26 オートマト・オークション
二回目の日の出 所はキリンズ遺構半地下部 某所
「「ヤンス! ナンデわたくし達にこんなこんなオモシロそうな娘がイることを
モット早く教えないのかしらカシラ」」
「これは、お姫様方まずはあっしがお姫様方のお眼鏡にかなう相手か確かめに
ご挨拶しただげでやすから」
ヤンスの向かいに二つのトンガリ帽子が揺れていた
「「まぁ、いいわイイワ 今はまだよマダ でアンタの見立てはどう? ドウ? 」」
「あっしが見た感じですがね ケット族の女は相当手練とみやした」
「「そんなコトを聞いているのではないわナイワ 銀の方よそうよ銀のホウ」」
「へへっ 銀の娘の方でやすがね ありゃまだネンネですぜ あそこで仕掛けて
も良かったんですが ちくと 厄介なのがおりやした」
「「ナニそれ、誰それ」」
「ちんまい少女のなりをして 銀の娘の髪に引っ付いておりましたが
ありゃ、どうみても妖精じゃねぇ」
「「じゃ何ナニ」」
「あのちんまいのは魔導書みたいでやした」
「「しゃべる魔導書なんてナンテ、有るのかしらカシラ」」
「そこんところはまだ 銀の娘とちんまいのとはパスで繋がっているようでして 銀の娘
のマギからおぼろげに魔導書じゃねいかとおもいやして」
「「 いいわイイワ後で、われらの お父様 に聞くからキクカラいいわイイワ」」
「「ヤンス! アンタは引き続き 探りを入れてぇ、イレテェ...!!!おいて!!! 」」
とドンッッと床を踏む グシャリと足元から生温かい音が聞こえる。
「「南のトリンデであの仔といっしょイッショに待ってるワ」」
「「それまで我慢ガマンガマン......と自分の指を強く噛む そこから
一筋の赤い物が滴り落ちる」」
「へぃ、分かりやしたお姫様方 ではあっしはこれで」
「「ワタクシ達もあの仔がもっとモット遊べるようにしておかくちゃ」」
「「もう少しモウ少し」」
陽炎の様に輪郭が歪む 後には多数の小動物の死骸が残されていた。
今日は、朝から シーア達は、競り会場の下見に来ていた何しろ競りなんてここにいる誰もが
初めてだったから。
クローティアを本に戻しておく
やはり、オートマトは貴族が多い屋敷のメイドとして、それと有り余る財産で何体も購入して自分たちの
位階象徴を見せつける目的も有るらしい
シーア達は場違いな居心地の悪さに少し緊張した。
事前入場受付があり当日はどんな商品が出てくるか分からない
当日入場で時間を取られる訳にもいかないのでそこでシーア達は
事前入場受付が出来ないか受付担当の女性に聞いてみた
「あのぅ、わたし達事前入場受付したいんですけどぉぅ」
「今回の競りは貴族か貴族の紹介を受けた人物以外は事前入場受付は当然として、
当日も会場の入場はお断りしております
拝見したところおふた方は冒険者のようですので」
と門前払いをくう どうしようかと思案にくれていると
<<シーアよ、あの垂れ幕をよく見てみい>>
<<垂れ幕? >>
<<そうじゃ その垂れ幕の競りの主催主の名をよく見て見るんじゃ>>
クロが話しかけてきた。
改めて垂れ幕を見ると 主催主:ヒギンズ商会 の名とともに あのもらった小さなメダルにあった
紋章がある。
<<お主も、周りに気を付けよ 戦いの時だったら命を落とすわい>>
<<そうだったな 今後気を付ける>>
<<気を付けてね お・ね・えさ・ま>>
とまたクロに一本取られた。
そこで 俺は、メダルをクロから取り出すと受付担当の女性に改めて見せる
「こ、これは失礼しました 本日の 主催主に確認してまいります
お名前を伺って宜しいでしょうか」
「わたしの名は シーア・こちらが姉のミーア」と簡略式の挨拶で済ます
と女性は会場に消えた。
...
......
「ねぇ聞いた? 」
「何、ナニ? 」
「何でも何処かの地下倉庫で、たくさんの動物の死骸が見つかったんですって」
「まぁ、でも動物の死骸が見つかったぐらいで大げさねぇ」
「それがだたの死骸でなかったのよ」
「えっどういうこと? 」
「誰にも言わないでよ」
「えぇ、勿論」
「なんかね、人に思いっきり踏みつけらていたようだったんだって」
「薄気味悪いわねぇ」
「本当に、誰にも言わないでよ」
「分かってるわよ」
......
...
等と会話がシーア達の耳に入ってくる
「怖いわ ミーアお姉様」
俺は、心底そう思っていた
「嫌な話ね」
<<全くじゃわい>>
ややあって女性が戻り
「主催主ヒギンズに確認いたしました ヒギンズは今は準備で忙しいとの事です
当日、貴女方がご落札致しましたら挨拶にあがりたいと申しておりました。
あっ、申し遅れました 私はヒギンズの秘書のリタと言います 以後お見知りおきを」
彼女も何とギルドカードを見せてきた 武器 : レイピア とある
後メダルも返してくれる
「これは大切にお持ちになっていて下さいヒギンズ主催であれば
事前入場受付が出来ますし、他の主催主様の時も多少融通がききますから」 と言って
「明日のオートマト 競り存分にお楽しみ下さい」 と下がっていった
「明日はどんな子が落札出来るか楽しみですね お姉様」
と小首を傾げてミーアを見ると
「そ、そうね」 と驚いた様な顔を見せた
(ち、ちょっとやだこの娘ったらいつの間にこんな仕草が出来るようになったのかしら
賊に入られた後からまだぎこちなさはあるものの、外観相応の仕草や言葉使いが
自然になってきて ちょっと妬けちゃうな)
ギルドに戻り 昼食を済ませ沐浴してやや早め夕食を済ませ
俺は、寝台に就いてそれにしてもと
違和感を覚えた下腹をさすって見たが今はなんとも無かった
そして 競り当日 俺達は開場より早めに到着して受付をすますとペットや妖精は入場禁止事項
だが、
本形態のクロや、リボン形態になっているペットなんて知る良しもないだろう
俺達は、自分の身なりをお互い点検する。
俺は何と薄い化粧まで施されていて更にピンクの口紅をのせられ同じく淡くピンクの頬紅まで
している初化粧は顔が火照り、口紅を思わず舐め取ろうとしてミーアに怒られた。
普段、化粧っ気のない彼女も上品な化粧を施していて可愛かった。
服はといえば今までせめて同じワンピースならと黒や水色で着まわしていたのだが
折角なのだからと、淡いピンク色のフリルレースがいつもより量が有るワンピースを着ていた
足元はワンピースと同色のリボンストラップシューズを履いていて、クロのブックカバーまでお揃いである。
すると、リタさんが現れて
「あら可愛いお召し物ですこと お待ちしておりました シーア様、ミーア様
まずはこれをお付け下さいませ」仮面舞踏用の仮面を渡されていた
お互い素性は知られない様にとの配慮からだ。
しかも俺達が案内されたのは個室だった
程なく、競りが開始されオートマトが次々落札されていく。
なかには落札価格に提示がなく 最低落札価格は伏せらていて総資産の6割やら9割などといった
表記のものまで有る
これの恐ろしいのは落札出来なければ強制的に入札料が総資産の5割発生する事がこの方式の
落札が成立されない理由で有る。
会場はため息、喜び、挙句に落札人同士で喧嘩騒ぎを起こす者まで悲喜こもごもである。
残念ながら、今までに落札意欲がわくオートマトは現れなかった
又の機会にしようかと諦めかけていた時そのオートマトが壇上にあらわれた。
「さて、最後になりましてございます。 本日の目玉 番号0と呼ばれ居ります
このオートマト 希代の天才オートマト職人 ブレイル渾身の作、同じ物は
制作が不可能と断言している 一点物にて御座います」 とケースを開けると
会場から「おおー」と声が上がる。
そこには ゆるふわの背中の中程迄のロング・こめかみのひと房だけ三つ編みにしている
髪色は淡いピンク・肌は白い俺と同じくらいの背の少女がそこにいた
「ミーアお姉様 わたしあの娘が欲しいわ」 と言いひと呼吸置き
「代金は、大丈夫でしょうか? 」
ちらちら視線を送る
ミーアがそっと耳打ちしてシアズの魔器のパテントなどで定期に莫大な金額が入り貯蓄しているし
資産も有るとのこと。
総資産の7割から8割までは即決出来るとのこと いけるかな?
「さて、注目の価格は 総資産の7割5分で即決で御座います 最低落札価格は伏せて
御座います」 高らかに宣言する。
当然言えば当然だが最低落札価格は伏せらている。
よし、と俺は個室から立ち上がり
「あ、あの わ、わたしが即決で買います」 と間抜け声を上げながら宣言した。
やや間を置いて
「そこの銀のお嬢様 宜しいですか」
「はい、いいです」
「それでは、金額のお支払いお願いします」
「代金はこちらが」 とミーアが冒険者カードを通す
金額の数字は資産額の秘密を守るため表示されない、落札可否だけが会場に知れ渡る
すると ややあって落札成立の表示が会場に知れ渡る
会場から「おおー」と声が上がる
最後の宣言 「 本日の目玉 番号0と呼ばれて居ります
希代の天才オートマト職人 ブレイル作 渾身の作・後は同じ物は
制作が不可能と断言してる 一点物のオートマトは その銀のお嬢様に決定です」
宣言された。
「わーー」と大歓声
「あーあ 大きな買い物しちゃった」 とミーア
「大丈夫ですか 」 と上目で聞くと
「資産の方はだいぶ目減りしました でもシーアのパテント収入が有りますから
大丈夫ですよ でもオートマト購入はこれっきりにしてね」
「はい お姉様」とますますミーアに頭が上がらなくなった
<<儂も、はようそのオートマトとやらを見たいものじゃ>> と急かす
俺も、直感で選んだのでどんな能力を秘めているかはまだ未知数だった
(子供のころ読んだ異世界譚にもこんなオートマトみたいなのがあったっけ)
ミーアにも冒険者としての初収入で何か買ってやりたいと思っていた
今はまだ内緒だが。
すると、リタが熱気冷めやらぬ会場の個室にやってきた
「落札おめでとうございます シーア様、ミーア様 ヒギンズがお目通ししたいとのこと
高額落札だろうし、商会の主としては将来の上客になるかも知れないと算段も有るのだろう。
俺達は勿論、快諾する
ヒギンズが入って来て
「おぉ、やはり君たちだったか 儂のメダルが役立ってくれたようで何より
今宵もまた、一段と淑女に磨きがかかっておりますな ハッハ」
「いえ わたし達こそ数々のお取り計らい感謝いたします」
いつもより 丁寧な所作を心がけスカートをつまみ、いつもより深く腰を下げる。
ミーアもそれに続く
「まぁ、そう畏まらんでも良い 代金は ...っとこれは余計な詮索だったな」
「ところで君たちは、旅の途中だっただろうあのオートマトはどうするね」
「そのことなんですが」
と恐る恐る俺は話しを切り出した。
次回オートマト偏は 前・中・後偏とあり すべて一緒に掲載します




