24 東の街 キリンズ(前編)
これで、俺達には対外的には冒険者として活動が出来るようになった。
俺達は周囲に誰も居ないことを確認してしてから
<<クローティア>>
とクロをクローティアにする。
『うっうーん』 と可愛い伸びをする
魔導書と会話してたなんて悪目立ちすぎる。
『お主、すごいではないか』
「何が? 」
『先程の、ギルドの職員との会話じゃよ よくもまぁああも可愛く出来るモンじゃわい』
『可愛いい よく出来ましたシーアお・ね・え・さ・ま』 と日傘でペシペシ叩く
「むぅ」 と気恥ずかしくてあらぬ方を向いて照れをごまかす。
「ところで、屋敷の結界はどれほど保つんだ」
とクロに聞く
『どのぐらい保つじゃと 儂の力を侮ってもらっては困る 儂が術を解かぬ限りじゃよ
じゃがの アレの維持にもマギは消費し続けておるからのぅ』
(いずれマギが切れると結界は解かれる訳か)
「俺は、今の言葉を受けてだな東の街キリンズに行こうと思う」
『屋敷の方向と違うではないか、説明せい』 クローティアが説明を促す
「では、
一つ 屋敷の結界にもマギを消費し続けること
二つ 大きな戦闘等でマギを有効に使いたいこと
三つ 上記の理由から長期は屋敷を空けられないこと
四つ クロの空間に屋敷を収納すれば
二人でクロの空間に入った時、魔導書クロの守り手が不在になること
五つ 守り手はできれば不眠不休の出来る者が望ましい」
を説明して
「そこで東の街キリンズに用が有るわけだ」
『何でキリンズが関係するんじゃ』・「シーア、私にも教えて下さいませ」
「そこで、掲示板にもあったオートマト競り(オークション)だ あの街でオートマトを競り落として
魔導書クロの守り手を ”購入” する訳だ オートマトなら四・五の理由が解決できるうえ
魔導人形なので絶対主の命令には従う事
ある程度自律行動が出来れば独りのときオートマト自身の身をも守れること
オートマト自身が戦闘出来なければ、魔導書もろとも敵の手に堕ちてしまいかねないからな」
を二人に説明した
それで東の街キリンズでオートマトを購入する訳だ。
『それは、妙案じゃの やはり儂の眼には狂いは無かったのぅ』「ですね」
「こいつの試乗を兼ねているしな」 と俺は 結えられているリボンを指し示した。
<<という訳だ、頼むぞ ユラ! >>
<<きゅーい>>
と一声鳴くやリボンが解け蛇竜の本来の姿になり俺に甘えてきた
頬をくすぐってくる。
「ひゃう、くすぐったいたら もぅ」 と又らしくない台詞を吐いて
「では、頼む」と言って ”お作法” は最初だからといって ミーアに勘弁してもらって
ワンピース姿で ユラ に跨った。
ふうわり と
生まれて初めての浮遊感に俺とミーアは心浮きだった
クローティアはおれの髪に抱きついてたが、
『儂には、珍しくともなんとも無いわい』 と嘯いていた。
(普段の眼も緩みニヤニヤしているくせに)
<<高く飛んだことが無いのか>> と彼女?の矜持を守るため念話で聞くと
<<儂は、人の背丈よりほんの少し高く飛べるだけじゃ>>
<<それは、俺に感謝してもらいたいね>>
<<分かっとるわい>>
煽っておいてなんだが俺も景色に見とれていた
眼下を見ればあちらこちらに様々な形状の古代遺跡の遺構群が地面から生えるように
点在し森林地方に目をこらせば、植物がかつての栄華に取って代わり支配していた、海岸を見れば
海水や海の付着生物が取って代わり、砂漠地方に眼をこらせばれば砂・風が取って代わり
遥かな時の流れを感じさせていた。
ミーアを見れば片手で俺にしがみ付き、もう一方の手て両の耳を景色に見とれながらも
必死で押さえていてあまりにも可愛い仕草にドキリとした
(やはり、女性歴? の差が歴然としているな)
<<あの湖の近くに降りてくれ>>
<<きゅいっ>> 鳴いたかと思ったら、浮遊感とはまた、違った感覚を味わい降り立った
<<ユラ 誰かに見られると厄介だ 小さくなってくれ>>
またもや
<<きゅいっ>> と鳴きクローティアと同じ位の大きさに縮んだ。
<<今後、降りたら 小さくなってくれ>>
<<きゅいっ>> と了承を得る。
とその時、「「ひゃぁー」」
男女の悲鳴が聞こえてきた
その後から大きなイノシシ型の魔物が追いかけて来ていた
『何をしとるんじゃ 早ウィップを出さんかい』 クローティアが急き立てる
「ギルドカードで登録された以外の武器で戦って、相手に何かあったら
申し開きが出来なくなる ”召喚” でやる」
「サモンッ」 と
俺は二匹の弾丸の様な甲虫を召喚びだした
「あと一匹は任せた」
とミーアに一匹をまかせ
(復帰後の実践にはちょうど良いだろうし、彼女にも華を持たせてやりたい)
今度の蟲はサイクロプスのときと違って顎はが無いが頑丈な外殻を持つ
「いっけぇー」 と間抜けな声共に甲虫がイノシシ型の魔物の眉間にまっすぐ到達する
のとミーアが
「ヤァーー」
と短剣を両手に構え魔物の喉元を搔き切るのと同時だった
ドサリ
ドサリ・ドサリと三匹の魔物が同時に斃れミーアが返り血もなくトンボ返りで着地した。
まずは人命が先だ。イノシシ型の魔物の処理は後で良い
俺は早速少女の口調に切り替えた
「あのぅ、おふた方は大丈夫ですか? わたし達、ここで休憩をしていて・・・そうしたら」
初老の男性は 「綺麗な、お嬢さん方」 と立とうとするもよろける
「お手を どうぞ」 と手を差し伸べ立上がるのを介助する。
ミーアのほうも初老の女性を同じく、手を差し伸べ立上がるのを介助する。
「まずは、名を名乗らせてくれ儂の名は ヒギンズ こっちは妻の レーア という。
「わたくしは、妻の レーア 夫 ヒギンズと用向きでキリンズに向かおうと...
そうしたらこんな有様ですわ」と
まだ震えが止まらないようだ
時折ぶるりと定期的に震える。
「奥様、ご無理はいけません」 とミーアが携帯用の薄い紅茶の入った革袋を差し出す
「ヒギンズ様もどうぞ」 と俺も紅茶の入った革袋を差し出す
「「あがとう、ようやく生きた心地が戻って来たわい」」
「あっと」 と可愛らしく唇に指を添えクローティアが幾度となくやっていた 貴族の娘の様に
スカートをつまみ足を交差させて腰を沈め挨拶をした
遅れて同様にメイドの流儀の挨拶をするミーア
「申し遅れました わたしは、シーア こちらが姉のミーアです」
(違う種族同士の養子縁組もあると聞く 大丈夫だろう)
姉と紹介したのにメイドの流儀の挨拶をするなんて不自然だからな
「後、旅の仲間を紹介しますね」
俺は”可愛く”をちょっとは意識して
「みんなぁ、こっち来てぇー」 と両手をふって軽くジャンプするとクローティアとユラがこちらに
来る
『儂がクローティアじゃ』 と又尊大にふんぞりかえる
レーアが 「まぁ、可愛らしい 妖精 さんだこと」と上品に笑った。
(どうやら 妖精 に見えているらしい
俺達がみてる普段のクローティアと妖精とはやはり姿がだいぶ違うんだろうか)
何しろ俺達ですら 妖精は見たことがなかった。
レーアのこの笑みの様子をみても幾分落ち着きを取り戻してきたようだ。
「そして、最後にペットの ユラ です」 と紹介すると
{きゅぃ!!}
とヒレをゆらゆら揺らす
「こちらの旅のお仲間も可愛らしいですな」
「本当」
とヒギンズ夫妻。
後、身元はこれが保証してくれますと 俺とミーアはギルドカードを差し出した
すると レーアは
「まぁ、かわいい召喚士さんにファイターさんね」
ユラの存在はやはり大きかった この反応を見るに対外的には問題なさそうだった。
ヒギンズは「して君らは何処へ? 」 と尋ねてきた
俺は、行き先ぐらいは良いだろうとの判断で
私達が皆トルティア出身で、これから 東のキリンズへと大きな買い物をしに赴く途中だったことを話す。
するとヒギンズは合点がいったように
「君たちにお礼をしなげればな」 と何かを取り出そうとする
俺達が固辞しようとすると
「どうか」 と強くすすめる。
押し問答をしてもしてもしょうがない
「それではご厚意に甘えさせていただきます」
と受け取ると小さなメダルであった
「これはなんでしょう?」 と俺がためすすがめつみていると
「君たちの”大きな買い物”に役立ってくれるだろう」
と言う
「ありがたく戴きます」 と厚意を受ける。
「また会ったら、今度は君たちを友人として迎えよう ではな」 と
ヒギンズ夫妻はその場を辞した。
「ふぅ、疲れた」とメダルをクローティアの鞄にしまう
「ところでこれどうしようか」 と示す先には三匹の魔物
「ミーア、これの処理はどうするんだ? 」
と俺も冒険者で”初獲物”だ ミーアに処分方法を聞いた。
「普通は、ギルドに持ち込ん込んで解体と言う流れですが」 とすかさずクローティアが
『儂はいやじゃぞ』 と何も言わないうちからすごい難色をしめされた。
『儂の中にそんな下等な魔物なぞ入れるものか 嫌じゃ嫌じゃ』
と頬をぷっくり膨らませて腕を組み足まで踏ん張り激しく抗議する
(この偏食家め、選り好みするなよ)
と愚痴るも このままではもったいないと顎に手をやるとクローティアが
『おっとそうじゃったわいその魔物は小奴に喰わせい』 とユラを示す
「成る程、それでいい ミーアは、どうだ」
「少し得られる路銀が惜しい気もするんですがクローティア様があのような調子だと無理でしょうし
ユラちゃんで街中まで運ぶわけにも行きません ここは、ユラちゃんに食べてもらうことにします」
とミーアの了解を得たので
<<だそうだ、ユラ遠慮なく食べていいぞ>>
と話しかける
元の大きさに戻って一匹ずつひょろりと飲み込みぶるりと震えて しばし
何か握り拳大の石を3っつはきだした。
ミーアが「これは魔石! 」 と目を見張ったので
「魔石って? 」
「えへんシーア、魔石というのは魔物の体内にまれに有るマギの塊でギルドで高く買い取って
くれるのですよ」 と言う
『それなら、儂が預かろう』 といって鞄にしまう
「お前が食うなよ」 と念を押すと
『お主の最上級位のマギを喰ろうておるからそんなまずいマギなどいらんわ』 と
また声音を変えて
『シーアお・姉・様のマギを大変おいしゅう、いただいていますわ』 となりきっていた。
(あきれた この偏食家め、選り好みするなよ)
俺達二人は先程の一連のやり取りで身体が火照っていて
無性に沐浴をしたい気分だった。
「ミーアは、どうする 俺は水で沐浴したいと思っているが」
「私も、一緒でいいですか? 」
俺は、中は男性だが身体は紛う事なき女性で有る お互い肌を晒したところで問題あるまい
と 見張りはクローティアとユラにまかせておけば良いだろう
ユラは クローティアのそばでとぐろを巻いていた。
さすがに全裸は羞恥があったので薄布で、胸に引っかける様に巻く
その所作は自分でも驚く程、自然だった。
「ひゃっ 冷たっ」 またらしからぬ台詞を吐いていた
彼女はといえば自然で優雅な所作で身体を水に浸けていた。
それぞれ思い思いの動作で 先ほどの遊覧と戦闘で火照って汗ばんだ身体を手て水を掬い
洗い流す。
身体に水を掛ける
さらりさらり
髪にも優しく水を通す
ツツッーツツッー
と水が通る。
頃合いをみて沐浴を終え。丁寧に吹く
7の月なので水温、気温とともにいい塩梅だった。
来た時の服に着替え クローティアにこのホムンクルス体になってから疑問に
思っていた事を聞いてみた
「なぁ、クロ」
『何じゃ、突然』
「この身体って成長するのか? 」
『成長するわけなかろ 永遠の美少女じゃ 元よりお主は人じゃ無いからのう』 即答だった
『嫌な例えかも知れんが お主は儂らの様な人とは異なる存在じゃ』
「... ...」
『お主は、お主じゃろ 誰もが羨む可愛い少女になれたというに 何が不満なんじゃ
魂まで変質した訳ではあるまい 現状を楽しめ』
「そうか」
『そうじゃそうじゃ もう辛気臭い話しはナシじゃ』
そう言われて俺は気分を切り替えて
「そろそろ発とうか」
『そうじゃな、儂も早うキリンズとやらを見てみたいのじゃ』
この章は前・後編2話同時に掲載します




