33 地を這いずる者(中編)
夜が明ける
後2回の日の出後の朝はいよいよ出発である。
俺は、お気に入り? の水色のワンピースと茶の編み上げショートブーツ
クローティアも お気に入り? の黒のワンピースと黒の編み上げショートブーツ
という出で立ちで クローティアを本に戻し
階下のロビーへ降りる
ミーアは今日も朝早くから屋敷世界で鍛錬なのでいない。
俺は、お小遣いを稼ぐべく掲示板をみていた。
「あら、シーア掲示板をみてどうしたの」 とリア
「わたし、まだ魔物を討伐したことなくて...それとニースさんが蟲のお腹云々ってそれで
お宝がどうとか」
「あぁその事ね、オ・シ・エ・テあげるわ」
「まずね小型の子鬼や豚人やなんかは冒険者や一般人から奪って
装備している武具やお金がそのまま報酬よ
目で見えているから早いもの勝ちな上に、ロクな物がないわ。
粘液状のもいるけど外観が腐肉の塊だから臭いし取り込んでいる武具で攻撃することもあるわ
でもね、斃すまではどれだけ取り込んでいるかは分からないし
それがいいとい人もいるわね。
あとは、中・大型の連中は人を丸かじりか丸呑みよ、だからお腹に装備品や所持品が詰まっている
専用の臓器が有るの、勿論、選り好みしないから量、質、損傷度なんかは賭けね
なかには、何も無いこともあるしむしろ、これが普通よ。
後、マギの塊の魔石もあるわ。
遺跡や迷宮は古代人が遺した生活用品が手付かずで残っている場合が有るわね
古代人が遺した古代通貨は高く買い取ることにしてるわ
後、遺跡は例外なく魔物の巣よ 覚えておいてね。
なにも無いからって魔物の皮・牙・肉・骨等の素材も重要だからね わすれないでね
実績は討伐すればカードに種毎に違うマギが記録されて数が積み上がるから
時々ギルドで情報を更新してくれれば、ギルドでの実績として貢献出来て
通行許可等が発行出来る仕組みよ。
掲示板の難易度はギルドカードの更新よって得られた情報を元にギルドが独自に
設定したものだからあくまで目安よ。
「丁寧にすみません」
「いいのよ」
「ビヨンも覚えておいてね」
[ 肯定 ]
俺は、再び掲示板をみていた。
召喚獣をみても
”魔牛10体:早急” とある
この依頼なら相手にならないだろう
「これで、お願いします」と リアに持っていく
「本当にこれでいいのね」
「はい いいです」
「それじゃ、きを付けてね」
とトルティアの北西に サキュホーン が居座って困っている牧場があるので
そこで討伐して終わったらギルドへ報告との流れらしい。
立会人や依頼人等が監視していなくてその点は気が楽だった
ただギルドへは報告しないといつまでも達成扱いにならないし、依頼人が
遅さに苛立って報復にだって出る可能性があった。
受けた以上は早く達成するに限る。
現地に到着すると確かに サキュホーン が屯していた 通常の牛の二倍ぐらいだろうか
体毛は暗い青緑色目は赤 ツノは捩れて側頭部から前方へ伸びてている
[ 敵対生物確認 敵対度”中” ]
と手刀を構える。
「サモンッ」 とケルベロスを召喚
{{{ワオン}}}
と早速甘える
「一体はトドメだけ、食べないでユラのために残しておいてね」
{{{ワオン}}}
と 尻尾を振る
「ビヨンは2体をお願い」
[ 肯定 ]
「解体はどうしようかな? 」
[ シーア、生物体の構造情報搭載済み ]
「解体が出来るの? 」
[ 肯定 ]
「どうやるの? 」
[ 逆行錬成にて可能 ]
[ 水銀消費量”大” ]
[ 生物体分解”可” 無機物分解”不可” 錬成工程と矛盾 ]
(成る程、生物は錬成出来ない代わりに分解できて、無機物はその逆か
無機物錬成の副産物か)
「分かった後で”飴”あげるね」
[ 肯定 ]
{ワオン}・{ワオン}・{ワオン}
ケルベロスの傍らに更に三匹のヘルハウンド
「やってぇー ビヨン・ケール」と間抜けな声と共に 一斉にケール・ビヨンが飛び出す
まずは、ビヨン
軽くジャンプ飛び越えざまに半ひねり ストッストッと
手刀を サキュホーンの延髄に突き立て絶命させる 悲鳴ひとつ無く沈む
帰り血はついていない
[ ...逆行錬成工程 ”開始” ] と
左手から淡いピンクの銀の光沢を持つ糸がまた投網の様にサキュホーンを包む
包んだ繭状のものが淡く光る
[ 逆行錬成工程 ”一割”...終了 ]
(そうか、工程の進捗度を調整することにより解体の度合いを調整出来るか)
これほどとは予想出来なかった おそらくブレイル氏は今の情報で狂気乱舞してるに違いない
するすると”繭”が解けここにも ツノ・皮・肉・骨が綺麗に二体分あった
血すらついていない こちらには 魔石は無かった。
一方、ケルベロスはヘルハウンドを囲ませる
{{{ウオン}}}の 一言でヘルハウンド達が一斉にとびかり喉笛を噛み切る
ケルベロス自身も三つの首を縦横無尽に振り、血のの匂いが濃くなり柔らかいモノが
潰れる音が響く グヂッ...グヂッグヂッ と音の蹂躙が続く
俺は、自分の召喚獣ながらあまりの恐ろしさに ”お漏らし” をしそうになった。
程なく、音の蹂躙も終わり、後には”半解体”された7体の サキュホーンが残された
「ビヨン、お願い」
[ 肯定 ]
[ 逆行錬成工程 ”八分”...終了 ]
”繭”が解けここにも ツノ・皮・肉・骨が綺麗に七体分あった
こちらにも 魔石は無かった。
ケール達が”ブルブル”をやって こちらに尻尾を振りながら血だらけの顔をすり寄せようとして
「ちょと、まって・まってぇ」 と慌ててタオルで拭く
他のヘルハウンド達も拭いてもらうのを待っていて
「順番にね」 と順番に拭く
ケールが今度こそ甘えてきて
”お漏らし”をしそうなのを感じ取ったのかスカートの股間部分に鼻を近づける
「いや〜〜、ソコはゼッタイだめーーっ!」
と俺は何度目めかの変な声を上げた。
慌てて「今度から、ソコはクンクンしないでぇ」 と懇願する
{{{オン!!}}} と返事はしたが本当に分かったのだろうか?
そしてクロの魔法陣へ還っていった。
<<お主、さすがじゃな
初回であれだけ”ケルベロス”を使役するとはのう驚いたわい、普通は半死半生じゃというに>>
俺は、改めて冷や汗が流れた。
「ユラ出ておいで、お肉だよ」
「お腹減ったでしょ」 と残り一体のサキュホーンを与える
{きゅーい♪}
久々の餌によろこんでいるようだ
「ビヨンも、お疲れ様」
[ ...んっっんっ... ] と”飴”を口に含む
俺は、”素材”を小鞄にしまうとギルドへ帰りカードの情報を更新する
「おつかれ様、素材の代金と報酬代金を受け取って頂戴」
「はい、ありがとうございます」と代金を受け取りギルドの掲示板を見ると
!!南のトリンデにて王国勅令”デーボ”討伐計画さる仔細は”トリンデ”にて!!とある
<<シーアよ、小奴じゃよ我が不倶戴天の敵!! >>
<<何だ? 突然? >>
<<儂の憎き不倶戴天の敵に通じておるやも知れん今の件が終わったらトリンデとやらに
向かってくれぬかのぅ>>
<<不倶戴天の敵って? >>
<<すまぬ、儂も長いこと封印されてておってのうぅ、...思い出せんのじゃ、
ただソレに通じておるやも知れんと言うことだけは、はっきりと感じるのじゃ>>
<<だからのぅ>>
<<ッツ 、当然だろ元よりそのつもりだからな>>
<<儂の、”お願い”なんか放って置いて連れ回してもいいんじゃぞ
世界の命運とやらにお主らを巻き込もうとしてるやもしれんのにか>>
<<この前、言っただろう世界は好奇心に満ちていると”面白そう”じゃないか
今後は、ディーボとやらを追いかければいいのか>>
<<そうじゃ、正確にはディーボのオーパーツコアを追うのじゃ、きっとその先に
答えは見つかるじゃろうて、情報が無い時はお主はお主でこの世を楽しめ
だからのぅ>>
<<研究者には”目標”が必要だろ、お前にとことん付き合ってやるさ、クローティア>>
<<すまぬのうぅ>>
<<ビヨンにもオーパーツコアが使われていたな蟲を始末したら彼に聞いて
みよう 遠聞の魔器の件も有るし情報が辿れるかも知れん>>
<<そうじゃな>>
昼時、ミーアが”屋敷世界”から帰ってきて俺の戦果を聞く。
「シーちゃん、すごいじゃないそれ」
いつのまにやら”シーア”から” シーちゃん”呼びになっていた 俺も”シーちゃん”と
呼ばれるのはまんざらでも無かった。
「えッ、どういう事? お姉様?」
「普通はね、あの”サキュホーン”はね数が多いと手厳しい相手なの まぁでも無事で
良かった」 と自分の豊満な双丘に抱き寄せる。
テーブルにはニース一行が歓談していた あの事を相談するには頃合いだろう
「あのぅ、ニースさん」
「なんだい、シーア? 」
「今、どれぐらいの仲間が集まってます? 」
「そうだな、俺ら規模のが15位だ」
「全体として丁度良いくらいの規模ですね 壁役は? 」
「仲間に一人は必ずいるからこれも15だ って何でそんなこと聞くんだい? 」
「今回は、ヒュージ・ワームを出来るだけ、動かさないようにしたいんです」
余計な被害を広げたくないんです(ブレイル氏と妖精の事は敢えて伏せておいた)
「そいつは、構わねえが皆それぞれに己の戦法と定石がある
ソイツを聞いてから出ないと壁役連中は動かねぇぜ
壁役は仲間の要だ 分かるだろ」
「今回は、ニースさんが壁役のリーダー兼、全体指揮のリーダーでも有るんですよね」
「そうだが」
「わたしに算段が有ります」
「ほぅ、聞かせてくれ」
「皆さんで......の周りを...と言う感じですが」
「うーむ、おいテメェラはどう思う」
「蟲が寝てる間にソレをやるのか いいね アタシはシーアの作戦 乘ったよ」 とナリア
「僕も異存ありませんね」 とオルト
「おれも漲ってキター」 とソーヤ
「私もそれでいいわ」 とリーリャ
「わたしぃそれで皆さんを支援しますうぅ」 とサリ
「わたしは最初、皆さんと戦って頃合いを見計らってビヨンと二人で遊撃します」
「ミーアお姉様はみさんと最後迄一緒にいて戦ってくださいね」
(何しろクゥちゃんを喚ぶわけにはいかないからな)
明日は最後の準備日である。
「私達、昼食どうしよかお姉様」
「そうねぇ」
※※※
その頃 王都ギルトス地下大空洞部 古代聖堂遺構内
ドクロに交叉した剣をタトゥーにした
えんじ色のフード付きロングローブ黒の飾り紐付きの人物達が何やら呪詞を
唱えている
「...「廻れ廻れ、天理の環・停まれ停まれ・転生の環 コキトスの乙女 冥き
深淵の袂へ来たれり...来たれり......来たれり」...」
黒い蝋燭を持と硝子の立方体を持ち邪像の周りをゆっくり左周りに廻る
その硝子の立方体はビヨンのオーパーツコアに似ていたが虹色ではく
中心には冥き闇があった。
「我ら、3000の年月の悲願がここに成されよう
彼ノモノの生命の泉、我が盟主に捧げん」
と司祭らしき男が盃を掲げる。
傍らには
ダークバイオレットのロングワンレングスの妖艶な笑みを浮かべた長身の女性が
「ネェェ...我が君主 コキトスの乙女 を早くここに連れて来てくださいな ヤンスったら
ワタクシを焦らしてばかり ネェ」 とツッーと 司祭の頬をひっかく・赤い筋が引かれる
それを長い舌でゆっくり舐る。
「今は待ちたまえ......君、ヤンスの情報を待とうじゃないか 今はまだ...今はまだ」
「エエェ そうねぇ、可愛いく熟すのがワタクシのタノシミ 早くイジメたいわあ」
そうつぶやくとロングワンレングスが祭壇の奥の闇に沈んで消え
シーアを巡る運命の歯車がカチリとがまた一つ噛み合う。
※※※
「お姉様、わたし甘味が食たいです]
「それ、いいわシーちゃんいいトコ知ってるわ」
と俺達は甘味店に入る何故かこの身体になってからやたらと甘味を欲しがる
ようになっていた。
「あのぅ、オートマト連れは大丈夫ですか? 」
と聞くと
「はい、問題ございませんよ よくお嬢様のようなお方が連れてらっしゃいますから」
ただじっと座らせているのも、ビヨンには自由意思があるのに心が痛む
「ビヨンには”飴”あげるね」
[ 肯定......んゅんゅ... ] と口に運ぶ
...
「まぁ、オママゴトかしら」
「可愛いこと」
...
嫌味とも蔑みともとれる言葉を流す。
<<儂にも、”匂い”を嗅がせんか>>
<<”妖精”だって珍しいらしいのに キリンズでの反応見たろ>>
<<儂は別に困らんぞい>>
<<俺が困るんだ>>
目の前に運ばれてきたのはパンケーキで南で取れる甘い香りの
香料を使っており大変おいしかった。
午後はまたミーアは屋敷世界で修練だそうだ
「お姉ちゃん、シーちゃんには負けないだからね」 とウィンクする。
.........
......
...
日の出4回目の夕刻。
「結局、15組みですか リアさん」 と最終確認をする
「ええそうよ 総計60名悪くないわね」
「それでは、締め切って下さい」
「了解よ」 レイドの募集がここで締め切られる
.........
レイド当日。
俺達はトリスに向かうべく街の出口に来ていた
「シーアは”足”はどうするんだい アタシ達はこれだけど」を馬車をさす
「わたし達は召喚獣に乗っていきます」 と予め出てもらったユラを指した
「あれぇ、シーアのリボンは? 」 とサリ
「大切なものですからここに」 と小鞄に手を添える
「成る程ぉ すごいですぅ」
「これ、お祖父様からもらった御本なので」
「あぁ、成る程ね シーアのお祖父様ってすごい召喚士様ね」
と一同納得していた。
ユラに座り妖精から相談をうけたところまで来て ユラがブルブル震えドサリと赤黒い
何かを落とした
よく見ると大きなウロコである
<<クロ、ユラがウロコ、落としたぞ大丈夫か病気じゃないだろうな>>
<<大丈夫じゃぞい、蛇竜はなすごく稀に成長しきった古いウロコを自然に落とすんじゃ
そうやって身体も成長するんじゃ、お主らには分からん成長じゃろうけどな>>
<<おお、これは丁度良かった 例の短剣の材料が一つ揃ったな>>
<<そうじゃな>>
ソレを小鞄に仕舞うと皆がやってくる
ニースが指揮を執る
「おいテメェらアイサツはナシだ、まずは”斥候” 様子みて来い」
「...「応っ!!」...」 とヒュージ・ワームへ15人が散っていく
「ヤツは動いてねえ、瘴気は出ているがな」 斥候のリーダーらしき男
「辺りにザコは? 」
「いねぇ」
「俺らも行くぞ」 盾役を筆頭に陣形を組みながら進む。
ザシザシ 隊列が進むやがてヒュージ・ワームが見えて来る
「作戦は昨日伝えたとおりだ
まず、
”盾役”がヤツを囲む・その後ろで遠隔で攻撃出来る奴、痛疵をいれろ
”近接攻撃役”はヤツのオーパーツの隙間からあの柔肌を蹂躙してやれ
最後に
”治癒役”ぅ しっかりと”盾役”と”近接攻撃役”の支援 頼まあ」
遠隔で攻撃出来るヤツは後回しだ 自分に”治癒魔法”かけろ、互いに支援しろよ
頃合いで シーアが体内に入る 喰われたと思って先走るなよ
特にソーヤ、テメェはレイドは初経験だ気張るなよ
オシッ!!! テメェら自分が死なない程度にぶちかますぜ!!! 」
皆視線を合わせ頷く、これが合図だった、
「...「応!!! 」...」
素早く 皆自分の持ち場へ着く
ニースが右手を振り合図をする。
これを皮切りに後方から 矢、炎弾、火球、火矢、氷弾、雹球 、氷矢が降り注ぐ
ブシュリ・ブシュリと肌に潜る
ヒュージ・ワームの体液が 豪雨の様に降り注ぐ
地面近くで剣戟音と共に火花が散る。
俺も負けじと大きな顎の甲虫で参戦する。
サイクロプス戦の時のように体内に潜りこませて 「いっけぇー」と指示を出す
当然、ヒュージ・ワームも黙っちゃいない薄い皮下から触手を出して、近接攻撃役を襲う
「遠隔攻撃はあの触手を先に潰せ」
ブチリ・ブチリ・ブチリと触手がちぎれ飛ぶ
また、体液の雨。
「ソーヤテメェ出すぎだ おい誰かソーヤをフォローしろ」 とニース
「ここはアタイに任せな」 とナリアがヒュージ・ワームの足の関節を拳で潰す
薄い皮下から粘液の塊が飛ぶ
「治癒役は当たりそうなヤツに結界貼れェ」
「はいですうぅ」 とサリ
「盾役 に治癒足りてネェぞしっかりよく観察しろぉ」
「みなさん、マギの消費には気を配って下さい あのオーパーツを狙わないで下さいよ
術のムダ打ちです!! 」 とオルト
「みんな、皮膚の特に薄いトコ狙って!!
疵を作って術の攻撃を通りやすくするの!! 」 とリーリャ
[ 巨大敵対生物走査開始 ]
[ 内部魔力集中点・10箇所確認・現在微活性 ]
[ 統率部 箇所依然不明・巨大敵対生物 現在中活性 ]
ズズッとヒュージ・ワームが動く
[ 内部魔力集中点・内3箇所・現在”中”活性に移行中 ]
そろそろ”頃合い”である
「ニースさんそろそろわたし...」
「おぅ シーア、中は頼むぜ こちとらいつまで持つか分からねぇ」
「行くよ、ビヨン!! 」
と俺はビヨンに抱えられながら ヒュージ・ワームが大口を開けた瞬間飛び込んだ
後は、時間との勝負である。




