50話 切なる願い
ギルドの近くに降り立った俺は、
「ユラ、ごねんね後でいっぱいゴハンあげるからね♡ 」
{きゅいん♡ }
と二股に別れた舌で頬をくすぐられ
「もぅ、甘えんぼさんなんだから」 と額? に軽く接吻をする。
リボンに戻って定位置に付いたのを確認してヘルデのギルド受付”ステラ”の元へ
「こんにちはステラさん...ちょっと貸工房ってここのギルドに有りますか? 」
と貸工房の所在について尋ねた。
「あら、シーアさん その様子だと”アルカーナ”での成果は有ったみたいね。」
「えぇ、お陰様でわたしなりに成果を得ることが出来ました」
「そぅ、それは良かった...で貸工房の件だけど在るわよ 工房の種類は? 」
「錬金工房が有れば、わたし錬金に”覚え”あるので”保存液を作りたくて...いいですか? 」
「いいわよ...でも貴女様な若い娘がねぇ...っとごめんなさい余計な詮索だったわね」
やはり少し反応があった ”こんな若い娘が? ”という表情だ
しかしすぐ”受付”の顔に戻る。
「お気になさらず、後小樽と大きな革袋も購入したいの 有りますか? 」
「ええ在庫有るわよ」
と在庫を確認してくれてそれは宿を取っている”杜の妖精亭”までの配達を頼のむ
丁度、
「あ。 シーちゃん帰って来た」 とミーアの声
彼女が傍まで来た時又、ふいにあの衝動が頭をもたげる
甘い濃い苺の匂いと牛の乳を混ぜたような
今まで嗅いだことの事の無いような甘美で芳醇な芳香が鼻腔をくすぐり
(あぁん、ミーお姉様のっていい匂い。 んっ〜っん はやく”飲みたいなぁ♡” あぁ〜ん)
そしてそんな俺の蠱惑的な視線に気が付いたのか
「シーちゃん? いま”イケナイ”事考えたでしょ♡ 」
「えっ、そんな事無いも〜〜ん♡ 」
と視線を誤魔化すように泳がす
すると俺に耳を寄せて
「私、シーちゃんの”イケナイ”一人遊び知ってるんだぁ」
としたり顔で囁いてくる。
「な、何のことかしら シーは、知らないもんっ...知らないったら知らないんだから」
と口を可愛く尖らせ右の髪をくるくる指に絡めて弄って誤魔化す
「ふふッ シーちゃんっていつのまにこんな可愛い仕草が出来るように出来るよう
になったのかしらねぇ」
とにやにや笑う
以後この仕草は俺の”おねだり”する時や”吸血衝動”や”嬉しい時”の定番の癖となった
しかも、この仕草をするとやたら視線も感じてしまう
「と、とにかく今は明日の準備で貸工房に篭もるんだから...
”イケナイ”一人遊びはしないですよ〜〜だ♡ 」
と慌てて隣接している貸工房群に逃げ込んだ
貸し錬金工房にいた錬金術師数名からは、
「へぇーてぃしたもんだ、若いのにしかも”少女”であれだけの手際の良さを見せるとは
ウチの工房にも来て来れねぇかね」
等と囁きあっている
俺は、そんな会話よりも暫く彼女のいい匂いが頭から離れず
慣れて頭に染み込んでんでいるはずの手順が狂うところだった。
俺が、立ち去った後錬金術師達はこぞって
「あの娘なんざたいした”品質”でもなかろうよ...どれ一つ俺達が査定してやろうじゃないの」
と残った保存液を検証している
......
「おわっ! 何だこの品質! たいした材料でも無いのにこの保存液の品質ときたら
特級の域だぜ......何者なんだあの娘。 」
「さあな、 お前らの知り合いにあんな娘の錬金術師が居るか? 」
「いねぇよ もし居たらよ界隈じゃあの”シアズ”の様に誰でも知ってるだろ」
「弟子か、それともまさか本人ってことは? 」
「おいおい、馬鹿も休み休み言えよ...どうしてそうなるんだ」
「それもそうだな...弟子って言ったってケット族のメイドぐらいだろ 彼処にいるの」
「此処で問答したって詮無き事だろうがよ」
「それもそうだな」
と錬金術師達はそれぞれの作業に戻った。
......
「あのステラさん 作業は終わったので”杜の妖精亭”に運搬お願い出来ますか? 」
「いいわ後で運ばせるわね 保存液ということは”大物”狙いね
ついでに荷車ごと貸すわ
いい素材は此処にも”持ち込んで”くれると嬉しいわ」
「はい決して口外しない約束で何点か持ち込みさせて貰いますね♡ 」
「その時は、よろしくね」
「後、特級の癒やし液をいくつか購入したいのですが? 」
「はい、毎度ご贔屓にどうも」 とステラは早速営業用の笑顔に戻った。
<<ヤンス、いる? >>
俺は、ヤンスに念話を試みる
<<へぃ、シーア様あっしはここに>>
と念話が返ってきた。
<<えーとね、”杜の妖精亭”は女性専用宿だからね近くの軽食屋で落ち合わなない?
わたしが声を掛けるからその時でてきて頂戴。 いい? 身なりはきちんとして来てね>>
<<へぇい、それでいいやすよ 身なりは小綺麗にしまさあ ご安心くだせえまし>>
<<それじゃね>> と
念話を終了し
アルカーナで書き写した”弾性樹脂”が採取出来るという樹木の葉の素描画を改めて確認し
小鞄に仕舞う
俺達は、”杜の妖精亭”で早速
<<ヤンス、此処は女性専用だから近くの酒場まで来て頂戴...わたしが店員に”お願いして”
二階の食事専用のテーブルを借りておくから何気ないふうを装ってわたし達に近づくのよ
分かった? >>
<<へい、承知しました>>
と 俺達は”杜の妖精亭”の斜向かいに在る”食事専用の区劃御座いますご商談に
どうぞ” の宣伝が掲げられている”酒場”に入っていく。
そして
「...あのぅ」 とちょといかつい男性に声をかける
「何だい、じょーちゃんよぉ ここはじょーちゃん達が来るトコじゃないぜ 帰んな」
と門前払いをくう。
「えっと、わたしお話したくて”二階”のテーブルを借りたいの? いいでしょ」
「全く、此処はじょーちゃん達が来るような場所じゃ無いって言ってるだろ 例え”空いて”たとしても
貸す場所はねぇよ」
とあからさまな反応を示した。
そこで問答していても悪目立ちするばかり
そこで俺は、吸血衝動の時の”魅了”を応用して
髪を指でくるくる弄りながら、出来るだけ蠱惑的な表情と声音で
くるりと踵をかえす振りをして、ゆっくり再び彼に近づき
「まだ、何か用かよ! 」 と明らかに険がにじみ出た表情を無視して
「ねぇ、おにーさん♡ どうしても二階を借りたいの♡ シーちゃんのオ・ネ・ガ・イ聞いてくれる」
ねぇ、オ・ネ・ガ・イと可愛い唇をちょと舌なめずり男性の耳元で甘える様に囁くそして
淡く光っているであろう両の瞳で男性を上目使いで人差し指を唇にあてて見つめる
すると
「うっ」 とびくりと小さく跳ねる
これで俺は”魅了”が効力があったのを改めて確認し、
男性店員は、険の在る目を緩め ニコニコ顔に代わりどこか呆けたように
「あぁ、いいとも気の済むまで使いな...お代は先払いだがね」
ミーアを見れば口をあんぐり開けて何かに驚いた様な顔をしていた。
「そぅ いい男性ねあと小柄な”オリーブドラブのフードローブ”の男性が尋ねてきたら
上に通して頂戴...これもシーちゃんからのオ・ネ・ガ・イ♡
それとこれ、お代ね オ・ネ・ガ・イ 聞いてくれたから金額には色を付けるわ」
と髪を絡めた指をするりと解きふわりとなびかせて二階へ続く階段を登りテーブル群の
一つに座る。
「シーちゃんっていつの間にあんな事覚えたのかしら またわたしよりどんどん
”オンナノコ”になっちゃうな」 と
ボヤやいていたのを聞き
事実”オンナノコ”らしさという点で既に俺は、ミーアを超えてしまっているのを自覚していた。
<<ヤンス、準備は出来たわ ちゃんと、入り口から入って来てね 悪目立ちは嫌なの>>
<<へぃ、入り口から入りまさぁ只今参りやす ちょっとお待ちを>>
程なく、二階に上がってくる足音が聞こえヤンスが入って来た
「どぅ、元気にしてた? 」
「へぃお陰様で」
「それは、良かった」
「所でヤンス、無駄使いはしてないでしょうね」
とミーアもヤンスの無事をそれとは無しに尋ねる
「ミーア様今の所は上手くやり取りしておりやすのでご安心を」
「それならいいわ」
と交わすと
「ヤツの居所はやはり岩倉でやんした場所は、ここから更に西のガイガ大森林の端でさあ」
「何頭確認出来た? 」
「金糸雀によると一頭だけでやんす」
「冒険者が動いている気配はあるの? 」
俺は、一頭しか居ない魔物を正規の依頼ではなく個人の依頼で受けているので
抜け駆けされると困るのでこの質問を投げかけた。
「いや、冒険者連中は動いて居りやせんぜ専ら奴らは”樹木人”目当てでさあ」
「そうそれとこれも探して頂戴」
弾性樹脂が採取出来るという”樹木”の葉の粗描画を見せる
「これも金糸雀に探させやしょう」
と大体の見取りをヤンスに描いて貰う
「これは、お願いなんだけどビヨンが解体したら素早く”肝”を保存液の樽に入れてくれる
わたし、触るの...なんだか嫌なの......ねっお願い出来る? 」
「へぃ、シーア様の言うことはごもっともで、...ついでに他の素材も袋やら樽にあっしが入れやしょう
お嬢様の手を汚す事なんざ有りやせん これくらい造作もないことでさぁ」
「それじゃ、お願いするわ」
「他の冒険者達が動いて無いとなれば出立は明日の朝一番にします。 」
するとミーアが
「ヤンス、アンタ長距離の移動はいつもどうしてたの私達にはいつもふいっと現れてふいっと
消えている様に見えるんだけど」
「あっしの能力として天からのお恵みで念話とパスが通ずる相手のトコに瞬間ではないでやすが
転移出来るんでやす...この能力を買われて聴謀活動のマネ事をしておりやした
今は、呪印が消え失せて”クロ”様にパスが左目を通じて通っておりますから
それに繋がっているお嬢様にもパスは繋がっておるこという事ですんで
必然的に、お嬢様が呼ぶ所なら馳せ参じられるんでやんす...
自分の方からは行けませんませんので私事は大丈夫でやんすから
ご安心を」
「成る程ね」
とミーアは得心したようだ。
俺は、ちょっと母親自慢をしたくて
「後、ヤンス貴方にも逢わせたい人がいるの...わたしのかあさま達よ、楽しみにしててね♡ 」
「へぇい どんなご母堂かあっしも楽しみでやすね」
と目を輝やかせる。
(会わせて、大丈夫よね......うん、大丈夫! )
と自分自身に言い聞かせた
俺は、ビヨンに軽く目配せをしてミーアの支援に回るように念押しした
さてあとは夜が明けるのを待つばかり。
ここ二階でヤンスも含めて食事を摂り階下に降りると先程の男性店員が
まだ少し呆けていて
「あれ、俺どうしたんだっけあの小娘に見られてから......おかしいな...夢でも見ていたか
ってこの金額って二階のお代じゃねぇかよ 承諾した覚えは無いんだがな
しかもこんなに”色”が付いてやがるぜ...まぁいいかぁ
これで俺のガキ達に、久しぶり玩具でも買ってやるかな
あとアイツにも服やら買ってやれるぜ 久方ぶりの家族孝行が出来らぁ」
と ニマニマ していた。
俺達は、ヤンスと入り口で別れて
「じゃ、現地で会いましょう」
といい”杜の妖精亭”に向かい沐浴を済ませ寝台に入る。
すると両肩の大きな骨の辺りが異常にムズムズしてきた
最初は窮屈だったブラも2回目の”アレ”で下着の装着感覚も少女的になってきたらしく
最近はきちんと付けて居ないと逆に落ち着かなくなったし
ショーツの股間に吸い付くような感覚も慣れて来た上意匠が豊富なことも有り
またたく間に俺の”コレクション”は増えていた。
大好きなネグリジェのときは俺は、流石にブラは外してショーツしか付けて居なかったので
姿見で確認しても変化も無かったので
前回と同様又”アレ”が来てあらたな能力に目覚める先触れかも知れなかった。
そして、夜が開けミーアの小鞄に荷物である袋や樽等を収納してもらい
見取りに有った森林帯の西端へユラに座り向かう
飛行しながら、朝のちょと肌寒い風を受けながら
「まずは、わたしは定石通りケールとヘルハウンドで足止めします
ミーアとビヨンは痛疵を与え肝には疵を付けずに仕留めましょう...
余裕があればケール達を攻撃に回すわ
くれぐれも山羊頭の術攻撃は徹底して避けてね」 と策を言う
「えぇ、シーちゃんそれでいいわ」
[ 肯定 ]
と二人も首肯する。
程なく見取りに有った岩倉らしき穴に到着し、まずは蝶で索敵をする
ひらひらと穴深くに入りやや置いて戻ってくる。
指に留まり体内に吸収されると俺の脳裏に岩倉内の様子が浮かぶ
「わたしが見た所ほぼ、最奥までは一本道ね 中には腐肉塊と
子鬼が数体いるくらいね 一気にケールに乗って最奥まで行っちゃいます」
<<ヤンス、此処にきて頂戴>>
<<へぃ、シーア様ただいま参りやす>>
と暫くするとヤンスが蜃気楼が濃くなるように現れる
「ヤンス、貴方はヘルハウンドに乗っていいわ 一緒に来て」
「お嬢様の命とあらば あっしも参ります」
とユラはリボンに戻り
<<ユラ、お疲れ様>>
と労を労い
「サモンっ」
とケールを喚ぶ
{{{ワォン}}}
とケールが現れて頬を舐め
「いやぁん、くすぐったいよぉ やめてぇ♡ 」
といつものやり取りが展開される
「ヘルちゃんも一頭来て」
とヘルハウンド一頭を喚び
「アナタはヤンスを乗せて上げてね」
{ウゥ}
と最初はヤンスを警戒していだが匂いを嗅ぐようにマギのパスを感じたのだろう
{オン}
と伏せの姿勢を取り彼を乗せる。
ケールに乗った俺達を戦闘に中の小物な魔物を蹴散らせながら進む。
やがて最奥の開けた場所に出るとケールの3倍の体躯をした”キマーラ”居る
しかもよくよく見ると何と”亜種”ではないか。
{グルルルルゥ... グルルルルゥ}
とあてもなく徘徊している
俺は手筈通り、先制攻撃を仕掛ける
「ヘルちゃん達お願いっ! 」
と第一声 これに流石にヤツも敵意を感じ
{グワォゥ... グワォゥ}
と鋭爪を振るう
「ヘルちゃん! ヤツを翻弄して」
{...{オン...オン}...}
10頭のヘルハウンド達は右に左に鋭爪を避けてヤツの気を上手く逸らす
「まずは蛇の尾ね ...ビヨンやって! 」
と予め途中に落ちていた哀れな冒険者の
武具・防具で錬成された巨大な曲刀で蛇の尾を切り落とす それを素早く
ヤンスが回収して革袋に入れる。
「ミーお姉ちゃん ヤツの 急所をお願い! 」
「了解 シーちゃんっ」
とあの短剣でキマーラの急所とされる場所を穿つ
キマーラとて馬鹿ではない 早速標的をミーアに切り替えて鋭爪を振るいつつ
{メェェェー...メェェ}
とやはり山羊の様な鳴き声をあげ
山羊頭から得体の知れない術攻撃が放たれる
ミーアも
「クゥちゃん出てきて山羊頭の注意を逸して! 」
{キュゥーン}
クゥを喚び出し現れた猛禽は雄々しく羽ばたき山羊頭の注意を逸らす。
俺は、
「ビヨン 次は山羊頭よ 殺って」 と叫ぶ
[ 肯定...攻撃目標を山羊頭に設定 ]
というが早いか鋭い一閃山羊頭を落とす
しかし地面に落ちても、山羊頭は激しく術攻撃を放ちつつ打ち跳ねる
「シーア様! アレじゃ今は回収出来やせんぜ 沈黙するまで待ちましょうや」
とヤンスから状況が報告され
「無理はしないで!! 今は残った本体の獅子頭を切り落とすことに専念する様にして!! 」
「へい! ”氷球”をヤツの山羊頭が切り落とされた切り口にぶち込んでやりまサァ」
といつぞや、俺に放った”氷球”を切り口に当てたものだから獅子の
本体はたまったものではない。
一層激しく暴れる...がしかし着実に動きが鈍る
「ミーお姉ちゃん!! 今よ獅子頭を落としてっ! 」
と短剣を両手に構え一閃二閃と2手で切り落とす事が叶う...が
「...殺ったわ...シーちゃんから貰ったこれで凄いでしょ」 と
僅かに慢心して大きな隙を見せて仕舞う
「ミーア様っ!! アブねぇでやんす」 と
まだ暴れている山羊頭がこれを見逃すはずもなく術攻撃を散々急所をいたぶったお礼とばかり
に思いきりミーアに放つ
ヤンスの叫びも虚しくまともに術攻撃を浴びて仕舞う
「ひゃう しまった」 とドサリとミーアは地面に崩れ落ちた
「ミーお姉ちゃーーん!!! 」
と叫ぶもまだ動いて居る山羊頭に俺は、実践で初めてのブラッド・ダガーを眉間に刺し
ようやく沈黙した。
すぐにでもミーアに駆けよりたかったがやるべき事はやらなければならない
「ミーお姉ちゃんゴメンネちょっと待っててね」
と謝りつつ
すぐに指示を出す。
「ビヨン解体お願い それとヤンスは回収と保存を わたしは、ミーお姉ちゃんを」
と息付く間もなく叫ぶ
[ ...逆行錬成工程 ”開始” ] と
左手から淡いピンクの銀の光沢を持つ糸がまた投網の様にキマーラ本体を包み
繭状になったモノが淡く光る
[ 逆行錬成工程 ”適正処理”...終了 ]
と綺麗に腑分けされた”素材”が現れ
それをヤンスが丁寧に革袋や樽の保存液に詰める。
「シーア様こちらは全て終わりやした」
「後は見張りお願い!! 横取りされそうに成ったら遠慮なく”気絶”させて!! 」
「へい、了解でやんす」
と素材の守りに就かせる
「ビヨンは荷車を!! 此処へ」
[ 肯定 ]
と素早く入り口へ向かう
俺は、急ぎミーアの許へ向かい外傷は無いか検める幸い致命傷は無いようだが
首元に手を当てて脈を診ると弱々しい
「あははっ シーちゃん私失態ちゃった。 折角いい短剣貰ったのになぁ
ちょっと 油断しちゃった」
「ミーお姉ちゃん、ごめんねわたしが分不相応な物をお姉様にあげたばっかりに」
いつぞやのブレイル宅でのやりとりがこんな結果を招くなんて
俺の”読み”が甘かったと思わざるを得なかった。
「ううん シーちゃんのせいじゃないわ あの時、ホントに嬉しかったのよ
謝るのはわたしのほう あぁなんかすごく眠いわ」
と目を閉じ意識を失う
主が意識を失うと同時にクゥもまた掻き消える。
「いやァァァ〜〜 ミーお姉ちゃんッ!! 」
と大声をあげて恥も外聞もなく叫ぶ
「シーア様、落ち着きなさってくだせぇまし 今は早くギルドの救護施設に
運ぶこってす 荷はあっしが責任をもって宿の裏手まで運んで置きやすから」
『そうじゃ、ヤンスめの言う通りじゃお主が慌ててどうするんじゃ』
とクロまで制する
俺はクロとヤンスの一言で冷静さを取り戻し
「ありがとそうね わたしが一番落ち着かないとイケないものね」
と自分に言い聞かせる
丁度ビヨンが荷車を持って戻って来た
「ヤンス、荷はお願い ビヨンはお姉ちゃんを」
「へい」
[ 肯定...状態分析中...心拍数・血圧・体温・呼吸数下降傾向にあり...生命力お呼びマギ
急速低下 ]
と俺が聞いてもかなり拙い”健康報告”が告げられる ビヨンにミーアを抱かせてケールに乗り一頭のヘルハウンドをヤンスの守りに付かせる
入り口にて
「ユラ、大至急私とミーアお姉ちゃんとビヨンをギルド併設の救護施設まで
急いでっ!!! 」
{きゅい!!}
といつになく緊張した声音でギルドで向かって全速力で飛ぶ
ギルドの周りの衆目も気にせず降り立った俺は
「ステラさんッ ミーお姉ちゃんが魔獣の術攻撃にやられて早く 救護施設にっ」
と声も絶え絶えに叫ぶ
「まぁっ 大変!! 早く裏手の救護施設に運びますっ
誰にも聞こえない特別室を手配するわ詳しくは其処で聞きましょう」
事の重大さにいち早く反応したのは経験を重ねた受付嬢ならではだった
エル族の長命が功を奏した形となり、素早くギルドの職員が動く
「はいお願いします」
と車輪がついた移動式の寝台にのせられ特別室へ
「どれ、どんな塩梅かの」 と 初老の魔法医術師は
何やらオーパーツの装置をミーアにあてがう
「むむっ これはイカン 徐々にマギと生命力が低下しておるここままじゃ
冒険者生命どころか生命そのものに関わるぞい 一体何にやられたんじゃ
此処は一切会話も漏れんし儂も王国の地方派遣での他言無用は担保するぞい」
「えぇ、実は......という訳で変異種の”キマーラ”の山羊頭にやられたんです。
わたしなりに、検めたんですど医術はさっぱりで...」
と説明すると彼は顎に手をやり深く黙考しながらも
「でも不幸中の幸いに此処に早く運んだのは僥倖だぞい
あと素早い判断だったのが良かった...良くマギと生命力が低下しつつあったのが
分かったな これは素人判断では無いな」
と彼なりに俺が素早く此処に運んだのは評価したようだ。
俺は、心底ビヨンに感謝する彼処でビヨンの”診断”が無かったら
間違った素人判断を下すところだった。
いずれにしても予断が許される状態では無い
「キマーラか...ヤツの術攻撃は厄介でな、個体毎に違う上今回はマギと生命力の同時低下じゃ
儂もちと文献をあたっては見るが今は経過観察じゃな
気休めじゃが治癒薬を処方しよう」
「有難う、魔法医術師わたし此処にいていいですか? 」
「同然じゃとも、是非そうしてやりなさい...儂は”アルカーナ”に行く 至急早馬をっ!! 」
と慌ただしく救護室を出て行った。
此処には俺とビヨン・ミーア・クロが残された
彼女はうわ言でしきりに
「シアズ様...わたし...わたし...」
とシーアの名は出て来なかった
俺は耳元で
「お姉様、わたしなら此処に居ますから」
と手をきゅっと握る。
「ごめんね、今は”シーちゃん”だったわね 私ったらまだ”シアズ様”に未練が
有るのかなぁ 」
つーと一筋の涙が溢れる
此処で初めてミーアがシアズに懸想していたことを知って
少しこの時ばかりはこの身体を恨んだ。
「お姉様、わたしの”牙”を受けてくれますか? 多分”牙”を受けると
ずぅ〜と一緒に居られて全盛期の健康体に成れるはずだから...
どうする? 」
「そうね、色々悩んだけどね 私もシーちゃんとずぅ〜と居たいの
シーちゃんの”アレ”私にシてくれる
でもシーちゃんがもう男言葉が嫌いになっているのは承知で言うわね
最後に”俺”と言ってくれるなら受けていいわ...最後の我儘聞いてくれる? 」
「いいの、それくらいガマンするわ わたしの”初めて”をお姉様にあげるね」
「もう男言葉はもう嫌なの♡
だからこれが最後ね ”ミーア、俺の牙受け入れてくれるか? ”」
と俺は、これが口頭でしゃべる最後となった”男言葉”をミーアの耳元で囁く。
ミーアも俺に”シアズ”の姿を重ねたらしく
”シーア”ではなく”シアズ”の名を呼ぶ
「はい、”シアズ”様貴男の牙をミーに頂戴♡ 」
と朦朧としながらも童女の様におねだりする。
「ごめんね、ミーお姉様これがどういう事を意味するのは分かっているつもりだけど
わたし、お姉様を絶対に失いたくないの シーの我儘聞いてくれる? 」
と彼女に俺の秘めた ”切なる願い” を打ち明けた
ミーアは意識が朦朧としながらも コクリ と確かに頷き受け入れてくれる。
俺は、ミーアの首筋に牙を立て プツリ と小さな音を立てて食い込ませ
甘い苺と牛の乳を混ぜ合わせた様な芳醇な味のするミーアの血を コクリコクリ と嚥下する
そして
「今、私シーちゃんに吸われてるの? 」
とミーアは虚ろな目で問いかける
「そう、今ミーアお姉ちゃんのを吸っているの...どぉ? 」
と言うと
はっきり俺に吸われているのを自覚したらしく
「あぁん、シーちゃんに吸われてるぅ...んっゅ〜ん」 と嬌声の様なうわ言を上げる
初めての吸血行為に嬉々としながら
「んくっんくっ...ミーお姉様のってやっぱり美味しい〜♡ これ、シーからミーお姉様へ
とっておきのオ・マ・ジ・ナ・イね」 と
《 我シーア、汝ミーアの御魂に縷縷の軛を穿つ者なり
汝、定命の理を我に付託する者なりや 》
と想い込めて血を嚥下しながら契約の言の葉を結ぶ。
すると、右の牙から赤黒い色が抜けその塊(?)が彼女の心の臓に到達して
細かく触手を生やし覆い尽くす、それと同時にピンクの心の臓も赤黒く変わり
一瞬彼女はビクリと大きく身体が跳ね上がり
同時にミーアの低下しつつあったマギと生命力が元の健康体に戻り
定命の理から外れミーアも俺と同じ冥界の住人の仲間入りを果たす
普通にしているぶんには目立たないが
改めて小さい唇を むに と上げて自分の牙を見ると赤黒かった右の牙は
左と同じ真っ白になっていて淡いピンク色の小ぶりな口からほんの少し覗く両の牙は
自分の牙ながらとても愛らしく
そして心なしか先端の幾分鋭くなったように感じて俺はしばし舌先で自分の牙の感触を楽しんだ。
ゆっくりミーアの身体にも変化が訪れ濃い茶色だった尻尾と耳の先端が赤黒く染まり
いつぞやのイヤーカフスの接吻の効果も同時に現れ彼女のイヤーカフスが淡く光る
恐らく目が覚めるころには念話も可能になっているはずだ。
浅かった呼吸も今は落ち着いて定期的な調子をとり
深い眠りに入っている
<<定命の者がこれだけの変化を受け入れるんじゃ今は、そっとしておくのじゃよ>>
<<えぇ、分かったわクロ>>
クロが念話で語りかけ俺もそれに従う
「今は、ゆっくり休んでね ミーお姉様」
と居室を去る前に頬に接吻をして
この場は担当看護師に任せる。
するとまた黒い霧が黒猫の姿となって俺の前に現れる
「レーリアかあさま!? 」
{そうじゃ、ようようあの娘を妾達のような冥界の住人に引き入れたようじゃな
あの者は”特別”に妾達とお主付きのメイドに迎え入れようでは無いか...早う妾達の許へ来ぬか}
「ぇえ、わたしもよかあさま達に早くお逢いしたいです」
{浮遊大陸で待って居るぞ}
と言って姿がバラけて掻き消えた。
<<ヤンス、今は何処? >>
<<杜の妖精亭近くでさぁ 荷も無事でやんすよ。>>
<<それは、良かったわ>>
<<シーア様、ミーア様はどんな塩梅で? >>
<<わたしが、こちら側の住人に引き入れたの 今は、自分の変化に追いついてこれないだけ>>
<<それは、良うござんした でもシーア様って一体何者なんで? >>
<<それは、秘密よ 教えないわ...それより後森林帯にキマーラの気配は有るかしら>>
<<あっしの金糸雀ですら感知出来やせん...つまり当面は此処ら一帯には
あの厄介者は居ないって事でさぁ>>
<<分かったわ、そうね引き続き金糸雀には監視させて
荷はわたしとビヨンが行くまでお願いね>>
とヤンスとやり取りをする
その上でやはり俺の睨んだ通り優秀な聴謀活動の才が彼には有るらしいと再認識する
<<ビヨンはお姉様の付き添いと連絡の為に一緒にいるわ>>
<<そうでやすか 後、何か御用で シーア様>>
<<あと、弾性樹脂の採れる樹木の当たりは付いた? >>
<<アレならさっきの岩倉周辺に沢山群生しておりやした、どうなさいますか? >>
<<そうね、これならわたし一人でも大丈夫よ”キマーラ”も居ない事だしね>>
<<分かりやした、お気を付けて行ってらっしゃいまし>>
<<ふふっ、ありがと>>
と念話を終え
ビヨンにミーアの付き添いを任せる
ギルドの目立たぬ所でユラに座り先程の岩倉をふただび目指す
程なく到着すると、ヤンスの報告通り弾性樹脂の採れる樹木が群生していた
よくみると傷ついた樹皮から乳白色の樹液が漏れていて触ると
文献通り洋膠菓子様なぷにぷにした感触でにゅーと引っ張ると伸びて
離すと ひゅるん とまた元の形に戻った。
確かにこれは技術革新をもたらしそうで有る
俺は小さなナイフを取り出しアルカーナで調べた通り革袋に樹液を採取して
もう一つの依頼を完了した。
<<[ シーア、ミーアの意識が覚醒...心拍数・血圧・体温・呼吸数いずれも
正常範囲内で推移 ]>>
と念話が入る
<<お姉様ッ!! が目を覚ましたですって!? >>
<<[ 肯定 ]>>
<<今そちらに向かうわ>>
と俺はミーアの快気祝いも兼ねていつより可愛くしようと帰路の途中で
服飾店に寄りおめかしする
いつより大きめな襟やフリルやレースを可愛く配置したドレス風なワンピース
色は杜の都に合わせて杜色を基調とした生成りのフリルのワンピースに
足元は黒のツーストラップパンプスに童女っぽい踝丈の大きなフリルの靴下という
出で立ちで誂えた
特に童女っぽい踝丈の大きなフリルの靴下は俺のお気に入りとなり何点かついでに
購入する。
姿見の前で靴を トントン とやってみたり 今では自然に片手でスカート部分を
つまみ後ろをチェックしてそのままお代を払う。
やたら同性から羨望と嫉妬の混じった視線を感じたが俺は
指でくるくる髪を絡め店を出る
あとはミーアの好物のトルティアで食べたクリームがたっぷり詰まった焼き菓子も購入する
救護施設に来て見るとまだ魔法医術師はアルカーナから戻って来てないようだった
目を覚ましたミーアはもうすっかり本調子だった。
聞けば、記憶を赤子の頃まで遡る場面を見せられ更に今までの此処に至るまでの記憶を
見せられたいう。
「どぉ、ミーお姉様可愛いでしょ♡ 」
と片手でスカート部分をつまみくるりと回る
俺の出で立ちと仕草を見たミーアは目を見開いて驚いていたが
それには構わず
「わぁん、お姉様ぁわたし寂しかったの...ねぇねぇ...ぎゅぅとしてして」
と童女の様にねだり寝台に半起きになったミーアに抱きつく。
可愛いツーストラップパンプスを脱ぎ快気祝いの為に途中で
誂えた普段よりフリルとレースがたっぷりのワンピースと可愛い踝丈の
靴下のフリルを揺らし崩し的に寝台へ
「やっぱりシーちゃんは甘えんぼだね」 と
目線が自然とミーアの唇へいきミーアもこれに気づいたのか
「シーちゃんのお口貰っていいの♡? 」
「ぇぇ、わたしもお姉様にならあげてもいいって決めてたの」
と艶っぽさを際立たせる口紅の付いた口をミーアの口にそっと重ねる
それは、いつぞやの”アレ”の時の夢より遥かに淫靡で甘美な感触だった
「んゅんゅ...んっんっ」 と甘い吐息を絡め
ちゅむちゅむ くちゅりくちゅり
と可愛い音を立てて深く唇同士が絡み合い最後に
んちゅ と糸を引きゆっくり離れて
俺の初接吻はこうして終わった。
「お姉様ぁ〜 だぁ〜いスキ♡ 」
と暫く俺は豊かな胸に顔を埋める
彼女は何も言わずに髪を手で梳いてくれて
「これではどっちが病み上がりか分からないわね シーちゃん」
といってくれて暫しミーアに甘えていた。
「お姉様の好物も有るのよ 此処で食べない? 」
「いいの? 」 とミーア
「ねっ食べましょうよ、ミーお姉様ぁ♡ 」
「そうね 頂きましょうかシーちゃん」
とささやかな快気祝いをする
「「ふふっ クリームついてるよ」」
と又、お互いに直接口を付けて舐め合う
「「んっんっ 美味し♡ 」」
ちゅるりちゅるり
と接吻を堪能していると
カツカツ と人の気配がする
俺とミーアは慌てて居住まい正してノックを待つ
やがてノックが聞こえ
先程の魔法医術師が入って来るなり
「すまん、儂のちからじゃどうにもならんわい」
と言い放つや
こちらに視線が向きびっくりして呆けて装置を落とす所だった
「こっこれは、どういうことじゃ先程まで重病人のあんたが何故こうしていられるんじゃ? 」
と慌ててミーアの額に手をやったり脈を診たりしている
更に装置を当てて
「正常どころか完全な健康体に戻っている 君が何かしたのかな? 」
と俺を見つめる
「あら、センセ♡ わたしはなにもしておりませんよ...ただ...」
「ただ...何じゃ? 」
「天界より”天使様”が舞い降りられてお姉様に癒やしの手を差し伸べて下さったのよ」
とあからさまな方便を言う
魔法医術師は俺をじっと見つめて
「そういう事にしておこうかの」
とニヤリとしていた
「だたこのまま帰す訳にはいかん、儂にも面子があるでの明後日までは検査して貰うが
いいかね? 」
俺は、
「いいですわ センセ♡ でも知り得た”秘密”は”強制”はしませんが墓まで持っていって下さいませ」
と暗に王宮への報告だけは許すと言うことを言葉に含めた。
「そうしよう 儂も長い事魔法医術に携わっていてこんな事初めてじゃよ」
と半ばあきれていた
「それじゃ、お姉様いいこにしててね 荷の納品とかはお姉様が此処にいる内に
やってきます だからビヨンを借りるね♡ 」
と今度は軽く額に接吻をする。
「えぇ、シーちゃん助かるわお願い♡ 」 と
此処でミーアと別れる。
ミーアも自身の身体の変化に少し戸惑っていた
ケット族の夜目が効く事や敏感で鋭い聴覚や臭覚が更に研ぎ澄まされて
要らない情報まで入ってくる。
(これは、慣れるまで時間がかかりそうね でもこれで彼女と共に歩める事の
喜びの方が大きいわ)
彼女が言うには心の臓を特殊な武器で一突きにでもされない限り
死ぬことは無いし多少の疵はすぐ塞がるそうだ
しかも、身に付けている各指輪の効力が一段と増していることも説明を受けている
それと、一番やっぱり驚いたのは目が覚めた時に訪れた彼女の服装だった
今までも段々少女趣向の強い服装を好む傾向になっていたがさっきの出で立ちには
更に驚く。
(あんな可愛い服、私だって着た事ないもの きっと同じ服装をしても自分には似合わない
だろうなぁ いいなぁ でも私は私、シーちゃんはシーちゃんよ
ずっとずぅーと、一緒にいられるしこの不満はシーちゃんを着せ替えて解消するわ
みてなさいよ うんと可愛くしてあげるんだから)
とこんな事を考えていても
同じ人外で有る彼女は正直羨ましすぎる。
最初は”シアズ”と言うことで割り切れた嫉妬や羨望の感情が
段々彼女が少女らしくなるにつれ上手く御しきれなくなって来ていた。
(シーちゃんにもいずれ”女”の嫉妬心が芽生えるのかなぁ? )
ミーアは少しそれも恐れていた。
(あの娘が本気で嫉妬したら考えるだけで怖いわ)
等とそんな思考が 検査期間中巡っていた。
一方、俺はヤンスがいる所へビヨンと来ていた
「シーア様、ビヨン様お待ちして降りやしたこれが荷でさぁ
検めてくだせぇまし」
とズラリと並んだ荷を確認する
肝(小樽)×1
獅子頭(革袋)×1
蛇の尾(革袋)×1
山羊頭(革袋)×1
皮(小樽)×1
骨(小樽)×1
肉(小樽)×3
血の入った大瓶×1
である
ユラは本来の大きさに戻り
約束の肉を与え
「沢山食べてね♡ 」
と言う
{きゅ〜〜ん}
と今まで見せたことの無いような喜びようを見せて
身体に巻き付いて来た
「あぁん キツクしないで お洋服汚れちゃうわ ユラ」
と可愛い声をあげる
後は小樽に入った肝×1は小鞄に収納して
少々生臭さが有る他の素材は荷車毎ユラに運んで貰う
「ヤンス、ご苦労様後でかあさま達に言っていい”短杖”を用意させるわ
今回の功労を考えればきっとお赦しがでるわ ...ねっそうでしょうかあさま達」
と最後の台詞はヤンスには聞こえなかった
この時物陰に黒猫のレーリアがいたのはさすがに俺でも
気付かなかった
(可愛い妾達の娘よお前の望みなら何でも叶えてやるわい 早く母二人娘一人水入らずな
一時を過ごしたいものじゃ)
と慈愛に満ちた猫の目で掻き消える。
「後は、引き続き世界の監視と聴謀活動よろしくね お願いよ」
「へぃ、シーア様もおつかれでやんした ではあっしはこれで」
と掻き消えた
お付きヘルハウンドも
俺の顔中を舐めわすも今回は甘えさせてやろうとそのままに気の済むまでに
しておいた。
ギルドに到着した俺達は”ステラ”に荷の事を話して裏手の密談用買い取り区劃で
鑑定してもらう
「すごいわ、亜種ともなれば色が付く上どれもこれも品質もよし
魔物はあの”キマーラ”でしょ ウチとしても勉強させてもらうわね」
とギルドカードに書き込まれた金額は定期パテントの数倍はあって
俺は、
(やった又お洋服買えるわ)
と にまにま していた
「荷車はもう少し貸して貰えますか? 」
と聞くと
「いいわ」 とステラの了解をとる
そして王都ギルトスへ向かう前に、早速此処ヘルデの目抜き通りの
大きな服飾店に入り貰った報酬で洋服を買おうと決めた
今度は、白地に青薔薇を散らしたこれもフリルやレースがたっぷり付いた七分袖のワンピースと
可愛い薔薇のレースのペチコートと併せて購入して店内で着替える
いつもの通り片手でスカートをつまみ広がり具合を確かめ
代金を支払いユラに座り一路王都ギルトスへ
風に煽られスカートの青薔薇とペチコートの薔薇のレースが踊り
脚をさらさらとこそばゆくすぐる。
(このワンピースすてき)
このワンピースは俺のお気にいりの一つとなり
どうしても避けられない衣服や小物の経年劣化は
後で”かあさま達”に経年劣化を防ぐ処理を全部の小物や大切な衣服に
施す手段をお聞きしなければと思っていた。
洗濯も沐浴の度にまめにはやっているが
一度洗濯屋に依頼するか今度ブレイルが新たに作製したオートマトに頼まねばならないと
思いを巡らせていた。
ユラから降りビヨンと小鞄からとりだした小樽を荷車に乗せ
ビヨンを伴ってボルグラン城の衛兵に事情を話し大きな門をスカートと髪をたなびかせてくぐる。
「お待ちしておりました シーア様」
とルカスが出迎える。
次回 51話 浮遊大陸 ”ベルゼ”
お楽しみに
5/16 追記
活動報告にて ”書き始めました”
の 項目と
”レーリア と リーメア”に
設定ラフのリンクを張りました
みてみんへのリンクへ飛びます




