27 オートマト(前編)
「わたし、オートマトの事って実はよくわからないんです」
「魔導機械ってしくみが良く分からなくて」
(錬金術師は魔導機械の使い方は詳しいが仕組みまで理解する必要はない
求めた事に対して結果が上手く出る様に機械を操作するだけで良い。
俺は、研究者(学者)であって技師ではない、修理は専ら魔導機械技師にまかせていた)
「ははっ 真面目なお嬢さんだ 深く考えることは無い ただ」 と顎をひねる
「ただ? 」 とこちらも小首をかしげる。
「儂も何体もオートマトを所有している訳ではないが 初回起動の方法はオートマト毎に
異なるらしい あのオートマトは一点物だからか初回起動の方法を誰も知らんのだ 製作者以外はな」
「えぇ、そうだったんですか」
「あのオートマトは実は一度も起動したことがないのだ だから競りを転々としていて
前の所有者もわかなくなり、君に落札されるまではヒギンズ商会に所有権があったのだ。
見た目は大変美しいので高値だったという訳だ」
こちらとしても商売なのでな未起動のオートマトを敢えて起動しようとはしなかった
あのオートマトには、こんな云わくがあるのだ」
「儂は、あのオートマトが君たちに落札されて嬉しいよ これは、儂から製作者への紹介状と
所有権利書だこれは初回起動時にオートマトに読み込ませるらしいこれはオートマト全部
共通だ」
所有権利書の名義を見ると シーア・ミーア と著されている
「後、不躾なお願いですが」
「どうしたね? 」
「後、わたしの旅の仲間であり大切な友人の名も加えて欲しんです」 と
「そんなことか 待っていなさい」
「儂としたことが、君にはあの可愛いらしい仲間がおったな失念してたわい すまないな」
俺は、クロ(クローティア) と ユラ の名を告げた
と所有権利書の名義に 魔器でクロ(クローティア)とユラをくわえ
名義は シーア・ミーア・クロ(クローティア)・ユラ となった。
それと紹介状を渡されるときに
「あのオートマトは製作者のところへ、ヒギンズ商会が前もって責任をもって届けておこう
2回日の出が出る頃には彼の元に到着予定だから
これに合わせて君たちも発つとよいではないかな
運賃は落札代金に含めておこう」 とまでいってくれて 俺達は恐縮した
「ではな、良い旅を!」 と言ってヒギンズはその場を辞した。
「儂にも、あんな娘が居ったらな 考えてもせんなき事か」 と深いため息をつき
その声は誰にも聞こえなかった。
「ミーアお姉様、ちょっといいですか? 」
「なあに、シーア」
「あのお店に寄っていっていい? 」
と俺は女子好みの雑貨店を指した
「えっ」
(これには、流石に私も驚いたますますオンナの子っぽさに磨きがかかっている何があったんだろう)
「ちよっと、ここで待っていてくださいな」
「クロもお願いしますね」 とクロも預ける
「えっ、ええ」 と驚く彼女
を尻目に俺は雑貨店に入っていった
(ええい、オトコは度胸! 前々から考えていた事を実行するだけではないか 今を楽しめ だ)
クローティアに言われたこの言葉は 今や俺の座右の銘になりつつあった。
「いらっしゃいませ、あら可愛いお嬢さんだこと」 と言われ俺は慌てて髪に手をやった
しまったショールを被っていない
「髪がどうかしたの? 」
「自分の髪が目立つかなと思って... と自然に振る舞う」
「その染め粉何処で買ったの? 」 どうやら染めていると思われているらしい
「えと、知り合いの大錬金術師様におねがいして調合してもらって... 」
「まぁ、羨ましい事」
とほんの少し険を含む言い方だったがさすが客商売である
すぐにそれは笑顔の奥に潜めていた。
「どれをお求めですか」
俺は2点自分の初報酬で、ある雑貨を買い求めた。
宿に着き クローティアにして ミーアを呼んで
「今日は、2人に渡したいものが有る」
「なんですか? シーア改まって」『何じゃ、お主? 』
「俺のためにいつも済まない」 ミーアに小袋を渡す
「開けていい? 」
「お前に似合うと思ってな」 と彼女は目を見張る
「こ、これ」
そう、俺が雑貨店で買い求めたのは冒険者の初報酬でケット族用の
戦いの加護の効果有ると言う結晶を嵌め込んで有るイヤーカフスだった。
「ねぇ、シーアが付けて」 と子供がおねだりするようにいう
今回だけ特別と誰も見ていないのに 少女口調で
「はい、ミーアお姉様」 といい慣れない手つきでミーアのもふもふの耳に付ける
「できれば、いつも付けててほしいな」
「シーアったら まだ、つけ方下手ね」 とさり気なく、くいくいと位置を正す
「ずっと付けてるね」と愛おしそうに触る
後は普段の口調で
「これは、 クロに付けてやるからこっちへこい」
『何じゃ、儂にはや・さ・し・く・言ってくれんのか』
「うるさい いいから俺の前にきたら後ろを向け」
これも雑貨店で買い求めた、魔力が上がる効果が有ると言われる 小さな黒真珠が一つだけ
付いたシンプルなネックレスをふわりと掛けてやる
「お前は俺にいろんな事を教えてくれる そのお礼だ」
『何をいまさら、前にも言うたであろうお主とは命運尽きるまで共にあると』
『そう... これを儂に...』
と言ってふと目を何処か遠くを見る眼差しで照れ隠しをしていた
『ちょっと、見ておれ』 唇に手を添え何事かつぶやきネックレスを触る
すると淡く光りすぐ収まった
「なにをしたんだ」
『これはな、この首飾りを儂の一部としたのじゃ
あまり装飾は好まんがの これは特別なのじゃ 特別な...』 あとは言葉が続いてなかった
『どれ儂を本に戻してみい』 と本に戻すと
『カバーを取ってみい』 というのでカバーを外したらクロの首? に当たる所に
小さな黒真珠が一つ埋め込まれていた
ミーアが 「素敵です」 と触ろうとすると
『これ、触るでないそれはもう誰にも触らせん』 と言う
クローティアの首元にある小さな黒真珠は彼女の雰囲気も相まって
実に良く似合っていた。




