20 召喚指南
『ところで、召喚士の職能に就くならば儂の眷属共を貸してやって良いがの』
「なに? それは本当か? 」
と俺は色めきだった。
『貸してやると言うのは本当じゃ、嘘は言わんじゃがのぅ』 と何やら一拍言い含める様な
間があった。
『儂の眷属共はな、小は蟲共から大は海竜まで、果てはディーボまでおるがの』
ともったいぶる。
『小奴らは儂には従うが果たしてお主にも従うかと思うとの』
「それはどうして? 」 と問いただす。
『それは、当然の疑問じゃな早い話今のお主は、召喚士としてはまだ赤子のようなものじゃ
分かるじゃろ儂の言っている意味が』
「ああそれはクロの言う通りだ、大物がいきなり手を貸すはずが無いからな」
とうなだれると
『まぁ、落ち込むでは無い、蟲共ぐらいなら儂を目覚めさせた実績で説得出来るじゃろ
高望みせんとこだ』
という。
『それとたかが蟲共なんて侮ってはならんぞ要は、お主の使いようじゃ』
「分かった、それもそうだな でどうするんだ? 」
『まずは儂を本の姿に戻せあとはそのまま指南してやるぞい』
「よろしくお願いします」
『うむ、殊勝な態度だな』
(俺だって先達から教わる立場だった時があったんだ当然だろう)
俺はクロを魔導書の形に戻した。
『うむ、それではこの文字列をお主の血で擦るのじゃ』 そうして俺はまたプツリと指先に
血の珠を作り俺は開いたページに記されている最初の文字列を擦った
すると、今までかすれてい文字列がまたもや赤黒い燐光を放ち収束すると同じく赤黒く
くっきりと古代語がはっきりと読み取れた.
『文字は、主らには読めぬ 儂が意訳すると要はじゃな ”空の眷属共を従えた” となっておる』
『先程も、お主に申したとうり、まだ蟲共ぐらいしか扱えんがの今はそれで許せ』
とブックカバーを付けられてまるで口布を付けたようにくぐもった声で説明する。
『それからな、眷属共にも餌を喰わせてやってくれんかのぅ』
「餌? 」
『そうじゃ 儂も長い事眠っておったからの 餌をやれなんだ お主らも食事はするじゃろ
あれと同じことよ』
『餌は ほれここに』 と今度は何やら魔法陣が描かれたページを開く
『ここに適当に放り込めば
眷属共が勝手に分配して喰らうだろうて、お主はただ余っている餌を放り込めばええんじゃ』
「どれ、やってみるか」と
役に立たなそうなガラクタ(オーパーツ)2・3点を魔法陣に放り込むすると生物の咀嚼音に似た音を立てて
飲み込まれた。
それからと
『ミーアとやらこれから彼奴は、太陽が7回日の出を迎えるまで相当無理をせにゃいかんでの
身体の面倒はお主がしかと看てやるのだぞ』 をミーアに言う
「はいシーア様のお身体の管理は私におまかせくださいませ クロちゃん」
『よろしく頼み置くぞ』 という会話で話しがまとまった。
今はもぬけの殻ととなったあの地下で俺の召喚の修練は苛烈を極めていた。
最初の召喚は危うく、蟲に喰われそうになりクロにあいだに入ってもらってようやく難を免れる始末
完全に舐められていた。
しかも一切ブラッド・ウィップ禁止なのだ(当たり前といば当たり前だが)
『どうじゃ 儂の言うとおりっだったじゃろ』
「ああ お前の言ったとおりだあれで竜でも呼び出した日にはどうなっていたことやら」
『今日はこんなものじゃろ 早く休め それとあの姿にしてくれぬか』
「ああ、ちょっと まて」
<<<クローティア>>>
念じるとクロはクローティアになった。
『この姿の方がいろいろ儂としては便利じゃからの』 とまた貴族の娘の様な挨拶をする
『ほれ、お主もやって見せい』
「嫌だね」 と突っぱねる。
戦闘訓練用のローブから普段着のワンピースを被るように着るといつもの様に背中の紐を軽く
締め上げ靴も履く。
勿論、長い髪もうなじから手を入れすくい取るように髪を引き出す。
『そうやって見てくれは良いんじゃが』
「何が、見てくれだ」 とクローティアを煽る様に恥ずかしさを乗り越え、キョロキョロ
辺りを伺う様に貴族の娘の様な挨拶をしてみた。
『そうやっていれば 可愛いというに』
「煩い」 と突っぱねた。
すると音もなくミーアが部屋に入って来て クローティアに目配せをする
普段屋敷内では携行していない愛用のダガーをちらりとメイド服をちょとたくし上げ
クローティアに視線で指ししめた。
『お主、気付いておったか シーアよお前さんもウィップ準備をしとくんじゃ』 と
髪に抱きつきながら囁いた。
俺は二人に緊張の気配が走るのを感じ、いつでもウィップを操れるように身構えた
と同時、玄関が軽くノックの音がする。3人は同時に頷き
「どうぞ」 とミーアは相手の入室を許可した。
そこには、 短杖を持った背は低くフードを目深に被ったローブを着ている小柄な男が
佇んでいた。
「「「アナタは? お前は? お主! 」」」 三人が同時に誰何すると。
小柄な男はかろうじて分かる薄い口を歪め
「へへっ、あっしは ヤンス と申しやす」 と大げさに手を振り胸元に添え慇懃無礼に頭を下げる
「あっしは、そこの銀のお嬢様を街でお見掛けしやして、 っと今夜はまたもう一匹小さい珍しいのが
そこにいますねぇへへっ」 とクローティアに視線を移す。
「我が主にいい土産話しを持っていけそうでなによりでへへっ」 言葉には隠し切れない殺意と
下品な気配が漏れていた。
俺達2人が (クローティアは何処吹く風で俺の髪を弄っていたが) 更に構えを強くする。
するとヤンスは慌てて片手を前方に突き出し
「おおっぅっと、あっしは何もここで事を構えるつもりはありませんぜ おじょーさん方」
「今宵は、あっし 見目麗しい方々を拝見出来て大変、眼福でごぜぇました」
と薄い口からちろりと舌なめずる。
「では、これはほんのご挨拶代わりで」 と鋭い何かを抜き放った。
それは俺の左側頭部の髪を数本 はらりと散らし、後ろの壁に軽い打撃音と共に刺さった。
「「「このっ! 」」」 と声を上げた時は既にヤンスの姿はそこになかった。
俺は訓練と後と言うことも有りそしてマギの吸収器官でも在る髪を切られたこともあり立ちくらむ
「「シーア様 お主」」 とシーアに駆け寄るも
「大丈夫だ、立ちくらんだけだ」 と
「「「それより」」」 と壁に刺さった得物を検分する。
活動報告に敵対人物ヤンスを追加します




