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オルティア・レコード  作者: 南 泉
二章 〜 魔女と小さな銀の鍵 〜 ベルゼ浮遊大陸編 第一部
43/75

43話 ベゼリン学術院 (生活偏)

「こちらが、 エリスティーナ姫殿下で御座います シーア様・ミーア様・ビヨン様」

ルカスが恭しく紹介する。


そこには、


 髪は淡い金色で背の中程のウェーブロング・リボンは赤でツーサイドアップにしている

瞳は濃い水色で目は丸く大きい、背はシーアと

同じくらいの少女が

母親らしき人物の後ろに半分身を隠していた


 俺は、ゆっくり丁寧にペチコートををつまみ、足を交叉させて

腰を床に沈めつつ片膝を突きこうべを垂れ


「エリスティーナ姫殿下、わ、わたしはシーア シーアとお呼び下さいませ」

「私は、ミーア ミーアとお呼び下さいませ」

[ 個体名 ”ビヨン” ] 

とミーア、ビヨンも俺の所作に倣いこうべを垂れる


同じくエリスティーナもゆっくり丁寧にワンピースのスカートををつまみ、足を交叉させて 

挨拶をする


「わたくしは、エリスティーナ ”エリス” お呼び下さいませ

後、こちらが母の ”リーテ” です」

「わたくしが母の ”リーテ” です 以後お見み知り置きを シーア様 」 と

 目は濃い水色で優しそうな目で白髪混じりの淡い金色のアップスタイルで

エリスティーナに似た面立ちの線の細い女性が傍らにいる


「挨拶は無しに致しましょう...ルカスからお聞きの通りです...どうか娘・エリスティーナを

守ってやせ下さいませ...エリスも皆さんの言うことを良く聞くのですよ」

「はい、お母様」


 俺は、再びゆっくり丁寧にペチコートををつまみ、足を交叉させて

「姫殿下の御身の安寧は、わたくしシーアが必ずや悪魔の甘言からお守り致しましょう

......後、ご無礼を承知でお聞きします リーテ王妃様」


「何でしょう申してみなさい...シーア」


「はいわたくしのまなこには姫殿下のご尊顔の御色が優れないご様子に

見受けられます


 何かご病気を患っていらっしゃる様に感じております

どのようなご病気なのでしょうか......わたくしは世界を巡る冒険者、

何や秘薬が有るやも知れませぬ...お差し障りなければお聞かせ下さいませ」

こうべを垂れる......しばしの沈黙...

(これは、口が滑ったか? )


「さすがは、冒険者シーア様です...聡いお方ですね...実は”エリス”は特効薬さえ有ればすぐにでも

快方に向かう病を患って居ります

特効薬には後一つ ”キマーラ” の肝という素材が必要なのですが

わたくしめにはどうする事も出来ませぬ......でもお気になさらず...

定命のことわりの刻限が迫っている訳では有りませぬ

今は娘を守るのが第一です、気にせず ”任務” を遂行して下さいませ」

「”キマーラ” の肝はいずれや必ず」

と言って頭を上げる

「そこまで、お気を回されなくても結構ですよ」

と目を細め

「定命のことわりから外れている貴女は、羨ましいですわ」

と寂しそうな顔をしてリーテ王妃はその場を辞した。


[ エリスティーナを愛称”エリス”に設定 ]

[ エリスを最重要保象対象に設定...エリスを友人に分類......完了 ]

 ビヨンもエリスを友人と認めたようだ。


...

......

日が傾き初めたのを察したのか

ルカスが

「これがベゼリン学術院までの見取りで御座います」 

と宿からの見取りの書き付けをもらい


「これでわたしめらはこれにて」

「シーお姉様、明日”院”でお会いしましょう」

とエリスと共にルカスは持した。

......

...


 制服を着たまま”カスミ草亭”に戻るとアカネが

「可愛い制服...私なんか制服着てから何回季節が巡ったのかしらね

それにしても”季節が巡った”なんて言い回し慣れないなぁ」


 シーア達生徒は、ベゼリン学術院から始業の通告が来る専用の魔器が有り

3回の通告までに”院”に来る事になっていた


 院の中庭には巨大な水瓶が有り

底の小さな孔から漏れ出る水で”時間”を計測しているという番人がいて

昼夜の交代制で水瓶の番をしているという、それが学術院の衛兵も兼ねていた。


「さぁ、たくさん召し上がれ」

と供されたのは ”竜丼リュウドン” なる料理だった 

白い モチモチ した歯ざわりの粒の様な食材の上に

好物の”肉”が黒っぽい甘辛い汁にまぶして、乗せて有り茶色の少し塩っぱいスープ 

と一緒に食べる


「本来は牛のお肉を使うんだけど折角だから奮発して”ワイバーン”のお肉を使ったのよ

どぅ美味しいでしょ」


 昼は謁見や説明で食べ損ねていてあまりの美味しさに つい”少女”の身である事も忘れ

俺は、”がっついて”しまいミーアの咳払いで気づき慌てて”女の子”らしく口に運ぶ

「あらあら、シーちゃんたら余程お腹空いていたのねぇ」 

なんて嫌味まで言われた。


※※※


一方 ベゼリン学術院付近 魔器屋 ルネスの小箱 店内


 ライトスティールブルーのロングストレートのツインテールの髪に黒のリボン・

スレートブルーのワンピースにアリスブルーのストラップパンプス

 ライトスティールブルーのゆるくツインテールの髪を巻いたドリルツインに黒のリボン・

スレートブルーのワンピースにアリスブルーの編み上げブーツ

の二人のケット族の”少女”が囁く


 二人のケット族の”少女”が”制服”に着替え

「マキちゃんはねぇ〜...こぉ〜んな可愛い制服着てみたかったわぁ〜」

スカートをつまみくるくる回る


 リボンタイはシーア・ビヨンと同じ色が揺れていた。

「えぇ...マニーちゃんも〜 ねッマキお姉様♡ 」

「儀式の贄のお洋服だから汚れていると思ったのにぃ〜綺麗で

よかったわぁ〜 マキちゃんうれしッ...マニーちゃんもでしょ」

「えぇ...マキお姉様♡ 」

「こぉ〜んな可愛い制服...儀式には要らないなんて 

言うから...もらっちゃったぁ...マキちゃんうれしッ♡ 」


 お互い着心地を確かめ合うように触る

「あンッ♡ ...ねッマキお姉様ソコだメェ、マニーちゃんのアソコ...オッキクなっちゃう♡ 」

「そぉ? マキちゃんのも...オッキクなってきちゃった♡ 」

「うふふ、 マニーちゃんたらカワイイの♡ 」

二つの可愛いピンクの口紅の唇から吐息が漏れる


「今度はワタクシ達が”シーア”をおネンネさせる番ですのよマキお姉様♡ 」

「あら今回はダメって言われてるじゃない ワタクシ達はミ・マ・モ・ル・だけでショって

お父様に言われているの♡...分かっていらっしゃる? 」

「そ〜でした、マニーちゃんたら おバカさんでした テヘッ」

「おバカさんね マニーちゃんは♡ 」


ルネスの小箱 ここは銀の三日月が隠れ蓑にしている 表向きの魔器屋であった


※※※



 翌朝、宿で 例の ”ウメヅケ” で朝食を〆た俺達は一回の通告の後、

院へ向かう そこで俺はビヨンに


「いいですね、ビヨン決して院内ではわたしやミーアが良いというまで

手をあげてはなりませんよ...例えわたしやミーアが悪様に言われてもですよ

自分の身に危険が迫ったらかる〜くあしらってやりなさい、

最後にわたしやミーアが許可するまで”逆行錬成”や”武器錬成”を使っては

なりませんよ...お願い♡ 」


[ 肯定...シーア”飴”ちょうだい ]

「ふふっ、可愛い」 

と額に接吻をして”飴”を含ませる

[ んゅんゅ ] と舐める 

近くだと極僅かに コポリ、コポリ と水銀の流れる音が聞こえるのみ


 やがてベゼリン学術院が視界に入ってくる

全体に見て大聖堂を思わせるそれは

エル族が設計・建築したと有って背の高い彼らに合わせ扉・窓全てが大きく

また矜持プライド高い彼らの

趣向も相まってエル族以外の種族にとっては、いささか華美な印象を与えていた。

尤も今代では、他種族に配慮した机・椅子等が用意されてはいるが。


院内見取りを確認し院長室へ足を向ける、此処で丁度2度目の通告が魔器から来る


......

「あれあの銀のだれ? 」

「知らない...でもウチの制服着てるよ」

「あれ新色の染め粉かしら」

「何でも噂じゃ”エリス”の学級クラスの特別聴講生らしいわよ」

「げっあの”ウスノロエリス”の」

「し〜っ」

「アンタ、いつもコエ大きいわ」

「ゴメン♡ 」

......

...

(多分事情をよく知らないかわざと悪様に言っているんだろうな)

...

「何よ、あの気取っちゃて あのきれーな髪 生意気だわ」

「あのオッドアイも見たことないわ何処の種族? くやし〜」

「それにそれにピンクのまで侍らせちゃって...まぁお子様だこと」

「あれ、オートマトかもよ...院内もいるじゃないオートマト侍らせちゃっている痛いが」

「ジョーシキが無いんじゃないの」

「案外”渡りわたりびと”かもよ」

 俺は、同性から向けられる痛いひそひそ話しをかわしつつ


この”渡りわたりびと”という聞き慣れない単語にクロに念話で


<<なぁ、クロ”渡りわたりびと”ってなんだ俺には初耳だが? >>

<<うむ、”渡りわたりびと”というのはじゃな>>

ともったいぶる。


<<女神の気まぐれで”異世界”からのぅ...ヒム族がこの世界オルティアに”扉”を開けて

渡ってくるのじゃ...聞き慣れない呪文の様な単語で会話したりのぅ

”時間”を定義出来たりお主の好きなほれ、なんと言ったか”異世界譚”のような

創造の世界から”渡って”くるそうじゃ>>

<<なにッ...”異世界”から”人”が渡って来てるだと! >>

 さすがにこれには念話とはいえ激しく動揺して語気が強まる


<<そうじゃ何故か...ヒム族のみでな...変わった響きの名を持つそうじゃ>>

<<で、その”人”は邪法に身を堕とすヤツはいるのか? >>

 俺はそんな”渡りわたりびと”が”異世界”の知識で世界オルティアを蹂躙されるのを想像して

身震いした。



<<はっはっは...安心せい、儂の知る限り邪法に身を堕としてまで世界オルティア

蹂躙してやろうなどと考える程”度量”のあるヤツは見たことないわい>>

<<笑い話じゃないよ...全く>>

<<ほれ院長室が見えてきたぞい>>

(上手くはぐらかされたかな...これは)


ノックをして中から返事を待つ

「どうぞ」 の声ともに入室する


「よくぞ参られた シーア殿・ミーア殿・ビヨン殿」

こちらに向き直った人物はダークグレイの短髪で癖っ毛

整えられた顎鬚・丸眼鏡で恰幅のいい好々爺 ベゼリン学術院長・ヒム族  ”バルバス” であった


「儂は ”バルバス” ここベゼリン学術院の 総括をしておる

挨拶は抜きにしよう、君らは...シーア君・ミーア君・それにオートマトのビヨン君だね 」

「はい、 バルバス様 わたくしはシーアです」

「私はミーアです」

[ 個体名”ビヨン” ]


「ははッすごいね...ルカス殿からあらましは聞いておる...本日から”エリス”姫殿下の警護と

例の”黒き髑髏と剣”の者の調査だ...こちらの ”マセリエ” 君が担当講師だ

生活についての要求は彼女にしたまえ」 と現れたのは


 サンディブラウンのセミロングのストレート瞳も同色ベスト・ブラウス・タイトスカートの

3(スリー)ピースに背はミーアくらいで黒のストラップパンプスの

ケット族 担当講師  ”マセリエ” が

「あっあの私”マセリエ”といいますぅよろしくでしゅう」

頼りない自己紹介をする


「最後にミーア君の担当講師は”サムエル”君だ」 と猛々しい雰囲気を纏って現れたのは

ライトイエローのオールバックのセミロングで肌は褐色・鋭い青い目

背が高くダーク・ゴールデンロッドのスーツ・ワィートゥのネクタイに身を包んだ遊び人風の 

ウル族 担当講師  ”サムエル” が姿を見せる


「オゥ、お前がミーアか? ヨロシクな」 と自分の犬歯をニッとわざと見せつける。

ちなみにウル族男性がこれをやるのは女性を口説くときの常套だったりする

これの意味を知っているミーアは肩をわざとすぼめ

「よろしく、 サムエル様」 とそっけない。


「ははッ 安心したまえ皆身元は確かだよ」

一拍間が開き

「皆を紹介ついでだあのことも話そうかの...実はじゃな2回目の日の出の昼に

中等・高等部が合同で院の地下迷宮探索実習が行われるのじゃ

”黒き髑髏と剣”の者や”弓張月(銀の三日月)”が動きを見せるには絶好の機会のはずじゃ

それまでは、今日・明日と明後日の昼までは院生活を楽しんでくれたまえ

報告に此処に来る時はノックを”3回・一拍開けて更に2回だ”これが”符丁だ...よろしく頼むよ」


「武器の院内での携行は特別に許可しよう...あまり目立たぬようにな

昼は持ち込みか院生食堂が有るから利用したまえ...お代はきちんともらうよ

院への寄進だと思ってくれたまえハッハッハ! 」 と〆たところで

丁度、3回目の告知である 


シーア達の院生生活が始まった。


 階段状に配置された講義室で型通りの自己紹介を済ませ

辺りを見渡すと女子8割男子2割といった具合


 

 自己紹介の時、髪の色とオッドアイは、両親の行き過ぎた

魔法実験の結果でこうなってしまったと予防線を張ておいた


 こんな両親が嫌で自分は、錬金学の道を歩んだものの独学なので

もう一度体系立てて学べればと思って聴講生で短期に来ている事を”独学云々”以外は

此処にいる”設定”を語り

オートマトのビヨンに関しては宮廷魔導の試験運用で依頼されたと誤魔化して

不要な厄介事を避ける。


「それではシーアさんとビヨン...はエリスさんの隣に」 と俺は

マセリエと申し合わせた通りエリスの見知った顔の隣へ座り 反対側をビヨンが座ると

早速エリスが


「あぁシーお姉様ぁ〜素敵な御髪おぐしです... 」 

 耳元で囁きながら さわりさわり と髪を撫でる

 

「あら、ここはやはり御髪おぐしの御色が違うのですね お洒落ですか? 」

エリスには光線の加減だと思っていたらしい


「いえ、これは魔法実験でこうなって元には戻らないの♡ 」

 俺は、渾身の想いで創造した自分ホムンクルス自慢を含ませて可愛く言う

「羨ましいです...エリーもこんな御髪おぐしホシかったですぅ」

と つりつり 手に掬い零したりする 挙句に ふぃー と息まで吹きかける

「それに、素敵な御色のリボン」 と自分の指に絡める


<<ユラ、噛んじゃ駄目よ>>

<<きゅーん♪>>

<<いいコね、後でお肉あげるから 何をされても”噛んじゃ”駄目よ>>

 と心の”男”言葉もどこへやら”少女”言葉でお願いする

<<きゅい>>

と快諾したようだ

それにしてもエリスは同い年ぐらいに見えるのに幼げな不雰囲気である。


 この世界オルティアでは貴族や研究職や技師等は幼いことから本に親しんで

いるため

30回の日の出を一月つきこの一月つきが12回で一季節ひときせつ

呼んで経過時間を数えていた


 尤も大半の人は一番鶏共に起き日の光の傾きで時間や時候を知るので

数える事自体不要であり、それに

星見ほしみの技術が発達して魔導仕掛けの時間計測機が発明されるのは

もう少し時世を待たねばならなかった


 しかし”渡りわたりびと”やシーア達が世界オルティアを巡る事によって

もたらす事であろう知識や素材は確実に世界オルティアにあらゆる技術の

限界突破ブレークスルーの予感がしていた。


 講義が終わると早速皆が集まって

「おースゲー これが”オートマト”か初めて間近で見たぜ」

「ほっぺ やっけーな」 と突く者までいる

[ 接触”大” ]

「すんげー...しゃべるのかよ...これ」

やはり”男子”は魔導技術に興味があるらしく ビヨンの周りに集まっていて

「俺も、魔導技師を目指してんだぜ...シーア」

「天才魔導技師”ブレイル”の様になりてー」

「はは、お前にゃ無理無理」 と囃し立てられる

 ここにいるビヨンがその魔導技師”ブレイル”の一点物で有ることは

誰も知るまい。


...

「シーアさんこの 染め粉 何処でお買いになりまして? 」

「お肌を綺麗に保つ方法を教えてくださいな」

「サボンは何をつかておりますの? 」

「不思議な色の御髪おぐしぃ〜♡...それにいい匂い♡...」


「わたしの事は”シーア”で良いですよ」

「お昼はどうなさいますの? 」


「あのわたし院生食堂で食べようかと」

「ならワタクシと」

「いいえ私と」

等と子供の頃、転入生の女子を遠巻きに見る男子とは全く

逆の立場で遠巻きに見られてるのを楽しんでいた。



高等部 講義室 


「ねぇ、ミーアそのイヤーカフス...カレシから? 」

「これは、シーちゃんから」

「それ、カレシ? 」


「いや、妹から」

「妹って今朝一緒に歩いてた? 」

「そ、銀髪の方...あのからよ」

「でもでも、種族違うじゃない? 」


「事情が有ってウチの養女なの」

「へぇ、ミーアって”女の子”好きなんだぁ」

「チ・ガ・イ・マ・ス」 と私は否定したつもりだが

(だって魂は”男性シアズ”だし姿は可愛い”少女”だしいいトコ取りじゃないの

もうどうしたらいいの...このキモチ)


「そんなこと言ったてニマニマしてたよ」

 と知らない間に私の尻尾もピンっと立っていた

(でも最近シーちゃんが可愛いから同性の”少女”でもいいかな...

なんて...なんてコト考えいるのかしら...)


「まぁミーアがだれ好きになろうがイイケドね♡ 」


「あの講師のサムエルには気を付けなよ...アイツ相当”遊び人”よ」

「あの、講師ヒトとは何でもないですョ〜だ」


 と私に気安く声を掛けてきているのは”リア”と似た雰囲気を纏った

同じケット族の女性 ”リゼン”だった。


此処では二人の女性に恋話コイバナに花が咲く


やがて 昼を知らせる鐘が鳴った。



ベゼリン学術院内 某所 


「いいこと、かぁならずぅシーアをあのバショに連れてきてちょうだ〜い

でないとぉ〜 マキちゃんのオッキクなっちゃったコレ

xxxxxちゃんのアソコに入れちゃうんだから ねッマニーちゃん♡ 」


「マキお姉様...マニーちゃんもぉ〜オッキクなっちゃったの入れたいですぅ〜♡ 」

「”オンナのコ”がそうがっつかないの♡ ...ハシタナイですの♡...マニーちゃんはふふっ」


「マキ様、マニー様、そ、それだけはご容赦をッ、...必ずやシーアをあの場所に誘導

しますぅから...それと弟の命だけは...お願いしますぅ」


「それわぁ〜♡ xxxxxちゃんのゴホーシ次第よぉ...って分かっていらしゃいる? 」

「はいッ」

「よぉ〜く出来ました、はぁいゴホウビ♡ 」

とケット族の二人の”少女”はxxxxxの双丘を”軽く”触り頬を可愛い少しザラザラした舌でなめる

「ひぅん」

「 オンナのコって...いいわぁ...マキちゃんもこれほしいわぁ〜」

「 マニーちゃんも 早く”お父様”にはぁやくぅ認めらて、コレほしいわぁ〜」

と二人のケット族と一人のヒム族は奸計をたばか



講義室内では

「シーアさん ワタクシは ”クラウ” ここの”級長”ですわ

それにエリスさん何抜け駆けしようとしてるんですの...此処では身分は関係なくってよ」

「クラウ、ごめんなさいついシーお姉様が可愛くて...」

「まぁ、いいわそれは、ワタクシも...って何を言わせるんですか? 貴女」


 とライトイエローのゆるくツインテールの髪を巻いたドリルツインに淡いクリムゾンのリボン

瞳は碧眼のちょっと高飛車な感じを与える少女がそこにいた


「よろしく、クラウでいいんですよね」

「ええ、 ”クラウ” で結構よ」


ビヨンは、やはり男子に人気で

「オートマトってスゲー」

「一体”製作者は誰だ? 」

[ 製作者の情報・機密分類”ごく” ]

「うわっ、また喋った」

と足のつま先から頭までジロジロ観察されいてる

中にはビヨンのスカートを覗こうとして

[ 感知・分類不明”気配” ]

と”かる〜く”あしらわれている者までいる


「や〜ねぇ、アレだから男子は...ねぇシーア」

「えっええまったくね...オトコの子って♡ 」

 男子なら”普通”の行動に気にも止めていなかった俺は

慌てて”少女”がそんな男子にするような反応をクラウに返す。


「ところで、シーアは”お昼”はどうしますの? 」

「わたしは、院内食堂で食べようかと...」

「それでしたらワタクシも...エリスもいらっしゃいな」

「シーお姉様と一緒なら...」

「えぇ、いきましょエリス」

院内食堂に向かうと早速エリスが手をがっちり組み頭を寄せて

何やら潤んだ眼差しまで向けてくる

「シーお姉様だぁ〜いスキ♡ 」

まるで激しい懸想を抱いているかのような言葉に、俺は戸惑っていた。


 聞いた所によるとほんの少し前まで女子専門の学術院だったらしく

女子の中にはまるで異性に仮想を抱くように同性に同じ感情を抱く者も

いるらしい

 友人があまりいないエリスは俺を姉代わりにして甘えたいんだろう

ここは、俺も可愛い”妹”として任務の間は甘えさえてやることに

抵抗はなかった。


 

「皆さん混まない内にいきましょうか? おしゃべりはそこで」 とクラウが促す

 院内食堂に到着して思い思いの席に付き ビヨンは俺の隣に

エリスは俺の向かいに座り、なにを思ったのか口を開けてひな鳥の様に

食事をねだる 


加減が分からない俺は周りの視線で気が付くまで

「はいエリス...どうぞ♡...あ〜んシて♡ 」

「シーお姉様うれシッ♡ 」

などというやり取りを続けていた

「えー...コホン...シー・ち・ゃ・ん? 」

「わっ、ミーお姉様ぁ...ごめんなさい」

「今度、私にもシーちゃんがエリスにやっている様にヤラセテね」

「...はい」 と確約してしまった


「それより...」 とミーアが視線で目配せをする

「...ん...」 と俺も目配せを返す

「ゴメンね ミーお姉様とお花摘みに行ってくるね」

とお手洗いへ行く


 辺りを伺い

「ミーお姉様 何か動きが有りましたか? 」

「ええ、 何者かが二名女生徒になり変わっているらしいわ 

見かけない魔器を耳に当てていたとか何とか

午後の講義の生徒かも知れないし全部面通した訳じゃないから

見た本人も何故か記憶が曖昧で...ごめんね」

「本人が言うには、うっすら覚えているのは女生徒という事と 

シーちゃん達の中等部のリボンってことだけ」

一息付き

「シーちゃん達も気を付けてね ”エリス”とな・か・よ・くねシーお姉様♡ 」

「うぅ」



※※ シーア達が院内食堂に入る数刻前 某所 ※※ 


「そうなのょぅ お父様ぁxxxxxちゃんったら...シーアを誘導して見せるからぁ

なんていうからぁ ホントはマキちゃんがチョクセツぅ...おててぇ出したかったもんっ 

それなのぃ〜...はぁい...つまんないの〜♡......ってだれッ!! 」

と魔器を耳にした二人のケット族の”少女”は 気配の方を見ると

男子生徒がちらちらこちらを見ている


「あぁん、殿方よマキお姉様ぁ〜...どうしましょ此処でぇ...やっちゃダメよねぇ〜♡ 」

「それはそうよぅ〜マニーちゃん...いつのものやりましょ♡ 」

「ん、マキお姉様りょうか〜い♡ 」


「あぁん...マキお姉様ぁ〜」 とケット族の片方が床に崩れる


 それを見ていた男子生徒が

「どうしたんだい? おじょーちゃん達? 」

「そこの...おっきいおにーちゃん..マニーちゃんがぁ...たいへんなのぉ〜

ちょっとこっち来てぇ〜♡ 」

とカッデッド・ブルーのフローラル・ホワイトのワイシャツ・ゲインズボロのズボンに

ダークグレイの格子柄の男子生徒が駆けてくる。


 近くに来ると

「マニーちゃんを起こすの手伝ってぇ...下さいます? 」

「ああいいよ待ってな」

と手をかけようとした瞬間

「マキちゃんと、マニーちゃんのコ・ト・はワ・ス・レ・テ♡ 」

とマキお姉様と呼ばれていた方が、男子生徒の耳に口をよせ


((汝、魔魅(まみ)の囁きを以って廃忘はいもうと戯れよン♡ ))


 と呪文スペルを囁く。


 途端に男子生徒が気を失い、その表紙でガタンと屑入れが弾みで転がり大きな

音が廊下に響く。


 再び目を覚ますと

「大丈夫か大きな音が聞こえようたが? 何があった? 」

と第一発見者の男子生徒が声を掛ける


「あっれー...俺、何やってたんだっけっかな おかしな魔器もった

二人いたような気だしたがな...女子の制服を着ていたような? ...くっそアッタマいてぇ」


 偶然、近くを歩いていたミーアも助け起こすのを手伝う

彼から事のあらましを聞きき ”直感”が働く

シーちゃんに知らせなくてはと院内食堂に向かう


...

「ダメょマキお姉様ったらぁ...呪文スペルに変ないんをイレチャ

...お陰で中途半端じゃない」

「あら殿方にマキちゃんのア・イ・をそそいだのよぅ...んゅ...またオッキクなっテきちゃった♡ 」

「さぁマニーちゃん”お店”へもどりましょ 

あンッ殿方の匂いがついっちゃた...今夜は眠れないワ」

と ふわりと掻き消える


※※



 午後の講義は”錬金学”であった

俺の目は講師の板書では無く遠い過去を見ていた


 早くに両親を魔物に殺された俺は、

ギルドで 希代の錬金術師 ”レフィキア” が生活雑務の募集をしていたことあり

生活の糧を得るべくすぐそれに飛びつき

彼女の許にあった ”異世界譚” を絵本代わりにしてきた事もあって

なし崩し的に彼女に ”弟子” 入りしたのである。


「シアズ、よくお聞き、儂も錬金は独り身で覚えてきたからの

儂の手順を最初は見るんじゃ

その後、お主がマネてやってみい


 どうしてそうなるか後はお主次第、本で調べるも良し、そのまま放って置くのも良し

文献は儂の”蔵書”があるからの、儂はこの”蔵書”で出来る範囲のことしか

しておらんからスキにやってみるがええ」


「はい、レフィキア師匠」 と意気込んでは見たのの ちょっとでも

薬剤の調合や 分銅を間違えたりすると”想定”した結果が出ない

すると彼女はさり気なく


「はて、そこは水銀の精製度が...とかヒ素が多すぎたかしらねぇ...水の素が余計だったかな」

等と自分は書架を見ながら”ワザ”とらしく独り言をいう

そこから自分の”間違い”を汲み取り実践で正していくそんな繰り返しだった。


 又、ある時は”生物”実験をして自分の腕に試したが案の定失敗して

人面を生やして”一月”も付き合う羽目になってしまい

彼女に泣きついた時は、薬品で潰してくれたが

「シアズ、コレの成分を分析して今度は儂の人面を潰しておくれ」

ワザと人面を腕に生やしてそれを潰そうと俺は、必死に薬品と分析・調合したものだった


......

ついついと髪を引かれ意識が講義室に戻ってくる

「もぅ、シーお姉様ったらどうなされたんですか? 」

「ごめんなさい...エリス...わたしったら...”遠い”昔の事を...」

「”遠い”...昔? 」

「いっいえ、何でもありせんよ...エリス」

「もぅ、シーお姉様ったら」

と 机に俺の髪を数本掬い置き ツツッー と指でなぞり頬をふくらませる

それは彼女なりの抗議だった


ここで午後の一限目の講義の終了である


 二限目の講義は戦闘訓練でここで学職専門の生徒と別れ別講義である

エリスは何と”神官見習い”として戦闘訓練に参加するらしい


 マセリエが気の抜けたような声で

「はぁい、近接攻撃役は赤い的を遠隔攻撃役は黒い的を、治癒役は緑の的に

色が白くなるまで攻撃と治癒を掛けてくださぁ〜い」


ふぅ〜と溜息が聞こえ

「あとあとぉ、的は無作為に動いたり”攻撃”をしてきますからねぇ〜上手く躱してねぇ〜」


”クラウ”は短杖  妖術士見習い

後二限目が始まる前に紹介された皆がそれぞれ武器保管庫から武器を持って来て

身に付ける


”センティ” は ”錫杖”の 治癒士見習い

”エスティ” は ”弓”の 弓士見習い

”エモニィ” は ”短杖”の 妖術士見習い 

”エリス”  は  ”錫杖”の 神官見習い

”ニエルス” は ”医術道具入りの鞄”の 魔法医術士見習い 

        学職では有るが実践目的でケガ人の戦闘訓練生を治療するため参加である


(ふふっ、あのどんな戦い方するかしらね...マキ様とマニー様にお知らせしなくちゃね

でないと私の弟が......)

とツインテールの髪が揺れる


「それでは終業の鐘まで皆さん初めてくださぁ〜い」

合図と共に的が動き剣戟音や詠唱の呪文が飛び交う


<<お主、分かっておろうな? >>

<<分かってるさ...一番”弱い”蟲で”ちょっと”当てるだけさ...なぁクロ? >>

<<分かっておれば、良い>>

<<こうして”会話”する時も”少女”口調で語りかけてくれんかのぅ

あの”サラ”みたいになるぞい>>

<<俺は、”表”では絶対に男口調で喋らんからな...

せめて、念話の男口調は最後の”男”としての”砦”だ...我慢しろ>>

<<つまらん意地はりおって>>

<< ...... >>


 俺は、召喚本を構える

「あら、シーアそれ武器でしたの? 」 とクラウ

「ええ、学院長先生から”聴講生”だから”特別”に携行していい許可を貰ってますよ

ねっマセリエ...センセ♡ 」

「そうですよ、クラウ...何でもその御本は大切なお祖父様の形見だそうよ

いつもそばに置いときたいそうよ...ね、シーア」

「はいセンセ、わたしこれがそばに無いと落ち着かないの♡ 」 

とマセリエに視線を送ると意図を汲んでくれたようで、向こうも視線で返す


「まぁ、”お子様”だことそれでしたら...わたくしの短杖だって.....」


そうこうしているうちに的が俺に向かってくる

「サモンッ」 と唱え

一番小さな”蟲”を呼び出す

(なぁに、あれでやろうっての...笑っちゃうわねあの噂はホントかしらね)

口元が小さく歪む。


 俺は、”ワザ”と”蟲”の初撃を外す

「やーん♡、外れちゃったぁ...どうしよう? 」


 と大袈裟に声を上げ

「今度は、外さないんだから♡ 」 と2撃目は、”ワザ”と”蟲”を掠らせる

「やったぁ〜♡ 当たった〜」

軽くジャンプして手をパチパチ叩く

すると的は”即座”に色が白くなりポトリと落ちる。

 マセリエは

(すごいわねアレ、あんな小さな”蟲”を掠らせたくらいで的が”白く”なるなんて

あの的むちゃくちゃ耐久性があって...色が白くなるまで出来るのは僅かなのに)

とシーアの実力を評価していた


それを窓から見ていたバルバスも

「ホッホッあの的をあれしきの”蟲”で一瞬で白くしますか...たいしたモンですな

”ドリエル”殿もそう思われるでしょう? 」

と傍らにいた”ドリエル”に同意を求める。


「ええ、彼女の実力の一端を見れたような気がしますよ

明後日の合同の地下迷宮探索実習が楽しみですね」


「”ドリエル”殿、”楽しみ”であっては困りますな...私の立場も考えて下さいませ」

「いや〜、バルバス君すまない...君にとっては”何も無い”ほうが良いだろうからな」


(アレは、まぐれよマグレきっと”耐久”が残り僅かだったのよきっとそう)

と爪を噛む。


「ところでシーアは”宿”ですの? 」 とクラウが聞いてくる

「ええ近くの”宿”よ それがどうかしたの? 」

「皆さん寄宿舎通いで、出来れば...そのぅシーアとご一緒にと思いまして」

「そうですね 今夜はダメですが明日の夜なら寄宿舎の空き部屋が

有れば”お泊り”いいですよ♡ 」

 と俺はクラウに言うと喜んでいた

(今は”少女”であるし問題あろうはずが無い)

と久々に”今を楽しめ”を思い出した。


「やたっ、早速学院長に”お願い”をしてきますわ」

とぱたぱたと学院長室に駆けていく


 宿に戻りミーアにそのことを話すと

「いいなぁ”お泊り”かお姉ちゃんもお呼ばれしたかったなぁ」

等といっていて異論は特に無いようだ。


「ビヨンも明日の夜は、ミーお姉様にお願していいですか? 」

「えぇ、いいわよビヨンちゃんの着せ替えも楽しいからいいわ

お姉ちゃんにま・か・せ・な・さ・い」 と快諾してくれた


...

そして次の日も無事に講義は終了する

...


日を落ち、迎えた夜の寄宿舎の大沐浴場の更衣室にて

...


 制服を脱ぎ、お互いの胸を比べたりブラやショーツを何処で買ったのとか

好きな男子は誰とか、男だったら絶対経験出来ない話で

わいのわいの きゃいのきゃいの とやっていてふと


 俺の、胸の谷間のウロコ群に皆の視線が集まっているのを感じる

(まぁ当然の成り行きだな)

ウロコ群は、タオルで巻いていてもチラチラと可愛い服飾品の様に見え隠れしていた


「コレも魔法実験の影響? 」 とクラウ

「そ、そぅ、これもなの♡ 」 と手で交叉するように隠すも

早速エリスが 

「シーお姉様...私、さ、触っていいですか? 」

とうっとりとした目でねだるので

俺はすこしだけならとエリスの手を掴み自分のウロコ群に触らせると

「わぁ、ここだけピンクなんですねぇ〜 お姉様ぁ〜♡」

指で優しくなぞられてあまりのくすぐたっさに

「や〜〜ん、あまり擦らないでぇ〜♡ ひゃうん♡ 」

とその場にしゃがんでしまう


「さぁさ、エリスシーアも困ってるでしょ」 とクラウが注意して

エリスは、名残押しそうに指を離し自分の唇に付ける


 その後は沐浴場でお互い洗いあったり髪を梳きあったりして

俺は、少女になったこの身体からだで独り心の中で舞い上がっていた。


少女達の夜が更けていく。

      

次回 44話 ベゼリン学術院(地下迷宮偏)

お楽しみに

次話の地下迷宮編に内容が食い込みそうでしたので

こちらに追記し、次話は序盤から地下迷宮にシーア達が潜ります


追記箇所

文中 ”ベゼリン学術院内 某所” より以降全てになります

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