23 再びギルドへ
翌朝、俺達はギルドへ ”召喚士” としてギルドカードへ登録するため出発の準備を整えていた
今日の服装はクローティアが最初に着ていたのと大体同じ意匠のワンピースである
「下着は、替えられましたか? 御髪は梳かされましたか? お口は濯がれましたか?
お手洗いは済まされましたか? ワンピースの後ろ紐が緩んでいます シーア様」 と
矢継ぎ早に言われ 辟易していたが最後に薄い黒いショールを被り クローティアとお揃いの
編み上げブーツの紐をきちんと締めて”シーア様”が完成した
『御似合ですこと お姉様』 とクローティアのなりきりを聞き表へ出る。
『ちょっと、待っておれ』 といつものクローティアに戻ると
屋敷の隅々で何やらやっていた
「何を? 」 と聞くと
『どんな輩が来るやもやも知れん』 と
『後は』 とクローティアは 口に手を当て何事かつぶやいた。
すると、グレイアッシュの俺の眼には屋敷を覆う薄い硝子の要な半球体の膜がはられるのが
確認出来た。
『お主にも視えたか? 』
「あぁ」 とミーアを見ても気付いた様子は無かった。
『あれは強力な人払いと魔力遮断の結界よ』 と自信有りげに言う
クローティアが口に手を当て何事かつぶやいたと同刻 墓の付近で 銀の三日月 が仕掛けた
遠聞の魔器にピシリとヒビが入り壊れた事は さすがの
クローティアとシーアでも気付けなかった。
『安心せぃ 儂とお主・ユラ・ミーア以外何人たりとも入れぬ』 と言う
『後は、儂を本に戻せ』
クローティアを本に戻し、腰に結わえる
<<後は、念話で会話しよう>>
<<相、分かった>>
ポンポンとブックカバーの上からクロを軽く叩く
<<これ 痛いわい>>
<<嘘 つくな>>
<<相変わらず 聡いヤツめ>>
俺は慣れない言葉使いを駆使して
「今日は、暑いですねお姉様」 と俺
「そうね、シーア」 とミーア
対外的にミーアは俺の姉と言うことで出かける前に決めておいた
余計な連中の気を引くのはごめんだった。
今は、少女の身である 少女言葉でも違和感あるまい
七の月に入りそうなこの季節、スカートに入ってかき回わらされる風は新鮮で気持ちよかった
ギルドには、依頼者の貴族やその娘達やその娘自身が依頼者になることもあるので
浮いた感じはなく上手く雰囲気に溶け込めてたつもりだった。
受付には目的の人物がいたので 声をかけた
「こんにちわ、リアさん」
「あら シーアじゃない今日はどうしたの? 」
「えーと、今日はこれの正式登録に」 とカードを見せる
「ごめんなさい、こんなに時間がかかってしまって」
何しろあれから8回の日の出を迎えたのであり、約束を違えたと思われるのは俺の性格的にも嫌だった
「気にしなくていいのよ 中には身分の証明代わりとか、仮発行まま死亡なんてあるんだから」と
気さくに言ってくれる。
「それで、得物は決まった? 」
「はい、これで」 とブックカバー付きクロを越しから外しリアに見せる。
「まぁ、可愛いわね 本が得物言うと”召喚士”かしら」
「はい、家にお祖父様の残された御本がたくさんあったのであと、ペットが大好きなので・・・」
とそれらしい動機を言った。
「ふふ、らしいわね それじゃ早速 得物をガードに押し当てて頂戴」
「えと、どういうことですか?」
と初心者なので聞く
「そうね説明すると カード発行時の最初の登録だけ私の前で押し当てて頂戴 次回からは
得物を変更する時は新しい武器種の時だけ押し当ててね その時は私がいなくてもいいわ」
「それは、どうして? 」 と俺
「きちんとギルドで管理するためよ」
「厳密な管理では無いからシーアの良心に任せるけど、カードに未登録の武器で問題を起こせば
冒険者の特典が使えないばかりか官吏にお説教喰らうことになるかから気を付けてね」
「カードに未登録の武器で問題を起こせば、ギルドが弁護してくれなくて自分自身で身の証しを
建てなければならないとう事ですか」 と俺が言うと
「あら、偉いわねそういう事」 と締めくくった
「改めてお願いします」 とクロをカードに優しく押し当てた
すると 武器種 : 魔導書 愛称 クロ と記された
「あらあら 魔導書に愛称なんて付けてるのね ますます可愛いわ お姉さんこういうの好きよ」
そして思わずあのリボンが思わずカードに触れてしまった。
するとまたもや 自分の名前欄の下に 随伴者 : ユラ と浮かび上がった
「この ユラ というのは? 随伴者とあるけど誰も居ないわねぇ」 とリアは辺りを見渡す
「あ、あのこれ わたしのペットの名前です わ、わたし召喚獣にも名前を付けているので」
「一番好きな子なので、それしか使えないんです」 と咄嗟にごまかした。
「困ったなぁ どうしようかなぁ」 と可愛らしく眉間に眉を寄せると
クロと念話で相談する
<<クロ、ユラは戦闘は出来ないのか?>>
<<出来ん、あ奴はあくまでお主らのペット兼乗り物じゃからな>>
次にユラの了承を得るため念話で会話してみた。
<<ユラ、本当か?>>
<<きゅーーん>> と申し訳なさそうな鳴き声を立てた。
<<そうか、済まなかったな 仮で登録はいいよな>>
<<きゅい!!>> と了承を得たようだ。
「まぁ いいわこれで登録で 思い入れがあるんてしょ? 」
「はいっ」 っと難関は突破したようだ
後は、種族名だが : -%$?+&$+.@ となっていて読み取れ無かった
リアは各項目を確認し
「問題ないわね」 とギルド登録魔器にカードをかざした。
<<ほう便利なものじゃな>> とクロはしきりに感心していた。
「これで すべて終わり! 今からシーア アナタも冒険者よ」
「ところでミーア呼んでくれる?」
「ミーアお姉様、リアさんがよんでますよ」と掲示板を見ていたミーアを呼んだ。
ミーアが 「今、行くわ」というので
俺はギルド内の掲示板を所在なげに歩いていた
「ねぇミーア、チョットどうしたのよあの娘、急にオンナの子の様にしおらしくなっちゃって」
「前、会った時ってもっとオトコの子っぽいしゃべり方だったような」
「色々あったのよ、リア...」 とその後に続く言葉を誤魔化す。
「何、またお菓子? 」
「違うわよ 復帰するんでしょ冒険者」
「え!? どうして分かったの」
「どうしてって、アンタの考えている事ぐらい分かるわよ 何年アンタの友人やっているのよ」
と続けて
「どうせあの娘をメイドでなく、冒険者として支えたいとかそんな理由でしょ」
「メイドになるときだってあれだけ、冒険者は絶対辞めないとかイッてたくせに
あの偏屈屋の大錬金術師様に、惚れた途端メイドになるんだもんね」
「ふぅアンタには嘘付けないわね」
「ところであの大錬金術師様はどうしたの? 最近前にもまして見かけ無いけど」
「シアズ様でしたら、あの娘連れてきたと思ったら ”俺は真理を探求するんだ” とか言って
あの娘を頼むと頭下げられたわ そして出ていかれてそれっきり」とミーアは心にもない嘘をついた。
ふいに目頭が熱くなり
「あれ、私どうしたんだろ」
心にもない嘘をついたくせに身体は正直だった。
(確かに、シーアの中には紛れもなくシアズが居るのに見た目は同性の私ですら
羨む程の美少女で・・・そこにいるのにどこか決定的な一線が引かれてしまったようで感情の整理が
つかなかった)
「アンタ、正直ねぇ」
「少し、喋ったらすっきりしたわ」
「そう、良かった」
「そんで、復帰すんでしょ」
「ええ、手続きお願い」
「はいはい、困ったときはいつでも相談して頂戴ね」
「お互いいい友人でいましょ」 とミーアはリアに冒険者に復帰の手続きを頼んだ。
「ねぇ、シーアこっちきて頂戴」
「はい、ミーアお姉様」 と俺はミーアの方へ足を勧めた
その掲示板では あと3回の日の出後にオートマト競り(オークション)東の街キリンズで開催!! なる
広告が貼ってあった。
「ねぇこれ見て、私冒険者に復帰したの」
「ミーアお姉様、本当にそれでいいの? わたし、お姉様をとんでもない事に
巻き込むことになるかもしれないのよ」 と俺は言葉使いに気をつけながら言った
「できれば、お屋敷の中でも ”ミーアお姉様” と呼んでほしいな」 と俺に提案してきた。
「そのことですけれども、私のことは外は勿論、お屋敷でも ”シーア” と呼んでくださいな
その代わり ”ミーアお姉様” は勘弁してくださいな」
と俺はまた返した
(言葉使いで変に感づかれて 銀の三日月 に関係無い者を巻き込むわけにはいかない)
「えぇ、”ミーアお姉様”呼びは勘弁してあ・げ・る」とミーアは俺の額を軽くつついた。
そして俺達はギルドを後にした
3 姿見の中の少女でシーアの色の違う髪は もみあげ ではなく こめかみ付近 に変更します。




