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オルティア・レコード  作者: 南 泉
一章 〜始まりは少女(シーア)から〜 オルティア大陸編
34/75

34 地を這いずる者(後編)

俺は蟲の喉かから胃の腑に続く湿った洞窟を歩いていた編み上げブーツの底が

ねちゃり・ねちゃりと湿った音を立てる。


 時折、ドウンドウンと響くその度に辺りの肉壁がグニグニ蠢く

ここなら、人目はない  蟲をクロに還し

「サモンッ」 とケールを

{{{{オゥン}}}

「ヘルちゃん達もお願い」

{...{オンッ、オンッ、オンッ、}...} も10体のヘルハウンド達もケールに続く

ビヨンにはここに来た時に武器錬成しようとした巨石製の大剣が握り込まれている

「まずは、3つの魔力集中点である

一つはビヨン・もう一つはケール・最後ははヘルちゃん達、お願い! 」

胃の腑の入り口に一つソレはあった大きさはケルベロスの三倍位の半透明で緑色

の球体・中央はぼんやりと黄色に脈動様に光、り球体を緑色の血管が覆っていた。


[ 肯定 ]

{{{ワォン}}}

{...{ウォン・ ウォン}...}

「いっけぇー」 と一声


 ビヨンが縦に一閃・袈裟斬りに二閃・真横に更に一閃であえなく形を失った。

後は胃の腑の中央に一箇所ヘルハウンド達が一斉に群がり形を失う

胃の腑には哀れな犠牲者の成れの果てがあった。


 目をそむけながら消化液に気を付けつつ更に奥のはらわたへ差し掛かる

すると程なくはらわたの中程にあったソレをケールが三つ首で蹂躙され

爪でザクリザクリと引き裂きこれも形を失った


「お、反撃の動きが弱まったぞ中で、じょーちゃんが気張ってるんだテメェらも気合入れろォ」

 微かにニースの声が聞こえてくる


[ 内部魔力集中点・3箇所状態”沈黙” ]

[ 内部魔力集中点・7箇所・現在微活性 ]

[ 錬成維持・時間残り”3割” ]

[ 巨大敵対生物  現在”中から微”活性・移行 ]

 時間がギリギリだ

「ビヨン 統率部を再走査して! 」

[ 肯定...統率部・走査開始......箇所...魔力集中点破壊により...判明・20歩前方 ]


 20歩ぐらい歩くとソレはそこにあった肉壁に半ば埋もれるようにして、

他のオーパーツの色合いとは異なる、板状のオーパーツ群にくるまれるようにして

なにやら深い皺が刻まれたピンクの楕円の塊が隙間から見える。

「ビヨン・ケール!! 」

[ 肯定 ]

{{{ワォン}}}

と飛びかかる も


 キィーンと 鋭く弾かれる。 俺は焦った

「クロ、どうしよう? 」

『成る程、さすが最高等級のオーパーツじゃわい さしものビヨン・ケールでも

歯が立たんか が 算段が有るわい』

「頼む、教えてくれっ! 」

『あの板状オーパーツの隙間を狙ってお主のウィップで正確に貫くんじゃ 掠ると

お主の精神にも衝撃がくるかも知れんぞい 出来るかの』

「分かった」


 俺はウィップを構え意識を集中する、すべてこの一瞬にかかっていた

意識を集中して隙間から見えるピンクの塊を貫く、ほんの少し茨の棘が

板状オーパーツに掠り激痛のような襲撃が頭を走る。

 「ひぅん、ツーッ!!! 」

が 見事ウイップは塊だけ刺し貫いていた、形を失い板状オーパーツが下に散らばる。


{ピギャーーー}

と断末魔の悲鳴が遠くに聞こえる。


肉壁の洞窟が支えを失ったかの様に自重に負けて大きく歪む

「ビヨン・ケール逃げるよっ!! 」

[ 体外開口部  確認・100歩前方 ]

走る 一点の明かりに向かって 走る そして 俺達はヒュージ・ワームに勝利した。


「ウオアー、オーー」

静かな森もこの時ばかりは喧騒に満ちる

 ミーアも体液まみれになりながらも

「おねぇちゃん、頑張ったんだから」

と笑顔だ 

「はい、ミーお姉様も頑張りましたこれは、わたしからのご褒美です」 

と額に軽くジャンプをして接吻する。


皆は早速解体作業入っていた 俺はニースに


「ニースさんお疲れでした お陰で勝利することが出来ました」

「こっちこそ、助かったぜレイドなんてしょっちゅう経験出来るもんでは無いからな」

蟲もあまり動かさんで済んだようだしな」

 

「報酬についてはある素材以外は、ニースさん達に采配をすべて任せます」

「ある素材ってなんだい」

「これです」 と板状の最高等級のオーパーツをすべて小鞄ポシェットから取り出す

「これだけでいいのかい」

「はい」

「おいテメェラ、じょーちゃんがはこれだけでいいとよ 誰かモンク有るやつイネェか? 」

「俺達は、そんなんより武器・防具・金・宝石だぜ なぁみんな」

どうやら、ヒュージ・ワームがたんまり溜め込んでいたらしいみな上機嫌だった。


「...「おうともよ!! 」...」

「てな訳だ、全部いいぜ 実ははソレは硬すぎるのと

魔力防御が強すぎて魔術的にも加工が難しいんでな 俺達には持て余しちまうんだよ」

「そうですか、ありがとうございました」

「で、これかどうするんだい」

「丁度、近くに友人宅があるので、そちらに」

「シーア、達者でなギルドには俺が報告しとこう」

「それでは」

と その場を辞した。


 ブレイル宅に着くなり

「ビヨンちゃんッ元気だったぁ」

開口一番ビヨンに抱きついていた

<<クローティア>>

クローティアが出現する。


『お主も息災か』

「ボクはこの通りさ、クローティア君」

「ビヨンちゃんからの情報でまた夜通しさ」

「これをどうぞ」 と俺は、すかさず緑色の苦そうな汁を差し出す


『お主にはな、これを診てもらいのじゃ 魔力痕跡が残っておらぬものは儂でも辿れん』 

と壊れた遠聞とおききの魔器を渡す

「これは、ボクが責任を持って預かろう いい分析結果を期待しててくれ」


『後はじゃな”オーパーツコア”の事じゃよ』 とクローティアはミーアに目配せをする

「さ、ビヨンちゃん沐浴にいきましょう」 とさり気なくビヨンを連れ出す。

二人いなくなったことを確認して

『聞けば、ビヨンにもディーボと同じオーパーツコアが使われていると説明を聞いてからの

心配になってな 説明せい』

「確かに、ビヨンとディーボに有るとされるオーパーツコアは同じだ が、これを見て欲しい」

と何かを取り出す。

 ソレは硝子の立方体オーパーツコアだがなにか違う

よく見ると中央の虹色部分が無い


「これが遺跡で見つかったそのままのオーパーツコアだこれにボクが”愛”を込めると

中央にはそれぞれ違うが色彩が出る これをボクは”ソフト”が入った状態と呼んでいる」

「オーパーツコアは単なる入れ物でディーボのソレは何者かが”悪しきソフト”をいれて

形をなしている感じですか? 」 と俺が補足すると

「まさにそうだね」

と首肯する。

「でも、形が次々変わりましたよ あれ」 と俺

「ビヨンちゃんのは、器も特別かも知れない・ああさすがボクのビヨンちゅわん♡ 」 とブレイル

『おお、そうじゃったか安心したわい 何者がかは今考えても詮無きことじゃな』


 俺は、蟲の体液でベトベトになっていた

「わたしも”屋敷世界”で沐浴をしたいので......」

「これは、すまないゆっくりしてくるといい」

クローティアを本に戻し、”屋敷世界”に入る

「全く、君達といると飽きないね 次から次へとボクを驚かせてくれるからね」

『そうじゃろうとも、魔導技術者冥利に尽きるじゃろ

儂も、あシーアといると飽きないわい』


 俺は、誰もない屋敷世界で”お作法”なしで 髪も結わずに湯舟を泳いで

ちょっとした開放感を味わっていた。

前姿見で前は、違和感のあったブラやショーツを身につけ手慣れた所作で黒のワンピースを

着る


くるりと回り髪も掬い取るこれも随分手慣れたものだ。


 そして地下の転送陣を踏み表へ出た。

「また、裏の工房みていいですか」 許可を求め

裏手の工房へ行く

「おう、娘っ子 材料は揃ったか? 」

「はい、ここに」 と板状の最高等級のオーパーツとユラのウロコを取り出す

「なかなかいいモノがあるじゃねぇか、この前の短剣こさえてやるわい」

「じゃが、問題はこのオーパーツだ、研磨と切削には ”白金しろかねの星砂” がいるわい」

「”白金しろかねの星砂”? 」

「いつもは少々在庫があるが生憎と切らしちまってる 風の妖精に聞けばどこで手に入るか

教えてくれるじゃろうて 儂らはいつも風の妖精から手に入れておるでの 

詳しいことは彼らに聞いてくれんかの」


「後、”飴”を補充に」

「ほれ、ここに」 と”飴”の革袋を満たす


(これを一遍に”屋敷世界”に持っていくのは大変だしミーアにも負担がかかっている

掃除・洗濯・庭等の雑務も任せているし

もう彼女も現役の冒険者だ屋敷世界の管理専用のオートマトをブレイル氏に

製作依頼を出したほうがいいかも知れない)


本宅に戻りブレイル氏に管理専用のオートマトの件を話すと喜んで引き受けるとの

事 幸いミーアとビヨンは沐浴からまだ来てなかった


「まさか、ビヨンが錬成だけでは無く生物の逆行錬成で解体が可能とは驚いたね」

「ええわたしもおどろきました」


「これからどうするんだい? 」

「これから、森の妖精と接触して南のトリンデに向かおうかと思います」

「トリンデかい!! 」

「えっどうしてそんなに驚くんですか? 」

「ボクは、海が苦手でね気軽に行ける君達が羨ましいよ

それとね ”びきに” を身につけて海岸で遊ぶのが ”流行り” らしいからね

ボクもビヨンちゃんの ”びきに” 姿を見たかったな......っといまの話しは

二人には 内緒にしてくれたまえよ」

「はい、内緒です♡ 」 ウィンクしてブレイルをからかった

顔が真っ赤になり、反応が分かりやすかった。


やがて、二人も戻りブレイル宅を後にする。

外は7の月半ば ”びきに” 姿で海岸で遊ぶには丁度いい時節である。



おまたせしました

次回予告 35話 妖精の長と南の海 お楽しみに

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