3 姿見の中の少女
勝手知ったる屋敷なのでいつものように、双丘も露わに腰にタオルを巻いて
そのまま飛び出そうとしたら、
ミーアに
「シーア様、なんて事ですか!」とちょっときつく窘められた。
「えっ」と慌てると
「私がやっている様に胸までタオルを巻いて下さい」と自分のメイド服の上からタオルを巻く仕草をする
「ああ」とオレは慌ててタオルを彼女がいつもしている様に淡い双丘に引っ掛けるようにして巻いた
「これからは、沐浴時等はいつもそうしていてくださいね」とさらに言う
それに軽く手を振って答え沐浴場へ向った
そして大きな姿見で初めて今の自分の姿を見ることになった
あの時、見覚えがあったと感じたのは自分の魂が直接視たのだろう
本来、ホムンクルスは、装置に素材を入れて稼働させると成長過程も分からない上どのような姿に
なるのかはエーソを入れて工程が完了するまで分からないのである
改めて、姿見を見ると可憐な少女がそこにはいた。
歳は13〜15くらいでこのオルティアにすれば華奢な印象を与え
腰まである少し癖のある髪が一番最初に目についた
髪の色は淡い水色がかった銀髪だが、光線の加減で虹色に揺らめきやはりこのオルティアでは
珍しい色調だった
(やはりホムンクルスだからか? )
そして、左のこめかみ付近のひと房がやや濃い水色であった
(これの意味するものは?)
繊細な銀線のようなそのひと房を掬ってみても、さらさらと手からこぼれ落ちる。
目の色は右が淡いアッシュグレイ左が淡い紫水晶色のオッドアイであり
目尻がやや上がり気の強そうな印象も顔の輪郭も相まって与えており
さらに、形のいい鼻、淡いピンク色の小ぶりな口がそこにはあった。
視線を落としてみれば、淡い双丘の合間に何かの紋章を思わせるように白いウロコが配置されていた
(これはドラコ族の素材の影響だろうか? )
もう少し、恐る恐る視線を視線を落とすとやはりそこには虚無があり虚しく風が通るのみ
「むぅ」ホムンクルス体の少女としては快心の出来と言えよう。
しかし、手を上げ瞬きをしても姿見の中の少女は同じ動作を繰り返すのみ
そうこうしている内にやや肌寒さを感じて、俺は沐浴場へ向った。
10話でお屋敷から街に繰り出します。