52話 魔女の依頼と銀の小鍵
俺達は、ボルグラン城を数回旋回すると先般貴賓室で貰った書き付けの内容を
思い出していた。
浮遊大陸には飛行艇の発着場が有り勝手に指定以外の場所に降り立つと
場合によっては通行の永久剥奪がありえるという
尤も直接王から通行許可を貰っている俺達の場合は、官吏に厳重な叱責と
”罰金”で済むらしいがそれでも規則は規則である
ここはちゃんと忠告に従う
そして遥か西の上空にあるという浮遊大陸”ベルゼ”目指し
進路を変え魔霧帯を目印に高度を上げて行く
と突然
{...{クェークェーケッケッケ}...}
と巨大な烏の様な空に棲まう魔物の ”ヒポス” の群れの塊とすれ違うも
ユラはどこふく風といった感じで意に介さずそのまま突っ切る
よくよく見ると2隻ぐらいの飛行艇が ”ヒポス” に気嚢にたかられ派手な戦闘音と
罵声が聞こえる
「オラオラ術師共、しっかり術当てんか」
「あなた方盾役こそ敵意を引きつけてくださいよ 我々だって術
乱発出来ませんよ」
「つかえねぇな んなのバンバン当てりゃいいんだよ」
船長はこんな一触即発な状況に怯えながら
「まぁまぁそんな事言わないでくだせいまし旦那方」
「うるさいわね、女だっているわよ アンタは余計な事言わないで黙って”舵”取ってりゃいいのよ」
「うへへ、こりゃ失礼」
飛行艇はこうした ”ヒポス” 等空に棲まう魔物の襲撃に備え
盾役と遠隔攻撃役を上手く配分して人頭が揃ってようやく出航出来るのである
シーア一行のような”行き当たりや思い付きで飛行出来るものではない
「おいっ! 何だあの”蛇竜”に乗った小娘共は? 」
さすが、浮遊大陸に渡れるだけの”実力”を備えているだけの”猛者”達である
しっかりお互い”罵倒”しながらも自分を見失わず辺りの状況もしっかり
見ていた
「何で、小綺麗な成りして俺達の向かっている方向と同じ”進路”とってるんだあ」
「おいおい 学院の野外授業じゃねんだぜ」
「俺がしるかよ」
「まぁ大方好奇心で”ここまで”来てみたかったんだろ どうせ魔霧帯で引き返す羽目に
なるさ」
「まぁそうだな」
俺達は淡い紫の魔霧帯に包まれた一帯を目の当たりにする
遥か眼下には地面が大きく抉られたオルティア大陸とは違った
様相を見せている未知の大陸が
見えたがここの冒険譚はまた後の話しである。
俺は、ユラに
「あれ、突破出来る? 」
と聞くと
{きゅいきゅい♪ }
と問題無さそうな返事
「お姉様も大丈夫? 」
「えぇ、シーちゃん平気よ でも怖いわ」
と少し怯えたようにぎゅぅと抱きつく手に力がこもる
『ミーアよ、恐れることではないぞ お主は紛うことなく”冥界の住人”じゃよ
あれしきを突破することなぞ児戯に等しい事よ』
俺はそれを聞き
「ユラ、行ってぇ〜」
間抜けな掛け声を掛ける
{きゅ〜い}
と一声鳴き
魔霧帯の外に設けられた指標石目掛けて突っ込む
バフー と淡い紫の霧を被り 俺の髪が辺りの
瘴気を吸収し全体が淡く光りながら盛んにマギに変え ざわざわと 揺らぎ
満たされていくのが分かる。
(ぁぁん、気持ちいい)
此処に来て始めて常に俺の髪はマギを吸収している実感を確認出来た。
(そうか俺の髪って瘴気をマギに変えて吸収する能力もあるのかぁ〜
今で光らなかったのは地上には瘴気が無いからなのね)
と分析していた。
あったとしても極わずかな淡い光りなので気が付かなったのかもしれない
吸収された所は魔霧が薄くなり視界が見えてあたかも霧の隧道のようであった
「アレ見たか? 」
「ああ、おい船頭っ! ついでだあの隧道が開いている内に通り抜けろ」
「へっ 了解でさぁ 魔導機関部に連絡ッ 出力上げろぉ〜」
伝声管に船頭が声を上げる。
速度が ぐん と増し後から続いた2隻の飛行艇はは此処ぞとばかりに霧の隧道に入った
「こりゃ どうなってんだ? ここ(トンネル)の空気は瘴気が全く無いぜ」
「まぁ、あの”じょーちゃん”も只者では無いということか」
先程まで”小娘共”と言っていた連中がいつの間にかが”じょーちゃん”に格上げしていた
こうして2隻の飛行艇は何時もなら複数の術師が全力で魔霧を吹き飛ばしながら進む魔霧帯を
無事突破した。
俺達は、通過しながらユラが淡く光り”進化”してくのを見ていた
頭の両脇のヒレは闘魚の様に流麗に代わり長さも体躯の半分まで
長く伸びるしかももう一対ヒレが生えて2対のヒレがたなびく
「ユラ、凄いね ステキよ♡ 」 と頭を撫でると
{きゅい、きゅい} と
嬉しそうだった。
程なく浮遊大陸”ベルゼ”の光景が目の前に見えて来た
御伽噺の通り重ねパイ菓子の食べ残しの
様な光景が眼前に迫り暫し、呆然と見惚れていた
「いよいよね。 お姉様」
「そうね、シーちゃん私の憧れの地だったのよ
生きている間到達出来ないと思っていたわ」
「いま此処に来てるじゃない”夢”じゃないわ」
「そうね」
[ シーア、重ねパイ菓子の様ですね 彼処にも私の様な オートマトが
居るでしょうか? ]
「居るといいね ビヨン」
そんなやり取りをしている内に書き付けにあった
一層島群の”タグリ”を目指す
ベルゼでは地上に近い大体同じ高度にある島群から1層〜未知の6層と区別して居るらしい
そこで一番”低い”高度に有り飛行艇の発着場である一層島群の”タグリ”を目指す。
どの浮遊島か分からないで空中に待機していると
先程の2隻の飛行艇の船頭が大声で
「お嬢ちゃん達俺らに付いて来な、途をこさえてくれた礼だよ」
と先導してくれる
俺は、返礼代わりに大きく手を振りそれに答え2隻の飛行艇の汽笛がなる
そして生まれて始めて空中にある”地上”に降り立つ
進化したユラはリボンに戻り何時もの定位置へ
クロもクローティアで辺りを興味深そうに見渡す。
『ほぅ、あの地も今は平和じゃのう』
彼女なりに思う所があるらしい
「入島の方はこちらへ」 と
待機列に並ぶ
さすがに浮遊大陸に来れるだけの”猛者”達である
佩いている武器や防具は素人目にみても銘のありそうなものばかり
しかも召喚士と思わしき者の中には小さい竜を連れて居るものまで居る
(これならケルベロスやヘルハウンドを”召喚”しても大丈夫そうよね)
と悪目立ちを嫌う俺は、この時は半ば安心していた
受付で一回人頭税を払い玉を買うと後は自由に下の地上と自由に行き来き出来きて
拠点を移す時に返却との事だが
皆、多額の人頭税に辟易して永久的に”借りて”いるとのこと そう言って徴収官吏は片目を瞑る
従者は人頭税に含まれないのでミーアと二人分でありギルトスよりやや多めであった。
「あのぅ冒険者ギルドがここタグリに見当たらないんですど? 」
「お嬢ちゃんは、初めててかい? 」
と言われ首肯すると
「一層島群は何も無いよ 街は二層島群の”ランベル”だよ ほら渡り橋からいけるからね
召喚士のペットで行ってもいいけど手の内を晒したくなかったから島群の移動は”徒歩”が無難だね」
「そうします」
と俺はランベルに掛かる渡り橋を目指す。
「何だ? あの小娘」
「さあな さっき人頭税払っていた所を見ると相当な実力は有るってぇことだ
あまりちょっかいだして問題起こすなよ お前ら」
「何。あの娘生意気ね私達だってあのくらいの歳は空を見上げていたというのにね
何か伝手でもあるのかしらね」
等とやっかみ半分の会話が飛び交う
そんな会話を無視して俺達は渡り橋を渡り二層島群でも一番大きな島”ランベル”へ向かう
程なくまたもや遺構を再利用した街並みが見える
壁には俺にも読めない古代文字が掘られて擦り切れてそれがこの街の特徴ともなっていた
すぐにギルドを見つけた俺達は中に入る
すると じくりじくり と今までにない疼きを覚える
下腹をさすると ミーアが
「どうしたの? シーちゃん 何か悪い物でも食べた? 」
と小声で囁く
「お姉様、わたしまた”アレ”が来そうなの でも今回はちょっとひどいの 対処方法教えて? 」
と囁くと
「んとね、こういう時はお薬飲んでおとなしく寝てるのが一番よ 早く
女性専用宿 を探しましょ」
「えぇそうするわ。 」 とミーアから貰った薬を飲み下し
ギルドで小休止した後、落ち着いた頃を見計らって受付へ向かいカードの更新を行う
すると受付の男性は
「少々お待ち下さいませ、此処”ベルゼ”の長が参ります 二階の”密談室へどうそ”
おや、お顔が優れませぬなどうされましたか? 」
「いえ、此処ベルゼの環境に慣れなくて...今気付けの”薬”を飲んで落ち着いついて
きましたわ」
と方便を使い誤魔化す
「そうですか? なら手短に用件を済ませましょう シーア様」
と密談室に入ると長身痩躯でシルバークレイのオールドバックの
瞳はアリスブルーのエル族男性”レジアス”が出迎える。
「気分が優れないそうだね。 此処”ベルゼ”は初めは
ここの濃い”マギ酔い”も有るからね
”外部”の冒険者にはつらいかな? おっと 私は此処”ベルゼ”の全てのギルド支部の”総長”の
”レジアス”だ お見知りおきを銀のお嬢さんいや シーア様 」
と深々と挨拶をする。
俺もそれに合せて軽くスカートつまみ挨拶をして名乗る。
「外部? 」
そして、俺はこの言葉が気になり、鸚鵡返しに尋ねた
「そう、私は此処”ベルゼ”生まれの”ベルゼ”育ちだ なあに心配は要らないよ
私は常に外部の者とも”公平”に接するからね
大きな声では言えないがね、此処の大陸で育った”ヒト”のなかには排他思想の連中も居るからね」
(確かに言われてみれば、此処も”大陸”であるし元からの住人もいるのね)
「お気になさらず、私は気にしておりませんわレジアス様」
「先ずこれを渡しておこう君の目当ての人物への紹介状だ
”目当ての人物”は3層島群”ロコス”を経由して”ラストレ”西端の屋敷だ。
まぁ観光しながらゆっくり廻るといい」
と書状を貰う
何と其処にはリブス王印が封蝋で押印しある
(やはり偽ディーボの一件はわたしを何等かの理由でベルゼに寄越したかったのね
でもいいわ、わたしも来てみたかったしディーボの”遺物”の件もある
利害の一致ということでこれは手打ちにしましょ)
と掌に遊ばされた感があるがお互いの利害は一致していた。
「はいそうさせていただきますわ 新しい服も欲しいし お店見て回りたいもの」
「はは 実にお嬢さんらしいですな」
「ウチの”妹”には困ったものですわ」 とミーア
「ここに引き止めたお礼に”女性専用宿 魔女の大釜亭”の宿賃はランベルに滞在中は
此方で持つとするよ」
ペコリと頭を下げて
見取りを貰い その場を辞した。
「ふぅやれやれ此方こそあの娘の魔性の瘴気にあてられるトコだったよ
”感じる”体質だと厄介な娘だね あれは」
と大きく息を漏らす。
※※※
浮遊大陸”ベルゼ”に向かう3隻目の飛行艇一等客室内
「あラん、デメテルちゃんあなたもこの飛行艇乗ってたノン」
「よさないかその言い方は、 えっ”異装の麗人”さんよ」
と会話するのは”銀の三日月”ニールともう片方は脂ぎった禿頭に、
分厚い瞼に埋もれた目、分厚い唇で大きな巻き葉煙草を燻らす
醜い小型の魔物”豚犬”のような出で立ちの人物は知るヒトぞ知る
彼こそ各地から”非道な”手段で聖遺物や呪物の情報を
”銀の三日月”に売ったり刺客を提供したり
して成り上がり今の地位まで上り詰めた男”元締め(フィクサー)”デメテル”でである
「儂はお前たちからクソ高い金で買った”銀の娘”ことシーアとやらの情報を聞きつけて
わざわざベルゼくんだりまで足を運んで居るのだ 分かるかね この意味が?
お前こそあの娘に何の用があるのだ」
と剣呑な雰囲気を隠そうともせずに言い放つ。
ニールは しな を作りながら
「あの娘がアンタなんか相手にするもんですか」
「なにッ!! 」
と二人の部下が
「”御前”の前だぞ 言葉を慎め」
と喉元に短刀の切っ先を突きつけられるもニールはゆっくりとそれを払い除け
「アテクシは、コレに用があるの」
と小瓶に入った”ウロコ”の抜け殻を見せる
「何だそれは? 」
と訝しげに小瓶を見つめる
「これ、あの娘のよ 何故”ヒト”にウロコがあると思っていて? 」
とデメテルに渡す
「さぁな、儂はただ”可愛い少女”を妻に娶りたいだけよ ぐふふふっ
綺麗な”妻”を娶れば ”ハク” がつくというもの」
と肥えた腹を だぶり と揺らす。
「コレだから”一般人”は...見てくれにしか興味なんてないものねぇ」
「煩いわい」
とゲフンと盛大に煙を撒き散らし
「とっ、ともかくだ儂は欲しいモノはなんであれ今まで”絶対”手に入れてきたんでな
今度もそうさ」
「まぁイイわん、アテクシの”邪魔”さえしなければいいワ
もしデメテルちゃんが”手”に入れたらウロコだけは頂戴ネ♡ 」
「分かっとる、儂も”フレジア”だよりだからな...おいフレジアには依頼出したか? 」
とデメテルは控えの部下に乱暴に尋ねた。
「はッ彼の者が王都を発つ前にはルネスの小箱で依頼済みです」
「げふふっ 好し好しッ」 と年甲斐もなくはしゃぐ。
「今度こそは、ヒギンズの奴には出し抜かれはせんぞ」
と再び分厚い唇で大きな巻き葉煙草を燻らす。
「アテクシ行くわん...やぁねぇ 服に匂いが付いちゃうわん コレは返して貰うわン♡ 」
とニールは部屋を出ていった。
(あの変態野郎め、早う男娼にでも鞍替えしろや 全く忌々しい”野郎”だぜ)
と毒づいて
デメテルは分厚い瞼を閉じ部下を下がらせた。
※※※
マギ酔い等ではなく”アレ”の前兆のせいで気分が優れなかった俺は早々と
見取りに従い”魔女の大釜亭”に向かう
(ヤンスとレヴィアの顔合せもしなくちゃ 後でいいよね)
とまだ夕刻だが宿に入る。
「あら、いらっしゃいお泊りかしら? 」
と歩み出てきたのは同性から見ても羨むくらいの豊満な双丘の
美熟女 長身のエル族女性”トレフェ”である
淡い紫の髪をアップスタイルで纏めてフード付きの黒のローブを着て出迎える。
「えぇ、わたしはシーアそして此方がミーアとビヨン」
と俺は挨拶をする。
「私、此処の”魔女の大釜亭”主人の”トレフェ”よシーアと呼んでいいかしら? 」
「はい、シーアでいいです トレフェさん暫くご厄介になります」
とギルドカードを差し出す
「はい。お代は全てギルド持ちね 折角だから厚意に甘えちゃなさいな」 と片目を瞑る
「そうします」
「ところでシーアあなた顔色ちょと悪いわ マギ酔い? 」
「えっと...その...あの...」
と言い淀んで居ると
「この娘”アレ”がひどいらしくて」
とミーアがそっとトレフェに耳打する
「あぁ、......そうね分かったわ じゃ今晩は早めに休むといいわ
ミーアだっけ あなたシーアの分の夕食も作ってあげるから 良くなったら
食べさせてやりなさいな」
「そうしますわ。トレフェ様」
と早速部屋でネグリジェに着替えて早めに休みちゃんと”準備”をしてから寝台に就く
気を緩めた途端”アレ”が始まって
「きゃうん アレ来ちゃう」 とビクリと跳ねそのまま意識が沈む
俺は、夢(?)の中で二人の”お”かあさま達と再び邂逅していた
「おかあさまぁ わたしお逢いたかった」
と二人のおかあさま達に飛び込む
「シーちゃん、あたしもよ」
俺より童顔なリーメアに抱きつく
「あのねのね シーとぉ〜ても寂しかったの
どうしてレーリアおかあさまみたいに逢いに来てくれなかったの? 」
と問う
「ゴメンネあたし、レーリアの猫の姿の様に”小竜”の姿に成れるんだけとね
竜のいない”オルティア大陸”に現れたら大騒ぎでしょ だからね来れなかったのよ
ここは シーちゃんの様な”召喚士さん”が小竜連れているヒト多いから 今度は遊びに来れるわ」
「これこれリーメアよ”公務”を忘れるでないぞ」
「分かってるわよぅレーリアったら」
「ところでおかあさま達、わたしの”オトコノコ”が完全になくなるってどゆことなの? 」
「「ふふ、それはねあなたが目覚めるといろんな能力に覚醒めてているはずよ
妾達の能力の一部を代執行出来る代わりの代償じゃな
お主の中の”シアズ”の姿と声の記憶がその代わりじゃ でも安心せい 完全に記憶が消えるのは
”シアズ”の姿と声のみだけじゃ ”シアズ”の記憶・培ってきた経験・知識・魂の本質はそのまま
残るし”男”だったという記憶も残るし、何より懸想する相手の性別も”男”に変わったりはせん
深層の意識まで外観年齢相応の”オンナノコ”に変わるから意識せずとも
口調や立ち振舞は可愛い ”オンナノコ” になるのじゃ 良いな? 」」
といささかか衝撃的ではあったが どうしても俺には躊躇う理由が無かった
「はい これはシーアの”覚悟”で御座います 完全な ”オンナノコ” お受け致します」
と 言の葉に出した
(実をいうと”オンナノコ”でいるのは”シアズ”の頃より ”楽しさ” が上回っていたの♡ )
「最後におかあさま わたしの中で”シアズ”の扱いはどうなるの? 」
「「これはねシーちゃんの中では”お兄様”扱いになるの記憶に齟齬が生じないようにね」」
と
「「我が君主、これに」」
と
いつの間にやらそこにいたクロが
『此処にお主らの血で著名せよ』
と開かれた頁に
我が娘 シーア に我らが権能 %@##!##!$# の一部の代執行を 与えるものなり
此処に我らレーリア・リーメアの血によって著名するものなり
著名 レーリア・リーメア
と古代文字で記されその瞬間 ”俺の” いや ”わたし” の中にあった今では
もう朧気になりつつあった
”シアズ”の”姿と声”の記憶は”姿も声も知らないお兄様になった
つつーと 涙が目を伝う
わたしは、おかあさま達に抱きつき幼子の様に震えていた
「「泣くではない、一部の記憶以外は変わらんじゃろ」」
「えぇ、おかあさまそうなんだけど、何か寂しいの」
とわたしは、
「おかあさま達のお口頂戴? 」
とねだる
「まったく甘えおって”オンナノコ”になった途端これじゃ 先が思いやられるわい
なぁ リーメアよ」
「そうねレーリア、でもあたし達の娘よ」
「全く仕様の無い娘じゃ まぁ近こう寄れ」
と
「「「んっんっ ちゅぷりちゅぷり」」」 と 3人で 唇を絡め合う
「ごめんなさい、泣いたりして」
と幾分落ちつくと
「「これでお主は”猫”の姿にもなれるし新しい”血”の能力にも覚醒めている
はずじゃ
でもこれだけは覚えておくんじゃ これからはお主が望むと望まざるに関わらず
いろんな輩が近づいて来るかも知れん
大きな能力がある者には それ相応の困難もやって来るというもの
しかと心得よ」」
「はい、おかあさまのお言葉 このシーア心に刻み必ずや困難を乗り越えて見せましょう」
とゆっくり丁寧にネグリジェをつまみ、足を交叉させて
腰を床に沈めつつ片膝を突き頭を垂れる
ふわりと優雅にスカート部分が床に綺麗な円を描き髪もそれに倣う
「「そういう律儀なところは”男”の頃と変わらないのではないか? 」」
「そうですね結局何も変わらないですね」
と言うと
「「もう夜が明ける、かあさま達は6層島群”イドル”に”封印”の”巻き添え”をくってな
その浮遊遺跡”メギスト”に居るからな 待っておるぞ」」
「必ず救い出してみせますからまっていて下さいませ おかあさま達」
と言うと慈愛の目で見つめながら掻き消えた
そしてびっしりと汗をかき目覚めると”わたし”はすっかり”オンナノコ”になっていて
自然と出る仕草や一挙一投足が少女のそれになっていた。
すると部屋の鏡台の椅子にちょこんと座って居る少女がいる
慌てて身構えるも剣呑は雰囲気等はなく
此方を伺っていた
「あなたは、どなた? 」
と誰何すると
「あたち、は”仄暗き赤き蛇のイシュトゥーリア”よ シーおねえさま」
と とてとて 歩み寄る背はレヴィアくらい銀光沢の淡いアッシュグレイのゆるふわセミロング
両のこめかみの髪は緩くカールしていて蛇の意匠の髪飾りをしている。
瞳も銀光沢の淡いアッシュグレイで、蛇の瞳が伏し目で遠くを見ているそんな印象を
あたえ少女趣向の非常に強い大きなフリルの七分の姫袖で小さいながらも豪奢な
クリムゾンのワンピースを着てややおっとり顔も併せてレヴィアの様な幼い雰囲気を
纏っていた。
名を聞いて合点がいく、わたしの右手中指でいつもゆっくり蠢いている”小さき赤き蛇の指輪”
が嵌っていないことに気付く
「あなたがわたしの ”指輪”? 」
「そぉうよ おねーさま わたちいつもおねーさまといっしょなの 抱っこしてして」
と抱っこをねだる。
わたしは、汗でべとついていて
「いいの、わたし今汗で汚いわ抱っこは”沐浴”してからでいい? 」
「うん いいわ おねーさま わたちも”沐浴”する〜」 と
此処の宿は各部屋に小型の沐浴場が有り
「うんしょうんしょ」 といいながら服を脱ぐ
髪飾りの蛇はひとりでに解け鏡台の上へ コトリ と置かれ
わたしもネグリジェを脱ぎショーツも脱ぎ 一糸纏わぬ姿を彼女の前に晒す
イシュトゥーリアも同じく全てを晒す
すると彼女の胸にわたしより平べったいその谷間には
自分の尾を咥えて環になった蛇の魔法陣の様な文様が見える
「あら、イシュちゃんそのお胸の魔法陣はなぁに? 教えて? 」
と狭い沐浴場へ連れ立つ
「ん〜 これね ここから仄暗き小さき赤き蛇がでるの そしてね...んとね
これで”悪い奴”を”拷問するの” ほら」 と言うと
両の蛇の瞳が淡く輝き
この前にわたしがベゼリン学術院の
地下迷宮で6人の教団員を”捕縛”した仄暗き赤き蛇が多数這い出てきた
「ね、すごいでしょこれね生命は奪えないけど とぉ〜っても怖い思いをするの
たいていはすぐ気絶しちゃうけど」
「すごいわねぇ でもわたしがいいと言うまでそれやっちゃ駄目よ 分かった? 」
「わたち、おねーさまの言うことちゃんと聞く〜 」
とまた蛇の魔法陣の様な文様に這い戻っていく
「可愛い娘 さぁさ おねーさまが抱っこしてあげる...おいで」
とわたしは椅子に腰掛けてイシュトゥーリアを抱っこする
彼女のつるつるした肌が心地よかった。
程よく汗も流れサボンの匂いに包まれたところで
湯で流し新しいネグリジェに着替え彼女を拭いてまた
彼女は「うんしょうんしょ」いいながら服を着ていく
鏡台の上に置かれた髪飾りはするすると また髪に纏わりつき
イシュトゥーリアはそのままおおきな欠伸をして寝台に就く
わたしも、また眠気が襲ってきたので脱いだネグリジェそのままに
彼女を抱っこしたまま再び睡魔に身をまかせた。
「......ん、起きて......んってば」
と誰かに揺さぶられて目を覚ますとミーアが心配そうに覗きこんでいる
「あっ、目さました”アレ”大丈夫? 」
「えぇ、おねーさまわたしは平気それよりねぇ」
と昨夜の一切合切を話す
これはわたしが最初の頃にミーアと約束した事だった。
ミーアは少し寂しそうに
「そぅ、シーちゃんの中では”シアズ”様は姿も声も分からない”お兄様”になったのね」
「うん、でもねわたしが分からないのはその二つだけなの あとは話したとおりよ
ねぇこうなっても今までどおりでいてくれる? おねーさま」
とわたしは懇願するように尋ねた。
「なに言ってるの当然じゃない、シーちゃんは私の可愛い”妹”なんだからね
それに”シアズ”様の性格まで忘れたわけじゃないし
”シアズ”様のお姿とお声は私の思い出の中に居るもの うんだから平気」
と言った彼女も つつー と光るモノを流したのをわたしは見逃さなかった。
寝台でもそもそ動くイシュトゥーリアを見て
「あら、可愛い娘その娘がイシュちゃん? 」
「そうよ、おねーさま さぁイシュご挨拶して」
「は〜い あたちが”仄暗き赤き蛇のイシュトゥーリア” ミーア姉様 よろちくね」
と慌てて寝台から降りてスカートをつまみ挨拶をする。
そうするとイシュトゥーリアは大きな欠伸をして
「又おねーさまの傍にいるぅ〜」 と2匹の仄暗き赤き蛇になりわたしの指に絡みつき
指輪に戻った。
ずるり と一際大きく畝ていつもの様な動きに戻る
(ふふ イシュったら♡ )
私は又お気に入りの蒼薔薇のワンピースと薔薇のローパンプスこれもお気に入りの
フリルの靴下に身支度を整えると 白々と日の出が始まる
夜も明けてすっかり何時もの調子に戻ったわたしは例の家名の件をミーアに話し図案を見せたら
「これは素敵ね私はいいと思うわ」 と賛同を得られたので
あとは 二人のおかあさま達である。
<<おかあさま、此処に来てくれる? >>
と念話で尋ねると
<<待っておれ>>
<<待っててねシーちゃん>>
とレーリアとリーメアの声がはっきりと返ってきた
やや有って
黒猫と銀の小竜が形を成す
「わたし、”家名”を頂いたのおかあさま達も”ヒト”の中に紛れて動くには役立つと思うんだけど
どうかしら? 」
「「うむ、”家名”か”確かに妾達の見た目だと小娘じゃからな家名とやらで少しは動き易くなれば
いいがのぅ」」
そこでわたしはかねてから考案した図案を見せる
それは
2匹の蝶が向かい合わせに配置されその下に豪奢な刺繍の様な文様がある図案だった
「「ほう、元”男”にしてはなかなかいい感性しとるの これは気にいったぞい 早速
ギルドとやらに登録して参れ」」
「はいっ ...てわたしはもう”オンナノコ”ですからそんなこと言わないで」
「「おぉ、そうじゃったな して家名とやらは何という名じゃ? 」」
「”オブライエン” ですわ おかあさま」
「「ほぅ、今は無き冥府の一大勢力の家名ではないか 何でヒト共がこの名を知って居ったのか
別として好い家名じゃ」
「ビヨンもいいよね? 」
[ シーアの御心のままに ]
と全員の賛同を確認してこの図案に決定する
「「ではな」」 と黒猫と小竜は掻き消える。
「これからどうするの シーちゃん? 」
「そうね、まずはヤンスに報酬とレヴィアと顔合わせかな
後はお買い物に目抜き通りに繰り出すわ お姉様は? 」
「私はお屋敷の自室の整理と”レフィキア”様にご挨拶をしてくるわ
後、憂さを思いっきり晴らしたいから”コレ”振り回してくるわ クゥちゃんの事もあるしね」
とスカートを少しめくり例の短剣をチラリと覗かせる
そしてミーアはレフィキア内へと陣を通じて吸い込まれる
わたしは、ギルドに赴き返信用の金封筒に図案を入れギルド受付に
渡し
次の”更新”の時には わたしは ”シーア・オブライエン” を名乗れる様になるはずである
<<レヴィア、出ておいで今は”お仕事”無いでしょ? >>
と念話でレヴィアを呼び出す。
<<は〜ぃ、しーねえさまレヴィア 今そっち行くの〜>>
と念話が返って来るやいなや
ビヨンの隣に蒼い燐光を伴って出現する。
私は宿の裏手に人目に付かない区劃を見つけると
<<ヤンス、居る? >>
と今度はヤンスを呼び出す
<<へぃ、シーア様何か御用で? >>
<<早速だけどわたしの所まで来れる? >>
<<ちょっと、お待ちを うへぇ其処は浮遊大陸”ベルゼ”でやんすか? >>
<<そうよ、昨日ベルゼ入りしたの 今後は暫く拠点はベルゼよ貴方も此処に来て
頂戴 逢わせたい娘も居るの>>
<<暫し、お待ちを......あぁ場所を特定したでやんす 今参りますですよ>>
と空を見上げて暫く呆けていると”金糸雀”の鳴き声と共にヤンスが姿を見せる
「ヤンス、身の回りに危険はなかった? 」
「へぃ、お陰様でこの通りピンピンでさぁ」
[ ヤンス様、息災で何よりでした ]
とビヨン
「うへ、ビヨン様いつからお口が達者になったので? 」
「ビヨンはおしゃべりするようになったのつい最近よ...貴方は保護対象になっているから
困った事が有ったら相談していいわ」
わたしは居住まいを正して
「まずはキマーラの件の貴方の正当な取り分よ 受け取って頂戴」
とズシリと重い 金子が入った革袋を渡す
「はぁ、こんなにでやんすか? 」
「当然よ貴方の一声であの時ミーアお姉様に当たった山羊頭の術攻撃も短時間で済んだわ
その分色を付けたわ 後、逢わせたいのはこの娘よ」
とレヴィアをヤンス前に連れ出すしっかりわたしスカートを握っていたが。
「あなた、だぁれ? 」
「へぇ、あっしは”ヤンス”でさぁよろしくで...ちっちゃなお嬢ちゃん」
「れゔぃあはレヴィアなの...あなたが やんちゅ ? 」
「へへっそうでさぁ レヴィアちゃん」
とヤンスが言うと レヴィアはわたしの後ろに隠れて
[ んべー ] と舌を出す
すぐさまビヨンに
[ 何ですか、レヴィア! きちんと ”ヤンス様” とお呼びしなさい ]
と軽く頭を こつり と小突かれた
[ わ〜ん...しーねえさまビヨンねえさまが叩いた やんちゅのせいよ ]
と涙をにじませ 事もあろうか蒼い魔法陣から紫水晶”の鎖”をだして牽制する
「ひっ」
とヤンスはビクリとする
さすがにこれはわたしも看過出来ない
「レヴィアっ、 ヤンスにそれ向けちゃダメっ! 飴あげないわよ」
ちょっと強めに窘める
「ごめんねヤンス、レヴィアの”コレ” ヒトには意味が無いモノなんだけど 仮にも
能力を仲間に向けるなんて...今はわたしに免じて赦して」
とヤンスにレヴィアの頭を下げさわたしも同時に頭を下げる。
「シーア様待って下せぇ、あっしは何も問題ねぇでやんす 頭を上げてくだせいまし」
と真摯な声で懇願され、
「レヴィア、それしまってね お願いだから...ね...ね」
と目線を合せ囁く
[ しーねえさまを、やんちゅがいじめた〜 ]
と理不尽な理屈をこねるが
[ しーねえさまの ”おねがい” だからきくの
それにれゔぃあのことは ちゃま(様)をちゅけなさい わかった? ]
と一丁前の事を言い放ち鎖を魔法陣に収めて
小さい声で
[ ゴメンなちゃい ] と謝りはしたものの
[ んべー ] と舌を出し
今度は、ビヨンの後ろに隠れてスカートを握る。
[ さぁ、レヴィア ヤンスを保護対象に指定なさい ]
とビヨンに促されて
レヴィアは
[ ヤンスを保護対象に指定...攻撃対象から除外...完了 ] と
事務的な声で報告音声を返す。
わたしはレヴィアの頭を撫でて
「これでいいわ いい娘ね」 と
額に軽く接吻をする
途端に
にぱー と微笑むと
「しーねえさまにほめられた〜」 と喜ぶ
わたしはビヨンを目配せすると
[ さぁさレヴィア、貴女はお屋敷に戻ってミーアのお手伝いしなさい ]
と促すと
[ は〜ぃレヴィア、 ミーアねえさまのおてつだいするぅ〜 ] と言って
クロの魔法陣に飛び込み掻き消えた。
「ヤンス、後あの娘は能力を貴方に向ける事は無いわ
それに彼女はあの鎖で、強力な聖遺物や呪物等の完全抹消と保管が可能よ
私がいない時は
あの娘に預けて頂戴 それと多少の無礼な物言いは赦してね」
と片目を瞑る
「へぃ、物言いに関してはあっしはなんとも思って居りませんで。
それとあのちっちゃいお嬢ちゃんを呼ぶ時は”様”をつけまさぁ お安い御用で」
と言ってくれた
「それと、ヤンス又”金糸雀”を放って妖しい動きがありそうだったらすぐに知らせて
なんか嫌な予感がするの」
今回のベルゼは色々動きが有りそうな予感がしていた
「へぃ。 そこはお頼りになさってくだせえまし この”お足”にふさわしい動きしてみせまさぁ
「そうね。ご苦労様 下がっていいわ」 とヤンスを下がらせ
私とビヨンは此処”ランベル”の目抜き通りへ向かう
※※※
有る骨董店内にて
(うふふっうふふっ やっとあたくしにふさわしい所有者を見つけたわ
あの娘になら永遠に従いていってもいいわ そしてあの娘と一緒なら
たぁ〜くさん屠れそう 早くあたくしを見つけて”購入”して頂戴
あぁんもう想像するだけで昂ぶって来ちゃうわ ”一人”じゃ動けないけどね)
と独りごちる ”物” があった。
※※※
わたしは、ビヨンを伴い服飾店や雑貨店巡りを楽しんでいた
やはり黒を基調としたワンピースやドレスが並ぶ靴も黒系が多く”また”まとめ買いをする
そして一頻りの”お買い物”を終えて
軽食処にはいる ”男”の時とは違ってすぐお腹が一杯になり
(やはり”男”の時とは違うわ) と改めて違いを実感する。
それに”男”時と同じ感覚で高い所に有る本等も台を忘れて届かず
人目をさけ色の濃いひと房の髪を操り手に取る事もしばしばあった
昼食を終え、観光しているとレフィキアのお屋敷の棚が寂しい事に気付き
ふるもの(アンティーク)を飾りたくなって
辺りを見ると 丁度
ふるもの有ります 調度品におひとつどうでしょう?
の看板が見える
そして看板に誘われるままに ふるもの(アンティーク)店 ”悪魔の小骨” に入る
「おや、いらっしゃい 若いお嬢さんのお客とは珍しいですな ご家族のお使いで?
「いえ、私のお屋敷のお部屋に飾りたいの えーと...」
「おっとすまなんだ 儂は此処の店主で経営者の ”ランベール” じゃ」
と歩み寄ったのは混じり気のない白髪で綺麗に整えられた髭を蓄えた紳士だった
「何をお探しかな? 」
「定番の”お人形”等を探しておりますわランベール様」
「はは、お嬢様らしいですな お人形でしたら此方ですよ 」
とふるもの(アンティーク)の人形の区劃に案内される
「じっくり選ぶといい儂は奥にいるから いい娘が決まったら声をかけておくれ」
と見ると様々な容姿の娘達がずらりと並ぶ
(どの娘にしようかしら) ときょろきょろ していると
頭の中に直接話し掛けて来た者がいる
<<やぁ〜と逢えたわあなたあたくしを購入して下さらない? >>
と念話で会話して 私は鋭い”女”の直感が働き声の主
に問いかける。
<<あなたは何処に居るの 此処の娘では無いようだけど>>
<<おどろいた念話が当たり前のように出来るなんて あなた ”ヒト” では無いわね>>
<<そうよわたし ”ヒト” では無いわ わたしも貴女が欲しいの
重ねて聞くわ 貴女何処? >>
<<きゃうん、ますます気に入ったわ あたくし 地下の特別倉庫に居るわ
ここの”オーナー”に ”流転のコトン” は何処って聞いてみなさいな
案内してくれると思うわ>>
そこで念話が途切れわたしはランベールに声をかける
「あのぅ、ランベール様」
「どうしたね人形達は彼処しか無いよ」
「ねぇ♡、 ランベール様ぁ ”流転のコトン” というおにんぎょさん ご存知無いかしら? 」
と早速この前覚醒めたばかりの声の調子一つで纏う雰囲気を変化させる能力を
行使する今は妖艶な女性のそれで有る。
「どっ何処でその名を!? 」
「あらわたしも”冒険者”よその名ぐらいは聞いたことが有りますわ」
明らかにうろたえる彼は妖艶な少女に迫られた”男性”そのものの反応だった
「儂は知らんぞ、アレは危険な呪物だ」
「あら、どうして知らないばずの物が ”危険な呪物” だと断言出来るのかしらね」
と後ひと押しで有る
今度は、幼い少女のそれに声の調子を変え
「あのねあのねわたし”あの娘”がどうしても欲しいの お金払うからねぇ〜」
と指を咥えて上目で見つめる
ランベールは降参とばかりに
「わっ、分かった 落ち着き給え 但し売るには条件が有る 購入してどんな目に有っても
儂は、関係無いという誓約書を書いてくれ あくまで貴女が”強引”に買い取ったとな」
私は声の調子を元に戻し
「そんなことでしたらいくらでも書きますわ」 と言うと
「”冒険者”というならギルドカードを見せてくれ」
と言うので
ギルドカードを提示する。
「コホン、先程は失礼した ”流転のコトン” は地下特別倉庫だ 来たまえ」
と地下に案内され分厚い扉を開けてクローティアくらいの大きさの木箱の中に
精緻な造りのふるもの(アンティーク)人形が淡いミスティ・ローズの髪と同じ色の瞳を開けて
収まっていた
渡された誓約書には
先程の文言が書かれていて 後は著名するだけとなってたことからも
数々の持ち主を転々としてことが分かった。
そして シーア・オブライエン の名を誓約書に刻み金額は上の人形達より僅かに高いくらいで
代金を即金で支払う。
「これで、これは貴女のモノだ 荷はどうするね? 」
「そうね、ランベール様此処で見たことは他言無用でお願いしますね。 」
「あぁ、顧客の秘密は儂のこの店にかけて守ろう」
それならとクロの魔法陣に吸い込ませて
<<レヴィア、今の木箱お屋敷の私の部屋に置いておいて頂戴
丁寧に扱ってよ それ>>
とお願いすると
<<はぁ〜ぃ、レヴィアに任せて>>
と元気な返事が聞こえて程なく
<<いま、しーねえさまのお部屋に置いてきた〜>>
とどうやら部屋に置いてきた様子。
労いの言葉を掛けてクロの頁を閉じる
「ほぅ、それが召喚士の入れ物にもなっているのか それと儂と専属契約しないか
あくまで上客扱いということでな
アレを躊躇わず購入するくらいだ 此処にはいわく付きの品も流れて来るから
闇市場のこともいろいろ手ほどき出来るんだがな どうかね? 」
また鋭い”女”の勘が働き
「わたしも先程は取り乱してしまいました お受け致しますわ、ランベール様」
「シーア・オブライエン様 それではギルドカードを」
とカードを差し出すとランベールは読み取り魔器にカードを通す
わたしは上の店舗に戻り何点かふるもの(アンティーク)を買い求め
”悪魔の小骨”を後にする。
(今夜は、いよいよあの娘と逢えるわね)
日も傾き初めもう一晩宿に泊まって明日出立の算段を立てる
宿に帰り部屋に戻るとクロとある相談をする
「......でいい? 」
『儂は構わんぞ任せておくがよいぞ』
そしてビヨンにクロを任せてレフィキア内のお屋敷の自室へ入る
寝台の上にはきちんと畳まれたカスミ草柄のワンピースが置かれていた
わたしはそれに着替えて青薔薇のワンピースをリネン室の籠のなかへ放り込む
自室に戻り”木箱”を開けるとクローティアくらいの背のふるもの(アンティーク)人形が
購入時と変わらないまま収まっていた。
取り出し月明かりに照らされて店・ローズの髪と目はじっと外を眺めていた
わたしは、
「ねぇ、貴女ここなら邪魔は入らないわ 昼の声の主は貴女でしょう? 」
『そうよ、銀の貴女やっとあたくしを買ってくれたわね 先ず貴女の”血”を頂戴』
「貴女、やはりただの”呪物”では無いわね」
『あたくしをあんな下等なモノと一緒にしないで...それはいいわさぁ早く』
とせがまれる
私はコトンを抱き手首を
「...っんッ」 と噛み切り口に含むと
”コトン” の口に口移しで”血”を与える
「...っん んゅんっ」 と艶ぽい声と共に 血がコトンの口に貯まる
とすると冷たい陶器の口のほんの少しの隙間にするする 吸い込まれていく
『ぁあああん 何て美味しいのかしら こんな甘美なものが有ったなんて うふふっ
さぁあたくしの全てを教えて...あげるその髪であたくしを優しくつつんで おねえさま♡ 』
「何故、この髪の事知ってるの? 」
『今の貴女の血で少し貴女のこと分かっちゃったもの』
わたしは、色の濃いひと房の髪でコトンを包むするとクロと契約した時のように
この人形に憑いて居るモノの全てが頭に入り込んで来る。
『どう、驚いたでしょ 今、貴女にあたくしの姿を見せてあげるわ』
とコトンが淡く燐光を放ち徐々に”少女”の姿に分離していき
やがてわたしの眼の前に形を成した。
背はシーアより低くレヴィアより高い、髪の色は淡いミスティ・ローズで髪先がほんの少し淡い
宵闇色のツートンカラーのセミロングのゆるふわで毛先がくるくるカールしている。
ミスティ・ローズの淡い瞳は
やや目尻が下がっていて一見優しそうな雰囲気を纏っていて
さっきの血の契約で知った、彼女の持つ生来の非常に残忍で狡猾な性格を完全に覆い隠していた
服はコトンと似たような意匠でミスティ・ローズを基調とした豪奢な花柄の
ケープワンピースドレスとアンティーク・ホワイトのペチコート、
足元は白のフリルソックスに靴はクリムゾンのリボンパンプス
の一見優しそうな雰囲気を纏っている幻体の少女がそこにいた
と彼女は床に平伏して緊張しながらもゆっくり丁寧にスカートをつまみ、足を交叉させて
腰を床に沈めつつ片膝を突きわたしの足元に頭を垂れる
ふわりと優雅にスカートが床に綺麗な円を描き髪のくるくるが踊る
「あっあたくしは 人形遣いの”テュレアル” ですがコトン(アンティーク・ドール)に依っている身
幾星霜も渡りこの名で呼ばれております つきましては ”コトン” とお呼び下さいませ」
と何かに怯えながら挨拶をする。
「コトン何故、怯えているの? 貴女の性格や所業を鑑みればわたしこそ怯えなければならない
のだけれど? 」
「恐れながら、おねえさまはご自分の能力の恐ろしさにご自覚がない様子
あたくしめ等などは足元にも及びませぬ」
とちらちら伺うように見る
「わたしは、貴女の様な強い能力を持った娘が好きなの だから仲良く
しましょ でもね わたしの一行に手をあげる様なことをすればこうよ」
とおもむろに 彼女の 依代 のアンティーク・ドール を抱っこして 首元に
鋭く尖った牙を突き立て つりり と軽く滑らした
そして両の瞳孔をワザと竜のそれにゆっくり変化させる
彼女は、ひどく狼狽して
「いやぁぁぁぁ〜〜、おねえさまそれだけは赦してぇ〜〜 おねがいぃ〜
”絶対” に おねえさまの一行には手を上げないからぁ〜」
と半狂乱になる
「ごめんね、でも分かってるわよね わたし達の言の葉の持つ意味は」
ひっくひっく と泣きじゃくりながら
「はぃ、おねえさまよく存じております」
「それなら、いいわ それとこの 依代 は尤も安全な所に預けて置いてあげるから
コトンも わたしと一緒に外に来なさいな」
「はいついていきます」
とわたしは 依代 を持って ”テュレアル” こと コトンはお屋敷の外へ出る
宿屋にはビヨンとクロが待っていた
『お主の手腕には何時も驚くわい』
幻体のコトンは
「あっあなた様は君主 #$@#%@!@#@%!%$& でありましたか おねえさまと
こんなに強いパスで繋がっているなんて」 と呆けていた
一部古代語でわたしには理解出来なかった。
『”テュレアル”よ、お主の依代儂に預からせてくれんか お主を縛る意味でないぞ
その 依代 儂の中に預かっておれば儂とシーア以外は手出し出来いようになる上
これに収めてやるでの ”水晶の棺”じゃよ 』
「なんですって、あたくしを預かってくれる他に”水晶の棺” までいれてくださるのですか? 」
『そうじゃ この ”水晶の棺” は能力を高めてくれるし”受肉”も可能だぞ
尤もお主は半実体化という特殊な状態じゃがのぅ
お主はシーアに感謝せねばならんぞ ”水晶の棺”を提案したのは彼女じゃからな』
そう私はコトンを安全に飾る手段として ”人形用”の硝子箱が有るかとクローティアに
相談したのだ
そうしたらおあつらえ向きのがあるといって ”水晶の棺” があるというのでそれに乗った
形となった。
コトンは
「はいっお受けいたします」 と即答だった
『ではシーアよこれに収めよ』
と 売買契約書と 依代 を収める前に 額に軽く接吻をして
「さっきはごめんね」 と囁く
そして ”水晶の棺” の蓋を閉じ クロの魔法陣に吸い込まれていく
これで 依代 はわたしとクローティア以外は何人も手出しできなくなって
人形遣いの”テュレアル”は一行に加わった。
『よいか ”テュレアル” よシーアとの言の葉決して違えるでな無いぞ
それとお主の性格や趣向も直さなくてよいぞ この世はいい子ちゃんでは生きて行けないからの
シーアが許可したら存分に屠るが好いぞ』
「はっ君主 #$@#%@!@#@%!%$& の御心のままに」
とスカートをつまみ深く腰を落とす
『してお主は何処に住むのじゃ? 』
「えとえと」 と私の方を見る
「コトンは、お屋敷のわたしのお部屋の隣に空きが有りますからそこに住まわせようかと
半実体化して受肉した以上、生活が必要になりますから
あと食事は”レヴィア”ってちっちゃい娘がいるからその娘にいってね
それと空間とお屋敷を管理している”レフィキア”もいるからその娘にも聞いてね
「あたくし、おねえさまのお隣のお部屋に住んでいいの? 」
「あたり前じゃないの それと後で調度品も買い出しましょ お小遣いは私にいってね
それとは別に、働きに応じて”報酬”もあげるわ ”報酬”は何がいいの
急にコトンは甘え声で
「報酬は要らないから コトンね 屠った”敵”の”おめめ”がほしいの
これ見てあたくしのお人形さん達が嬲り殺した連中の顔を思い出すの好きなの
それに配下のお人形さん達喚ぶ時の触媒にもなるの
だからいいでしょ」
「えっ」
(どうしよう、性格と趣向は制限しないって舌の根が乾かない内にでこれぇ〜)
と暫し黙考したのち
「いいわ、ただし”絶対”にわたしが許可した”敵”以外の目玉を集めちゃ駄目よ
後それ入れる小鞄買ってあげるからクロに空間を作って貰って
それに入れること 皆にはあくまで触媒で通すのよ それ見てニヤニヤするなら
お部屋でやってね皆怖がるから なら許可してあげるわ」
「うん、しーおねーさますき♡ 」
(個性のつよい娘拾っちゃったげど能力は頼りになりそうね)
『儂も驚いたが”ヒト”も負けておらん趣向の持ち主がおるからな 後で小鞄とやらに
細工してやるわい』
「ありがとクロ♡ 」
『ま、まぁな儂とお主の仲じゃ好いわい』
「やはり、おねーさまって自覚ないのね」
とコトンは肩をすくめて見せた
「後はコトンと二人でお屋敷に行くわ 今日は疲れちゃった ミーアお姉様には
明後日此処を発つって言って置いてお姉様ったら部屋に篭って模様替えしているみたいなの
わたしはコトンと自室にいるわ」
とビヨンに言って再びお屋敷に入る
「おねーさまぁ、あのビヨンって娘全身オーパーツじゃない 今代にもあんな魔導人形
造れる技師いるんだぁ」
とコトンはビヨンをしきりに気にしていた
「気になるの? 」
「そうよあたくしだってむか〜し昔は”魔導人形”だったのよ それがあのク○ディーボのせいで
壊されちゃった コアだけは助かったけど 今度はあの 依代 に入れられて 今に至るって訳
でも今のあのお人形さんの身体も悪くは無いわね
もう完全にあのお人形さんと一体化してるから昔の身体に未練はないわ 」
と自分の髪を触ったりスカートを ひらひら させたりしていた。
「うふふあの娘特別にあたくしの”妹”認定してあげる
後、もう一人ちっちゃい娘がいるんだっけ? 」
「そうよレヴィアって娘なの その娘も全身オーパーツなのよ」
「やはり、おねーさまって自覚ないのね」
「どういうこと? 」
「”個人”が全身オーパーツの娘を2体も
”所有”することはどれほど凄いことか自覚ないんですもの」
と何か楽しそうだった
「それよりさぁ、おねーさまに噛まれそうになった此処まだ痛いの」
と明らかな方便を言ってきた
「コトンは嘘つきね でもさっきのお詫びよ こっちへいらっしゃい」
と彼女にエリスと同じ雰囲気を感じたわたしは 鏡台の丸椅子に座り
股間の辺りをぽんぽん叩きその上に座るように促す
「うふふ、だからおねーさまって大好き♡ 」
とふわりと上に座る
「コトン、あなたの初めておねーさまに頂戴? 」
「勿論です。おねーさまぁあたくしのお口あげるわ」
と淡いピンクとミスティ・ローズの唇が絡み合い
「「......っんん〜ん くちゅくちゅ 」」
「コトン...っん...オンナノコが...くちゅり...”ク○”なんて...んゅ...言っちゃだめよ」
二人の脚も絡み合うお互いの腕に力が篭もる
「んきゅ...おねーさまってこれも...ん...凄いのね」
「だって...コトンが初めてじゃないもの...くちゅり...わたし」
「ふふっ。おねーさまって節操ないのね......っん」
「それを言う悪いお口はこれね んふぅ...」
(やっぱり可愛いオンナノコ大好き♡ )
とゆっくり 唇が離れる
「おねーさまも”ディーボ”探しているの? 」
「そうよこの旅の大きな目的の一つに”奴”を探し出すことに有るの
一回は”ハズレ”だったけと大きな手がかりを得たわ
それとコトンちゃんを購入したこととは別よわたしは、可愛いくて強い娘が好きなの」
「おねーさまもオンナノコなんだから”奴”なんて言っちゃ駄目よ ん〜っ」
と口を唐突に塞がれて意趣返しをされる
「ふわぁ〜もう眠くなっちゃったあたくし沐浴したいわぁ」
「わたしもよ ところでコトン貴女 服はどうするの? 」
「あたくし、半実体化しているから衣服だけ消せるのただ靴だけは消せないからこれが
あたくしの唯一のお洒落なのよ」
「じゃぁ二人で入りましょ コトン」
「おねーさまと一緒、嬉しいわ」
と私は屋敷の沐浴場で服を脱ぎ彼女は靴だけ脱いで衣服の実体化を解く
「わぁ、きれーなウロコ」 と
裸のまま抱きつき私よりちょっと低めの双丘が私の双丘と くにゅり とぶつかり合う
そのままコトンは胸のウロコを ちろり と舐め上げて
思わす嬌声が漏れる
「きゃうんコトンくすぐったいわ 続きは中でね」
沐浴場で先程の唇の絡みの余韻に浸り
唇同士の湿った音が暫く響いていた。
部屋に戻りピンクのネグリジェに身を包み彼女は
また衣服を実体化させて寝台に潜り込むとそのまま睡魔に身を任せていて
わたしもその後を追う。
翌日、蒼い薔薇柄のワンピースとお気に入りの組み合わせで身支度を整え
レヴィアと顔合わせして
[ 人形遣いのテュレアル 愛称:コトン を屋敷の住人に分類...完了 ]と
住人登録してちっちゃい手でスカートをつまみ
[ れゔぃあはレヴィアなの よろちく ことんねーさま ]と ”素直”に挨拶をする
「あたくしは コトンよ レヴィア よろしくね」 と
コトンも挨拶を交わす
「やはりおねーさまってすごいわ 自覚ないけど」
と がっちり 腕を組まされる
「あのっ、シーちゃんその娘は? 」
とミーアが声を掛ける
「あのヒトがわたしの”姉”のミーア姉様よ さぁ挨拶してコトン」
と言うと
「うっふふふふっ、あたくしは ”コトン”よ 貴女がしーおねーさまのねーさまの
”ミーア”お・ね・え・サ・マ? 」
「そっそうよ私はミーア よっよろしくねコトンちゃん」
とすごく怯えながら挨拶する。
「よ・ろ・し・く・ね ”ミーア”お・ね・え・サ・マっ」
とワザとらしく語句を一語一語間を置いて言い
大袈裟にスカートをつまみ腰を落とす
私はコトンの購入の経緯を”軽く”説明して
「ミーお姉様、わたし娘のこと、買い物行って来るわそれと宿の出立は明日にしてもいい? 」
「えぇいいわ私も後から買い物が有るけど戻りは夜になりそう」 と言って屋敷に戻っていく
「おねーさまぁあの娘がミーア? 何よ怖がっちゃって あたくしな〜んにもしてないのに
それにあの娘も私達と同じ冥界の住人じゃない」
と口を尖らす
「ミーお姉様はこのあいだまで”普通”だったの だから”優しく”してやって」
とお願いをする
(これだけ”隠して”れもお姉様にはなんとなく分かるのね)
コトンの性格や趣向は幾星霜にもわたって培われてきているので
ミーアは本能的に感じたのだろう
(彼女の雰囲気に慣れるまでは時間はかかるも知れない
私もいろんな娘を抱えて来てるからしっかりしないと)
と自分自身に言い聞かせる
「あとミーアお姉様が居る時はちゃんと ”姉様” を付てね」
と言うと
「シーアおねーさまの御心のままに」 と言って仰々しい挨拶をして
地下実験室の転移陣を踏み外に出る
わたしは
「ビヨン、ミーお姉様が来るから此処で待機ね明日出立の事はお姉様に言っておいたからいいわ」
[ そうですね、私はミーアを待ちます お気を付けて ] と
宿を出る朝もやの中屋台で軽食を求めコトンは甘い物が欲しいというので
焼き菓子にクリームを詰めた物を頬張る
「やはり受肉っていいわぁ〜 ”味”が分かるものねぇ」 と
いい何やら辺りを気にしだす
「ねね、おねーさまぁ皆私達を見てるわ おにんぎょさん冥利につきるわぁ」
(やはりお人形さんね、見られると嬉しいのかしら? )
「それに、何時の世もヒトの”おめめ”って色々な色があるのね
あぁぁん コトン、おめめ欲しくなってきちゃう」
と物騒な事を言い出す
「分かってるわね。 コトン今は勝手に抉っちゃだめよ」
「分かってるわよぅ、おねーさまぁ」
「なら、いいわ」
百貨店は何処かしら 貴族専用がいいのだけれどなければ
この娘を購入した”悪魔の小骨”で調度品を誂えてもいいかなと思いを巡らせて
いると
「あたくしを購入した”悪魔の小骨”で揃えたいのいいでしょ おねーさま」
とコトンから提案してきたので
「コトンがそれでいいならいいわ」
と再び悪魔の小骨へ向かう
「これはこれはシーア様、今回は何用ですかな? 」
「えぇこの娘の部屋用に調度品一式が欲しいの 宜しいかしら」
「はて、こちらのお嬢さん何処かでお逢いしましたかな? 」
「ご機嫌麗しゅう、ランベール様」
「何故、儂の名を? 」
「うふふっ、何故?ですって」
「何か可笑しな事をいいましたかな? 」
「あたくし、おねーさまに受肉させて頂いた 人形遣い......いえ此処での通名
は たしか...ええっと......そうそう ”流転のコトン” ですわ」
途端にランベールはガタガタふるえだす
「おじさま、震えて貰っても困りますわぁ 今は”おめめ”は頂かないわ しーねーさまに
叱られるもの」
「あっああ、分かった シーア様この娘はほんとに ”流転のコトン” かね」
「ええそうですわ コトン わたしも貴女の能力見てみたいの
あのお人形一体だけ操って見せて」
「しーねえさまの御心のままに」
と右手を天に向け
((来たれ、魂無き我が似姿たるもの。トリスティシアの傀儡とならん))
と唱える
黒い触手状の靄が立ち上り不気味な珠に形をなし更に珠から黒い触手状の靄が立ち上り
髑髏を絡め取り”武器”が全容を現した
「これは ”傀儡のトリスティシア” これで沢山のお人形さんを配下に出来るわ ほら」
と髑髏の目が妖しく光り 展示してある 一体の 人形が ふわりと浮かび
ランベールに取り付き髪を引っ張ったり鼻を軽くつまんだりしていたが そのうち
わたしもゾッとするほどの酷薄な笑みをコトンが浮かべると
操られた人形がゆっくりランベールの眼球にちっちゃな手を伸ばし指が迫る
その刹那、
「あぁぁん、きれーなおめめ でもおねーさまに叱られるから こ・こ・ま・で・でお・し・ま・い」
と言うやいなや手を引っこめテーブルの上にストンと
飛び降りスカートをつまみランベールに挨拶して元の展示区劃にふわりと舞い戻った。
わたしはコトンの残忍な性格の一端を垣間見たような気がして 少し怯えるがそれとは別に
(きゃん♡ すごい能力やはり勘は当たっていたわ もぅ絶対に手放さないんだから)
と相反する感情もまた沸き起こる。
「分かった信じよう」 とはぁはぁ荒い息遣いから呼吸を整えてようやく普通の
調子に戻り
「済まない あまりに経験したことの無いことばかりでな
改めて用件を伺いましょう お嬢様方」
「ねぇおねーさま コトンねぇ、あの娘達がほしいわ」
と上目でねだり
先程の人形10体ある区劃を指してしていう
「あの娘”達”ぜ〜んぶあたくしの配下にしたいの そして更におめめであの娘達の下僕を
よぶの あの娘達はいわばあたくしの直属の配下って感じね 身の周りの世話もさせたいし
おねーさまと契約したお陰で
更におめめで直属の配下からも1、2体くらいなら喚べるようになったわ ねっねいいでしょ」
わたしは先行投資と思い
「コトンのすきな様にしていいわ
ランベール様、あの区劃の10体購入しますわ」
「儂はもう驚かんぞ又本の中に入れるかね? そうなら今日はここは貸し切りにしよう」
と扉に”店内改装のため休業”の看板を立ててくれた。
「これだけの購入だからもしまだ購入品があったら総計から”勉強”させてくれないかね」
「えぇ喜んで”お勉強 よろしくですわ ランベール様」
と片目を瞑る
安く買うのは生活の知恵である
後はミスティ・ローズと白を基調とした鏡台・棚・椅子・テーブルを購入する
「後、壁模様の追加情報と寝具などだけど此処にはないわねぇ」
と言うと
「シーア様、ランベルの南西にお嬢様方好みの百貨店が御座いますよ」
と言うので
「そうでしたらそこに行ってみますわ」 とわたしは ”悪魔の小骨” を後にする
「一体あの少女は何者だろうねぇ」 と深くため息を吐いてごちる。
程なく百貨店に到着してやはり彼女はミスティ・ローズが好きらしく
ミスティ・ローズに白い小花を散らした壁模様の追加情報と寝具も全て
白とミスティ・ローズにそろえていた
後は、”おめめ”を入れる小鞄だが同じミスティ・ローズに黒薔薇の
刺繍をあしらっていて
それは彼女によく似合っていた
わたしはレヴィアに念話を入れ隣の部屋の清掃と寝台の運び入れや先程
購入した品々の搬入を指示する。
宿でクロにコトンの小鞄に”細工”を施して貰いレフィキア内へ入る
「コトン 貴女はまだレフィキアには挨拶してなかったわね レフィキア居る? 」
と虚空に向かって言うと、
空間の一部がグニャリと歪み”レフィキア”が現れた
「シーア、最近お部屋綺麗にしてるから叱る楽しみがなくてつまらないわ」
と相変わらずだ。
「わたしはこの空間と屋敷そのものである ”レフィキア” よ
貴女、 ”人形遣いのテュレアル” いや...コトンだっけ ね」
とレフィキアから名乗ると
コトンはわたしに挨拶した時と同様
彼女は地面に平伏して緊張しながらもゆっくり丁寧にスカートをつまみ、足を交叉させて
腰を床に沈めつつ片膝を突きレフィキア足元に頭を垂れる
「あっあたくしは 人形遣いの”テュレアル” ですがコトン(アンティーク・ドール)に依っている身
幾星霜も渡りこの名で呼ばれております つきましては ”コトン” とお呼び下さいませ
つきましては この身をレフィキアおねーさまの懐に預ける事に成りまして御座います
受肉してまだ日も浅く浅く何やおねーさまの懐で粗相をやしでかすかも知れませぬ
その時は寛大なご処断をお願いしたく」 と
全部言い終わらない内に
「そんなに畏まらなくてもいいわ 多少の粗相は赦してあげるわ だた”釘”は絶対駄目よ
もし”釘”を使ったら”レメゲトンの牢獄”で反省してもらうからね
自由に行き来できるのシーアだけだし念話も通じないから
シーアの赦しが出るまで出られないわよ」
「はぃレフィキアおねーさまのお言いつけはお守り致します」
と言葉を結ぶ
「シーア、たまには自分でお部屋掃除してみなさいな」
「え〜レフィキアぁ〜わたし掃除苦手なの知ってるくせにぃ〜」
「ふふ、貴女のその反応可愛いわ」
とまたグニャリと歪んだ空間に消えていく
「えっレフィキアおねーさまは何処に? 」
コトンは辺りをきょろきょろ見渡す。
『ふふわたしは何処にでもいて何処にもいないそういう存在よ』
と虚空から声だけが聞こえる。
「しーねえさま コトンのお部屋のちゅんび(準備)できたわ 来てきて〜」
と とてとて やってくる
隣の部屋は綺麗に片付けられてわたしは壁模様を変える魔器でコトンが選んだ
意匠に変えて衣装箪笥が無い分少し大きめのふるもの(アンティーク)の棚3架を並べて
「おねーさまはここにいて コトンの凄いトコ見ててほしいの レヴィアもいいわ
同じ魔導人形のよしみよ」
と
例の武器 ”傀儡のトリスティシア” で操ると 10体の人形達が むくりむくり と身を起こし
コトンの前に傅いていく
「貴女達は、今からあたくしの直属の配下になる名誉を与えるわ こっち来て」
と一体一体抱き上げ人形達の額に接吻をしていく
するとミスティ・ローズの唇の印が淡く光り消えていき
スカートをつまみ皆に挨拶する
「さぁご挨拶が済んだら棚でおとなしくしてなさいな」
というとふわりと飛んで棚に並ぶも 目はキョロキョロして辺りをさかんに観察していた
「レヴィア、寝台をお願いね」
「はぁ〜い コトンねえさま んしょっと」と
軽々を抱えて据え付け
「これであたくしのお部屋が出来たわ」
とみればミスティ・ローズと白を基調とした可愛い部屋ができていた
「コトン これお小遣い 無駄遣いは駄目よ」
と皮袋に金子をいれ渡す
コトンも武器を仕舞い人形達は”普通”のふるもの人形に戻る
「それとこれは、私からのコトンへの歓迎祝いよ」
と大きなクマの布製玩具を渡す
「きゃぁ〜可愛い これもらってもいいの」
「勿論よ”活躍”を期待してるわ」
「ねぇおねーさまぁ? 」
とコトンはスカートを片手でつまみひらひらさせながら
「おねーさまは、気付いて無いでしょうけどミーアねぇ あたくしにヤキモチ妬いてるわ あれ」
「えっヤキモチ? 」
「やっぱり気付いて無かったんだ
まぁ、ちょっとおねーさま独占しちゃったから少しミーアに譲るわ こう見えてもあたくしって
お人形さんだから独占欲強いのよ っふふふふ オンナノコの嫉妬って怖いのよ 女同士でもね」
元”男”のわたしはまだ”女”の嫉妬というのが実感として分からなかった。
「じゃあ後は”何か”起こるまでは自由にしてていいから」 と
部屋を出ようとすると
「あぁぁん、おねーさま待ってぇ ん〜〜んん...くちゅり...」
と唇を絡める。
「暫くクマさんで、我慢するしか無いわね」と
コトンの呟きを後ろに置いて
わたしは部屋を後にする。
宿の部屋に戻るともう夜半であるするとミーアとビヨンがそこにいて
「あれ、コトンちゃんは? 」
「コトンならいまお屋敷の自室に入るわ暫く居るそうよ」
「そぅ、あのねシーちゃん宿の私の部屋に来ない? 」
「いいわ、お姉様 ビヨン此処をお願い」
[ 魔導書の護衛はお任せを ] とクロを抱きかかえる
ミーアの宿の部屋に入った途端
ミーアが突然激しくわたしを抱く
「シーちゃん私寂しかったのシーちゃんがコトンちゃんと仲良くしてて 羨ましかったの
あの娘怖いから言い出せなかったの だからね シーちゃんのお口、お姉ちゃんに
いっぱい頂戴っ! と」
いきなり唇を重ねられる
「「んゅんゅ ちゅくちゅく」」
と音が湿って行くにつれ
「シーちゃんのお口可愛い」
といい髪を寄せる
「いい匂い、わたしも貰うね」
とミーアの首元に牙を立てる
こくりこくり とおやつを飲む 此処の忙しさですっかりおやつを取ってなかったので
わたしは歓喜に震える。
「ん〜美味し〜 ミーお姉様にわたしの新しい能力見せてあげるね」
とわたしはこの前の”アレ”で獲得した能力の一つ”銀猫”に姿を変化させた
全身が淡く銀色に輝いたと思ったらヒトの姿から猫の姿へ徐々に変化していく
一見普通の猫だが耳と尾に長い飾り毛があり、尾そのものも長く先端にはユラが巻き付いている
毛色は髪と同じで月の光りで虹色に揺らめきやはり尾は濃い水色の毛並みに変わっていた
わたしは一瞬で視点が低くなり服は実体化を解き掻き消える
「わっ、おめめを見たらシーちゃんだぁかわいい此方へいらっしゃい」
{は〜いお姉様}
「言葉も人語なのね」
{そうよ}
と身軽になったわたしはミーアのふわりと広がったスカートの上に飛び込む
そして丸くなるとミーアから撫でられて不穏な話しを聞かされた
「このままでいいから聞いてねこれ私事だったから黙っていたけど
”トリンデ”で会った奴が現れたのよ」
「奴? 」
「そう、”銀の三日月”の奴よ」
”銀の三日月”と聞いてわたしの耳と尻尾がピクリと跳ねる
「慌てないで今は気配すらないわ奴の名は”ニール”よ女性の恰好してるけど正真正銘の
”男”よ」
「奴とはお屋敷に来る前の現役時代に一度やりあってね私の尻尾を切ろうとした憎っくき奴よ
シーちゃんの”お兄様”に邪魔されなかったら無くなっていて種族の誇りを失うトコだったわ」
わたしはそれを聞き全身の毛を逆立てる
「私事だったら良かったんだけど奴は何処で手に入れたのかシーちゃんの脱皮したウロコ
を持っていたの
そして ”アテクシウロコを必ず手に入れるわン” なんて言い放っていたわ
今後行動するにも気を付けないといけないわ」
{そぅ、最近おとなしくしてたと思ったらまた動きだしたのね
となると”目当ての人物”の3層島群ラストレ西端の屋敷へは急ぐ必要があるわ}
「シーちゃんの 目当ての人物って? 」
{この前の偽ディーボ討伐で遺した遺物が有るのその鑑定が出来る人物が
ラストレにいるの ブレイルさんは”魔導”が専門で鑑定が出来ないから
ここベルゼに呪物の専門家が居るらしいわだからその人物に会いにいくの}
(こういう算段はシアズ様と変わらないわね
それにしてもこの”猫”ちゃんのシーちゃん可愛いわ)
「ねぇシーちゃん? 朝までこのまま猫ちゃんでいてくれる 抱っこして眠りたいの」
{いいわお姉様今夜はこうしていてあげる}
<<ビヨン今夜はミーお姉様のお部屋で寝るわクロをお願い♡ >>
<<[ はいシーア、おやすみなさいませ ]>>
と念話を終え
私は丸くなってミーアに抱かれ睡魔に導かれた。
『のぅビヨンや』
[ 何でしょう? クロ様 ]
『儂らも寝るか』
[ そうですね クロ様は安心してお休みくださいませ ”私は眠らざる者”ですので ]
『そうかしかと頼むぞ』
[ 魔導書:ネクロン様の御心のままに ]
とシーアのいないシーアの部屋ではこんなやりとりがかわされていた。
そして翌朝わたしは猫のまま
{ふみゃ〜お}
と一声げて伸びをして
元の姿に戻る又視線が高くなり服も実体化する
軽く身支度をと整えてミーアの額に軽く接吻をして部屋を出る宿の自室に戻り
小鞄を下げて階下に行くと
「もうシーちゃんたら早いわ発つの? 」
「そう、お姉様はやり残したことないの? 」
「ないわ、朝は屋台で? 」
「そう屋台で、食べるわ」 とミーア
「トレフェさんお世話様でした今日は早めに発ちますのでこれで」
「あら、もう発つの寂しいわねえ 所であなた達3層島群の”ロコス”を通過するでしょう? 」
「えぇそのつもりですけど? なにか? 」
「だったらその恰好は拙いわ」
「どうしてですか? 」と理由を問う
「ロコスは大湿地帯よ遊歩道が有るけどせめて靴はブーツにしなさいな」
「「えっそうなんですか」」
と慌てて慌てて3人ともロングの編み上げブーツに履き替えて
改めて出立する
ペコリと頭を下げ急な渡り橋を登り3層島群のロコスへ入る
やはり忠告通り此処は大湿地帯で遊歩道はあるものの所々魔物に壊されており
ブーツで良かったと思える場面に何度か遭遇し改めてトレフェに感謝する。
離れた小さい浮島には既に釣り人が何人か釣りをしていたり、湿地帯の中に入り
人食い植物や蛭等と戦闘していた。
戦闘している冒険者グループが見え、場違いとも見える服装を気にしつつわたし達は無事にロコス
を通過した。
そして、私達は程なく同じく3層島群の”ラストレ”入りを果たす。
早速、ギルド支部に行きカードを更新するすると早速”弾性樹脂”のパテントが入金されていて
コトンに費やした金額を多く上回っていて思わずニヤニヤしていた
「ミーお姉様、後でおカネの運用教えてくださいな? 」
「えぇ、勿論シーちゃんもやっとおカネを管理する気になったのね」
「はい”お兄様”の時とは違って今は可愛い娘達の面倒や服が可愛いのいっぱいあるから
おカネなくて惨めな思いしたくないの」
「そぅ、殊勝な心掛けね いいことよ」
「うふ、初めておカネの事で褒められちゃったわ わたし」
「受付に聞いたら件の人物は 女性専用宿”魔女の集い亭”の所有者でもあるらしいわ
今度は長く逗留しそうだたら長期滞在のつもりでね しっかり準備しましょ」
と皆に言ってわたしは
早速”魔女の集い亭”に向かいの代理人の主人”ドニス”さんと邂逅する。
「あらぁあらぁいらっしゃい私は ””ドニス” よ」 とちょっとトリンデの”カイナ”に
似た風貌の女性が現れる
「私は、シーア・オブライエンです 暫くご厄介になります」
「あら、家名持ちね 光栄だわ 長期滞在なら離れがあるわ そこにする?」
「えぇそうさせてくだい」 と離れの部屋を借りるカードを魔器に通し鍵を貰う
「これから行く所は皆で言って”話し”をしたら後はその内容に応じて決めます お姉様それでいい?
「私は、それでいいわ」
とまとまった所で
ラストレ西端の”魔女の家”を目指す
目抜き通りの店に目移りするもまずは用件からである。
<<コトン居る? >>
<<あっぁん、おねーさまあたくしなら何時でもお傍にいますわ>>
と返ってきた
<<貴女どうする? 此方に出てくる? >>
<<おねーさま、今日は一日お部屋で今まで抉ってきたおめめ見ながら、ゆっくりしたいの
必要が有れば何時でもおねーさまの傍にいけるけど? >>
<<そうね、今はゆっくりおめめ眺めててもいいわ
昼はレヴィアに言って何か作って貰って あの娘家事全般出来るから>>
<<は〜ぃ>>
と言って念話を切る
コトンは、小瓶に保存液と共にいれた今まで抉ってきた眼球を配下の人形にズラリと並べさせ
寝台に半起きでシーアに買って貰ったクマに唇を絡めて
「あぁぁん、おねーさまの匂い好き〜♡ 」 と足をばたばたさせ
小瓶を見ながら ニマニマ 酷薄な笑みを浮かべていた。
程なく”魔女の家”についたわたしは
一組みの男女と大きな出会いを果たす。
「あら、あなたシーアね」
と開口一番声を上げたのは背がミーアより高い 艶っぽい美熟女の方であった
腰まで有る長い銀光沢のプラムの髪、切れ長ながらも柔和な印象の目からは
同じプラムの瞳が覗いていた。
わたしはあわてて
「わたしはシーア、シーア・オブライエン 此方が姉のミーア 最後にオートマトの
ビヨンです」
とスカートをかるくつまみ挨拶する
「ごめなさいね、貴女が来るのが待ち遠しくて 私は ”魔女・メトリエーテ” 此方が
私の夫の ”魔道士・ウニサーレ” よ」
「挨拶が遅れて済まない僕が ”ウニサーレ” だ」 と
歩み出てきた男性は メトリエーテより更に背が高い
白に近いオーキッドの髪をきちんと撫で付けてめはつぶらな少年のような印象を与える
淡いミディアムパープルの瞳を興味深そうに伺っている
「まぁ立ち話もなんだ中に入り給え」
と魔女の家に入るとブレイル宅のまさに魔女版といった様相である
所狭しと大釜、水晶球、薬草、本の数々・棚の小瓶には触媒と思われる得体の知れない
干物等がずらりと並ぶ
部屋の中も常に香が焚かれていい香りがわたしを包む
「ここは私の部屋よ相談室も兼ねて入るわ 夫の魔道実験室は地下よ
椅子に促されて座り皆も倣う
「先ず、そちらのご用件を伺おうかしらね」
と小鞄からトリンデでサラと戦闘の際に拾った”爬虫類の目玉のような石”
をメトリエーテに渡し
「これの解析をお願いしたいのです」
と差し出すと
メトリエーテは
「これはウニちゃんのお仕事でしょ はい診てあげて♡ 」
「おっと、そうだねメトリエーテはあの依頼があるだろ 僕は魔道実験室で解析の作業に入るから
キミの接吻を此処にくれないか? 」
と頬を指す
「まぁしょうがないわねぇ”男”っていつまでも子供なんだから♡ はいこれで頑張れるでしょ」
と正面から手を回しメトリエーテはウニサーレの頬に接吻をする
「よし、ウニちゃん頑張っちゃうぞ」 と地下に降りっていった
「あら、恥ずかしい所見せたわねぇ ”女”はこうやって上手く”男”を使うのよ
貴女達もそのうち”伝授”してあげるわ
あれの解析は私から見ても時間がかかるし高価な触媒も沢山使うわ
でも ”私達の依頼” を引き受けてくれたら等価交換ということで
タダにしてあげる
「依頼というのは? 」
「その前にこれ、受け取ってくれる今回の依頼は”彼女”の能力が必要になって来るわ」
それにこの娘貴女にずっと従いていきたいと言っているわ」
豊満な胸の谷間からするり と取り出したのは”小さな銀の小鍵” あった
これをひと目見たわたしは
ただならぬ気配を感じ鋭い”女”の勘が働く
”これは、わたしにとって大きな能力になる” と
「えぇ、お受けいたします」
即答だった
冥界の住人にとって言の葉は契約書と同義である。
「さすがね、 これ(小さな銀の小鍵)見ただけで分かるなんて いいわこれあげるわ
でね、”私達二人”の依頼はこの浮遊大陸の何処かにいると言われる
”邪法”に身を堕した者の討伐よ
その名は ”ァタウェー”
これは私達の手で討伐したかったけどあまりに手強くて貴女達の手を汚させる事になって
しまうわこれは先に謝っておくわね
刻限は無しよ 改めてお願いできるかしら? 」
「はい、メトリエーテ様必ずやその思い わたしシーア・オブライエンの名にかけて
貴女の手となり悪しき邪法の者を討滅致しましょう」
と深く腰を落とし最礼をする。
「そぅ、これでやっと私達の罪が償われるのかしら」 と
つぶやいたその瞳には光る物があった。
※ こうして シーア一行は浮遊大陸”ベルゼ”の
悪しき邪法の者を討つべく決意を新たにする。 ※
次回 53話 漆黒の乙女 と 真贋の淑女
お楽しみに
活動報告に
書き始めましたの項目に
シーア 衣服ヴァリエーション のリンクを追加 及び
新規記事に
”仄暗き赤き蛇のイシュトゥーリア と 人形遣いのテュレアル(コトン)”
オブライエン家紋章を追加して
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活動報告の
シーア達の盟約者や特殊能力です に
シーア(銀猫)を追加しました
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