51話 浮遊大陸 ”ベルゼ”
俺は、片手でスカートをつまんでフリルやレースを可愛く揺らし
軽く腰を落とし
「ルカス様も、お元気そうでなによりですわ 只今、陛下の密命を果たし
ご所望のお品をお届けに...ご連絡も無しのご訪問お赦しを」
と門前のルカスと会話を交わす。
「いえ、シーア様ならいつでも歓迎ですぞ、陛下はご多忙の身故今後は
わたくし”ルカス”めが陛下から全てシーア様達にお取り計らう様に命ぜられて居ります。」
「こちらこそ、お取り計らい下さいまして感謝致しますわ」
「ところでミーア様は、どうなされましたか? 」
やはりミーアがこの場にいないことに疑問を持ったらしい
「お姉様は別用でまだヘルデにおりますわ」
「そうでしたか 立ち話も何でしょうさぁさ貴賓室へどうぞ 荷は此処で使いの者がお預かり
いたします」
と小樽と弾性樹脂の入った革袋を使いの兵に渡し
「さぁさ、此方へ」
と貴賓室へ促された。
「シーお姉様ぁ、お逢いしたかったですぅ」 と今日はツーサイドアップではなく
髪を下ろしたエリスが抱きついてきた
「きゃん、エリスって相変わらずね♡ 」
「 シーお姉様ぁ、いい匂いそれとステキなワンピースっ」
俺も優しく抱き返す。
すると今度は焼き立ての硬焼き菓子の様な芳香が鼻をくすぐリ
また、吸血衝動がわいてきた
(ぁあん、いい匂い エリスの頂いちゃおうかしら 何て美味しそうかしら)
と
そんな思考が脳裏を支配し色の濃いひと房の髪の先が ピクリ ピクリ
と俺の好奇心に合わせるように動く
(や〜〜ん だめっ反応しちゃ) と
左手で必死に梳く振りをして抑える
この事が切っ掛けで俺が興味を持ったり好奇心が”すごく”そそられると
色の濃いひと房の髪の先が ピクリ ピクリと反応するようになった。
俺はどうしてもエリスのが欲しくなって必死に方便を考えた
「あのねエリス、エリスがお薬飲んで元気になったら一度街に遊びに行かない? 」
「えっ、いいのお姉様? わたしも一度お姉様と一緒にお買い物行きたかったところなの
いいでしょ ルカス? 」
「勿論で御座いますよエリス様 早速特効薬を作らせましょう
明日、もう一度門前においでくださいませシーア様 エリス様はその時にご一緒させますので」
(やたっこれでエリスのをいただけるわ ふふっタノシミ♡ )
と早くも明日が楽しみになってきた
後、ミーアに”念話”を試す為に呼びかけてみた
<<ミーお姉様、わたしの声聞こえる? >>
<< ......ちゃん? ...した ...こえるげど...>>
と何か声は届いているらしいがミーアの声が途切れ途切れになっている
<<最初は、上手く出来ないだろうからわたしを意識して、あと切っ掛けをつかむ為
イヤーカフスを触ってみるのもいいわ やってみて>>
ややあって
<<どう聞こえるシーちゃん? >>
<<ええ今度ははっきり聞こえるわ でもびっくりした>>
<<段々上手く出来るようになるわ 念話出来ないのお姉ちゃんだけだったの
これで一行全員でおしゃべり出来るわ>>
<<うれしい、シーちゃんとこうして”念話”が出来るなんて夢みたい>>
<<あとカフスは外さないでこれを、媒体にしないと念話出来ないの>>
<<ええ、いいわ意識してたら上手くやれそう>>
<<良かった、後”キマーラ”の報酬はどうするの 要る? >>
<<要らない、パテント収入が又入って以前の資産の9割まで戻ったわ
そんな事を聞くトコみると、シーちゃん? またお洋服買ったわね? >>
<<えへへ、バレちゃった 今度は蒼い薔薇模様なの つい買っちゃった♡ >>
<<もう、”オンナノコ”なんだから でヤンスの分は有るの? >>
<<勿論よ、後明日一日”エリス”と一緒に連れ立って”お買い物”よ だから
ヘルデは明後日の昼頃戻るけどいい? それとビヨンも借りるね>>
<<いいわ、ゆっくりしてらしゃいな 戻ったら又念話でね>>
<<はぁい、それじゃね>>
と念話を切る
「もぅ、あの娘ったらまた”お洋服”を買ったのね最初の頃はあんなにフリルやレースやら
嫌っていたのにね そういえばエリスと一緒って言ったわね あの娘を嗜む気かしら
変な事にならなければいいけど」
とミーアはシーアの事を愚痴と心配が混じった感情で独りごちた。
”カスミ草亭”に戻ると日が落ちて俺はアカネに又お世話になる旨を伝える
「あら、シーアじゃない又、ギルトスに用? 」
「そう、お部屋空いてます? 」
「空いてるわ それじゃ2名様、どうぞごゆるりとと芝居がかった仕草で迎えいてれてくれた」
「アカネさん ”竜丼” はある? 」
ミーアがいない今、肉を一杯食べたかった
肉と紅茶だけは”シアズ”の頃から変わっていなかった。
「有るわ、あれ好評でね 此処の看板の献立なのよ」
「それじゃ、”竜丼”の”肉”大盛りで お願い」
「はいまいど 後その娘は食べないの この間も食べなかったけど いいの?」
「ビヨンは、オートマトなの だから特定の物しか口にしないの ね〜ビヨンちゃん」
[ 肯定...思考定常処理を対話に移行......終了 ]
[ はい...シーア私は、オートマトですのでその理解でいいですよ ]
俺は、初めてビヨンの会話らしい会話を初めて聞いた。
「なんだ、ちゃんとおしゃべり出来るじゃない! 」
[ 今まで、皆の会話を聞き私なりに学習しました 饒舌ではないですが
これで良いですか ]
「勿論よ 後はいつもこの調子でお願い あなたにも”妹”が出来るんだたらね
お姉さんらしくね」
[ わたしに”妹”ですか”期待”という感情が駆け巡っています ]
「えッその娘オートマトなの!? 」
[ そう、わたし”ビヨン”は一行を護る者オートマトです ]
とやはりスカートを片手でで軽くつまんで挨拶をする。
「よっよろしくね」
[ はい、よろしくアカネ ] と返す
[ ところでシーアわたしは”飴”を要求したいのですが? ]
「そうだったわ はい”飴”」
と口に含ませると
[ んっんゅんゅ...美味しい シーアの指もやらかい ]
と最後の台詞を聞き、俺は慌てて指を引っ込めた
ちゅるん と音がして口から離れる。
さて大盛りの”竜丼”よ召し上がれと供されたのは俺の好物の肉がたんまり乗った
竜丼だった。
「よく、ワイヴァーンのお肉手に入りますね。 これは何処から? 」
「これ、実は生肉ではないの 岩塩で包んだ物が流通しているの
これを塩抜きやら何やらを施すって訳
そうすると塩っぽさが拔けてまるで生肉近くまで食感と味が戻るのよ
これは宿によって秘伝らしいわ
私もあれこれ試してようやく、納得がいく方法を見つけたわ」
なるほど、そうやってワイヴァーンの肉は流通しているのかと又一つ好奇心が
満たされて座学では得られない興奮を覚える
いくら少女的な思考に支配されてもこの好奇心と貪欲な知識欲だけはいささかも”シアズ”の頃と
変わらなかった。
又最後に最後の”ウメヅケ”なるプラムの付け合せですっきりさせ
本日の夕食を終える
「ねえ、ビヨン一緒に沐浴しない? 」
[ いいですよ、シーア体表面の汚れをとるのは重要 ] と一緒に
沐浴場へ
「あの、オートマト”お風呂”入るんだね 私の元の世界ですらあんな”人型機械”みたことないわ」
とつぶやいたがアカネの声は新しく宿をとりにきた若い娘達の声に掻き消えた
ビヨンは俺と同じように長い髪を纏めてきちんと籠に下着を一番下に入れ
何ら俺と変わりない動作で沐浴をする。
お互い洗いっこして気が付いたがやはり彼女の肌と髪はブレイルの言う通り
ホムンクルス製のようであった。
[ シーア あすはわたしはどうすればいいですか? ]
と行動指針を俺に求める
「明日はねエリスを見ていてほしいの」 あとねこれはナイショよと念押ししてから
「わたしね、エリスの......がほしいの だからぁ お食事中に誰か来ないように見張ってて」
[ いいですよ、シーアの”お食事”は何人たりとも邪魔はさせません ごゆっくりお召上がって下さい
我が主人 ]
と言ってくれる。
俺はビヨンとの会話が嬉しくて
「ビヨンこれはおしゃべりが出来たご褒美よ♡ 」
と彼女の髪を梳いてやっている俺の顔をゆっくりビヨンの顔に持っていき可愛い唇を重ねる
「んっんちゅ」
と可愛い音を立てて人外とオートマトと二つの唇が退廃的に絡み合う
[ シーアもっと頂戴 ]
とねだるが
「後はダメ、この事はミーお姉様にも内緒だからね 私の一番はミーお姉様にあげちゃったけど」
[ 残念です ]
とビヨン
あとは、後客も沐浴場へ入って来たこともあり俺達はそれぞれネグリジェを着て宿の居室へ入る
「ビヨンは寝ないの? 」
と聞くと
[ いいえシーア わたしは擬似睡眠で問題ないです
この間に小さな疵や魔導機関や機構部品の調整をします
わたしは”眠らざる者”にて”常に守護する者”です
安心して休息を取って下さい]
と椅子に綺麗に脚を揃え静かに目を閉じて彼女のマギがほんの少しを除き自身で
低下させたのが俺の左のアッシュグレイの目に視えた
「”クローティア”も、私と寝ない いつも一人でちょっと寂しいの♡ 」
(おかしいわ、前は一人で寝てても寂しくなんか無かったのに どうしたのかしら)
と考えていると
何処か冷静な自分が”精神的”な傾向までどうも外観年齢相当の少女になりつつ
有るのを何処かで感じていて
やたらと感情的になったり、一人が寂しかったり、誰かに無性に甘えてみたくなったり
しかも激しく少女性が強く出たり、時に妖艶な雰囲気を纏わりつかせたりと
出来る不思議な魅力を俺は獲得しつつあった。
『この姿は久しぶりじゃ しかしお主も変わったのぅ
また随分と可愛くなりおって いいぞ お主となら一緒なら儂も歓迎じゃ』
「やたっうれしい さぁここへおいで」
と寝台に招き
(オンナノコ同士ならいいよね) と
俺と同じネグリジェ姿のクローティアを童女が
布製の玩具を抱くようにぎゅうと抱きしめて
クローティアの髪を梳いてやりながら抱くと少し寂しさが紛れて
(やはり機構部品をあのオーパーツ製に総入れ替えしたからかなぁ)
等とビヨンに考えを巡らせているうちに俺も入眠した。
クローティアは
『レーリアとリーメアの奴に見られでもしたら嫉妬が大変じゃ』
と独り言を俺に抱かれながら言っていた
この日を堺にクローティアは就寝する時はシーアに抱かれるのが定番ともなる
クローティア自身もシーアの変わりようには多少驚いていたが
『良きかな』 と自分でも知らずの内に言葉がでていた
すると すぅすぅ と軽い寝息を立てている彼女の色の濃いひと房の髪が
多分無意識だろう わさりわさり と動きクローティアをからめる
『余程、寂しかったとみえる ”甘え”させてやることにするかの』
と彼女がこうしてきた時は黙って受け入れ
『どうせ苦痛はないしな、むしろ儂としても”歓迎じゃて』
と髪の絡みに身を任せていた
彼女は寝言で しきりに 「かあさま...かあさま...」 と言っていたが。
翌朝、目が覚めて辺りを見るとひと房の髪がクローティアを絡めているではないか
俺は、慌てて
「ごめんね、クローティアわたしどうしちゃったのかしら」
と意識すると絡めていた髪が しゅるしゅる と解かれていく
『昨夜お主の”寝相”が悪くてな 勝手に儂を絡め取ったのじゃよ
最初は吃驚したがの 気にするでないそれでだな..あのな...儂...』
何か最後クローティアは言い淀んでいて
「なぁに、クローティアはっきり言ってよ」
と促すと
『髪の件は構わぬとう言うか儂もな...絡め取られているとな何か安心するとういうか
守られているとうか心地いいのじゃ...だからじゃな』
「なんだ、今後も一緒に寝たいと言うこと? 」
『みなまで言うでないわ』
と顔を真っ赤にして反応が分かりやすかった
「いいわ クローティアなら一緒に寝てあげる」
『おぉ、そうかそうか』 と嬉しそうな顔をする
(わたしも寂しかったなんて言えないわね)
と寝台でこんなやり取りをしていると
今まで目を閉じていたビヨンが 突然、
[ シーア、階下から”アカネ”が来ますよ ] と
教えてくれた
こんな起き抜けになんの用だろうと訝しんでいると確かに
ややあって階下から人の気配がする。
「シーア、起きてる? 」
と覚醒を確認する声がする。
「はい、アカネさん何の御用でしょう? 」
「実はねシーアに見てもらいたい服が有るのよかったら着てみない? 」
と誘われる
これには驚いたが”服”と聞いて早速俺の男心もとい”少女心”が刺激され疼く。
「はい、見てみたいです まだネグリジェのままなので
宿屋着を着ていきますね」
「ええ、いいわ」 とアカネがいうので 急ぎブラを付けて宿屋着を着る
「ビヨン、クローティアをお願い」
[ クローティアは保護対象ですからいいですよ...シーア(マスター)の御意のままに ]
と胸に手を添え小首傾げ一礼する
「そんなに畏まらくてもいいのよ」
というと
[ これはわたしの”様式美”です お気になさらず ] というので
堅苦しい言い方は彼女の”素”であろうと思ったので
「えぇ、お願い」 と階下に降りる
するとアカネが待ちわびたように
「こっちよこっち」
と従業員の控え室様なと所に通される。
そこで目に飛び込んできたのは
楽師の楽譜の音符を刺繍した首が窄まった白いヨークネック部
白に蒼い”カスミ草”を散らしたワンピースでスカート部は中程に一周水色のリボンがあしらわれて
更に其処から一段ふわりと広がりを見せての下に二段の大きな白いフリルが
あしらわれていた。
袖を見れば肩が膨らみスカートと同様に、袖口にいくにつれ広がりをみせて大変に少女性が強く
まさに俺好みで何とおまけに白に近いピンクの
薔薇が付いていて同色のつま先が丸いクロスストラップパンプスまで有る
「わぁ、可愛いお洋服♡ 」
と感想を漏らすと
「これ、私が”裁縫”の技能であつらえたの どう着てみる? 」
と言ってくれたのでいても立ってもいられず
「えぇ、お代は払いますからワンピースと靴も購入して良いですか? 」
「勿論よ、じゃぁお代はこれくらいかな」
提示された金額を見ると昨日の蒼薔薇のワンピースより幾分安かった
「お願いします」
と即決で、ギルドカードを出して支払いを済ます
「後、これオマケね」 とフリルのソックスまで付けてくれた
早速その場で着替えて髪をさらりと手で掬い出し
スカートを片手でつまみ広がり具合を確かめソックスを履きパンプスを履くと
可愛らしい姿見の中の少女も俺と同じ動作をする
「いいわね可愛い服が似合う娘っていいわ」
とアカネ
(後は、手持ちのペチコートでばっちりかな)
と内心こんな服が似合う自分を可愛いと思っていた。
部屋に戻り早速、ペチコートを履くとふんわり広がったスカートから見えるレースが
一層自分の少女性を引き立たせていて姿見の中の少女は少しはにかんだ表情を見せた。
「ビヨン こっちへいらっしゃい 髪梳かしてあげる」
と備え付けの鏡台の椅子に座らせる。
[ シーア、おねがい これわたしも”心地いい”と感じます ]
「そぅ、良かった オンナノコだからね わたしもこれ好きよ 終わったらわたしのもお願いね」
俺は、自分で梳く時は、色の濃いひと房の髪を巧みに使いそれでやっていた。
第三の”手”代わりには大変便利でちょっと手の届かない高い所や遠い所に有る菓子入れを
引き寄せるのにも使いミーアに度々 ”シーちゃんお行儀が悪い” と窘められていた
(ミーアの見てないところならいいよね)
と鏡台の上の櫛を しゅるしゅる と髪を使い俺の手元へ操り手繰り寄せる
ビヨンといえば
[ はい、シーア(マスター)の御意のままに ] と相変わらずだった
「そう言えば”飴”は今欲しい? 」
[ はい、”飴”頂戴それとシーアの指も頂戴 ]
「指は いやよ あれくすぐったいも〜ん♡ 」
と口を尖らせると
[ ”飴”だけで今はいい... ]
と言って”飴”を与え素早く指を引く
俺は、検めてビヨンの髪を しゅるりしゅるり と梳きはじめた
「わたしの梳いて梳いて♡...」 と今度は俺がおねだりをする
背もたれの無い椅子に座るとスカートが丸く広がり
椅子は朝の冷たい空気で冷えてショーツ越しにひんやりしていた
そして、今度は俺がビヨンに しゅるりしゅるり と梳かれる。
「う〜ん いい気持ち♡ 」 やはり他人に梳いて貰うと気持ち良かった。
「今度は、クローティアね」
『儂のもか? 』
「当然じゃない」
とクローティアの髪を梳く
しゅるりしゅるり と音が響く
『やはり誰かに梳いてもらうのはいいものじゃ』
「ふふっそうでしょ」
髪を梳いたり梳かれたり、服を選んだり、鏡台に座り身支度を整えたりと
もう”シアズ”時代の様に身の回りの事も忘れて実験に没頭する必要等無い
少女らしい新たな楽しみを俺は見出していた。
今日はいつもより念入りに白い両の牙を磨き
香水も上品な薔薇のを選ぶ。
小鞄と”クロ”を身につけてと程よく広がったスカートが揺らしながら
階下に降りる
「あら、シーアペチコートはいたのね」
「そう、今日は依頼じゃなくて”お出かけ”なの 朝は、屋台で食べるからいいわ」
と宿を出る。
朝は屋台もやはり、軽めの食べ物を供していて 朝帰りの依頼の冒険者、宮廷へ向かう
官吏等の人々で昼や夜とは違った様相を見せている。
そんなある意味場違いとも見える俺達は、
軽く麦パンに野菜を挟んだものと予めレモネードでしっとりとさせた硬焼き菓子を
屋台で買い求め食べ歩きながらボルグラン城へ向かう
すると見計らったかの様にルカスが門前にいて
「おはようございます、シーア様本日の可愛らしいお召し物ですな
エリス様は、只今参ります後おかえりの際お手数ですがもう一度此処にお立ち寄り下さいませ
陛下、王妃様もエリス様のご容態が完全に健康体に戻られ
大変のお喜び様、お楽しみが有るそうなのでこれも私ルカスから渡す様
仰せつかったものが御座います。お楽しみにしていて下さいませ」
と いつになく饒舌に話す。
「はい、ルカス様楽しみにしておりますわ」
と会話をやり取りしているとすっかり血色が良くなったエリスが淡いピンクの小花を散らした
上品なワンピースでやってきた。
「わぁ。エリスすてきなワンピース♡ 」
と言うと
「シーお姉様こそ♡ 」
と抱き合い頬に挨拶の接吻を”軽く”交わす
そして漂って来た硬焼き菓子の”血”の匂いに彼女の首元を凝視してしまう
「お姉様、どうかしたの? 」 と訝しんでくる彼女に
「何でもないの...エリスのお肌がとても綺麗で...」
と 咄嗟に返すと
「お姉様こそお綺麗でエリス羨ましいわ」
と逆に此方を凝視され照れる。
「では、ルカス様お嬢様お借りしますね」
とルカスに話しを振ると
「お気を付けて行ってらっしゃいませお嬢様方」
と声を後に俺達は エリスが行きたいと言ってていた”百貨店”へ向かう
此処は貴族御用達らしくエリスは確認なしで俺はギルドカードを提示して店内へ入る。
「ようこそ、お嬢様方ごゆるりとお買い物をご堪能なさいませ」
と上客担当が現れエリスに深々と礼をして
「此方の銀のお嬢様もエリス様のご友人ですかな? 」
「っと...これは失礼ました私は、此処の外商担当でエリス様専属の”ヘイウッド”と申す者
以後お見知りおきを」
「わたしはシーアと申しますわ ヘイウッド様」
と慣れた所作でスカートを軽くつまみ腰を落とす。
「これはご丁寧にさすがエリス様のご友人でありますな ギルドカードに以後は
確認無しで入れる様に手配いたしますのでお買い物の際、ご提示下さいませ」
と言う
「分かりましたわ ヘイウッド様」
と俺達は、エリスと連れ立って買い物へ服や小物はどれも技巧を凝らした作りである
そこで俺は、お気に入りの色の淡いアリスブルーとレモンシフォンの豪奢なドレスを試着
してみた
いつもより豪奢なフリルとレースは俺の少女心を大いにくすぐりぞれぞれ一点ずつ買い求め
アラクネ製のリボン柄とバラ柄の白いタイツも購入して今度は白のリボンパンプスとストラップ
パンプスとこれ又好きな白薔薇をあしらったストラップパンプスを買い求める
これでもキマーラのぞさいの報酬で十分にまかなえた。
早速ヘイウッドがやって来て
「これらのお品はどうしましょう? 」
(多分配達の事だろう)と言ってきたので
「ご心配には及びませんわ ”冒険者”をしているといろいろ珍しい物が手に入るんですよ」
と ひょいひょい と小鞄に吸い込ませる
「これは、驚きました...お客様の情報は一切他言致しませんのでご安心を
ただ、他のお客様のお目も有りましょう専用のお品の検品用小部屋もありますので
今後は、此方もご利用下さいませ。」
と提案してくれた
(丁度良かったわ今度、屋敷世界の私室を可愛く模様替えもしなくちゃ)
と策を巡らせていた
一方エリスは大きな兎を模した布製の玩具を抱えていた
「わたしこれが欲しかったの お姉様もお揃いでどうかしら? 」
と抱かせてくれる
男の時はもとより生まれて初めての もふもふ した感触に
「きゃ〜ん、可愛い♡ もふもふ してるぅ〜」 と
顔を埋めて叫ぶ
そこで屋敷世界の私室は水色基調とした部屋にするつもりだったので
淡いピンクのエリスと色違いのを買い求める。
<<クロも一緒に寝てあげるから 買っていいでしょ? >>
とクロに念話で話掛けた
<<儂も一緒ということならいいぞい 儂も早う もふもふ とやらを堪能したいのぅ>>
<<そう、それなら今夜から一緒ね♡ >>
と会話を終わる
すると今まで無言だったビヨンが唐突に
[ ”かわいい” です シーアわたしもこういうの欲しい ]
と初めて自分の気持ちを出してきて
俺は、以前自分の気持ちは言っていいと言い聞かせていたので
本当に嬉しかった。
「そうだよね ”かわいい” よね これ、じゃあビヨンには兎さんではなくね
これ買ってあげる」
とクマを模した布製の玩具を見せる
[ これは、更に ”かわいい” です此方がいいです ] と
いってきたので
これも合せて購入する。
昼食時エリスは、学院の時と同じように
潤んだ瞳で
「お姉様ぁ〜 ん〜〜」 とまたもや誰憚る事なく口を突き出しひな鳥のようにねだる
「もぅ エリスティーナったら」
とスープに浸したパンを口に入れてやる
(可愛い娘 アレ聞いちゃおかしら? )
と俺は、話を切り出す
「ねぇ、エリスぅ〜 エリスってわたしの事スキ? 」
「えっえっそんな〜 そのように見えますか? 」
顔を真っ赤にして分かりやすい反応だった。
食事が済み紅茶を飲んで一息つくと、下腹がもぞもぞしてきて
「ねぇ、お花摘みに行きません? 」
と小声でかける。
「えぇ、お姉様わたしもご一緒に」
とエリスもついてきたさり気なくビヨンと目配せをして
お手洗いへ入り二人共お花を摘み終わり
手を洗い終わって出ようとした時、
俺は、
「ねぇ、エリスぅ オンナノコ同士の”接吻”ってどう思う♡? 」
とエリスの後ろからゆっくり手を回して、耳元で囁く
エリスは辺りを気にしながら
「おっお姉様となら......ぃぃです♡ 」
と上ずった声で訴えてきた
(ふふっ、これなら”魅了は必要ないわね♡ )
<<ビヨン、わたしの”お食事”の時間よ 誰も邪魔させないでよ>>
と念話する。
<<[ シーア、後はお任せを...ごゆっくりお楽しみ下さいませ ]>>
「ふふわたしも、エリスのお口欲しいの。 ぃぃ♡? 」
優しく後ろから囁く
「えぇ、お姉様ぁ ぃぃです...どうぞ」 と口を突き出す
「さぁ、此方にいらっしゃい エリスティーナ」
と俺は、お手洗いにある休憩用の長椅子にスカートふわりと広げて座り
ぽんぽん と股間の辺りを叩きエリスティーナをその上に座らせエリスの広がったスカートが更に
俺の広がったスカートの上に重なり
七色の銀の髪とエリスの長い淡い金色の髪が絡み合う
そうしてゆっくり俺の口がエリスティーナの口を絡め取る
「「んゅんゅ......」」
段々 乾いた音が湿っていく
「「くちゅっくちゅ...くちゅりくちゅり...んっんっ」」
「ふふっ”初めて”はどぅ♡ 」
エリスはくぐもった声で
「あぁ〜ん、お姉様ぁ〜すてきぃ〜♡ 」
と恍惚状態になっている
「ふふ、こっちも欲しくなってきちゃった...お姉様に頂戴♡ 」
彼女の口から首元に俺の口をゆっくり移動させ
既に鋭く伸びた牙を突き立てる
「えっ、おっお姉様っ!? んっん〜ん...んっ」
と目を見開いて微かに震えたのが伝わってくる。
牙を突き立てながら俺は、
「騒いじゃダメ、エリスはいい娘...それとね...わたし半分はヴァン族でもう半分はドラコ族で
”ヒト”じゃないの。 でもねでもねエリスの事はとってもだぁ〜いすき、だって可愛いだも〜ん
でね、でね、アナタの”血”。とぉ〜っても美味しそうなの だからほんのちょっと...ちょっとだけ
わたし貰うね♡ ねっ、ぃぃょね♡ 」
と俺が逆に甘える様に言うと
エリスは拒否すると思い口を離そうとするが意外にも
「お姉様...続けて♡...」
と思わぬ言葉を聞き内心驚いたが
俺は、エリスの首筋に更に深く牙を入れる
「どうりでお姉様ってお美しいと思いました。”ヒト”では無かったのですね
それじゃあのウロコってつまり...」
「そぅ、あれドラゴ族としてのわたしのもう一つのア・カ・シなの いいでしょ」
「いいなぁ...」
その後に言葉を継がせないで”お食事”を続ける
「...んっっんっ」
そして こくりこくり と”血”嚥下する
「んっっんっ、なんて美味しいのかしら♡ 」
香ばしい堅焼き菓子の様な味と香りのするそれは
喉を伝い胃の腑へ落ちお腹が熱くなり先程食事を済ませたばかりだというのに
かまた”別腹”が空いてきた。
「でもねオマジナイでね、このことはアナタは忘れちゃうのよ ゴメンネ」
と 言うと
エリスは、
表情を恍惚とさせながらも
「それは、イヤっ お姉様の事誰にも言わない...言わないの...
だからオマジナイしないで お願いッ」
と一筋に光る物を瞳に揺らして懇願される。
「いいよく聞いて、わたしたち冥界の住人にとって言の葉の”約束”は絶対よもし他言したら
”邪眼の守り手の指輪”にエリス自身が喰われる事になるけどいいの? 」
と俺はエリスの”覚悟”を聞く
「......」
暫し無言の間を置いて
「いいの、お姉様の”秘密”は絶対に守るから お願いッ」
と恍惚した表情で言葉を重ねて言う
「そぅ、後でひと房でいいから髪の毛わたしに頂戴それで”成立”よ」
「はい、お姉様の仰せのままに」 と目を細めて訴えた
「後、私の”血”も少しあげるこれでエリスは歳を取るのがすごく遅くなるの
お父様とお母様には”キマーラの肝の副次的作用”と誤魔化して置いてね。」
俺はようやく”お食事”を済ませ口を首元から赤い糸を引きながら話す
ちゅるりちゅるり と口の周りの血を淫靡な仕草で舐め取り
彼女の吸血痕を濃いひと房の髪で さわりさわり と撫でて治癒を促す。
「これもわたしの”秘密”なの この部分の髪はわたしの意思で操れるの ほら」
と髪を操りエリスの口の周りを撫でる。
又目を見開き驚き少し口に咥えられる
「ぁあん くすったいわ やめて、これ敏感なの」
またもや彼女は、
「これ感覚があるの、お姉様? 」
「そうよ、敏感な代わりにいろんな事が出来るわ」
尚も触ろうとする彼女に
「もうだめ 触らせてあげないんだから」
と言うと
「つまんないの」
といいつつも素直に手を引っ込める
そして
「約束は約束よ、わたしに”髪の毛”を頂戴」 と
彼女に真摯な物言いで問う。
「はい、どうぞ」 と彼女は身につけていた何時も身に付けているであろう
守りのナイフでためらうことなく、少し目立たぬ様に髪を切り俺に渡して契約は成立した。
それを小鞄に紐で結わえて仕舞う
<<クロ、これの管理お願い出来る>>
<<お主、ようやるわ これもやはりレーリアとリーメアの娘だからかのぅ
儂ら先達も顔負けじゃな
良いぞ儂があの娘の天命の理が来るその時まで
管理してやるぞい>>
<<良かったわ、あなたの”お叱り”を受けると思ったわ>>
<<安心せい、そんな事はないぞい 儂とあ奴らはいつもお主の味方じゃよ>>
と念話を切り
「今度は私の番ね」
と指先を少し牙で噛みきり”血”を出して口に含みエリスへ口移しで与える
「んっっんっ...これで”血”の契約は終わり」
「やっぱりお姉様ってお綺麗でだぁ〜いすき」 と前にも増して
腕をがっしり組まれる。
俺はこの時徐々に自分が男性としてではなく”少女”として他の”少女”に
恋愛にもにも似た感情を持ち始めていることに気が付き始めていた
(わたしも”女の子”だけど他の女の子って可愛いんだも〜ん♡ )
「ねぇ、エリスわたし今後も逢える? もしよかったら又”アレ”いいかしら? 」
「勿論です、お姉様ぁ”夜”はお父様とお母様それにルカスがだめというでしょうけど
昼の学院が休講の時はお逢い出来ますから...それよりお姉様は”昼”は大丈夫ですか?」
俺が、ヴァン族とドラコ族から生まれた事に気遣っての事だろう。
「大丈夫よ、朝方はちょっと気怠いだけ」
「そぅ、いけない...今日はまだ”検査”があるんですの夕方の日没前までに戻らないと
ルカスに叱られるわ」
空を見上げると黄昏色が濃くなって来ていて俺もルカスに呼ばれていたので
ボルグラン城まで一緒に三人連れ立って戻る
「おや、お帰りなさいませまだ”検査”まではお早いというにのにもうよろしゅう御座いましたか? 」
「ええ、ルカス用は済みました。シーア様を貴賓室へ」
とさっきとはうってかわって王女然としたエリスティーナがそこにいた。
「は、姫殿下。 御意にシーア様は此方に」 と今朝方の貴賓室へ赴く
すると、多忙と思われてた国王夫妻がいるではないか
俺は慌てて最上礼をしようとすると
「良い良い、今日はエリスの快気祝いじゃ畏まらんでもよいぞ 楽にせい」
といってくれてはいたがさすがに気が引けてしまい
「はい、陛下・王妃様もご息災そうでなにより、このシーア”キマーラの肝”と”弾性樹脂”の献上を
持って成果のお答えとした次第。
この場で改めてご息女”エリスティーナ姫殿下”のご快気をお祝い申し上げます。」
と略式の礼をする。
「ハッハッハッ、エリスも貴殿にすっかり懐いている様子
今日は余程楽しかったと見える」
「もぅ、お父様ったら、恥ずかしいですわ」
「そうよ、アナタ、エリスのあんな元気な姿を見たのは今までいくつの季節が巡ったことでしょう
私もお陰ですっかり昨日まで臥せっていたのがウソのよう これからはこの母に甘えてもいいのよ
エリス」
「また、お母様までそんな事言うのぉ〜」
「「 ハッハッハッ」ホホホ」 と暫し団欒の一時
「おっと、シーアよ済まぬな つまらないものを見せたな」
「いえ、陛下 お国の平和は先ず家族の平和から始まります よって団欒は重要な事柄で
ある故、人目なぞ気にせす存分に楽しまれてはいかがと つきましては亜種の”キマーラの肝”ゆえ
何か良い”副次作用”が顕れるやも知れませぬ”副次作用”につきましてはこのシーアが
必ずや”良い”結果が顕れるとこの身を持って担保致しましょう」
誰にも気付かれないようにエリスと視線を交わす。
エリスも此方の意図を読みさり気なく杯の果汁を一口飲む。
「全く持って聡い娘じゃ、リーテよ儂らは公務もある 貴殿はエリスの検査の刻限まで
歓談を楽しまれよ 後はルカス分かって居るな ハッハッハッ愉快愉快」
「は、陛下のみ心ままに」
とルカスが居住まいを正す。
「シーア様に陛下からの此度の成果の報酬にて御座います ギルドカードを此方へ」
と渡して入金された金額を見れば驚いたことにビヨンを競り落とした金額の10倍の数字が
並んでいた。
「こんなにいいんですか ルカス様? 」
と改めて聞くと
「それくらい陛下ご夫妻は気にかけて居られたいうあかしでございます それと
シーア様がご更新なされる度に”弾性樹脂”のパテントと売上の一部が入ります
アレも宮廷魔導技術院で大騒ぎしておりましたよ。」
「そうですか はぁ〜」 と溜息をついたら
「ははお気後れなさらずともそれだけのご功績が有ってのことです
後、ミーア様も活躍なされた様子今回更新の時、特別報酬金が入ります。
お役立て願います」
「わたしからお姉様に伝えましょう」
と受け取ると
「これは”ドリエル”様よりの”報酬”で御座います」
「”ドリエル”様? 」 何処か聞いた事のあるような名である
「冒険者ギルド総長そのヒトで御座います
職務上個々の冒険者とは会ってはならぬお人ゆえ私が代わりにこれを」
と王印の入った銀封筒が渡される
「これはお暇の時にお読みくだされば良いとの事」
「はいそうします」
「ねぇねぇお姉様はこれからどうなさるの? 」
と素に戻ったエリスが尋ねて来る
「エリス様、人様にそんな不躾な事聞くものでは有りませんぞ」
とエリスを窘めるが
「いえ、お気になさらず、そうですね今申し上げられる事はまずは
ヘルデにお姉様を迎えてそれからトリスの知人宅へ行きそこから浮遊大陸”ベルゼ”に
出立かな」
「いいなぁ。わたしも”冒険”いきたいなぁ」
「ふふっ、エリス様まずはご勉学を完遂させて下さいませ
今は、役に立たないと思っていてもなにかしら”お役”に立ちますよだからね」
とエリスの傍まで寄って行き
「わたしは時々ちゃんと”アレ”頂きにまりますわ だからいい娘にしてるのよ
今は、ここで我慢してね」
と口を尖らせおねだりした唇を人差し指で押さえ額の髪を上げ
”軽い”接吻をして離れる
彼女の”血”の匂いがまた鼻をくすぐった。
丁度”検査”の刻限である
エリスはペコリと挨拶を済ませるとその場を辞した
「ルカス様。 わたしも宿で準備が有りますので、此度の報酬感謝しておりますと
くれぐれもお伝え下さい。」
「シーア様こそ、旅路が女神の息吹の加護に守られますよう」
と暫し別れの挨拶をして帰り際
「これはミーア様とお召し上がりになって下さいませ」 と卓上の菓子を包んでくれた
そして俺は、”キマーラ討伐”と”弾性樹脂納品”を全て済ませ一旦アカネのいる
”カスミ草亭”に向かった。
俺は早速ミーアに念話で
<<今、全てが終わったトコ明日お姉様を迎えに上がります>>
<<うん、分かった此方も今全てもの検査終わったトコよ>>
<<あとお姉様、今までの情報をパスを通じて送りますね>>
とミーアのマギを手繰り寄せあらましを送る
<<凄いじゃない、シーちゃん 報酬は私の特別報酬だけていいわ 後、資金の運用の仕方
教えてあげるからね無駄遣いちゃだめよ
もう服や小物買う気まんまんでしょ>>
<<あ〜ぁ、ばれちゃった 実は少し屋敷世界の自室を可愛いのにする予定なの>>
<<どんなお部屋になるか楽しみねぇ シーちゃん>>
<<じつはもう可愛い家具や鏡台買っちゃたの あと壁に模様を付ける魔器もよ>>
<<まぁあきれた>>
<<あとね、エリスの”血”頂いちゃった 堅焼き菓子みたいで美味しかったわ>>
<<えっ”血”って皆味違うの? >>
<<そうよ、でもお姉様のが一番好きよ苺と牛の乳の様な味するの>>
<<そっそうなの>>
<<そうよ ミーアお姉様やエリスのとっても美味しかったんだから>>
<<あと、ビヨンねぇおしゃべりするようになったわ お姉様、吃驚するわよ>>
<<本当? 嬉しいな私もビヨンとおしゃべりしたいわ...ふわぁ、ゴメンもう眠くなっちゃた 会話
切るね>>
と念話はここで途切れる
ミーアはシーアの最近の言動がやはり気になっていた
彼女は、最近急に童女っぽくなったり戦闘の時は冷静になったり
妖艶さを漂わせたりといろんな側面を垣間見せる。
戦闘時の冷静な判断や豊富な知識はかつてのシアズそのままで
性格や趣味や嗜好が段々外観年齢相応の少女になりつつあるのも私は感じていた。
そして、吸血行為をする時はまだ幼い外観に妖艶な雰囲気を纏わせて
ミーアの纏う雰囲気を遥かに凌駕する。
服の感性も外観的な美しさも遥かに超えてそんな”妹”が本気で怒ったり”嫉妬”したら
と考えると本気で怖かった。
”人外”に変化したからこそ分かる彼女の魔性の瘴気の強さはミーアも震え上がらせるが
幸いシアズの頃より”お人好しで優しい”魂の本質はちっとも変わっていない
ただ性格の色が少女のそれに段々近くなっていてこれからもそうなると言い聞かせて
あくまで”シアズ”としてではなく”妹”として割り切って扱わないとダメな時が
来たようだと兄弟姉妹のいない彼女なりの結論をだし
(後でリアに聞いてみようかな 屋敷世界の整理や部屋の模様替えするって言ってたし
シーちゃんにトルティアに一拍してもらおうかな)
と考えを巡らせて彼女なりの”覚悟”を決める。
(結論を出したらすっきりしちゃったさぁ明後日から”浮遊大陸ベルゼ”だね)
メイドの前の冒険者からの夢だったのが”妹”のお陰で叶うのだ
ミーアは嬉々と寝台に就いた。
「あら、シーアじゃない、夕食どうする? 」
「アカネさん、今夜は外で食べて来たので後このまま上に行きますね
その代わり明日朝”竜丼”頼んでいいですか? 」
「あぁ明日だっけ此処発つの? 」
「えぇ、王都での用は済んで後はヘルデにお姉様を迎えにいくだけなの」
「勿論よ、朝シーアの好物のお肉一杯入れてあげる」
「はい是非 ではおやすみなさい」
と言って二階の部屋へ入り服を脱ぎ、宿屋着に着替えて沐浴しゆっくりとした時間を過ごす
「エリスの血美味しかったわ〜」
と余韻残る唇に指を当てて感触を思い出していた。
何時も持ち歩いているシアズ時代からの愛読書”異世界譚本”の頁をめくる
向こう(異世界)でもやはり冒険譚が人気らしくこのオルティアでは当たり前の
マギや人外の者やミーアやニースの様なヒトと動物の特徴を併せ持つ”獣人”が人気を博していて
本では勿論、なんと動く映像が映る平べったい”箱”がありこれに興じるヒトも多いとかなんとか
動く映像が映る平べったい”箱”とはどんなものだろうかと思いを巡らせている内に睡魔が
襲いネグリジェに着替えてクローティアと今日買ったばかりの兎の大きな布製の玩具
とぎゅうと抱きしめて寝台に就き入眠する。
朝方、また下腹が しくりしくりと 疼きを訴え”アレ”が近い事を知らせていた
「クローティア、また”アレ”が来るわ いま感じたの 今度はひどくなりそう」
『ほう 今度はどんな能力が顕れることやら 全くお主は飽きせないのぅ』
「でも、かあさま達がいうには、今度のアレで”オトコノコ”が完全に消え失せるなんていうのよ
怖いわ」
『何も怖がることはなかろうに お主の記憶・知識やお人好しで優しい性根がなくなる訳でも
あるまい』
「そうなんだけどなんか怖いの どうも最近外観年齢相応の”オンナノコ”のような気持ち
になることが多いの」
『それ含めて”お主”じゃろ そういう変化も楽しんでこそじゃろ
儂はそんなお主が好きじゃがの その身体とはずっとず〜と付き合っていくんじゃ
前にもいっておるじゃろ』
「『今を楽しめ』」 か
と二人同時に同じ台詞を吐いた
「クローティア、ありがと気持ちすっきりしたわ」
俺は、今のクローティアの言葉で外観年齢相応の”オンナノコ”のような気持ちになっても
本質は変わらないことに改めて確信を感じて気持ちが落ち着く
俺は改めてクローティアに感謝していた
流石に存在してきた年月が違う
人外の少女になったヒム族の”元”男性の戸惑いを確実に導いてくれる
これほど頼もしい相棒はあとミーアしかいなかった。
鏡台で身支度を整え昨日と同じ服装でパタパタと全身を検め部屋を後にする
ビヨンは手持ちのレモンシフォンのワンピースで出で立ちを整えた
[ シーアわたしは動きやすい方が好みです 装飾が多い服は”戦闘”には向きません ]
と彼女は ”普通”のワンピースが好みのようだ
対して俺は戦闘予定が無い時は外観年齢相応の少女趣向が
強めの服が好みになっていた
まぁ、個性があるし強要は出来ないからね。
朝食の”竜丼” と 何時もの ”ウメズケ” で〆る
アカネに宿代を払うと
「いつでも来てね 新作の服あるかもよ」
「ええ、ありがとう」
と宿を出て人目の無い所でユラに座り一路西のヘルデへ
ワンピースに散らした蒼いカスミ草が風に煽られて踊りフリルやレースが揺れる
朝の爽やかな空気は浮遊大陸の冒険の期待を一気に盛り上げるには十分だった
と いってもいけるのは、はやくて明後日か明々後日くらいだろうな
いろいろ準備があった。
ヘルデに到着してギルドのステラに
「あッシーア、こっちこっち」 と手招きされてミーアが運ばれた救護室へ
「ミーアは元気よ、何処も悪い所無いんですってしかも、素晴らしい健康体らしわ
よかったわね。」
と指差す方を見れば何時ものメイド服ような意匠の服に着替えていて
笑顔で出迎える。
「儂らは此処らでお暇するかの ステラ君も野暮なことせんで此処を出るぞ」
と魔法医師が促し此処には俺と、ミーア、ビヨンとクロの三人だけになった
「わ〜ん、お姉様ぁ〜ぎゅぅとして」 と 抱きつき大きな胸に顔を埋めて上目使いで見上げる
ミーアは驚いた風もなく
「いらっしゃいシーちゃん」 と抱き返す
「ん〜 お姉様って いい匂い」 と俺は暫く顔を埋めていた
するとミーアは、
「また、ワンピース買ったのね 可愛いシーちゃんによく似合うわ それ」
「えへへ そうでしょ アカネさんから買ったの」 と
ごく”当たり前に”片手でスカートつまんでくるりと回る。
(これで確信したわこれは彼女の”素”の仕草ね やはり”妹”として扱わないとダメね)
とミーアは固く決意した
「どうしたの? いま難しい顔してた」
と”妹”が鋭い”女”の勘を働かせて
聞いてきて内心すこし恐怖した。
「なっ何でも無いのよ それよりどうしたの いきなり? 」
「わたし、エリスのお口貰っちゃたの だからお姉様も頂戴? ダメ? 」
と俺は可愛い唇を尖らせる。
ミーアは、
(これは、断れる状況じゃないわね ”ええい女は度胸 ままよ” )
と
「いいわシーちゃんとなら ただあんまり”おねだり”は駄目よ」
俺は、甘え声で
「は〜い 分かってるも〜ん」 と
ミーアの唇に重ねた
「「んっ、んゅんゅ......くちゅりくちゅり...」」 と音が重なり
ゆっくり離れミーアは顔中が火照っていた。
「えへへ お姉様のも貰っちゃった...コホン」
[ シーア、あの封筒は今見るべきかと ]
とビヨン
「え、ビヨンちゃんてこんな積極的に喋ったっけ? 」
[ 今までの会話から学習しました ミーア あなたともおしゃべりしたいですね ]
「そっそう...」
(やっぱりビヨンちゃんて凄い娘だったんだ シーちゃんが欲しがる訳ね)
封を開けるとドリエルの著名で
貴殿らの働きには感謝します。
いきなり本題に入らせて頂くご無礼をお赦し願います。
我が愚息もエリスティーナ姫殿下と同じ病を患っており、貴殿らの”キマーラの肝”
にて無事、完治いたしました。
つきまして、貴女が”世界”を動きやすくするために私ドリエル個人の報酬として
陛下より賜った”家名:オブライエン”を貴女:シーアに授与致したく存じます
同封の返信用の金封筒に図案を入れ最寄りのギルドへ提出願います
その時よりギルドカードに家紋と シーア・オブライエン の名が更新されます
これで少しは世界で”動きやすく”なることでしょう
暇で結構ですので一考お願い致します。
著名:ギルド総長 ドリエル
と記してあって驚く
この世界では王ですら冒険者上がりが多く連綿と続く”家名”を持つ者等
ほとんどいない。
これは好都合だった アルカーナでの一件を考えるとこの案件は受けたほうがいい
と”女”の勘が働く
「シーちゃんこれどうするの? 」 とミーアが聞いて来たので
「この案件は受けようと思うの 図案はかあさま達と決めて皆の賛同で決めていい? 」
「勿論よ、反対する理由がないもの」
『儂もお主の意見には賛成じゃて、目的地が目の前じゃというにひと悶着は願い下げじゃしの』
[ わたしも”お嬢様”の付き人? ]
「そうよビヨン これで貴女を悪様にいうヒトは格段に減るでしょう だから堂々としていて
いいのよ」
とビヨンに自信を持たせる。
「シーちゃんこれが叶えはもうりっぱな”お嬢様”ね」
「そうね、特に反対意見もなしこの案件は進めます」
(”お嬢様”って響きすてき♡ )
と封筒を又小鞄に仕舞う
俺は、貴賓室で貰った菓子を出して皆に今後の予定をエリスに話した事と同じ
事を更に理由を付けて説明する。
「先ず、一番に屋敷世界管理のオートマトが完成しているブレイル宅へ行き
オートマトを受け取り わたしは一日がかりで屋敷世界の整備と自室の模様替えを
するつもり その後明々後日の朝 浮遊大陸に出立しようと思うの どう? 」
「クローティアはどう?」
『儂は構わんぞ急ぎの用でもなし 後お主が屋敷世界に入ったら”土産”があるぞい
楽しみにしておれ』
(土産って何なのかしら? ま今はいいか)
「ミーお姉様はどう?」
「オートマトを受け取ってシーちゃんが屋敷世界に入っている間はトルティアの”リア”に
私用があるの いいかな?」 と行動の希望をいってきた
「勿論よ明々後日の朝トルティアのギルド前に集合ということで ゆっくりしてきていいわ
お姉様」
[ わたしは、魔導書”クロ”とミーアの護衛を兼ねて、共に行動しますね ]
「それでお願いねくれぐれもヒトは傷つけないでよ」
[ はい、シーアの御意のままに ]
「ヤンスへの指示はわたしがするわ あと彼にも”報酬”渡さないとだからね」
「クローティア、ブレイルさんにこれからそちらへ向かうと伝えておいてね」
『任せて置くのじゃ』
と此処での用事も済みステラに今までの礼を述べ一路ブレイル宅があるトリスへ向かう。
ユラは今日もごきげんだった。
そして久方振りのトリスでブレイルと再会する
ドアの道化の鼻を押してブレイルが出てくる
「ブレイル様、久方振りです お元気でしたか? 」
クローティアも
『ブレイルよ 息災であったか』
と聞くと
あいかわらずの調子で
「勿論だよ君達、ボクはこの通りさぁ さぁさ 中へどうぞ」
と中も相変わらずな部屋へ通される。
[ お久しぶりです 私のお父様 久方振りの整備・点検ですね ]
「えっボクのビヨンちゃんいつからこんなにおしゃべりするようにになったんだい? シーア君」
「つい一昨日辺りからですよ」
「そうかい、うれしいなぁ我が娘とこんな会話が出来るようになるなんて
お父様泣いちゃうぞ」 とぎゅうとビヨンを抱きしていた
「此処に来た用件は”クローティア君”から聞いているよ
それと情報の共有もね ミーア君の事の知ってるよ これからシーア君と悠久の刻限なしの
途を辿るんだね」
「はい、ブレイル様 どうやらそういう事のようです」 とミーアも返す
「最初は、戸惑う事も有るだろう。 なに、時間は無限にあるんだゆっくり自分の生き方を
見つけ出していけばいいさ 困った事が有ったら相談に乗るよ」
「はい、ありがとう御座います」
とペコリと頭を下げる
「さて、本題に入ろうか これがビヨンと同じホムンクルス製の肌と髪と全身オーパーツ製の
機構部品で構成された1号ちゃん(仮)だ 戦闘能力も特殊能力も未知だ
見てくれ給え」
と寝台に静かに横になっている可愛らしい少女が目に飛び込んできた
背はシーアより頭一つ分低いだろうか
顔は丸顔でやや童顔唇はオーキッドで淡いライト・スティール・ブルーの膝まである髪が
見えていてツーサイドアップにしているそれを大きなゴーストホワイトのレースのリボンで
結び髪の中程まではストレートで後はゆるいカールが2本覗いていた
服はコーンフラワーブルーのフリル付きのなが袖のワンピースにフローラルホワイトの
フリルとレースのエプロンを着用していた
脚はフリルとレースたっぷりのコーンシルクのドロワーズを着用
靴は明るい茶色のストラップパンプスの
可愛らしい出で立ちのオートマトが横たわっていた
そしてビヨンの時と同様に口を開ける
「ごねんね」
と色の濃いひと房の髪をしゅるしゅる伸ばして内部へ這わせていく
ビヨンと同様な内部だが腰に当たる場所は虹色の魔導機関が見えている
そして頭部に移動させるとやはり
硝子で出来た立方体の形をしているコアがあった
立方体中央が水色ががってくすんでいたそして対角線を軸にして
浮かんでいるように配置されている俺は髪の先でそれを包むようにしてマギを送る赤黒いマギ
が髪を伝い立方体に吸い込まれていくやがて飽和したのか軸中心にゆっくり右回転を初め
しかもカチリ、カチリと形を変えていくやがてくすんでいた色が明るく輝きだした もう立方体の
回転は安定していたカチリ、カチリ... ...カチリ
次に心臓部分に移るやはり頭部のオーパーツコアと同じようだが一部金属部分があり
マギが飽和するとこんどは左回転をする以外は同じだった
身体が動き始めたので慌てて髪を引っ込める
[... 機構ちぇっく ... 完了]
[魔導環境・・・異常なし]
[ますたー ・・・とうろく ...まだ]
[なまえ ...おなじく...まだ]
俺は、1号ちゃん(仮)の手を取り
「あなたの お名前は”レヴィア”でいいかな」
[れゔぃあ...いい...きめた]
[ますたー ...とうろく...はやく]
「マスターはシーア・ミーア・ビヨン・魔導書:ネクロン・今は居ないけどレーリア・リーメア・ユラ
専属整備技師:ブレイル あと二人は
”予約”ね これはマスターが現れない場合わたしの権限で取り消しね」
[ マスター登録完了”予約”定常処理...完了 ]
[ 全魔導環境検査......終了...異常なし ]
とゆっくりレモンシフォンの瞳を開ける
[ んしょ...んしょ ] と可愛い声を上げて
寝台から降りるとカールした髪がもう2本見えていた
早速
[ れゔぃあはれゔぃあなの よろしくねえさま方 ]
とやや舌足らずな口調で饒舌にしゃべりちゃんとスカートをつまんで挨拶する。
「あなたがシーア・あなたがミーア・・あなたがビヨン・あなたがまぢょうしょ:ねくろん
あなたがゆら・あといないの...どこ? 」ときょろきょろ見渡す
「後の二人は浮遊大陸で合う予定なのそれまで”おあずけ”よ
あとビヨンと情報を同調と連結してね」
[ うん、シーア ビヨンねえさま レヴィアと情報を同調と連結して ]
[ いいですよレヴィア レヴィアをわたしビヨンの従属個体に指定...完了 ]
[ ビヨンねえさまをレヴィアの主属個体に指定...完了 ]
[ あとはレヴィア...胸の魔法陣を出しなさいな わたしも出すから ]
と二人とも胸をはだけるとあの魔法陣が浮かぶ
ビヨンはピンクでレヴィアは蒼色でそれぞれ文様が違っていて
向かい合せに立ち
[[ 情報の同調と連結開始 ]]
と声を合わせると魔法陣の中央から古代文字の様な光りの粒が相互に行き交いそれぞれに
吸い込まれていく
やがてそれも終わり 魔法陣が消え二人は乱れた衣服をきちんと正す。
[[ 情報の同調と連結......完了 ]]
[ シーア、これでこの娘が屋敷世界で粗相をしないよういつでも私が、実時間で
監視できます...ご安心を 貴女も屋敷世界のことはちゃんと報告するのですよ
わたしは屋敷世界に入れないから ]
とそんなやり取りを見ていたブレイルは呆けていた
「ボクのビヨンちゃんとレヴィアちゃんってあんなやり取りが出来たなんて信じられないよ」
そんな時、黒い霧が黒猫の姿でとりストンと俺に抱かれる様に腕に収まる
「えっ、かっかあさま? 」
「そうじゃよもや妾の姿、間違えることはあるまい? 」
「それは、そうよ何故此処に? 」
「リーメアの奴がお前に逢えないとだだこねてな逢えないなら土産でもといったらのぅ
”じゃこれを渡してやって” と渡されたのじゃ ほれあのちんまいオートマトに
特殊能力が付く特別な”飴 星球の涙”じゃよ 喰わせてやってくれんかのう
何でも”アレ”意外の厄介な呪物や聖遺物を”完全”に処理出来る能力があるらしいぞい
貰ってやってくれんか? 」
「勿論です、かあさまいだきます”リーメアかあさまに早くお逢いしたいです”
とお伝え下さいね」
「あい分かった
妾は、公務があるでな。眷属共を抱えていると政もせねばならんしな
ではな」 と掻き消えた。
と手元に残されたのは蒼いオーパーツの丸い”飴”だった
「レヴィアこっちにおいで」
[ はぁい、しーねえさま ] と とてとて やってくる
「これ、かあさまにもらったの食べる? 」
[ うん食べる レヴィアそれほしい ちょうだいちょうだい ]
とねだる
「はい どうぞ」
と口に含ませると
[ おいちい ]と言ってもごもごさせて
[ 能力...スフィア・コフィン 正式名称 ”天球の棺”を習得
戦闘定常処理に最適化...完了 ] と言って
淡く光ったレモンシフォンの瞳が元に戻る。
[ しーねえさま 見ててね ] と 今度は衣服の胸部に蒼い魔法陣が浮かび
浮かび返し付きの鈎がついた紫水晶の鎖が多数飛び出て
ふらふら と所在なく彷徨う
[ これはね、強力な聖遺物や呪物とか完全にオネンネさせる
ことが出来るの しーねえさまの指示でお預かりも ]
そしてしゅるしゅる と魔法陣へ引き戻されて蒼い魔法陣が掻き消えて
[ どお すごいでしょねえさま方? ]
「ええ、レヴィアは凄いわね 偉いわ」
と俺はまるで妹のように頭をなでて抱きしめた
「あのぅ、ブレイルさん娘のお代は? 」
とブレイルに聞くと
「お代なんて要らないよ、レヴィアちゃんから得られる数々の情報がボクにとって
最高の報酬さ だたし娘の衣服や靴は特注でねこればかりはお代を貰わないとね
工房の職人もそれぞれ生活があるからね 済まないね でも今着ている衣服はサービスだよ」
「いえ、当然ですわブレイル様 後でドワ族の職人の方に5品ぐらいは発注しておきますね」
「ではビヨンちゃんとレヴィアちゃん借りるよ 今回はすぐ済むから此処で食事でもいいし
キリンズで食べてくるのもいいと思うよ」
「では、折角キリンズ近くまで来たのでそこで食べたいのでお願いしますね」
「ゆっくりしてくるといいよ さぁさ二人はこっちにおいで」
[[ はい お父様...ちゃま ]] と例の施術室へさがる
「ボクも二人の”娘”持ちかぁ...」 と独り言が聞こえる。
俺達はキリンズへ向かい
食事処に入り歓談を楽しんでいた
『そろそろあの屋敷世界にも名を与えんとな』 と唐突にクローティアが切り出した
「名? 」
『そう”名”じゃよ 屋敷世界の総合空間管理人でヒトの姿をとりある程度は特殊能力を
備えておるぞ 貸家の大家みたいなものじゃよ 空間と屋敷そのものがヒトの姿を
とったものでヒトの姿を通じて意思疎通が可能なのじゃよ
ついでにレヴィアの指導役でもあるがな どうじゃほしいかの? 』
「当然よ、わたしのお屋敷とお話出来るなんてすてきじゃない
でも大切にしてないから 怒られそうね」
『此処じゃ衆目はあるでの、トリスへ戻ってからじゃ』
「ええ分かったわ」
(屋敷世界に”名”かぁ...あれしか考えられないわ)
食事を済ませると
『整備が終わったそうじゃ 戻るぞい』 と
トリスへとって返す
「今終わったよ ビヨン、レヴィア皆の言うことよく聞くんだよ」
[[ はい お父様...ちゃま ]]
「ブレイルさん 空き部屋借りて良いですか? レヴィアだけ借ります」
「いいよ自由に使ってくれたまえ バイバイレヴィアちゃん」
とこの前の空き部屋に入り”クロ”が
『儂の頁に”名”を記すんじゃ後は屋敷世界に入ると”名”にふさわしい姿の者が待っておるでの』
パラリと頁がめくれて何やら古代語の文末に空欄がある
『此処に記すんじゃよお主達の言葉でいいぞい儂が古代語に直すでの』
そこで俺は、牙で血の珠を作り 師である ”レフィキア” の名を刻む
すぐさま 血文字は グニグニ 動き古代文字に変化して定着した。
『さぁ出来たぞい、逢って来るが良いぞ』
と俺は久方振りにレヴィアを連れて屋敷世界へ入った
すると屋敷の門前に一人の俺と同じ位の背の少女が立っていた
髪は銀光沢の淡いレモンシフォンで髪は腰くらいまでのストレート
淡いオレンジの瞳は遠くを見ているような感じでファイアブリックのケープドレスを着ている
胸元には大きな錠前の意匠のネックレスをして
黒の踝丈のフリルソックスに薔薇をあしらったストラップパンプスででむかえる
「わたしはこの空間と屋敷そのものである”レフィキア”よ貴女、シーアね
”わたし”の中の貴女のお部屋汚いわ綺麗に使って欲しいのにすこしはミーアを
見習って頂戴。」 と開口一番やはり怒られた
「ごめんなさいレフィキアさん? 」
「レフィキアでいいわ まあなにはともあれ此処の空間とお屋敷の全体の管理は私に任せて
それと私はあくまで管理人だから実際に動くのはそこの娘よ いいよね? 」
とレヴィアに視線を向ける
「ええレフィキア、そのために彼女を連れてきたの」
「さぁレヴィアあのヒトをマスター登録して」
[ は〜い ”屋敷世界:レフィキア”をマスターに登録...完了 ]
「レフィキア後具体的な細かい指示は貴女に任せるわ
あとお部屋は模様替えしていいよね? 」
「いいですよ シーア貴女ようやく綺麗にする気になったのね あと釘は駄目よあれ痛いから」
「分かったわ 後小鞄の荷物置いていい 」
「それはわたしがレヴィアに綺麗にして貰ってからよ」
と一拍おいて
「それとわたしの能力を教えておくわね
わたしの能力はね
”レメゲトンの牢獄” といって
空間の牢獄に永遠に繋ぎ止めて置くことが出来きるの そしてその中に閉じ込められた者は
何も無い虚無と停滞に置かれ狂気に陥るというもので
魂が狂気に負け霧散するか停滞の中で安穏と過ごせるかはそのヒト次第よ
一段落ついたらレヴィアを通して
貴女の冒険に協力してもいいわ、わたしの能力は役立つはずよ」
「どうせ貴女は力仕事なんて出来ないでしょうからレヴィアに任せておきなさいな
その娘見た目よりもはるかに膂力があるし貴女より腕力は上よ」
俺はレフィキアに
「レヴィアがお腹空かせたら舐めさせてね」
とザラリと”飴”の入った革袋を任せた。
「これ、レヴィアが要求したら与えればいいの? 」
とレフィキアが聞いて来たので
俺は、
「そうしてくれると嬉しんだけどなぁ」 と懇願するような眼差しで見つめると
「これくれらいは面倒みるわ」
とレフィキアの了承を取り付ける
俺はこうした一連のやり取りに姿や声は違うがかつての師匠の面影を重ねていた。
「これから、庭と屋敷を掃除してわたしを綺麗にして頂戴 掃除が終わったら呼ぶから
シーア貴女は貴女のことしてていいわどうせ、お掃除苦手なんでしょ いても却って邪魔よ」
と言われ
「レフィキアには頭上がんな〜い♡ 」 と
ちよっと嫌味っぽくすねる
俺は、取り敢えず呼ばれるまでレフィキアから出る事にした
部屋に戻るとミーアとビヨンにレフィキアの事を伝え情報を共有する
「ねえさまぁ〜、レフィキアったらひどいのよ お部屋汚いって怒られちゃった」
「シーちゃんって”昔”からお掃除苦手だったじゃない」
「おねー様までそんなこと言うの 少し怒っちゃった でもおねーさまの”アレ”飲ませてぇ
いいでしょ」 と髪を くるくる いじり始めた。
ミーアは
(あれは、 ”おねだり” ね 可愛い”妹”のためよ ええい)
と身構えつつ
「もうあまえんぼさんなんだから シーちゃんいらっしゃい ちょっとだけよ」
と椅子にすわり髪を寄せる
「ミーちゃん大好き♡ 」
と俺は後ろから手を回し 彼女の首筋へ牙を突き立てる
彼女の甘く小さな呻き声と共に こくり こくり と”おやつ”を飲む
「ふぅ、ごちそうさま」
と口に付いたおやつを指で舐め取り
色の濃いひと房の髪が わさり と傷口に纏わりつかせ数瞬で癒やす。
俺達は乱れた衣服を正し
「ミーお姉様実は明日一杯時間を頂きたいの レフィキア内のお掃除が終わらないと
模様替えや整理が出来ないの いいでしょ」
「いいわ、私トルティアにさえ立ち寄ってくれればいいから」
「そうなの、此処での用は済んだしリアさんのギルドの上の宿はどう
お姉様もそのほうがいいでしょ? 」
「そうしてくれると嬉しいわ」
話がまとまり階下のブレイルにまた暫しの別れを告げる
「ブレイル様、レヴィアの件有難うございました これ魔物討伐のついでの
依頼で手に入れた”弾性樹脂”ですわ 王国からも素材が分配されますが
これは内緒にしておいてくださいね」
と樹脂の入った小さな革袋を渡す
「済まないねこんな貴重な物をただで貰えるなんて」
「以前にも申し上げたじゃないですか”珍しい素材”が手に入ったら真っ先にお持ちするって
私達冥界の住人にとって言の葉の”約束”は絶対ですから
後、裏手の工房に寄ってからそのまま発ちますので...」
「いつでも君達は歓迎するよ」
『ブレイルよ、息災でな』 とクローティア
そしてブレイル宅を出て裏手の工房へ
ドワ族の裁縫職人にレヴィアの衣服や靴・エプロン等を意匠はシンプルなのとフリルやレースが多め
のをそれぞれ5品発注して
代金は前払いで多少”色”をつけてわたす。
樽もレフィキアとレヴィアがやって来たこともあり”クロ”の魔法陣に吸い込ませ
<<レヴィア、樽の整理もお願いね>>
とビヨンを経由して念話を送る
<<は〜い、しーねえさまレヴィアに任せて♡ >>
と返事が返って来た。
そしてブレイルやドワ族の職人に見送られながら一路トルティアへ
早速ギルド二階の宿をとる。
「それじゃお姉様はリアさんの所でしょ? 」
「えぇ暫く積もる話しも有るから離れるね ビヨンちゃん借りるわ」
「何かあったら”念話”でね お姉様」 とミーアに言う
「わたしは宿で連絡待ちとちょっと疲れたから休むわ」 と俺は
部屋に入り、お気に入りのカスミ草のワンピースのまま寝台へ横になり兎のぬいぐるみを
取り出し
「う〜ん、もふもふ〜♡ 」 と
抱きついていたら軽い睡魔に誘われて微睡みの中へ。
<<しーねえさま、おきておきて お掃除おわった〜>>
とレヴィアから念話が入る。
<<ふわぁ〜い。今行くわ>>
とクロに
「危なくなったらクローティアになって逃げてよ」
とビヨンがいないので言うと
『大丈夫じゃわい安心せい』
と返して来たので急ぎ階下で食事を済ませ受付を見ると
何時もの”リア”がいない別の受付嬢に聞くと
「今日は早く上がって明日は休暇と取るそうよ」
といない理由を話す。
「何かリアに用? 」
「いえ、何でもないです」
と急ぎ部屋へ戻りレフィキアへ入る
すると屋敷と庭は綺麗に整備されて見違えるほどだった
早速かあさま達の此処での居室となる貴賓室にレヴィアに頼み大きな寝台を運ばせ
貴賓用の鏡台等を配置すると立派な居室兼寝室になる。
後は、元々殺風景だった俺の自室はホコリや雑多な荷物が整理されて模様替え
の下地は整っている。
そこでまず壁の模様を蒼いカスミ草柄に魔器で替える
この魔器は花柄系の模様の情報が入っておりいつでも替えられるように成っている
高級品だった 新しい情報を追加で入れることにより色々楽しめそうではある。
そして百貨店で購入した同じく蒼いカスミ草柄の絨毯をレヴィアに手伝って貰い敷き
白の少女らしい花の装飾が施された鏡台を据えすべて
同じ意匠で揃えた小さな姿見付き服用タンス・寝台・棚を配置する
タンスにはちゃんと女性向きらしく予めショーツやブラ用に仕切りがあり
”沢山”買い込んだ下着類であっという間に一杯になった
下着はシンプルな意匠から凝った意匠までをお気にいりを数点小鞄に残し
全て収納する
衣服も同様に収納するが一杯になり隣の空き小部屋を衣服専用に
用意するはめになった。
靴や靴下はタンスの下部に専用の収納が有り便利だった。
これで可愛い蒼と白を基調とした外観年齢相応の少女部屋が出来上がる
あとは部屋にいい匂いを漂わせる魔器を配置して
この居室用に買い求めていたもう一つのぬいぐるみを寝台に配置して
俺の自室の模様替えは終わる
(きゃ〜、可愛い♡ ) と”自然”に喜んでいる俺がここに居た。
「ねぇ、レフィキアいる? 」
と声をかけると
グニャリ と空間が歪み其処からレフィキアの姿が現れて
「あら、可愛いお部屋いいすごく綺麗でいい匂い、
シーア。 たまにはここにきてちゃんと休むのよ
ここはわたしの中だから疲れもちゃんと癒えるわ」
「は〜い、レフィキア。なるべくそうするわ お洗濯はどうすればいいの? 」
「それならミーアのお部屋の隣のリネン室の籠に入れておいてレヴィアがやるから
ミーアにも伝えておいて」
「は〜い、レフィキア ところでお屋敷の調子はどう? 」
「今は不満はないわ いつもこのようにしておいて頂戴よ。でないと ”レメゲトンの牢獄” に
入って反省よ」
「え、わたしも出てこれなくなるの? 」
俺は、内心少し怯えていた。
「例え貴女が入ったとしても貴女には何も無い部屋に入ってすぐ出て来れる感覚でしかないの
効果ないわ それと言い忘れたけど ”レメゲトンの牢獄” から
哀れな犠牲者を解放できるのはシーア、貴女だけよ」 といい
「レヴィアはもう少し貸して頂戴 あの空の大樽はどうするの? 」
「ええ、いいわ 空の大樽は後で返すから預かっておいて」
「分かったわ それじゃわたしもやること有るから」
とグニャリ歪んだ空間に消えていった。
空を見るととっくに日はおちて宵闇色が広がっている。
俺は沐浴をして居室でネグリジェに着替え兎のぬいぐるみを抱き入眠した。
翌朝、聞き慣れない薪割りの音で目覚めて音のする方を見るとレヴィアが前の家具類を
大きな鉈で軽々と壊していてどうしたのと尋ねると焚き付けに使うのだそうだ。
俺は又今度は蒼い薔薇柄のワンピースに着替えてカスミ草柄のは下着と一緒に
リネン室の籠に放り込む。
レフィキアから戻り、クロを結わえて階下に降りる。
することもなく、今日は宿の部屋でゆっくりしようかと
昼食の分もパンを買い求めて ワンピース姿のまま寝台に横になりぬいぐるみを抱き
微睡んで目を覚ましたら日はもう夕刻近くになり気付くとミーアが近くの椅子で船を漕いでいた
俺は何かすごく眠かった
「あれ、もう夕刻? 」
『そうじゃお主最近色々なことが有って疲れたじゃろ
また吸血衝動もお主の場合はあるからな しばらくすればその感覚にも慣れるじゃろ
今はゆっくりするがよかろ』
「そうね、そうするわ」
昼食のパンをかじり冷たいスープを飲みミーアを抱えて隣の寝台へねかせ、
急ぎ沐浴を済ませ、ネグリジェに着替えるとまたもや睡魔がやってきて深く入眠して
(明日はいよいよ、浮遊大陸ね)
と思いを巡らせていると知らない間に朝を迎えていた。
翌朝、昨日一昨日の妙な眠気もしっかり取れて
ミーアを見たら何か吹っ切れた様な顔をしていた。
俺は昨日の蒼薔薇柄のワンピースとフリルの靴下
ピンクのクロスストラップパンプスで身支度を整えて階下に降りる
「あら、シーアもう具合はいいの? 」とリア
どうやら俺は具合が悪くなっていた事になっていたらしい
「ええ、すっきり眠気が取れて いい気分です
これでやっとベルゼに発てます」
とペコリを頭を下げ 人目に付かない所でユラに座り
「さぁ、ギルトス上空へ向かって! 」
とボルグラン城、上空から
「エリスティーナまっててねお土産一杯もってくるからね」
と一回旋回した後、浮遊大陸”ベルゼ”への進路を指差した
「リブス、キミも彼女らにホントは従いて行きたんだろ」
「あぁ、そうだなドリエル 俺も若かったらな
彼女らの旅路に女神の息吹の加護あらんことを」
とリブスとドリエルは遥か上空に向かう蛇竜に乗った少女達を見上げながらつぶやいた
※ かくて、シーア一行は
神秘と魔導・魔術の一大集積地 ”浮遊大陸 ベルゼ”へ踏み入れる ※
次回 52話 魔女の依頼と銀の小鍵
お楽しみに
活動報告に
”レヴィア と レフィキア”を追加して
設定ラフのリンクを張りました
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