2 状況説明
依然、警戒は解かないまでも眇めていた目を素面に戻したことでこちらとしても
安心して状況を説明出来るというもの、鳩尾に手刀は向けられたままだったが
ここでようやく
「お前の妹分を、ホムンクルスで拵えてやろうと思ってな」
と第一声。
「それで、工程は後、擬似魂を入れる工程のみだったのだがな
昨日の深酒が残っていてちょっと手元が狂ってな 何の因果かホムンクルス体に
俺の魂が入り定着したようでな」
と自分(ホムンクルス体)を見渡して言葉をさらに継ぐ
「爆発も起きたらしく オレの身体はあのザマだそして、装置に入っていたこのホムンクルス体は
難を免れた という訳だ」
数瞬の間をおいて
「エーソを入れる工程は進行中だったから、離れたオレの魂はエーソと入れ替わる形になったのだろう」
と推論を真摯な気持ちで彼女に訴える。
「分かりました...とは結論をだすには情報や自分で納得出来る根拠が足りません
第三者がエーソを入れる際、介入したとも考えられます。
しかしながら、屋敷には二人しか居りませんしそのような事が出来るのは我々の上位の存在しか
思い浮かびませんまずは、アナタと一緒に生活した上で見極めさせてもらいます
それでもよろしいですか? 」
と彼女ははっきりと淀みなく言ってきた。
「それでも構わない」と俺も真摯な態度で返す
するとミーアが
「さしあたって、アナタの名を決めないとですが...シアズ様の創造したホムンクルス体と言うことと
女の子なのですから ”シーア” というのはどうでしょう?」
と問うてきた。
(このまま屋敷に閉じこもってずっと過ごす訳にもいかないしな)
「それで良い」 と今のオレにはミーアに逆らう訳にもいかずそう返事をした
ここでようやく彼女は手刀を引っ込め警戒を解く
「 ・・・ーア様」とミーアが声をかけてきたがオレは上の空だった
「何故、様をつけるんだ?」
すると「私はメイドです。シーア様はシアズ様が創造されたホムンクルスで魂もシアズ様のもので
あると仰られておりますですから”様”はつけさせてもらいます。」
と必死の形相で訴えてきた。
「私が、ここの掃除とシアズ様のご遺体の埋葬はしておきますからシーア様は沐浴とお召替えを
してきて下さい」
「わかった」
と返事はしたものの大変な事に改めて気が付いた。