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オルティア・レコード  作者: 南 泉
二章 〜 魔女と小さな銀の鍵 〜 ベルゼ浮遊大陸編 第一部
53/75

53話 漆黒の乙女 と 真贋の淑女

 時はシーア達が3層島群ロコスを横断中の出来事

蛭や食人植物と戦闘している集団に 背はシーアくらいだろうか

華奢な場違いな恰好をした”少女”が近寄って来た。


 腰まで有る”ロージィ・ブラウン”の長い髪をツインテールして

真っ赤なリボンで結わえ同じく赤のワンピース白いリボン柄のタイツにピンクの

リボンパンプスで

ぱしゃりぱしゃり と水音が聞こえるものの泥などは一切衣服に付くことなく

”歩いて”来る。


「おい、テメェら向こうを見てみな」 

と可愛い唇と外観からは程遠い野太い”男”の声音が飛び出した。

「へへ。首魁ボスこりゃ一段と可愛い恰好なりで どっからどうみても”お嬢様”でさぁ」

「そうだろうとも、オレはいろんな姿に成れるがな 

オレ自身一番好きなのはこのお嬢様系の格好なり

それにその”お嬢様”って響きたまんねぇぜ ...っっん... ぞくぞく くらぁ

なめぇはまだよ考えてねーから 取り合えずオレの事は今後 ”お嬢様” って呼べや」

と可愛い唇に指をほんの少し咥えゆっくり唾液の糸をひかせる様にゆっくり離す


「同年代の”オスガキ”共を誑かすには効果覿面てきめん

ついでに大きな成りした”オス”共までタダで聞きもしないことをべらべら喋りやがるしな」

ツインテールした髪を指に くるくる” お嬢様”っぽく絡める


「所で、お嬢様ボス。 あの小娘達ってなんで俺達がこんな小汚いトコで蛭や植物共と”遊ぶ”

ふりしてまで監視しななきゃいけなんいで? 」


「そりゃ、俺達の”仕事”だからよ 金もらってんだろ! お前ら」

「俺達がちょいと”イジメて”やればすむ事で無いんですかね? 」

「馬鹿野郎共、よく聞けよあの娘に手ぇだしてタダで済むなんて甘い考えは捨てな

あの娘には色々おっかねぇ”噂”があんだよ 手ぇだしてもいいけどよぉ オレは知らんぜ」

と自分のスカートを片手でつまみショーツをチラチラ見せつけ くるくる 回る


 更に下品な会話が続く

「なにも俺達が直接手ぇ下さずともな ここは外法や邪法に堕ちた連中たんまりいるだろうがよ

ちったぁ頭使えや シモの方ばっか使っても意味ねぇだろうがよ

尤もいまのおれには ”シモの方”も無いがな がはは」

と”千変の御使い”は 艶っぽくワンピースのスカートをペチコートごと

”冒険者達”にめくって見せた

 

「うへぇ”お嬢様ボス”は下着も可愛いの履いてるんですね」

「ったりーめだろうがよ これは一番のコダワリとごろだぜ それによこの”タイツ”ってやつ

暖かくてしかも柄まで入ってやがるぜ 靴と相まってオレによく似合うだろ 

気に入ったぜ 

今代は暫くこんな少女のなりでオメェらの前に出てくるからよ 声掛ける時この髪の色目安にしな

服の金は依頼主にたんまり請求してやるかからよ」

と”千変の御使い”は また両手でスカートをつまみ上げ腰を落としタイツと靴を見せつけた


「ほあの小娘もずらかってもういねぇな 

オレは行くぜ こんな小汚いトコなんざいたくもねぇ」


「”お嬢様ボス”はどちらへ? 」

「オレか? オレはこの恰好なりでラストレの百貨店でもぶらついてくらぁ 馬鹿なテメェらに

このオレ様が少しやり方を教えるからよく聞けよ

外法や邪法に堕ちた連中に適当に戦闘させてよぉ ”相手の”手の内”を出させてな

後ちょっとで殺れるという所で退き上げさせるんだよぉ 俺達は労せずとも”情報”が

得られるって訳だ ソイツが死んじまったらそれまでよ テメェらは陰から見てるだけで

”楽”でいいだろ な...な ちったぁオツム使えや」


「さすが、俺達 ”フレジア” の”お嬢様ボス”でさぁ 俺達も引き揚げようぜ」

「...「「応」」...」

「最後ご褒美くれてやらあ」 と

”千変の御使い” は声音を外観相応の少女のそれに変え

「お兄ちゃん達ぃ〜♡ がんばってぇ〜♡ 」

と言い放って掻き消えた 

今度はどんなお気にいりの”お嬢様”の姿で現れるかは当人以外誰も分からない。




 一方魔女の家では


わたしが魔女 メトリエーテから受け取ったのは小さな銀の小鍵であった


「これは? 」

「これは、私達で”長年”育ててきた”秘宝の一つ”漆黒の乙女:アーテル・ドミーヌ” よ

さぁ出てらっしゃいな」


 と言うと 小鍵から 一人の漆黒のワンピースドレスに身を包んだミーアと同じくらいの背の

少女が幻体となって現れた。

黒薔薇の花びらを纏っていて肌は病的なくらい白く、淡いオーキッド色の瞳・唇はライトコーラル

顔はやや丸顔で髪は漆黒で毛先が淡いラヴェンダー色で

その部分はクローティアくらいあり浮かんでいる背より長く


 何より特徴的なのは、左右のこめかみ付近から髪の色が変わる所まで細くゆるい三つ編みを垂らし

髪の色の変わり目付近を大きな黒いレースのリボンで結んでいた。

 

 衣服も少女趣向の非常に強い大きなフリルの姫袖で首が窄まった漆黒のワンピースドレス

薔薇の刺繍で散りばめられでライトグレーの豪奢なペチーコートがゆらゆら

揺れていて

 足元はスカート丈は長く足先は見えないが

時折覗く黒いパンプスのリボンは濃いクリムゾンで黒のタイツで脚を包んでいた。


「さぁ、シーアこのに”名”を与えてやって」

と言われわたしは彼女に”シセラ”の名を与える

「貴女は ”シセラ” よ、わたしはシーア、シーア・オブライエンよ」


ここで初めて ”シセラ” ライトコーラルの唇から

「あたくしは ”シセラ” ね 良い名ね気に入ったわ ”魔女・メトリエーテ” この

”契約”していいかしら どうしても従いていきたいの」

と可愛い声が紡ぎ出される


「えぇ、勿論よ ”シセラ” 貴女は自我を持った能力ちからなのよ

貴女が従いて行きたいと言うなら 育ての親としても嬉しいわ 貴女の好きな様にしなさいな」

「そう、では今日のこの時より あたくし”シセラはシーア・オブライエンに 従いていくわ 

さぁ、シーア 左手を出して」


とわたしに左手を出すように促しシセラは左手を取ると 傅き


《 我漆黒の乙女、汝の御手みてに黒衣の聖母の接吻を以って

黒き薔薇の聖印と成し以って縷縷のあかしとす 》


と接吻をする


すると左手の甲に黒薔薇の刻印が顕て”依代”の鍵が

鋭い音を立てて砕けた。


程なく刻印は見えなくなったが幻体のシセラは

「シーア、左手の甲に接吻してみなさいな」 と

促したのでそれに従うと 濃い紫に刻印の薔薇が再び浮かび上がり

幻体の少女は実体化した。

そして刻印はぼぅと淡く光っている


「やっと実体化出来たわ、これ普段は見えないけどわたくしが実体化している間は光るわ

幻体に戻ると見えなくなるけどね

あと実体化している間は攻撃するとちゃんと当たるからね ほら」

とシセラは ひと振りの大鎌を喚び出した


ソレは柄の部分は二本の黒い茨が撚れていて刃の部分は黒薔薇の花びらの大鎌が手に握られ

テーブルの空き瓶を真っ二つに切断した


「幻体の時はいくらこれを振り回しても攻撃出来ないわ だからシーアぁ あたくし刻印の中でじっと

してるの嫌だから”出て”いてもいいでしょ 退屈は嫌なの」

と言ってきので

「いいわ好きにして」 と 許可した途端

「きゃはぁ、嬉しいわ これで街の連中思いっきり”斬って”遊べるわぁ さっきも言ったように

”幻体”でいる限り普通の人にはみえないし斬っても疵一つ負わせられないんだら 

安心なさいな 

でも敏感なヒトには引っ掻き疵ぐらいは付くかもね

”絶対”致命傷”にはならないけどね

にあぁこれでやっと”殿方のアレ”これで斬って遊べるわぁ 」 

と物騒な事を言い放っていた


「後、わたくし依っていたのが鍵なせいかしらね”文字解読や解呪ディスペル

が得意よ シーアのマギでより高度な文字解読や解呪ディスペル

も可能になるわ どぉすごいでしょ 其処の”魔導書”さんの様になんでもかんでも力まかせの

”眷属馬鹿”とは違うわ 」

クロを煽る


これには流石にクロも

『なんじゃと、銀の小鍵のくせしおってからに! 』 と憤慨して言葉を返す

「言ったわね! あたくし依っていたのがたまたま銀の小鍵なだけよ

能力ちからそのものの具現化なんだから馬鹿にしないで」 とぷりぷり怒る


わたしは

「二人共いまは喧嘩しないで」 というと

シセラは

「悪かったわよ、あたくしが言い出しっぺだから先に謝っておくわ

ごめんなさいね」

『儂も、言葉を選ぶべきじゃったわ 赦せ...所でシセラよ後は何が出来るのじゃ? 』


「そうね、今はここには居ないけど”幽体系””霊体””アンデッド系”ならこの鎌で完全抹殺 

その者の魂も完全破壊出来るわ 聖水以外でわたくしだけよ

あと悪意と悪しき者からのマギ吸収マギ・ドレインも得意よ

髪の毛全体がラヴェンダー色に変わるんだからね 早く見せてやりたいわ」

としたり顔で言う


「それに ”魔女・メトリエーテ”も

言ってたでしょう ここベルゼは大半の迷宮にいる連中はこれ系よ 加えてえて力任せでは

どうにもならない考えもの(パズル)式の罠がほとんどよ。

 例え死ぬことはなくても、マギの使用回数の制限が付いたり攻撃が跳ね返って来たり

と厄介なの多いの 賢いわたくしに任せなさいな」


『言葉に棘があるが儂は其処まで狭量じゃないわいシーアを支えてやってくれんかのぅ』

「勿論ですわそれにに”女”をいろいろ教えてあげるわ”女”って磨けば磨く程

綺麗になるんだから色々と楽しみね♡ シーアを”磨く”の」

とわたしをみてニヤニヤしていた


「ではシセラ頼むわよ」 とメトリエーテが言う

「”魔女・メトリエーテ” 何、今生の別れみたいな事言ってるの シーアなんか定命のことわり

から外れているし 貴女達も条件付きで定命のことわりから外れているじゃない

何時でも”ベルゼ”に遊びに来るわよ 土産噺いっぱい聞かせてあげるわ」


「そう、そうだったわね 後、シーアそのことも有るけど貴女とそこの魔導書さんと

一緒に大事な話しがあるの

ミーアとビヨンには悪いけど席はずしてくれる? その代わりにウニちゃんの所に行って

その短剣魔術的に鍛えて貰いなさいな シセラ彼女らを案内してやってくれる 」

とメトリエーテとシセラは視線を交わすと 二人を連れ立つ


「ミーお姉様、ごめんね」

「いいのよ。シーちゃん ビヨンちゃん行きましょ」

[ ええミーア、ウニサーレ様の魔道工房へいきましょう ] 


「ささ、二人共こっちよついて来なさいな」 とシセラは地下に降りていく。


「話したい事はう一杯有るけどまずはシセラが言っていた

私達が”条件付きで定命のことわりから外れている”事からかしらね

と豊満な双丘の谷間を手て押し広げて3本の引っ掻き疵のような刻印をみせた

私達は”刻印者”と呼ばれているわ


「刻印者? 」

聞き慣れない単語が飛び込んできた

「そぅ、”刻印者”よ 貴女のも知っての通り魔道の途は果ては無いわ

魔導技術と同じでね

あのオートマトを製作した天賦の才の持ち主と違って私達のような凡百なエル族やヒム族では

天命のことわり内で己の途を極めるにはあのエル族でさえも足らなすぎるのよ」

わたしは前にブレイルが言っていた言葉を思い出していた


「そこで私達は一計を案じ冥界の者と契約を結んだ訳。

この浮遊大陸ベルゼに縛られる代わりに貴女の様に定命のことわりから外してくれ」

とそして違えたら私達の魂は冥界の者の下僕になるの

あまりに魔道求道が辛くてちじょうに降りようとしたとき同じ様な

境遇にいた”彼”と出逢い共に歩もうと夫婦の契を結んだのよ♡ 

あのひとときたら最初は初心で可愛かったわぁ♡ 」

と惚気に入る

コホンと咳払いをして居住まいを正した彼女は、


「とっ ともかくよ、なんだかんだで極めてもまだ満足出来ずここ(ベルゼ)に縛られているって訳

貴女の様な面白いが現れるからね まだまだ冥界の者に魂を渡すつもりはないわ」

「それでシセラからの土産噺なんですね」

と感慨深く言うと


「そう、だからあのを連れてお話聞かせてほしいの」

「勿論です、メトリエーテさん 喜んでそのお約束お守りしますわ」

「まぁ、”冥界の住人”が対価もなしに言の葉で約束なんて珍しいわ」

「どうして、それを? 」

「ふふ貴女のその髪さっきからさわさわ動いているわ 貴女って正直ね」

「わわっ、このことは内緒に...」

と慌てて色の濃いひと房を手で抑える


「貴女がヒトでは無く冥界の住人ってことはひと目で分かったわ

でも安心して魔女の世界も言の葉は絶対よ これでこの件はオシマイ

もう一つは、貴女、最近面白い手に入れたでしょ? 」

「えぇ、<<コトン出て来なさいな>>」

と話すと

<<いまいくわ、あぁんおねーさま待ってて>>

と程なく地下からコトンが現れる

「あぁぁん、おねーさまぁコトン寂しかったわぁ おねーさまぁ〜お口ちょうだいちょうだい」

と抱き付くふりをして唇を奪う


「「んっんっ♡ 」」


と吐息が漏れる

そしてコトンの視線がメトリエーテと合うと

「貴女は誰ッ! 」 

と激しく睨めつけ ”武器” を召喚する構えを取る

「待ってコトン この人は魔女メトリエーテさんよ わたし達の魔道・魔術の助言者よ

構えを解いて」


コトンは口を尖らせ

「分かったわ おねーさまの御心のままに」

と私の後ろに回り 

「い――」 と顔を顰める

「コトン、はしたないですよ メトリエーテさんにきちんと挨拶なさいな」

「は〜ぃ、あたくしはコトンよ メトリエーテ様 もし、シーねーさま に手を出したら赦さないんだから

覚悟なさいな」

とスカートをつまみ挨拶をする。


「ふふ、かわいい...やはりねこの”ライブ・アーテファクト”だわ」

「”ライブ・アーテファクト”? 」

聞き慣れない響きを持つ単語だった


「有り体にいえば”生きていて自我を持ち人の姿を取った古代文明の”遺産””よ

長い時を経て強い能力ちからを持つ”古代文明”の”遺産が人の姿をとるの

そののようにね」 


 コトンはもじもじとむずかりだし

わたしのスカートをくいくい引っ張る

「ねぇあたくし、つまぁんな〜い 難しいお話いや...お屋敷に還りたいの いいでしょ おねーさまぁ」

「ええ、ごねんねその代わり今度一緒にいてあげるわ」

「きゃはっぁ おねーさま約束よ それではごめんあそばせ メトリエーテ様♡ 」

ともう一度わたしの唇を奪うと

クロの魔法陣に飛び込みすいこまれて還っていった。


「貴女ってつくづく面白いねあんな達まで手懐けるなんて

今まで経験がないわ あの達って基本人とは違う行動原理で動くから

今代の人から見れば

享楽的で気位が非常に高い上、残忍・残虐・冷酷・狡猾・残酷嗜好に見えるかも知れなけど

”ライブ・アーテファクト”達にとっては当たり前の感覚と嗜好よ


 でもね、それはヒトの欲望の一つでもあるの

あの達ってかつてヒトの歪んだ欲望をみたす為に崇められた信仰の対象物が

ほとんどよそういった歪んだ欲望が彼女達の偏執的な嗜好になっているのよ

彼女達の嗜好はいわばヒトが幾星霜もかけて育て上げたものとも言えるわね


 今代の価値観とは異質だから、其処は上手く折り合いを付けてね

でもその分能力ちからは折り紙付きで保証出来るわ


それに、あまりそれらを抑えると彼女達の能力ちからを生かせないからね」


「わたしもあのにそれらは抑えなくていいと言っていて

普通の人相手に”不必要”に遊ばないでと言い聞かせていますし

誓約も取っていることですのでわたしが許可しない限り手出しさせないのは

このシーア・オブライエンの名にかけて担保致しますわ」

とあのを養う”責任と覚悟”を口にする。


「貴女はたいしたね ならその辺りは大丈夫そうね...ついでにいいこと教えてあげる

”ライブ・アーテファクト”達は互いに惹かれ合う本能があるわ

似たようなが貴女のトコには必ずやって来るわよ

私達も”ライブ・アーテファクト”を”所有してみたかったけど

こんな形で叶うなんてね

もし似たような達が来たら私達にも紹介してくれる? ここには

その達の好きそうな物一杯有るからね...どぅ」


「今度もし来たらその達が良ければいいですよ」

「嬉しいわ 後、”ライブ・アーテファクト”達の

理解を深めるためにも一度 ”古代文明” について講釈を受けたほうがいいわね

私は、魔導考古学専門でないから紹介状を書いてあげるわ」

と書状を書いてくれる。


「これが最後、あのケット族のを離した一番の理由よ

貴女? あのが実は”あまり戦闘向き”ではない事に気付いてた? 」

「えぇ、なんとなく”以前”のわたしがお屋敷にいた時から”冒険者”よりは”メイド”の

方が天賦の才が有るのではとも思っていました」

実際わたしが男の時からメイドをしている彼女は生き生きしてたように感じていた

先の偽ディーボとキマーラの時といい 人外の戦いはいくら身体からだが変化したとはいえ

つらそうだった


「そうね、彼女の処遇は貴女次第だけど 一つイイコト教えてあげる

あの冥界の住人で有りながら治癒ヒールが使えるようね」


「はい実は...という事があって」


とシールフ族の指輪の件を話す

「凄いじゃないの それなら決まりね 貴女その特性を活かしてやりなさいな

攻撃手段は身を守るぐらいに考えて 治癒ヒール中心に活かしたらどうかしら

とはいってもあの短剣じゃこれからの戦いでもつらいわ......」

暫くメトリエーテは考え込んで


「そうだわ、4層島群の”ロハップ”にまだ”未踏破”の空中遺跡が有ったわ

ギルドには個人指名扱いで依頼を出しておくわね

報酬は貴女が遺跡で得られる秘宝や

いるかも知れないライブ・アーテファクトの少女でどう? 

特にライブ・アーテファクトの少女は貴女にしか懐かないと思うし唯一彼女達と

誓約出来る貴女なら悪くない条件だと思うけどどう? 」


 わたしは鋭く勘が働く

それにライブ・アーテファクトの少女は性格や嗜好を別にすれば非常に可愛らしく

元男のわたしとしてはあのような少女然とした可愛いは好みだった。


 容姿は見目麗しく着ている衣服などもこの世界オルティアではあまり見かけないし

攻撃や冒険の手段としてではなく純粋に性格に難の有る”妹”として手元に置いて髪を

梳いたり一緒に沐浴したり”オンナノコ”同士で一緒の寝台で”お泊り”をする

そんな少女っぽい感覚がもう当たり前の様に感じていた。


 それに、彼女も構って欲しいを全面に出しているしお互い利害は一致していた

(だって品行方正なってつまらないし

妙に、ぎゅっとしたい衝動に駆られるの これも完全に”オンナノコ”になった証しかしら)


「お受けしますメトリエーテさん 貴女は何が報酬は望まれないのですか? 」

「そうねぇ、樹木人トレントがもしいたら素材の樹液が欲しいわ アレ、魔女にとっては

最も価値有る触媒なの それでいいわ 後、ウニちゃんには同じく樹木人の

枝や種とかね あと迷宮の掃除人”ムグル”には気を付けてね」

「”ムグル”? 」


 聞き慣れない魔物の名だった

「迷宮の掃除人と言われていて 行き倒れた冒険者を喰うわ

まぁ貴女なら平気だけどあのミーアは死にはしないけど腹のなかに7昼夜は

閉じ込められて不快な匂いが付いて嫌な思いをするわ

たいていの冒険者はすぐ死んじゃうけどね 彼女に嫌な思いをさせたくなかったら

気を付けなさいな」

と忠告する。


「はい、忠告有難う御座います お姉様の件はわたしなりに考えてみます」

と言うと

「それが、いいわ時間は沢山有ることだし、悩むのも経験のうちよ」

と言ってくれた


「わたしはここラストレの”魔女の集い亭”に滞在しますから丁度良かったです」

と言うと階下から

ミーアとビヨンが上がって来て

「あら、シーちゃん 御用は? 」

「いま、お話がおわったトコよ」

とわたし達は挨拶をしてメトリエーテ宅を後にした


丁度夕刻まえ百貨店の軽食売り場で夕食を済ませ

階層を見て廻る


気になるワンピースドレスを横目にしながら

”魔女の集い亭”離れの二階のそれぞれの部屋に戻った。


一息つくと久々の吸血衝動で眠れなくなったわたしは

「お姉様、いま入っていい? 」

とミーアの部屋をノックする

「いいわ、どうぞ」

と入るなり例の髪をくるくる絡めるおねだりの仕草をしてみせる

「シーちゃんアレが欲しいの? 」

「そぅ、小腹空いちゃった いいでしょ? 」

「しょうがないわねぇ」 と

いいながら髪を寄せる


「まってお姉様ぁお口から頂戴♡ 」

といきなりわたしはお姉様の唇を奪った。


「「...っんんっ♡ あぁぁん♡ 」」

「「くちくち...くちゅくちゅ」」 と音が湿ってきた頃合いに


少しずつお目当ての首元に口を移動させ

牙を突き立てる

「「...っんーーんっ...」」 と微かな嬌声と共に 濃厚な苺味が口に広がり


んくッんくッ こくりこくり と果汁ジュースでも飲む感覚で

飲み下す


「シーちゃん 接吻お上手ねぇ 何処で覚えたのかしら? 」

とミーアが言う言葉に

「...っんっ、しょれは聞かないで...お姉様だけよ」

と明らかな方便を囁くと

「シーちゃんは、嘘つきね でもまだウソ付くの下手ね」

と蕩けそうなミーアの視線が色の濃い髪に移る

やはり髪は さわさわ とミーアの耳をまさぐっていた。


やがて”小腹”の空きも収まって首元から離すと以前とは違い

噛み跡がすぅと蜃気楼の様に掻き消えた

最後に、ミーアのもふもふの耳を甘噛みする


「きゃう、シーちゃんのイ・ジ・ワ・ル ここ弱いの知ってるくせに」

ミーアがピクリと可愛い反応を示す

「ふふこれはさっきのお返しよおねーさま」

といわたしはミーアの大きな双丘に顔を ばふり と埋めた

「”お食事”した後のシーちゃんって急に甘えんぼうさんになるのね」

「そうよ わたしって”お食事”をすると急に甘えんぼうさんになるんだから♡ 

あぁ〜 おねーさまのってステキぃ♡ 」

とくぐもった声で言う


一連の流れを見たミーアは

(あれこのって本当に元”男”だったけ? ) と

疑問を抱かせるくらいには3回の”アレ”が来てからのシーアは少女然としていた


 と顔を埋めたまま

そして、わたしはどうしても尋ねたい事を口走ってしまった

「ねぇ、お姉様って私の”お兄様”のお姿って覚えてる? 」

この一言がいけなかった。


「えぇ、ちゃんとお姿もお声も覚えているわ」

とミーアの返事を聞いた途端

わたしは押さえきれない感情を御しきれず

子供のようにぐずり


「ずるい、ずるい おねーさまばかり覚えていてずるい」

「だって、それは......じゃない」 とミーアが何か言うも取り合わず

「おねーさまなんか 知らないモンッ」

と3回のアレで覚醒めた能力ちからを使う

「シーちゃんその目ッ! ちょっと待って 怒らないでねっ...ねっ」

どうやら無意識に瞳が変化していたらしい。

ミーアに何かする気は当然無く、ただのわたしの癇癪だった

「モゥ、知らないもんっ」

と2階の宿の窓を開け


 左手の親指を噛み血を出すそして大きく腕を振ると”血”が背中の肩の大きな骨の辺りに

集まり大きなパーピリオの翅を形造りゆらゆら揺らめいて

そのまま窓から飛び出しネグリジェ姿でショーツが見えるのも厭わず空に舞い上がる


ふわりとユラに乗る浮遊感とは別の感覚に包まれた私は夜空に躍り出た


ふわりふわり むしゃくしゃ気持ちとは裏腹の心地良い浮遊感が優しく包み

程なくその気持ちも収まったがすぐにとって返すのもまたこれも自分の負け

を認めたようで嫌なので暫し遊覧を楽しんでいた。


 夜風がネグリジェの中を這い回りとても心地良い

ネグリジェの裾を片手で摘み更に夜風を這わせる。


 ミーアはときどき普通の上下に分かれている”寝間着”を着ていたがわたしは

元”男”としての意識はしっかりあるにも関わらず既にズボンは例え女性用の物でも

大嫌いになっていてそれは普通の衣服でも同じくミーアにズボンを勧められても

「絶対に嫌! 」 と突っぱねたくらいだった。


 自由意思で自在に空を翔ぶのは実に心地よかった きらりきらり 

と夜風にたなびく髪は月の光りを浴びて七色に輝き 

背の翅はときに羽ばたき、時に羽ばたきを止め すぃーと 空を滑る


『どうしたんじゃミーアよ、シーアの大きな声が聞こえたが? 』

とクローティアが二階のミーアの部屋までやってきた。


「あの私が”お兄様”のお姿とお声覚えているといったらシーちゃんがむずかって

空に大きな蝶の翅生やして飛び出しちゃったの」

『してソレはお主から言ったのか? 』

「違うわ、シーちゃんから”お兄様のお姿って覚えてる? ” と聞いてきたの

それで覚えているって言ったら あんな事に」

と夜空を翔んでいる”妹”を指しながら肩を竦める。


『しょうもない奴じゃのう あ奴はお主と違って生来からのオンナノコじゃないからの

オンナノコ独特の気持ちをまだ上手く御しきれておらんのじゃろ

今は戻って来るまでそっとしておくんじゃ』


わたしは暫く翔んでいたらどう考えても自分の我儘なことは明白な事に気付く

そして”遊覧”を楽しんだ後ミーアの部屋の窓から入り

「あのね、ミーちゃん? 」

「ど、どうしたの? 」

とミーアはビクビクしながら尋ねる。


 私は翅を再び血に戻し親指に吸収させる

「さっきは、ごめんさない自分でもどうしていいか分からなかったの」

「いいの、いいのよシーちゃん たまには感情を出すのもね ただお空を”お散歩”する時は

ドロワーズ穿いたほうがいいわ ショーツ丸見えよ」

と言われて真っ赤になって股間を抑える。


 一連の顛末を”たまたま”見ていたコトンは

「あぁんんっ おねーさまってやっぱりすてきぃ私と似たようなが仲間になっても

おねーさまはあたくしのモノよ

”ライブ・アーテファクト”の中では一番最初に

シーおねーさまのモノになったあたくしが”おねーちゃん”なんだから

ぜぇーったいわたさないんだから うふふ...っんんっ」

とクマのぬいぐるみに深く指を食い込ませ接吻をしながら ニヤニヤしていた。


 シセラはクローティアとシーアのいない部屋で

「ねぇ、クローティア シーアって面白いね貴女が真っ先目を付けるのも頷けるわ」

『そうじゃろうともあ奴のマギは 冥界の住人なら喉から手が出るほど欲しがるじゃろうて

あ奴の血もじゃ ”アレ”の後始末もちゃんとやって居るようだしな オンナノコは

いろいろ大変じゃしの シセラよ お主からもいろいろ教えてやってくれんか? 』


「勿論よ、このシセラに任せなさいな 少なくとも”女”の経験はシーアより長いわ

っと誤解しないでね、生粋の魔女:メトリエーテに育てられた年季が違うもの

女の”いろいろ” も彼女から教わったしね

それはそうと貴女、少しシーアのマギの配分多く撮り過ぎじゃない あたくしに少し

配分多くまわしなさいな」

『それは、ならん来たてでほいほい配分は多くまわせんまずは実績を見せんか』

「はいはい、君主 #$@#%@!@#@%!%$& 様は真面目おかたいな事ですこと」

『それならば良い』


とシセラはまた部屋を出て視えないことをいいことに

宿の辺りを漂っていた。

しかし、宿の外では”黒い少女”の幽霊が出るという”噂”もちらほら立つようになっていたが

シーア達は知る好しも無かった

客に知られると悪評が広がるからだがまさか悪評の原因が”その客自体”がもたらしていた

なんて誰も夢にも思わなかった。



 丁度、同刻ごろ

下町のとある安酒場の倉庫に一人のロージィ・ブラウンの髪で大きなリボンを

揺らした少女が小綺麗な身なりで歩いていた

多くのヒトは彼女が密かな逢瀬を楽しみに来たのだろうと誰も気にしていなかった


 その少女は何故か、倉庫の大樽に姿に似つかわしくない乱暴な動作で

よじ上り幾重ものフリルやレースで

飾られたショーツを近くにいたワンピースの妙齢の女性にワザと見せつける様に片足を抱えて

ドカリ と座り

「チクショウ、全くよ 好きでこの恰好なりしてるといえ 

この樽オレの背より高いぜ やはり上から見降ろさねぇと シマらねえからな」

下品な悪態を付き

「おい、ニール 首尾はどうだ? 」

と尋ねる


 少女趣向の非常に強い白のワンピースドレスにピンクの小花柄、

フリルとレースに飾られたパフスリーブからは白い肌の手が伸びていた

髪はゆるふわのロージィ・ブラウンのウェーブロングで腰くらいまであり

ワンピースと同じ柄で揃えた大きなリボンを後頭部に付けて

 足には白の豪奢なレース付き踝丈ソックスでピンクの薔薇をあしらったストラップパンプスを履いた

”千変の御使い”がそこにいて

小振りなミスティ・ローズの唇からはまたもや野太く下衆い男の声が吐き出されていた


「あラん、アテクシを喚び出したのはアナタなの珍しいわネ

今日はまた随分とめかし込んでいるじゃな〜ぃ♡ 」

と女性の方からもあきらかに男と分かる声が紡ぎ出された

可愛い少女と若い妙齢の女性からは似つかわしくない二人の男の声が

倉庫に響き渡る


「これは、外の大きななりした”小僧”共をたらし込むのにおめかししたんだよ

どうだ? 可愛いだろ」

「なんだすっかりノリ気じゃないのン たかだか誑し込むのにそんなにおめかしなんて」

ニールの軽口も気にせず、


「ウルセェ今代はこんなお嬢様系の姿で通す事にしたんだよ前代は野郎の姿で通したしよ

もぅ飽きたぜ 試しにこんな恰好なりしたら仕事が捗る捗る

官吏に袖の下もいらねぇ 前代で野郎で通したからよ

すっかり男口調だぜ まぁこれはこれで姿見で見てしゃべるとそそるしよ

どうだこのオレの”お嬢様姿”は? この恰好なりはなかなかあざといだろ ん―んッ? 」

とまたワザとニールにショーツが見える様に足に手を添えて高く上げ組み替えた。

 

「可愛いお嬢様から吐き出される下衆い男の声って いいンじゃない? 

所でさぁ ”首尾”なんだけどン アテクシの”ミー”ちゃんがいつの間にやら

人外に成り果てていたわよ それも”対価”なしによ 信じられるぅ? 」

「あの”シーア”とか言う小娘といるケット族の娘かぁ? ソイツが人外にだとぉ?  

いってぇ何者なんだぁ? 」

とその時積んでいる樽の物陰から ゴトリ と音がした

 

「...って誰だ!ッ 」 ”千変の御使い” が

怒鳴り、声の主を見ると 酒場の使いの少年がガタガタ震えている


「おっ、おねーちゃん達って”二人”とも”男のひと”なの? 」

「おっと小僧!、 訂正しな”一人”は”男”だがオレは違うぜ...」

「ほらね♡ 」

と最後は可愛い少女の声で否定し再び野太い下衆な男声に戻し

「ほら違っただろ? 」


 少年は

「ひぅ、化物!? 」

とやっとの声を上げると

「今度は正解だぜ わっぱよ オレは”男”でも”女”でもねぇしまして”少女”でもな 

偉いな よく当てやっがったな 可愛い”お嬢様”の恰好なりで野太い下衆な野郎の声とか

そそるだろ...んとそうだな、おめぇに褒美にこれを見せてやるぜ」


とニールに向かって座っていたのを少年の方に向きを変えまた

またワザとショーツが見える様に足を高く上げ”ゆっくり”時間を掛け組み替え

大振りなショーツのレースを指で可愛く摘み上げ

「...っんんっ♡ んっーん♡ 」 

と少女声で嬌声をあげ


 少年の視線が自然と一点に移動したのを確認して

「どぉ? わたしロージィっていうの ロージィのショーツかわいいでしょ♡ 

やだぁ〜、もぅじっくり見ないでよぉ...ロージィ恥ずかしいわ♡ 」

と蕩けるような甘い声をワザとゆっくり言い


また素早く野太く下卑た男声に変化させて

「どうだ可愛いかったろ ”初めて”じっくり”見た”女の子”の下着はよぉ 

もう一つオマケだぜ よく見ときな」

とゆっくりショーツに手を掛けて下にずらしかけて

「おっと まぁ続きは”冥土”でゆっくり楽しみな わっぱッ!! 」

と目をゆっくり細めニヤリと笑い


「ばいばい、おにーちゃん♡ 」 

とこれほど無い可愛い少女の猫撫で声に変え

視線を交わしニールが蛇腹剣を一閃二閃と振るうと

「ひぶッ」 っと

一声 それが少年の最期の声となって血煙と化した身体からだの後には、

血の付いた衣服であったろうボロ布しか残されていなかった。


「小僧の割には”鳴き声”は可愛くねぇな...オレに変な色気を起こすからこうなるんだぜ」

と”千変の御使い”は男の声に戻しボロ布に向かっていう

「あらン、色気を起こさせるように仕向けたのはダレよん」

「まぁこのオレ様だがな っと」


と髪をかき上げスカートを可愛くつまみ樽から ストン と飛び降りそのままくるくるまわり

男声のまま

「いゃぁん〜スカート乱れちゃったぁ♡ 」

と言ってスカートの裾の乱れを”お嬢様”らしく整えた


「堂に入ってるわねぇ」

とニールが感心したように言うと 

「こういう仕草の一つ一つがオレのこだわりさ チクショウめ 変な邪魔が入っちまったぜ」

と ”千変の御使い” がごちると


 ニールは

「これ何だと思う? 」 と

例の小瓶を見せる

「単なるウロコの抜け殻じゃねぇか どうしたよ? 」

「これねン あのシーアって身体からだの一部なのよぅ 

ただの”ヒト”がこんな物、身体からだに持ってると思う? 」

「それもそうだな」

と”千変の御使い”は可愛く指を咥えて小首を傾げ黙考する


「以前あの小娘シーアがトルティアの街に現れた時、売り飛ばそうと返り打ちにあって

官吏に捕まった”三人の”おれの部下野郎に身辺を洗わせるか 

 ”メスガキ” 一人に大の男が返り打ちにあったなんて情けねえぜ

官吏に握らせる金用意しとけよニール。 クソッタレ...金ばっか食いやがるぜ」


「あなたの衣服代ほどでも無いわよン」

「うるせー これは”必要経費”だぜ まぁニールよくやったな ようやくあの小娘シーア

正体がわかるってモンだ まぁどうせこのオレが一番に掴むだろうがな この情報掴んだら

取引が有利になるぜ」

と トントン と可愛い靴のつま先で地面を突き服や靴下のフリルやレースが揺れる


「所でいま”銀の三日月はどうなっている? 」

「そうねぇヤンスは裏切って雲隠れしてるしねぇ あっそうそうあの”サラ”って娘いまは

クィエル教のシュリエル付きのメイドをしてるわ、大分矯正が進んでいるようよん」


「ふーん 銀の三日月の純粋な構成員は アイツら姉妹とここ(ベルゼ)いるケット族と

あの君主様しか居らんからな お前もそろそろケット族の双子に指示出しておけ

お前だけだぜまともな”フレジア”のメンバーはよぉ 他の奴らはオツムがてんでなっちゃいねぇ

手駒になる女も居ねえから このオレがこうして”お嬢様”として出歩く羽目になっているくらいだぜ」


「その恰好したいが為に”お嬢様”として出歩いて入るくせにン」

「アタリメーだろ、オレはな”お嬢様”として出歩くことが好きだからな 

もっと可愛くなってやるんだから♡ 」

と臆面もなく言い放ち

「とにかくだ女の手駒も確保しなければな...っと長居をするとまた

小汚ねぇボロ布が増える事になって

大騒ぎになる そろそろずらかるせオレはよ んじゃな」

「このあとまたワンピースとショーツ買おうかしら? ふふ♡」 

と少女声に変化させ”千変の御使い”は立ち去った。


「さぁて、アテクシもあのケット族の双子に教示レクチャーにいかなくちゃね」

と後を追う様に立ち去った。


 ここの店主が丁稚奉公の少年の変わり果てた姿を見つけ

大騒ぎになったのはこの後すぐのことであった。



 翌朝

わたしは、ラストレの百貨店で”また”買い物を楽しんでいた

シセラは相変わらず鎌をそこら中の”殿方”に向けて

振り回していた

「きゃはっ、この方随分”小さいわぁ”ねぇねぇシーアぁ シーアの好きなお肉の腸詰めより

貧弱ねぇ こんなの斬っきゃえ えいっえいっ」

と何やら物騒な事だが今の彼女は幻体でしかもマギのパスが繋がっていない者には視ることすらおろか

声も聞くことすら出来ない状態である

彼女は、その立場を傍若無人に利用して楽しんでいた。


と突然、急に真面目な口調で

「ね、シーア 気付いてる? 」

<<えぇ。シセラ”気配” は何処? >>

ここの階層の売り場に来てから伺うような”気配”を感じていた

わたしはその”気配”に気取られないように念話で答えた


「気配の持ち主は、貴女の右手後方10歩ぐらいよ」


<<どんな恰好をしてるの? 男? 女? >>

「貴女と同じくらいの少女よ 髪はロージィ・ブラウンのゆるい縦のカール

唇は真っ赤 白地に黒の小花柄のワンピースと同じ柄のリボンに黒のペチコート 

白のリボン柄のタイツに白のソックスとツーストラップパンプスよ」


「敵意は? 」

事を構えるつもりならわたしとしても火の粉は振りはらわなければ

一行パーティー頭目リーダーとしての責務を果たせないし

一般目線からみれば危険な性格のもいる 本気でこられれば ヤンスの時の様に

微妙な手加減は難しいと考えていた。


「いえ、明確な敵意は無いわ でも今まで感じた事の無いマギね

男性とも女性とも違うマギね」

「男性とも女性ってマギが違うの? 」

わたしはマギの個性は分かるが性別までは区別出来なかった

「そうね、女性寄りのマギ特性をもっている殿方もいるけど男性と女性のマギは根本的に異なるわ

完璧に異装したつもりでもあたくしのまなこは誤魔化せないわこれも能力ちからの一つよ」

(これは心強いわ異装を好むヒトが少なからずいる以上見た目に惑わされずに済みそうね)

”敵”はどんな姿で脅威になるか分からないからだ。


「わたしは、貴女から視てどう? 」

元男という特殊な出自であるわたしはシセラの判定に興味が湧く

「そうね貴女は、女性のマギでも”純粋”は女性のマギね 普通は多少なりとも

女性でも多少男性のマギがあるものだけど貴女は男性のマギが”全くないわね”

<<そうなの? >>

「そうよ、女性とはいえ親は男女でしょう ほんの少しの異性のマギが無いなんてことは

あり得ないわ 

まぁ、貴女がヒトの手によって造られた”人造種族”ならありえるかな? 

それ、貴女自身がよく知っている事じゃない? 」

<<そ、それは>>

わたしが”人造種族”つまりホムンクルスであると断定しているようなものである


「ふふ、もし”それ”がしれたら世界オルティア中が大騒ぎになるわねぇ

貴女の”人造種族”自体がこの世界オルティアにもともと無いものなのよ

それほど貴女って稀有なの


 まぁ、あたくしってそんな貴女に惹かれたってのも有るけどね きっと屋敷に入るあのコトン

そうよ...安心しなさいな あたくしは貴女にくと決めた時からあたくしの総てが貴女のモノよ

そのことはこの身の存在にかけて口外はしないわ 

ともかくよ”男”でも”女”のマギでもないなんて

文献を当たるしかなさそう

...って貴女に近づいて来たわよ」


 わたしは、身構えたが向こうも事を起こすつもりは無いらしい

気配が曖昧なまま遠ざかってお手洗いの方へ向かって行った。


 わたしは警戒を解きフリルやレースがたっぷりのショーツや靴下、

あと気になっていたちょっと豪奢なミスティ・ローズを基調とした蝶柄刺繍の

姫袖で胸元に大ぶりなレースワンピースドレス。 同じく蝶をあしらったローパンプスを購入して

一階層の菓子売り場でコトンにお土産を買い百貨店を後にする。



 一方、昼尚薄暗い遺構の片隅でむくつけき”漢達”が地べたに簡素な敷物を敷き車座に

なって”お嬢様ボス”から言われた通り、邪法に身を堕した奴を

どうやって雇い入れるかを算段していた。


 そんな所へ

「おう、お前ら邪魔するぜ そこ空けろ」

と 髪はロージィ・ブラウンのゆるい縦のカール

真っ赤な唇、白地に黒の小花柄の少女趣向が強い

フリルとレースのパフスリーブワンピースに同じ柄のリボンに黒のペチコート 

白のリボン柄のタイツに白のフリル付き踝丈ソックス黒のツーストラップパンプスの”千変の御使い”が

入って来た

はたからみれば”漢”達の中に場違いな少女が一人というなんとも妙な取り合わせである

そして可愛い真っ赤な唇から紡ぎ出されたのは”漢”達に負けじと劣らぬ

野太く下衆い声だった。


 声の主は髪をパフスリーブからスラリと伸びた華奢な腕で

少女然な仕草でふわりと掻き上げて カツカツ と音を立てて歩いて来る

「お嬢様ボス、お帰りで? 」

「おうよ、席さっさと空けろや 」

と声はかなり怒気が篭っている


「へぇ、」 と一人が急ぎ席を空けた途端

「クソッタレが」

と言い ドカリ と胡座で座る

可愛いスカートがブワリと舞い手で乱暴にバタバタと整え

片肘を胡座に乗せて とんとん と頬を指で突き暫くそれをやった後

小首を傾げて口角を上げ親指の腹を天井に向けギリギリ爪を噛む

「なぁお前ら、オレは可愛いか? 可愛いか? なぁどうよ感想を聞かせろや」

とニヤニヤしながら見渡す

「勿論ですよお嬢様ボス、”お嬢様ボス”ほど可愛い”少女”もおりませんぜ」

「本当にそうか? 」 と

胡座を解き

リボンやレースで飾られた淡いピンクのショーツをワザと見せつける様に片足を抱えて

座り直す

嬢様ボスの機嫌の空気を読んだ部下達はとっさに目を逸らしたが、

一番年下の若い部下は思わず凝視してしまった


「おい、テメェ! オレが可愛いなんてウソ付くんじゃねぇよ 此処がテメェの目当てだろ」

とワザと見せつけているショーツを指で トントン つつく


「こっち来いや」

目をきゅうと細めて怒気の篭った声で

若い部下を呼ぶと可愛い靴で股間をぐりぐり弱く踏みつける

「お嬢様ボス、可愛いおみ足でそこは勘弁してくだせぇ使い物にならなくなりやすぅ」

「オレに色目を使うからだぜ...まぁ...今は勘弁してやらぁ...

それよりもださっきの話しがだよ」

と離れようとする部下の尻を座ったまま足で押し出して解放して

「おいお前らもそろそろ此方向けや」

と恐る恐る残る部下達が此方を向くと

姿勢は変わらないが見せつけていたショーツを

申し訳程度にスカートで挟み込んでいた。


「でよ話しの続きだ、百貨店で買い物してたらよ オレより可愛い娘がいやがってよ

因縁つけようと近寄ったら例の”シーア”って娘じゃねぇか これをチャンスに手ェ付けよう

としてやめたぜ オレにオメェら”ヒト”の様にションベン出す穴があったらここ濡らしちまう

トコだったぜ飯や排泄なんて要らない人外で良かったぜ」

と股間をスカートの上から親指で下品に指し示し ふるふる 怯える


「お嬢様ボス? 」

「何でもねぇよ...ありゃヒトじゃねぇぜ 冥界の人外だぜしかもかなり高位のな、

おまけに種族も分からねえなんてきやがるそんな事断じてありゃしねぇ 

ありゃ学者連中が今頃大騒ぎになってらぁな」


 可愛いタイツにくるまれた脚を、ばたばたさせながら更に言葉を続ける

大体何であんな強い魔性の瘴気纏ってるんだぁ しかも普通のヒトには影響が出ない様に

無意識に御してやがるし髪の一部が サワサワ 動いてたぞ あの娘ッ! 本気出したら

オレなんか存在ごと消し飛んでしまうぜ

...てな訳でな、オレはまだこの格好なりして”お嬢様”を楽しみてぇんだよ

お前らもニールみてぇに早く手駒揃えろや」


「お嬢様ボス、分かりやした俺らもそのことで此処に居たんでサァ お嬢様ボス

その恰好なりして、いろんな奴誑かして情報ネタ持ってきてくれるだけでいいでサァ

カチコミは俺らがやるんで なぁオメェラ」

と部下の一人がドンと胸を叩き

「...「応!ッ」...」 と

部下全員が応える


「いいお返事ね♡ 嬉しい事いってくれるじゃねぇか」


と少女声に変え

「お前らにご褒美上げなきゃならねえな♡ 今回は”奮発”してやるぜ

じっくり”ショーツ”拝みな」

とまたワザとショーツが見える様に足を高く上げ”ゆっくり”時間を掛け組み替え

挟んでいたスカートをゆっくり持ち上げもう一方の手でショーツに手を添えて

大振りなレースを指で可愛く摘み上げ

「...っんんっ♡ んっーん♡ 」 と嬌声をあげ


部下の視線が自然と一点に移動したのを確認して

「下衆いおにーちゃん達 ロージィのこのショーツかわいいでしょ♡ ...っんんっ♡ あぁぁん♡ 

ゆっくりみてってぇ 」

と煽られ部下が尚も凝視すると 

「きゃ〜ん、恥ずかしいっ あぁん おにーちゃん達に

ロージィ の可愛いショーツ見られちゃったぁ♡ オヨメに行けないわぁ」

と蕩けるような甘い声をワザとゆっくり出して


 その声のまま

目を細め下衆な表情を浮かべて

「どうよ オレの渾身のごほーびはよぉ 気に入ったか? 

なぁ 最後に聞くぜ オレは可愛いだろ? んーー? 」

「...「応ゥッ! 可愛いのは”ロージィお嬢様”ただ一人っ」...」

部下全員が片手を天井に突き上げる


「いいぜ 実にいいぜその”ロージィお嬢様”って響きはよぉ...最高だぜ

オレのこのあざとい格好なりに相応しい...早く姿見でじっくり観察したいぜ

髪と目の色が変えられないのが忌々しいが 後は自由だからな

なぁ おめぇら

今度からはオレの事は ”ロージィお嬢様” って呼びな オレのこの格好なり

楽しんでいるようにな、お前らも長生きして人生楽しみな」

と片手でスカートをつまみもう片手を部下に取って貰い立ち上がり

「あら、ありがと♡ さすがオレの可愛い部下だぜ

いゃぁんまたワンピース乱れちゃったわぁ♡ 」 

と可愛いお嬢様そのものの仕草でワンピースのフリルやレースの乱れを丁寧に整え”千変の御使い”

もとい ”ロージィお嬢様” は

何処かへでかけて行った。


こうして”フレジア”はシーアの情報を得るべく本格的な動きを見せ始める。



昼は離れで宿から食事を運んで貰い豆のスープや香草練り込みの麦パン

そして、濃厚な香辛料を贅沢に使った燻製の腸詰めを麦パンに挟み

香辛料と濃厚な獣脂でわたしの食欲は満たされ 食後の紅茶で喉を潤していた


そこへ ドアをノックする者が聞こえる

「どなた? 」

「 ...私めは魔女:メトリエーテの使い魔 ”インゲ” で御座います

どうかお目通しをお願います」

と執事のような口調の男性の声が聞こえてきた

シセラと目配せをすると、シセラは軽く首肯する。


「はい、どうぞ」 と招くと

シセラは「貴方、 ”インゲ” ね」


「これは、シセラお嬢様 銀の小鍵よりお覚醒めになっておられましたか? 」

「そうよインゲ、あたくしこのに従く事にしたの よろしくね」

と後ろからゆっくりわたしの首に腕を回す クローティアと同じく地面には決して降りない

彼女は何やらクローティアと睨み合いをしていたようだが、わたしは敢えて無視を決め込んだ


「貴女も良いあるじを見つけられましたな」

「ふふ羨ましいでしょう? 」

「私めのあるじはメトリエーテ様だたお一人です 貴女がそのお方を

あるじに決められたようにね」

「そうね、貴方は魔女:メトリエーテ だたお一人だものね

あたくしが銀の小鍵の中に自身の存在を自覚したての頃からね」

とその人物に向かって旧知の仲の様な口ぶりで話しかけた


 シセラの視線がわたしに向く

「ご挨拶が遅れました 私め”インゲ”はメトリエーテ様の”使い魔”で御座います」

と丁寧な挨拶をしたのは


 背はミーアより高く漆黒の短髪を丁寧に撫で付けて 

左右に別れた髭は綺麗に整えて柔和な目付きで瞳もまた漆黒の紳士がそこに立っていた

「わたしはシーア・オブライエンです シーアで結構ですわ インゲ様」

「これは、見目麗しいですな シーア様 我があるじが シーア様に緊急のご依頼が

あるとの事 我が屋敷へのご来訪をお願いしたく参りまして御座います。


「えぇ、分かりました 根無し草の様に星霜の流れるがままのこの身

メトリエーテ様のたっての願いと有れば 喜んで伺いますわ」


「根無し草の様にとは ご謙遜を つきましてはお屋敷にてご来訪をお待ちしております」

とインゲは バサリ と 大ガラスに姿が変じ魔女の家へと飛び去っていく。


そしてわたし達また再び魔女の屋敷にきていた


「ごめんなさいね、ようやく”賢者の右手”の在り処か分かったの」

「 って賢者の右手ッ」

わたしははっと口に手を当てる

ベゼリン学術院でエモニィが話していたのがここで繋がった

「あらッ その様子だと賢者の右手に覚えがあるようね? 」

「はぃ実は......」 とベゼリン学術院での一件を話す

「そう、そのの両親が秘匿した場所が分かったのそれを貴女に

取って来て貰いたいのよ そののご両親が

命がけで秘匿した場所に使い捨ての帰還の転送陣を貼ったお陰でその痕跡を追跡したの」

わたしは固唾を飲んで次の言葉を待つ

「クィエル教祭主が探していて”フレジア”がまだ動いていることをみると場所は特定出来て

いないようだし好都合だわ


 報酬はそうね そこには貴女に従きそうな”守り手”が居るらしいから 彼の者の盟約を

取り付けられればそれが貴女の報酬よ どうかしら? 」

守り手と聞いて戦力は多い事にこした事はない

オンナノコ好きのわたしとしては

守り手がオンナノコで有るという自分の直感を信じるしかない


「分かりました、必ずや”賢者の右手”は邪法に手を染めていない貴女を信じて

そのお手元に、このわたくしシーア・オブライエンが届けて見せましょう」

と契約を交わす

「そこまで私を信じてくれるのね。うれしいわ

では説明するわ


 場所は”ルベリト大岩礁帯”の水晶の都 ”ソーン” の何処かだけど

向こうに有る使い捨ての転送陣のマギの痕跡をたどり此方から陣をしいたから直接行けるわ

但し”用”が済むまでは帰還用の陣を踏んじゃ駄目よ


 此方ベルゼのこの場所に来れるけど二度と向こう(ソーン)のその場所には

行けないわ

例え ”ソーン” に改めて降り立ってもその場所を特定するのは時間がかかるし

誰かが先に見つけてしまうかも知れないでしょ? 気を付けてね」

「はい、肝に命じておきます」

「”賢者の右手” は水晶の匣に入って居るらしいけどその匣ごと持って来てくれる?

その匣自体も大変な貴重品でこれも欲しいの」

「ええ、メトリエーテ様の御心のままに」と

スカートを摘み腰を低くくして頭を下げる


「ふふ真面目ね」

「わたしからもお願い良いですか」 とあるお願いをする

「勿論喜んで、きっとそのも浮ばれるわねぇ 貴女って優しいのね」

と約束を取り付け

メトリエーテがしいた往路用の陣へわたし・ミーア・ビヨンとクローティアが飛び込む


 古代魔術文字が奔流する空間の中、わたし達は水晶の都 ”ソーン” の何処かへ降り立つ

2人の靴音が カツーンカツーン と響くその場所は

 

 一面透明な蒼みがかった水晶で出来た聖堂の長い回廊であった。


  


次回 54話 かしましい浮遊遺跡と宿り木の種

お楽しみに

”シセラ ” を追加して

設定ラフのリンクを張りました 

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