変わらず容赦ないわい』
と一部古代語で呟く
「ん? 」 とクローティアを見ると
『儂はワザと隠しておるのではないぞ、適当な今代での呼び名が見つからないだけじゃ』
「えぇ、それは、分かってるわクローティア気にしないで」
というと
『お主も、ようやくクローティアとまともに呼ぶようになったの』
「前のわたしとは違うもん」
と口を尖らす
『ふふっそうかそうか違うか、可愛くなりおって』 と
そんな会話が飛び交う
シセラは 扉を両目を細めて視ていたが
「ミーア 早速貴女の”アルゴルの双牙”の出番よ あの扉幾星霜にも放って置かれたせいで
マギが蔦の様に絡み合って”力技”じゃびくともしないわ あたくしの指をなぞるように
断ち斬って頂戴な」
「はい、シセラ様、 ってうわぁなにこれ凄いわどうやったらこんなにマギが絡むのかしら」 と
アルゴルの牙を構えシセラにの指の軌跡を追うように”斬って”いく
「おねーさまにも視えるの? 」
と聞いてみた彼女にもどうやらマギが視えるらしい
ミーアは斬りつけながらも
「どうやら構えるとアルゴルの双牙の能力で視えるようになるみたい」
と答えシセラは
「ミーア先ずコレで次はコレね 斬る順番を間違えると絡みが更に複雑になるから
慎重にね うわぁ、これはまさに天然の罠だわね」
感心しつつも的確に指示していく
やがて全てを断ち斬ったらしく
ミーアが扉を押すと内部が露わになる
黴臭い匂いと共に閉じ込められた太古の空気がわたし達を覆う
内部はベゼリン学術院のようで、嘗ての窓と思われる所も
そこかしこに植物の根が覆い、闇が広がっていたが
空気が入れ替わると共にヒカリゴケだろう 徐々に入り口からぼんやりと明るくなっていく
ビヨンは
[ ((フレイル)) ]
を唱え 右手に明かりを灯す
シセラとわたしは視線を交わし、シセラを筆頭に慎重に進む
「ともかく最奥を目指しましょう クローティア昼近くなったら教えてミーアと二人
でレフィキアで食事を摂るわ」
『儂に任せおけ ビヨンやシーアとミーアが居ない間は頼むぞい』
[ クローティア様の御心のままに ] と頷く
とさっそく
[ シーア、奇妙な気配を二体感知 今”アルカーナ”に情報問い合わせ中......完了 ]
「えっビヨンいつの間にそれ出来るようになったの? 」
確かアルカーナへはわたしとクローティア二人で行ったのでビヨンはいなかったはずである
[ お父様の改良の成果です 一度シーアが行った場所で私が重要と判断すれば
特殊なパスを繋ぐ事が出来るのです アルカーナは私もシーアを通して大変興味を持ちました
カードをアルカーナの魔器に通したことで随伴者である私、ビヨンもまた彼処を利用出来るのですよ
しかもシーアと違って離れていても新たな私の能力 ”智慧者の伝手” で特別閲覧室以外の
全ての蔵書を検索出来るのですよ えっへん ] と
したり顔をする。
「凄いわビヨン後でご褒美あげるわ......結果は何と? 」
[ 気配の動きの規則性から ”迷宮の掃除人 ムグル” ですね、九割九分確実かと 徘徊順路
を外す様にやり過ごしす方法を推奨します 弱点は物理攻撃と炎の武器ですので
見つかったら私が対処します 罠を踏むかも知れませんシセラ様 その時は罠の警告と解除を ]
「えぇビヨン、任せなさいな」
と算段をする
わたしは、左手の甲に接吻をしようとすると
「シーア、それは待って! 実体化するとわたくしも罠に掛かるわ 今は駄目よ
もぅ、シーアったらせっかちさんねぇー♡ 」
と艶っぽい眼差しでわたしを見る
「分かったわシセラ、貴女の言うことももっともね......此処はビヨンの言う通りにしましょう」
とミーアも短剣を何時でも抜ける様にスカートの上から感触を確かめていた。
私は右手人差し指から蝶を飛ばし遺跡内を探る
暫くして再び舞い戻り止まると大体の見取りを皆にマギで伝える
ビヨンは
[ ムグルは部屋までは入って来ないようですね、此処で一体をやり過ごした方がいいかと ]
と提案し皆頷く
{グフィッグフィッグフィッ}
と豚と犬を混ぜた様な声が聞こえてきて”ソレは部屋の前の廊下の様な通路を通り過ぎた
奴は、仔牛ほどあり首の無い犬の様な姿で何より異質なのはその切断面の周りにズラリと肉色の
触手が並び更に中央に牙がずらり並んだ大きな口が一つ開いて臭い涎を垂らし
盛んに触手をぐにぐに動かして
目も見当たらないのに正確に足元の瓦礫を避けながら
歩いてきた
わたし達は音を立てないようにやり過ごすやがて濃厚な気配が遠のき今が機と
ばかりに次の部屋でまた同様にやり過ごす
これを十回程くりかえして次の階層に通ずると思われる扉の前へたどり着く
シセラが手で制止して
「待って、謎解き式の仕掛け(パズル)よ もう一体の気配が近づく前に解除するわ」
と 水晶の都で見せたリングを腕に纏い解析を初める
「あれは”言霊の謎解き式の仕掛け(パズル)”ね無作為に
配置された文字盤に指を置き意味のある隠さた文字列を一筆書きに
なぞらきゃ駄目ね
どれどれ、 うわぁ嫌らしい罠ねこれぇ指の最初の置き場所を間違う・文意が伝わない・
なぞるのを戻したりすると呪いが付呪されるわぁ」
と何やら古代文字が配置されたマス目を前に彼女は黙考している
するとビヨンが
[ シーア、ムグルの2体目の気配ですよ ] と警告してきた
シセラは
「ちぃ、こんな時にやァねぇ」と明らかに怒りを露わにする
「ビヨン気配が来るまでどれぐらいが分かる? 教えて頂戴! 」
とイライラを隠そうともせずに尋ねる
[ 到達予想は数を300数えたら来ます 数は残り90で声で知らせます ソレまで
解除出来ますか? シセラ様 ]
「ええぃ、やってやるわ待っててよわたくしの愛しい
”言霊の謎解き式の仕掛け(パズル)”ちゃん」 と
愛しい子に語り掛けるように舌舐めずる
わたしとミーアビヨンはシセラが解除に取り組んでいる”言霊の謎解き式の仕掛け(パズル)”を囲む
様にして何時でも戦闘に入れるように準備する
いざとなればケールをけしかけることも考慮にいれクローティアと目配せをする
「くそっ後一単語だけよあぁもう」 と毒づき始めた
そしてビヨンの[ 90 89 87 86...... ]と逆数えが開始される
[ 50 49 47 46...... ]と数え30まで数えた時後ろの角からチラリと奴の触手が見えた
そして にゅ〜ん と数本の触手が迫る
10まで来た時
シセラは
「これでイイワ」 と指をマス目に走らせるとマス目が淡く光り次の区劃への扉が開き間一髪
わたし達は飛び込み扉は後ろで閉ざされグシャリと数本の触手が挟まれ
{グファーァァ}
と雄叫びをあげる声が扉越しに聞こえる
こうして、巡回と”言霊の謎解き式の仕掛け(パズル)”を突破して次の区劃へ
『お主達よ、外は日が天辺まで来とるようじゃぞ一休みしたらどうじゃ? 』
とクローティア
「もうそんな頃合いだったの、ミーアおねぇさまぁ〜
久しぶりにお屋敷で手料理たべたいわぁ〜、いいでしょいいでしょ」 とコトンの様に
わたしはミーアの腕をがっちり組み昼食をねだる
「そうねぇ私も久しぶりだからお屋敷で食べましょ」
と ビヨンにクローティアの護衛任せレフィキア内へ入る
屋敷に行くと、庭に置いた椅子にコトンが座っていてテーブルに昨日の ”おめめ” の瓶を
並べてゲス顔でにやにやしながら頬ずりしていて
「あぁ〜ん幾星霜ぶりの ”おめめ” ちゃんステキィ〜 あらシーねーさま、おかえりなさいませ」
とスカートを摘み挨拶をする
事情を話すと
「今は、あたくしおめめちゃん愛でるのに忙しいの、だ・か・ら ミーアお・ね・え・さ・ま
今はシーねーさまは譲ってあげるわ」 と
テーブルに向かいまた瓶に頬ずりしながらお菓子と甘味を食べていた。
わたしは、食堂でミーアの手料理を久々に食べ非常に満足していた
そして小休止を挟みレヴィアにコトンの事ををお願いして再び
ビヨンとクローティアの元へ戻る。
この区劃はシセラと蝶で簡易に探索を、して ”ムグル” は一体で道中に厄介な罠は
あまり無いようである
但しやたらと幽体系の魔物がうろついている 幽体は勿論、ちょっと厄介な
生霊・ワイトまでいる 幸いにもリッチはいない様だトリンデのトリシ大地下墳墓内のように
聖水などはなくミーアの風陣の指輪も完全な抹殺は出来ない
それにミーアの能力は温存しておきたかった。
此処はムグルに注意しながら、少しずつ出会った魔物を潰していく方法を採る
そしてシセラを実体化させる
「わ〜ぉ、やっぱり実体を持つといいわぁ〜身体っての実感出来るしぃ
”殿方達”の出番は無いようにしたいけどね」
「”殿方達”? 」
「シーアにはまだ教えてなかったわねあたくしの”大技”よ”リッチ”三体を喚んで
小五月蝿い幽体共を抹殺するの ただ少し黒薔薇の刻印でおやすみするけどね」
とわたしの淡く光って居る刻印を擦る。
『ほぅ、リッチ三体とな』
とニヤリ顔のクローティア
「何よ、クローティアぁ貴女わたくしを下賤なリッチやゴースト共と一緒にしてるでしょ? 」
『儂は、まだ何も言っとらんぞ』
「まッ、まぁいいわシーアにミーア貴女達もわたくしを下賤なリッチやゴースト共と一緒にしたら
刻印に篭って出て来ないわよ お・分・か・り・か・し・らわたくしの言っている 意・味」
と一語一語ワザと区切り”念”を押す
「貴女の言いたいことは良く分かったわシセラ
貴女には、もう少し頑張って貰うわだから ”殿方達” の履行の判断はわたしに任せてくれる? 」
「えぇ、いいわ 貴女の御心のままに」
とシセラはいう
ビヨンにはムグルの気配を、ミーアには物理攻撃が効くザコを任せて
私も蟲を喚び待機させる。
前の区劃にはムグルしかいなかったのがこの区劃では様相が異なる様だ此処は岩場が
多く半洞窟のような場所で
やり過ごす為の場所が限られるということでもあった。
わたしはムグルとの戦闘は避けたかった というのも奴は先にビヨンが言った通りで
炎の武器ですぐ死ぬらしいが ”迷宮の掃除人 ムグル” とだけあってすぐに復活するらしい
単なる戦力の消耗なので、戦闘を徹底的に避ける事も戦略の一つと考えた
何でも本当に抹殺したかったら”生かした”まま迷宮外へ連れ出すしか方法はないそうだ
わたしも嫌だが種族的に綺麗好きで、臭覚が敏感なケット族としては7昼夜嫌な匂い
に付き合わされるのは、冥界の炎に生きながら炙られるより嫌だろう
ここからはもうシセラは先程の鬱憤を晴らすかのように出現する幽体系の敵を蹂躙していく
「やっとわたくしの本領発揮ですわぁ」 と
彼女は活き活きしていた
さて、程なくムグルにも遭遇することなく
区劃最後の ”謎解き式の仕掛け(パズル)” である
色々な色の水晶が無作為に配置されていてそれを嵌める窪みが有り
いくつかは既に嵌っている
シセラは、
「ほぅ、これはまた難度が高いわね どれどれ はぁこれは
補色の謎解き式の仕掛け(パズル)ね
「補色? 」
専門用語だろうかわたしには良く理解できなかった
「これね、赤とシアン・マゼンタとグリーンといった具合に対になる色をはめるの
実体化してて良かったわ」
と既に嵌っている水晶の対角線状に六ケ所嵌めて完成させる。
又扉が開きいよいよ最奥と思われる広い空間に私達は躍り出る。
わたしは、ケールとヘルハウンド3頭を召喚して
待機させ
シセラは一端実体化を解く
ミーアもビヨンも武器をそれぞれ構える。
すると、殺気に気づいたのか目の前にある大樹が動いた。
ギシギシ と枯れ木が軋る音が聞こえ 樹木人が動き出す
ソレは蔦が捩れた樹の形をしていて、嘗ての犠牲者だろうか頭蓋骨が
絡まっている
そして蔦を伸ばして襲いかかってくる
「皆、散開して蔦が届かない範囲に下がってケールもよ」
{ウォン}
と下がらせる
先ずは厄介な蔦とどうにかしなければならない
ミーア・ビヨンと目配せをしてそれそれの武器で蔦を斬り落としていく
幸いにも再生はするが速度は非常に遅い
ビヨンに奴を分析させると
[ 樹木人は炎の武器に弱いですね、弱点は両の目アレが ”実” です 私が剣に炎を
纏わせます シーアご指示を! ] と促す
「先ずはケールで足止め、ヘルハウンドで再生する蔦を噛み切って」
とわたしはケールで足止めさせヘルハウンドで煽り蔦を噛み切らせる
やがて、蔦の再生速度より噛み切る速度が上回る
奴も棒立ち状態である
(これで、いけるわッ! )
と勝利を予感したその時、わたしの気配を読みミーアとビヨンが目を貫こうと走り寄って行く
が......しかし奴には”奥の手”ならぬ”奥の脚”があった
突然片足と思わしき部位を高々と上げると激しく地面を踏みつける
ズシーーン
と地面が響き激しい”振動”を全員喰らって仕舞う
「「きゃう」」
とわたしとミーア
[ 魔導機構...一時機能凍結......動けません...回復まで数120数
魔導機構・物理損傷無し ]
とビヨン
頭がグラグラする
そしてケールとヘルハウンド達も地に伏してしまう
それをみた奴は又、渾身の踏み付けを食らわそうと大きくあげる
辛くも全員範囲から退避し、致命的な隙は免れた。
そしてまた蔦が復活して一斉に襲う ヘルハウンドに噛み切らせすぐ退かせる
これが何回か繰り返される
「これは、拙いわね」
わたしは、手詰まり感を感じながらも策を煮詰まらす
そうして煮詰まった答えとは
「リズベート、出てきて貴女の能力を見せて頂戴! 」
と指輪に接吻をする
すると
「ふわ〜ぃ、シーアぁリズがんばっちゃうわぁ〜 でどうするの? 」
「先ずは奴の攻撃を見て頂戴」
と私は踏みつけを誘うように範囲に入る
すると奴は、意気揚々と脚を大きく上げ踏みつける瞬間に素早く退く
案の定奴は地面をだた揺らしただけだった
「アレが厄介でなかなか近づけないのよ」
とリズベートに言うと
「ふぅ〜ん、このリズ様にまかせてぇ”音と振動”ならリズの十八番よ
シーアぁ、もう一度奴の攻撃誘って」
と何やら策がありそうなしたり顔をする
そして、わたしはもう一度踏みつけ攻撃を誘う
奴が片脚を上げるが、奴とて踏みつけは大技らしくわたしが退かないか観察しているようだ
しかしやはり魔物である 攻撃本能には勝てなったらしく
脚を踏み降ろした。
わたしはまた、激しい振動がくると構えていたが
振動は襲って来なかった
脚を踏み降ろした瞬間リズベートが”カリヨン”の杖の柄で地面を突く
その瞬間、振動は掻き消え襲って来なかったのだ
「リズ? 」
と訝しげにいうと
「あれねぇ奴の振動に合せてリズも逆向きの振動を与えて”相殺”したの後はシーアに
まかせるわぁ 又アレがきたらやってあげるから存分に蹂躙してぇ」
とニヤリと嫣然な笑みをうかべた
「よぉし、仕切り直しよ」
と皆に気合をかける
再度蔦を封殺する、奴も焦って踏みつけするがリズが悉くそれを相殺する
後は一方的な攻撃で蔦を全て刈り取りビヨンは右目、ミーアは左目を正確に貫く
悲鳴にもとれる哀れな軋みを放ち、樹木人は地面に沈んだ
素早く購入しておいた、大樽3樽分の ”樹液” を採取して
貫いた二つの ”実”からは 種が採取出来たが一つは完全に潰れていて
一つは無傷で残っていた。
残りをビヨンの ”解体” で枝・葉の素材を得る
此処での戦闘も終わり、メトリエーテとウニサーレの依頼をこなし帰路につこうとすると
「ちょっと、待ってくださいな 可愛い”冒険者様”」 妙齢の女性の声が囁く
「誰っ! 」
と身構えると
「落ち着いてくださいな、今そちらに参ります」
と現れたのは、床が崩れ地下に階段からコトンをと同じくらいの背の
木の葉の様な色の薄絹を纏った美女が歩みよる
「わたくしは ”シファ” 風の妖精の長が一翼
よくぞ あ奴めを退けてくれました宿り木の一族が瘴気に当てられて此処に居座って
出したくもない多くの犠牲者を出してしまいました」
と頭を下げる。
わたしはあわてて
「ご挨拶が遅れました私は、シーア シーア・オブライエン シーアとお呼び下さいませ シファ様」
と完璧な所作で最礼で丁寧にスカートを摘み腰を低くする
「あらあら律儀な御方、まずはありがとうといわせてくださいな
お礼と言ってはなんですが、先程のあ奴の”種”を貸して頂戴」
と先程の素材の”種”を ”シファ” にわたす
「これは宿り木の種、
相応しい者がその身に宿す事で大いなる
能力となり悪しき者を退けることでしょう
私が、この種を貴女に相応しい物に変えて差し上げますわ」
と何やら呪文を唱え
((悪しき種、良き息吹で良き種に癒やしの息吹で癒やしの種に時に手となり盾となり
我がシールフの恩寵を此処に宿し給う))
と種に息吹をかける
「さて、これは魔の瘴気を纏いし高潔な心の持ち主であるケット族の貴女 さぁ此方へ」
とミーアを呼ぶ
とシファは種を口に含みミーアに口移しで種を彼女の体内へ
すると、
わたしにも分かるように種がマギの点となってミーアの心の臓に取り付いたのが
視えて途端にミーアは
「きゃうん」
と跳ねるように痙攣するもすぐ収まる。
「これは ”宿り木の種” あなたが望むなら
手で触れた物から宿り木を生やし足場を造ったり相手を浸食し攻撃をする事も
物理攻撃や霊的攻撃から守る盾にもなるでしょう。
普段は突剣で貴女の強い味方となり 強い悪しき者を退けるでしょう
種は貴女の心の臓の表面を常に動き回っているから
そこを突かれ無い限り永劫に寄り添いますわ」
とシファはミーアの心の臓の辺りに手を添え、慈愛に満ちた眼差しで見つめる。
「はい、シファさま私の心の臓を動き回っているのが分かりますわ」
とミーアの返答を受けて
わたしもアッシュ・グレイの目を凝らすと明るい緑の点となって
彼女の心の臓を動き回っているのが確認できた。
こうしてミーアは新たな武器”宿り木の種”をその身に宿すことになった
「後は、そうね可哀想な嘗て犠牲者の武器や防具は全てあなた達の物よ」
さぁ此方へ地下に案内する。
すると、樹木人が取り込んだ”犠牲者”の武器や防具が
素人がみてもかなりの”業物”が所狭しとあるではないか
ミーアは
「全部持って行って宜しいのでしょうか? シファ様」 と恐る恐る尋ねると
「えぇ、宜しくてよ 此処は私の居室だったのだからいいわ
此処に最初に訪れた者に全部与えるつもりだったの」
と惜しげもなく言う
ミーアは全て小鞄に収納すると
「後は、アレねあれは貴女シーアにこそ相応しい者よ
今もうっすら貴女から気配がするライブ・アーテファクトの少女の一翼よ」と
クローティアが封印されていたような”櫃”があり例の色の濃いひと房の髪
を伸ばした
わたしはコトンの新たな”姉妹”の到来で更に姦しくなる屋敷の様子に想像して、 ワクワク 心が踊る
次回 55話 宿り木の武器と土産話と四方山話
お楽しみに
お待たせしております 句点は後ほど追加予定ですがストーリー変更の予定は
有りません
活動報告に
”リズベート” と ”宿り木の種” を追加して
設定ラフのリンクを張りました
みてみんへのリンクへ飛びます
本編に登場予定の(ネタバレと感じるかも知れません)
<a href="http://21263.mitemin.net/i248794/">ライブ・アーテファクトの少女達</a>です
一人は既に登場していますが総計11人登場予定です
スキル技や設定はストーリー登場次第
個々のイラストとして掲載致します 近日中に改稿しますが追加と衣服の柄変更です
お楽しみに
2017_07_03 本日後半の文の繋がりと表現を一部修正しました




