31 地を駆(か)る者たち
「ユラ、出ておいで」
{きゅいーん}
ユラが出てきて足に甘えて足に纏わり付いてきそうになるのをさり気なく
避け頬を変わりに撫でてやる。
「ふふっ くすぐったい」 今度は自然に声が出た
「まずは、第一発見者で在る俺達がギルドに冒険者による大規模討伐隊依頼を出す」
(レイドならミーアも参加できるしな)と
ミーアを見て
「今回はどうしても、欲しい素材がある第一発見者は欲しい素材の交渉優先権があるで
いいんだよなミーア」
「えぇそうよ、第一発見者は欲しい素材の交渉優先権があるわ」
第一発見者は早いもの勝ちなので素早く依頼を出す必要があるのだ。
「そこで、屋敷収納の件もあるしトルティアで依頼を出しその足で屋敷に向かう」
今回は冒険者を集め討伐の準備がある
だから、時間の猶予が欲しい旨 ミーアに妖精に交渉してもらう
妖精達の反応を見るに快諾をもらったようだ。
「この件が終わったら妖精の長が是非会いたいそうよ」
『何っ、妖精共の長じゃと』
俺が 「なんで、そんなに驚く事か? クロ」
『うむ、妖精共はなお主らが使っている魔器とやらより不思議な力を持っているモノ
を持っておってのぅ あわよくば、珍しいモノが手に入るやも知れん』
「これは、良いことを聞いた モノによってはこれからの冒険が有利になるかもだな」
『どんな局面でも”機”は逃さぬことじゃ』
「そうだな」
『そうじゃ』
「ユラ 乗せてくれる? 」 と自分でも驚くほど自然な少女口調が紡ぎ出されていた
{きゅい}
「っと その前にっと ビヨン」
[ はい、シーア ]
「ちょっと、ごめんね」 と恐る恐るビヨンを持ち上げてみた
しかし、魔導人形ということと水銀が血液代わりとの割には驚く程軽く外観相応の
重さだった
[ シーア、突然強い符号列が頭部の中に発生しました ]
「それは、多分 ”驚く” という感情かな」
[ これが ”驚く” ですか ]
「その、符号列は大切にしたほうがいい その ”感情” はビヨンだけのものだから」
[ これが ”感情” ですか ] と両手を胸に添える
きちんと、スカートを手ですくい更にショールでその上を覆う
これで風であおられる事は無いはずだ どうも”アレ”の一件以来 ショーツが地べたや椅子などに
直接触れるのが嫌になってきていた
確実に何かが変化しているのかも知れない。
「それじゃ、行こうか]
と南西にあるトルティアの方向を指した
[ 今、水銀が下に移動しました ]
「それは、なかなか慣れないよね」
眼下に ”ヒュージ・ワーム” が見える 必ず”アレ”を手に入れなければならない
と上空から睨め付けた。
久しぶりのトルティアであるそしてますはギルドである。
クローティアを本に戻す。
「あら、シーアじゃない暫く顔を見なかったわね どこいってたのよぅ」
「えぇ、まぁ...」 と濁した。
「ところで、あの娘だれよぉ」
「旅に同行しているビヨンといいます」
とビヨンをリアに紹介する。
「あら、じゃあギルドカードに”随伴者”登録するそれとも”冒険者”登録? 」
「今回は” 随伴者”で」
「はい、” 随伴者”ね」
と俺のギルドカードを差し出しビヨンの手をカードに押し当てる
すると 自分の名前欄の下の
随伴者 : ユラの 下に
随伴者 : ビヨン (魔導人形:オートマト)
の項目が追加された
「えっ!! あの娘 オートマトなの!? 」 と驚愕していた
「え 何で驚いていんるんでしょう? 」
「まぁ普通 オートマトなんて冒険に連れていかないし 出来ることは屋敷の掃除か簡単な警護か
貴族の玩具よ」 と言う
俺は今のリアの言葉で 世間のオートマトに対する見識を察した。
俺はビヨンしか人型のオートマトを知らないからな 他の人型のオートマトが
どんな感じかは分からなかった
皆こういう(ビヨン)感じかと思っていた
[ シーアこの人物は ]
「この人は冒険者組合の窓口のリアさんよ 覚えておいてね」
[ 肯定 記憶領域に記録 ]
「何、今の! この娘がしゃべたの? 」
「はい 抑揚はないですが 普通に会話出来ますよ」
「そぅ? ごめんなさいあまりに自然で吃驚しちゃただけ」
[ この人物をシーアの友人に登録 ]
「はは」 と乾いた台詞がリアから漏れる
「ちょと 触っていい」
「どうぞ」
リアはおっかなびっくりビヨンの頬に触れる
「柔らかい 信じられない」
壁には
!! オートマト競り(オークション)東の街キリンズで史上最高額で即決落札さる !!
と羊皮紙が貼ってあった
リアはそれを見て 「はは、まさかね」 と目を細める
「それで本題なんですけど」 と メモ代わりの木の葉に要件を書付けて 渡す
「貴女が第一発見者でないか確認するわね」 ややあって
「安心して 貴女が第一発見者よ 素材の交渉優先権はあるわ それで貴女達も
参加するの? 」
「はい、わたしたちも参加します」
「じゃ、今の件を正式に貴女を第一発見者及び依頼者として大規模討伐隊を
受理するわ 後、募集期限は? 」
「4回日の出までで5回日の出に北東のトリスに向けて出発でお願いしたいです」
「いいわ あと出発までこの街から出ないでね」
「はい リアさん」
早速貼りだされる
...
「おい、聞いたか 大規模討伐隊だってよ」
「何処で? 」
「トリスの近くだってよ」
「近場じゃねぃかよ」
「エモノはなんだい」
「ヒュージ・ワームらしい」
「げッ あの蟲かよ でもおかしいな アイツぁめったに地上になんざ出て来やしねぇのによ」
「何の気まぐれなんだか」
「蟲の気持ちなんざ知ったこっちゃねぇよ」
「こちとら報酬が一番よ」
「それもそうか」
「大規模討伐隊ってからにはデカブツなんだろうな」
「行ってそこらにいる蚯蚓じゃつまんねぇからな」
「そりゃそうだ」
「ことろで依頼者の シーアってだれだ」
「さっき、受付にいたあの娘らしい」
「あの娘か であの隣にいるピンクの娘は何だ」
「さっき ちょっと話しぃ聞こえたけどよぉ あれオートマトらしいぜ」
「げっ 人形かよ まんでまたこんなトコに」
「貴族の遠足やらお遊戯じゃねんだぞ 貴族共の考えている事、分かんね」
「全くだぜい」
...
「こっちはなんでもよ 空によ 竜の骨に植物が絡まって出来た島?
があるってぇ噂だ 俺はこれを追いかけるぜ」
「そんなんあるかよ」
「オトコは浪漫だ」
「へいへい」
...
<<[ シーア、あそこに敵対度”微” の人物を確認 どうしますか? ]>>
と念話で聞いてきた
<<あれは、単なる会話だ あれは無視していい>>
<<[ 肯定 ]>>
...
「おいあの人形 いま睨んだぞ」
「放って置け 人形ごときに何もできやしねえ」
「あの貴族の娘の”お人形さん”が壊れて騒がれでもしてみろ 厄介だせ」
...
「でさ、シーア アイツらの報酬はどうすんの? 」
「わたしは、ある素材だけでいいです あの蟲のお腹に溜め込んでいる武器や防具や現金は
他の皆さんで貢献に応じてギルドで差配してくだい」
これとは別に
「これを別報酬で皆さんに」
と言って
「ミーアお姉様お願い」 とミーアを呼ぶ
「しょうがないわねぇ、お金使いが荒いんだから」
とキリンズの買い物以降のパテント収入分すべての額を提示する。
「相変わらず、すごいわねぇこんな額をポンと提示出来るなんて」
「えへへ」
とニヤついていた 何しろ莫大な資産もパテントも自分とシアズとで築き上げてきた物だ
その自負がその言葉と笑みを出していた。
「あの、リアさんまた密談室貸してもらえますか? 」
「えぇ いいわよ、代金はまたミーアから? 」
「いぇ 今度は自分のお金で払いますとクロから代金を取り出す」
「魔導書っていろいろ便利ねぇ」
しきりに感心している
密談部屋は少し懐かしかった
入ると早速
「シーア理由を教えてちょうだい」
[ シーア、説明を求めます ]
『お主、ちゃんと説明せい』 と妖精の森(仮)と同じ会話が繰り返される。
<<クローティア>>
とまた少女体にする
「まずは、あの大きさだあんなヤツを下手に刺激して暴れさせてもしてみろ
妖精は勿論、アイツ(ブレイル)にも被害が及ぶかもだろ
例え、アイツ(ブレイル)が無事っだっとしてもあの設備と工房を失うわけにはいかないし
それに、オトコは秘密基地が壊れると浪漫を失って生きる情熱も失うものなんだ
そこを汲んでやってくれ」
「ビヨンが、いってたろ魔力コアが10有って”不活性”つまりあの時は動いていないと
だから、刺激しない判断をしたんだよ」
「シーア、なるほどね秘密基地が云々がはシーアが経験済みだものね
尤も深酒でのミスだから自業自得でしょうけど」
とにぃーと笑い俺の鼻をつまむ
「俺は、ミーアお前と2階の蔵書が無事だったからな、それにアイツ(ブレイル)は独り身だ
情熱を失うことの意味は大きい」
と自嘲気味に言った。
[ 肯定 ]
『お主、分かってきたではないかのぅ』
と俺はその時前者に対してなのか後者に対しての
返答なのか分からなった。
「さあ本来の目的を果たすために屋敷に帰るぞ」
『お、お主 ...』
「どうした、途中でいいかけて」
『うむ、これは屋敷を儂の中に収納してからじゃ』
こうして久しぶりに屋敷に戻ってきた。
『ではの、結界を解くぞい』 クローティアが何事かつぶやく
張ってあった結界が溶ける様に消えていく
『儂は、敷地内を点検するでの』
「俺は、ビヨンに”仕事”をお願いする」
「私は、中をお掃除してくるわ」
「ああ、頼む」
「さて、ビヨン... ...と言うわけだ」
と一連の流れを説明する。
[ 肯定 ]
[ 魔導書”ネクロン”シーア・ミーア”ネクロン”内滞在時 最優先保護物品指定 終了 ]
[ 魔導書”ネクロン”シーア”ネクロン”内滞在時 最優先保護物品指定 終了]
[ 魔導書”ネクロン”シーア”ネクロン”内滞在時 保護優先順位”1ミーア””2ネクロン”指定 終了]
[ シーア、敵対人物・敵対物 定常処理未設定 ]
「そうだな、 敵対人物は生命は奪うな”軽く”あしらえ 物の場合は”徹底破壊”だ お前
自身が危なかったら 身の安全を確保しろ これも重要な”お願い”だ
[ 肯定 ]
[ 敵対人物・敵対物 定常処理設定終了 ]
「これで、いいくれぐれも頼む」 と深く頭を下げた。
『お主、ミーア・ビヨン急いで儂の所へまいれ』
クローティアが皆を呼ぶ 何事かと駆けつけると俺の墓の前で何かをつまみあげる
『これを見てみぃ 遠聞の魔器じゃ 結界で弾かれよっとったから壊れているがの』
と目を細める。
「いつから、俺達の会話を盗み聞きされていた!? 」
『結界で弾かれよっとったから、結界を張る前なのは確かじゃ
早速、ブレイルのヤツに分析してもらおうかの』
「今、出来るのはそれしか無いか ヒュージ・ワーム討伐がおわったら彼に依頼しよう」
『後、地下実験室にまいれ』
と地下実験室に行く ここも久しぶりだ。
『ここに、儂のナ・カ・にいる時の出口の転移陣をこさえるでの』
何事かつぶやき手で転移陣を描くと赤黒い転移陣らしき文様が描かれた
『儂のナ・カ・から出る時ここに立つんじゃ ビヨンの隣に出られるでの
それとな、お主の”アレ”おかげで儂の眷属共がお主に甘えたいと言ってくるヤツまで
出てきよった 最近のお主はめっぽう”オンナの子”らしくなりよってからに
それではこの文字列をお主の血で擦るのじゃ』
そうして俺はまたプツリと指先に
血の珠を作り俺は開いたページに記されている2番目の文字列を擦った
すると、今までかすれてい文字列がまたもや赤黒い燐光を放ち収束すると同じく赤黒く
くっきりと古代語がはっきりと読み取れた.
『儂が意訳すると要はじゃな ”地の眷属共を従えた” となっておる』
すると
{ワォン}
とそこにいたのは尻尾を激しく振る牛程の三ツ首の犬”ケルベロス”だった
「あ、ワンちゃん」 とミーア
[ 犬です、シーア ] とビヨン
{{{ワォン}}}
と激しく甘えてきて顔らやらを舐め回す
「いやーぁ、ソコ舐めないでぇダメー・んっー」 と変な声を上げた
顔がヨダレだらけになった
『ようやく、一本取ったわい っと名を付けてやるんじゃ』
「そうだな、”犬”には名だな よしお前は”ケール”だ」
『お主にしては良い”名”を付けたでははないか 小奴( ケール)には10頭の
ヘルハウンドが従っておる、存分に使いこなすがよい』
「よし、今は戻って」
{{{クォーン}}}
再びクローティアの鞄の中に霧状になって入っていく
(俺もそろそろ個人用鞄が欲しくなってきた、何しろワンピースにはポケットなんかない
男のときは実験着のポケットが鞄代わりだった よくミーアに洗濯の邪魔になるって
よく怒られたっけな)
男から少女になっても習慣で鞄を常に持ち歩くのはなかなか慣れる事が
出来なかった
(となると、やはり女子向けの小鞄かぁ容量は大丈夫かな)
本当はごつい大きな鞄が欲しったのだが、逆に悪目だちするこれはしょうがないな、うん これは。
と納得させた
屋敷の表へ出ていよいよ屋敷を収納るときが来た
クローティアを本に戻す
「そういえば、井戸や川はどうなるんだあと天気は」
敷地内には小川や井戸もある
『それも心配せんでええからの、井戸や川は特殊な空間で外につうじておるからの
トイレとやらも冥界の火口に繋がっておるし落ちないようにして用を足せ 屑入れとやらも冥界の火口に
繋がっておるからそこに捨てい、天気と時の流れは外と連動しておる
それではお主の墓に手を触れるんじゃ ではいくぞい』 との声と同時に
俺が赤子のときから現在までの記憶の早回しを外から眺めている感覚に襲われて暫くすると
屋敷の周りと地面が半球状に抉れる。
そうして、”屋敷”は俺の生きた魔導書”ネクロン”の中に収納されて”冒険”のための
準備が整った。
※※※
ここが大きな湖になって観光名地になったのはまた、後の話である。
※※※
そのまま、俺達はギルドまでいき
「リアさん、レイドの準備が出来まで宿を借りていいでいいですか? 」
「いいわよ、ゆっくりしてってね 」
「よぉ、リア シーアってのは誰だい」
と豪快な口調で声を掛けてきた人物がいた
そこには、筋肉の塊が立っていた
「はい、 わたしです」 ペコリと頭下げる
「ふーん、お前さんかい依頼を出したってえのは」
「はい」
「貴族のお嬢が何だってまたレイドでしかもあんな蟲なんざの討伐依頼出しだんだい」
「えーっと...」と言い淀んででいると
「ほら、アンタ理由なんて聞くんじゃないよ 悪りぃね ウチのバカ亭主の気がきなくて
っと 自己紹介がまだだったね
アタシはウル族の”ナリア”、コイツがウチの気がきかないバカ亭主の同じくウル族の”ニース”」
「わたしは、召喚士のシーア、こっちがファイターのミーア、最後にビヨンです」
「えっお前さん、冒険者だったのかい」 とニース
「アンタは、もう余計なことを喋んじゃないよ」 とごつりとニースにゲンコツをくらわす。
「後のメンツはオルト・ソーヤ・リーリャ・サリだ ヨロシクね」
「えと、よろしくおねがいします」 再びペコリと頭下げる
「で、アタシらの仲間がこのレイドのリーダーってわけ」
辺りが暗くなってきて
ナリアは
「今日は早めに休むよアンタらはどうするんだい? 顔見せだけで悪りぃね」
「いえ、私達も明日は買い出しなので早めに休みます」
「それじゃネ」 ナリアがウィンクする。
「おやすみなさい」
と部屋に戻る 日が変わる
今宵は、時節柄、天気もよく満月が辺りを明るく照らす
レイド当日はまさに地を駆る者|(冒険者)たちの戦いの火蓋が切られる。
レイド締め切りまで後3回の日の出
次回32・33・34話 地を這いずる者 前・中・後編 まとめて掲載します
お楽しみに
活動報告を更新しております。




