28 オートマト(中編)
その時 又しくり、しくりと又下腹部が内側から内蔵を掴まれる様な感覚に襲われる
俺はこの身体になってから食べ物選びは慎重にしてたつもりだった。
ホムンクルス体の身体が食べ物にどんな反応示すかわからないからだ。
(これは、異主食反応(ホムンクルス体にだけ強く反応する食べ物)? かと
思ったがそうでもない)
内蔵を掴まれる様な感覚がガマン出来なくなり、しかし階下のトイレにはいくには距離がありすぎた。
と 俺の太ももから赤い筋が落ちる
それの意味することぐらい元男性の俺でも察しがつく
オトコ口調もどこへやら
「お、お姉様ぁ、わ、わたしぃ... 」 とあまりの気恥ずかしさにミーアに抱きつく
「やはり、その日が来たのね 大丈夫心配しないで お姉ちゃんに任せて」
と彼女は手早く後を片付けて あとは
「寝台で休みなさいと腰掛けたまま優しく抱き締めてもらってたら、俺でも分からない感情に
振り回されてしくしく泣いた。
するとクローティアが
『お主どうしたんじゃ、いまマギが儂にとっては ”極上” に変化したぞい』 と言う
ミーアがクローティアに事の起こりを耳打ちして説明する
『何と、そういうことじゃったかしかしお主はホムンクルスじゃ 何ら新しい能力に目覚めたやも知れん』
『明らかに、お主のマギの”質”が前よりも”極上”に変化しとるわい』 と無遠慮にいう
まだ残るキモチ悪さに意識が朦朧としてミーアの
「少しおやすみなさい シーア」 言葉も朧に俺の意識は寝台に沈んだ。
俺は、夢を見ていた
・・・何かに立ち向かっている......この前のサイクロプスにているが・・・
身体が黒い霧状である...何か怪物が叫んでいる...腕の様な物が振り降ろされる・・・
俺は必死に逃げる......追い詰めまれる...咄嗟にウィップを構える・・・
っとここで目が覚めた.
『お主、それはどうしたんじゃ』 と言われ右手を見ると無意識にウィップをかまえていたらしい ・・・が、
初戦闘で出現させたにただの鞭ではなかったまさにそれは ”茨” であったしかも3本同時に。
手元から別れて出現してそれは獲物を探すかのようにうねうね空中を彷徨っていた
ガチャンとカップの割れる音を背後に聞いた俺は音の主に吃驚してしまう。
すると今度は茨が一振りのミーアの短剣よりは少し長めで細身の曲刀に変化していた
かっちりとした形ではなく輪郭はゆらゆら蠢いていた
俺は気を落ち着かせるために深呼吸をして
鞭を意識してみたがやはり鞭ではなく”茨”に変化していた
今度は冷静に自分の能力を確認しようと更に意識すると3本までは増やせるようだった
その茨を見て音の主は
「わーちょっと、まってまって私よシーア! 」 と慌てて手を振る。
「あぁすまん 吃驚してしまっただけだ しかし”アレ”が能力覚醒の切っ掛けになるとは
思ってみなかった」
「いいのよ、シーアにとっては初めてだし後はいつでも相談してね」
「ミーア、今度からはメイドみたいなしゃべりかたは疲れるだろう
今みたいに 姉の様な接し方の方が俺も気が楽でな
そうしてくれないか? 」
「えぇ、シーアがそれで良ければ、た・だ・し」
「何だ? 」
「私も、シーアがオンナの子の様なしゃべり方の方が好きよ」
「それは、努力しよう」
『全く、人の世は しゃべり方ですら意識せんとは難儀なものじゃな』
「今を楽しめ ...か」
『そうじゃ』
明日はまた、一日中移動かもしれないオートマトの製作者がここキリンズから真北の”トリス”いる事は
ヒギンズ氏から聞いていたので運搬の必要日数に三回日の出が必要と言って来た事を考えても
明日一日はやはり移動に充てた方が良さそうだ。
「あの、ミーア
沐浴に行きませんか? 汗やら何やらで気持ち悪いので」
「そうね、そうしましょう」
俺達は、簡易着に着替えて階下に降りると男性達の体臭が今までとは別に感じられる
(かと言ってドキドキはしないが)
この身体は、肉体的な成長はしないが自分の体臭や感覚等がアレを切っ掛けに変わり初めて
いるようだった。
沐浴を済ませ下着も全部取り替えネグリジェに着替えると何処も締め付けるところが
ないので楽だった ただ寝乱れるとたくし上がり大変だったが
その夜は早めに就寝し明日にそなえた
「くぁー」 と伸びをして出立の日ギルドの受付で会計を済ます。
今日は日差しが強く朝から気温の上昇が早かったのでショールは被りたくなかった
そこでミーアに昨日の雑貨店の一件を伝える 俺の髪の色はここキリンズでは染め粉で
染めていると思われている事
郊外に出ればユラに乗れば誰にも見られないということなどだ。
すると早速
...
「ねぇあの娘の髪の色綺麗ね」
「どうせ、染め粉でしょ」
「何処で調合してもらったのかしら」
「さぁ。どうせお抱えの錬金術師様がいるのよ」
...
「アンタ、あの色どう思う」
...
「染め粉かなぁ」
「あたしもほしいなぁ」
「いくらぐらいかしら」
「もしかして地色かなぁ」
「地色だったらどうする」
「まさかぁありえないわ」
... ... ...
会話がこちらに向けられない内に発とうとミーアと目配せをする
<<ユラは郊外までお預けな>>
<<きゅぃ!! >>
<<よし、いい子だ>>
「あのお金はここに置いていきますね」
代金をテーブルに置き服飾店と雑貨店で少々買い物を済ませキリンズ北街門で人頭税を
支払いキリンズを後にした。
「おや、アレは銀のお嬢様でやんすねぇ ククッ はて、何やらマギの様子が・・・
こりゃたまげた しかもまた一段と艶っぽくなられてやすね はて、あちら(トリス)に何か
ありましったけ お姫様方ときたら ケケッッ このヤンス使いの荒いこと荒いこと 女を抱くヘマ
もありゃしねぇ こりゃオトコの沽券に関わりやす おおっっと もうこんな頃合い
お姫様方に一報いれときゃなきゃね ケケッッ ってなんであっしは独りで
ベラベラしゃべっているんでやすかね」
「こら、ここ高見櫓は狭いんだ!! 用が住んだら早く降りろ!! 」
「へいへい、旦那方、今降りまさあ」
「こいつは、今夜のお楽しみのお足にでもしてくだせぇ」
「「分かった分かった」」 と”お足”を憚るようにひったくり しっしっと追いかえす
「旦那方、今後もご贔屓に」
と 短杖にはめ込まれている玉を遠見の術で見終えた
ヤンスは南に向かって黒い甲虫のような伝聞蟲を放った。
ふと、高見櫓の衛兵がヤンスを見ると彼の姿はもう無かった




